MUSICSHELFトップ > 特集・連載 > 小谷美紗子 インタビュー
日々の喜怒哀楽の中から拾い上げた言葉を、巧みな手の内を孕んだトリオ・アンサンブルでもってエモーショナルに響かせるシンガー・ソングライター、小谷美紗子。昨年秋にデビュー10周年を迎えた彼女が、ベスト・アルバムのリリースを経て、より自信と勢いに満ち溢れたニュー・アルバム『Out』を完成させた。
--ニュー・アルバム『Out』が完成しましたね。小谷さんの発する言葉とバンドのグルーヴが、今作でも非常に有機的に絡んでいるなという印象を、まずは受けたんですけど。
たぶんその、私が書いた曲を、私自身も2人(ドラムスの玉田豊夢、ベースの山口寛雄)も、演奏することをすごく楽しんでるんですよね。ヘンなコードを使っていたりとか、変拍子を使っていたりとかしても、「難しい!」って言いながら喜んでいる2人がいて。そういう気分が演奏に出ているからなのかなあって。
--小谷さんの書かれる歌詞って、かなりアクの強い言葉も綴られていたりしますけど、こういった作風はデビュー当時から一貫してますよね。
19歳のとき、デビューが決まって、東京でコンベンションライヴをやったんですけど、そのときに音楽評論家の方とかライターさんとかに「こういう歌を歌えるのは今だけだよ」っていうようなことを言われたんですよね。「大人になったらこんな強いことは言えなくなるよ」って。19歳でこんなこと歌うのはすごいって評価していただいたうえでそういうことをおっしゃってくれてたんですけど、そう言われながら私は「10年後も絶対おんなじことを書いてやる!」って、それができなくなったらやめようと思っていたんですよね。大人になったから子供の事情がわからなくなったりとか、大人になったから大人の事情ばっかりわかるっていうこともなく、今も同じように歌詞を書けているので、「ああ、まだ歌詞を書いていてもいいのかな」って、自分では思ってますね。すごくちっちゃい頃から疑問に思ってることとかって、なかなか簡単には解決されないので、いつまでも文句を言い続けているっていう感じですよね(笑)。
--今作では、1曲目「消えろ」の“どうせ いつか 必ず 死ねる”という歌詞からしてインパクトありますね。
「死んでみたい」って思うことはよくありますね。たとえば、すごくちっちゃなこと、なにかの締切に追われていたりとか、いろいろな悩みにブチ当たることがあるんですけど、そういうものって、一晩寝ると解決されたりするわけですよ。だから、私は実際に死にたいとは思ってないし、死ぬ一歩手前までいったっていうこともないし、むしろ絶対死なないって思ってるから、一度「死んでみたい」みたいな。早くおばあさんになって、そろそろお迎えが来るかな?みたいな、そういう日々を過ごしてみたいというか、「のんびりしたい」っていうことをものすごく大袈裟に言ってるような、そういう感覚ですね、この曲の歌詞は。本当に死にたいなんて思っていないから、わざとこういうお祭りみたいな曲にしたんですよね。だから、思い詰めてるような若い人に聴いてほしい歌ですよね。
--タイトル曲の「Out」は、日々の生活の中でこれは理解できない、納得できない、つまらない、というようなことを歌っていますが、そういったフラストレーションは結構多かったりするんですか。
多いですね。やっぱり、私が感じている世の中に対する不満みたいなものの100倍ぐらいどころじゃないぐらいの問題が、実際にはあると思うんですけど、そういったものを知っていけば知っていくほど、曲にしないとムカついてしょうがないというか(笑)。
--「mad」という曲の演奏がものすごくスリリングで、これぞこのトリオの真骨頂だなって思いました。
自分が書いた曲だから、変拍子になってるところとかも、私自身は身体に染みついてるから普通にできちゃうんですけど、2人……とくにドラムのパートとか、なんでここでこのテンポに戻るか!?っていうようなところがあるんで、かなり難しい。まさに歌詞の通り、男を蹴落とすというか、追い詰めるというか、私の演奏があって、それに右往左往しながら2人がついてくるっていう、その感じがすごく曲に表れたので、これってすごく音楽だなって思いましたね。
--最後に「東京」という曲がありますけど、東京のことを歌ったのは初めてですよね?
去年、「10周年、10周年」ってまわりからよく言われてたということもあったんで、私も結構がんばってきたなあって思って、書いてみました。私は、東京に来るのがイヤでイヤでしょうがなかったタイプなんですよね。なんかこう、一本旗を立てるぞっていう感じで上京したわけではまったくなくて、東京っていうのはTVの中の世界だって思ってて、嫌いとか好きとかの問題じゃなくて、存在しないところみたいな。だから、高校から進学するときに先生から東京の大学を薦められたりしたんですけど、東京っていう理由だけでイヤだって言って、大阪とか京都あたりの大学に行こうと思っていたんですんよね。でも、デビューが決まってしまったんで、東京に行かざるを得なかった。もう10年以上住んでますけど、東京タワーを見るたびに不思議に思いますね。なんでこんなところに長く住めて、結構楽しくやれてるんだろうって。
--気がついたらデビューして10年、今作を聴いてみても強く感じるんですけど、小谷さんの演者としてのパワーは衰えるどころか、作品を重ねるごとにパワフルになっていく印象ですね。ここ最近のご自身を取り巻く環境をどう見てらっしゃいますか。
そうですねえ……一般の方が想像している私の職業って、たぶんその、作りたい音楽を作るために必要なものを、ある程度なんでも与えられる環境にあるって思ってる人も多いと思うんですよ。私もデビューするまではそう思っていたんですけど、実はそうではなくて。実際は、あれもないこれもない、どうしよう……っていうところで、自分自身の力とか協力してくれるミュージシャンの力をどんどん引き出していかなくちゃいけない。それが10年ぐらいずっとやってこれたので、何もないところからでも自分の中の音楽さえあればなんでもできるぞっていうのを、今は強く思えるようになってますね。音楽業界の状況が厳しいとかCDが売れないとかっていうのがあっても、工夫して、気合い一発でできてるのかなあって。インディーでリリースするようになってからは、少数のスタッフでやっているということもあって、お互いに遠慮がないというか、これはやりたい、これはできない、っていうことの言い合いがちゃんとできているんで、そういう意味ではやりたいようにはやれていますしね。
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![]() ![]() ![]() 小谷美紗子Trio TOUR2007 Out
7月1日(日)@福岡DRUM Be-1 7月4日(水)@大阪心斎橋CLUB QUATTRO 7月6日(金)@名古屋CLUB QUATTRO 7月7日(土)@東京LIQUID ROOM Ebisu 8月3日(金) "ROCKIN' ON JAPAN FESTIVAL" 詳細はオフィシャルページでチェック 小谷美紗子
(オダニ ミサコ) 1976年11月04日 生まれ 京都府宮津市出身 1996年、シングル『嘆きの雪』でデビュー。これまでに7枚のオリジナルアルバム、14枚のシングルをリリースしている。2006年デビュー10周年を迎え、魂を揺さぶる唯一無二の歌で、音楽ファンのみならず、多くのミュージシャンからも支持を得ている。 OFFICIAL WEB http://www.odanimisako.com/ myspace http://www.myspace.com/ odanimisako |
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