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Feel the Music vol.120

“ポップス職人たちが夢見る場所 - pupa

■インタビュー/文:村尾泰郎 ■コーディング:Astrograph 掲載日:2010.7.23

 高橋幸宏、原田知世、高野寛、高田漣、堀江博久、権藤知彦。個性豊かな6つの個性が集まったpupaが、2作目となる新作『dreaming pupa』をリリース。昨年、高橋幸宏、原田知世、高野寛の3人が新作をリリースしたばかりだということを考えれば、いかにメンバーのテンションが高まっているのか、そして、それぞれがpupaにかける意気込みがよくわかる。そんな気持ちが反映された新作は、前作以上にバンド・アンサンブルが際立って、それぞれのミュージシャンの個性も発揮された充実作。今回はpupaのなかでも、とりわけ多方面で活躍する音楽職人、堀江博久、権藤知彦に話を訊いた。

--メンバー6人が集まって、というのは大変だと思いますが、レコーディングはどんな風に進んでいったんですか?

堀江博久堀江:だいたい幸宏さんとゴンちゃん(権藤)が作っているところにみんなが押し掛けるっていう形ですね。そこで自分の曲があったりとかすると「じゃあ、何かやろうか」とか。ほかの人の曲があったりすると、そこからまた何か音を足していったり。

権藤:そういう作業がしばらく続いていく。

堀江:普通はバンドだと1週間でベーシックとかを集めて音を鳴らして、レコーディング入る前の時点で曲があがってたりしますけどね。pupaの場合は、最初に集まった時にはあんまり曲はなくて。幸宏さんやゴンちゃんの曲があって、「こういう感じで始めてみようと思うんだよね」っていうのからスタートしてますね。

--なるほど。今回のアルバムでまず印象的だったのが、歌の存在感でした。結構、フォーキーな要素が強くなっているような気がして。

堀江:そういえば、制作中に、サイモン&ガーファンクルを幸宏さんとゴンちゃんと3人で武道館で観に行ったんですよ。終わった後に「かっこいい~、歌もギターも最高!」とか言って(笑)。

権藤:感化されたよね。
あと、北欧のフォークトロニカ系というのが、もともとpupaのサウンドにあったし。〈フォーク〉っていうキーワードはどこかにあったと思います。

--その一方でリズム・セクションがタイトになって、ファンキーな曲も増えてますね。

堀江:最初にフォーキーなものを作ろうとしてて、幸宏さんがあげてきた曲がファンキーだったんですよ(笑)。

権藤:まあ、1枚のアルバムだから、いろいろ緩急あるということで。

--リズムの部分は幸宏さんが作っていくんですか?

権藤:みんなが持ってきたデモには、まず幸宏さんがリズムを入れるんです。なんか通過儀礼みたいな(笑)。

堀江:ハンコだね(笑)。自分の持ってた作品からpupaの作品に移行するまでは、〈幸宏さんのリズム〉っていうハンコがいる。

権藤:そこからだんだん肉付けが始まる。

堀江:ハンコの段階でまず相当変わりますね。そこで「えーっ!?」っていうぐらいまで変わってしまう。だから面白いですよ。素材だけ、メロディーとコード進行だけのものを持ってきたりすると、「じゃあ、待ってて」って料理するような感じでその場で打ち込んでくれる。で、40分ぐらいしたら「はい、出来たよ」って、一丁上がりみたいな感じで(笑)。ほんと幸宏さん、板長みたいな感じですね。僕らは自分が釣った魚が料理されて出てくるのを待って、そこからみんなでいろんなものを添えていくっていう。

権藤:でも、出てくるのが、中華だったり、和風だったり、イタリアンだったり、というんじゃなくて、ちゃんとした幸宏さんの料理になってて違う味じゃない。

--お袋の味じゃないですけど〈幸宏さんの味〉がある?

権藤:すごいありますね。フォーキーな曲でもファンキーな曲でも。

堀江:だからそこで飛び散らないっていうか、確固たるpupaの音になっている。

--それでいて、メンバーそれぞれのプレイヤーとしての個性もしっかり出ていますよね。今回は前作以上にバンド・アンサンブルがタイトになったようにも思えたんですが。

堀江:個人的には歌詞というか言葉を、すごくよく汲み取って演奏したことが大きかったですね。例えば漣君が曲を書いた「Let's, Let's Dance」は、幸宏さんが「これは違うアプローチで歌詞をのせたら良くなるんじゃない?」って、幸宏さんが歌詞を足してるんですよ。その歌詞を読んで、「これ、もうほんと切ないというか、グッときますね。泣くくらいシブいウーリッツァを入れていいですか?」って入れたんですよ。ファーストからの流れだとどうかな?っていう空気もあったんですけど。

権藤:それに漣君の最初のデモは、ただのミニマル・ミュージックだったし。

堀江:で、僕がウーリッツァを入れたら、漣君が「じゃあ、俺もエイモス・ギャレットみたいなギター・プレイを入れてもいいですか」みたいな感じで。そういう音のカブせ方というか、音のやりとりはセッションっぽかったですね。その場で「いっせーのーせー」でやることはなかったですけど。

--そういえば、前作に比べて共作が増えてますよね。

堀江:多いですね。今回は共作の部分で、すごい楽しむことが多かったですね。ある程度、半分ぐらいまで作ったやつを「ちょっと残りやっといて」みたいな感じで誰かに任せたり(笑)。例えば最後の「Kaleidoscope Waltz」とかは高野さんが曲を最初に持ってきて、みんなで〈いいね、この曲〉って聴いてたんですけど、高野さんが「ちょっと展開が欲しいんだよね。じゃ、あとやっといて」って。

権藤知彦権藤:「ホリー(堀江)、一緒にやる?」っつって(笑)。

堀江:そう、ふられて(笑)。

権藤:その後、ホリーはずっとツアーで全然時間なくて、「じゃあ、サーバーに入れときます」って。で、ホリー以外のみんながスタジオ来た時に、「あ、今日ホリーから曲来ました」って、みんなで試聴したら、みんなすごく感動して、すぐにツイッターで呟いたんだよね、「良かったよ!」って。それが曲の後半部分なんですけど。

--個性派揃いなのにバンドとしての一体感があるのも、pupaの良いところですね。

堀江:みんな勝手気ままそうに見えるんですけど、曲に向かっていく気持ちはみんなスゴいと思いますね。「俺だったらこうするな」って違うことをやろうとするんじゃなくて、「こうやったらもっと良くなるよ」とか「これ入ったら良くなるんじゃない?」とか言いながら、勝手にまとまっていっちゃうみたいな。

権藤:やっぱ、みんなポップス職人だから。ひねくれてるのに変な発想はしないんですよ。メロディーも構成も絶対きっちり。

堀江:メロディーはみんな絶対視してるところはあるって、そこはスゴい好きですね。今回のアルバムを聴いてもらうとわかると思うんですけど、曲を作った人それぞれがメロディーを大事にしてることがわかると思います。

--メンバーで熱く議論したりするってことは、あまりないんですか?

権藤:どうかなあ。でも、みんなズバズバ言いますよ。幸宏さんにも原田さんにも遠慮せずに。

堀江:誰も言うこときかなくて、幸宏さんが困ったりする時もあります。「ちょっと聞いてるの?」とか言われて怒られたりすることもあって。特にうちら2人は(笑)。

権藤:聞いてないね(笑)。

堀江:だいたい怒られるっていう。素直な気持ちで聞いてるんですけど、なぜか周りからは全然聞いていないと思われることが多い。

--そのうち、聞いていない二人でユニットを結成するとか(笑)。

堀江:そうですね。あんまり言うこと聞かなかったら、「もういい、君たち」って言われてクビになって、この二人でね(笑)。

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