MUSICSHELFトップ > 特集・連載 > CORNELIUS インタビュー
早くから音楽と映像の融合を意識的に実践し、音楽同様常に斬新な映像作品を送り続けてきたコーネリアスが、この度、06年に発表した最新アルバム『sensuous』のミュージック・クリップ集「SENSURROUND」をリリースした。究極のクオリティを志向した作品は、まさにオリジナルを地で行くもので、我々に音楽の新しい聴き方を提示しているかのようだ。また、02年以降に国内外で行われたツアーの模様を収録したDVD「from Nakameguro to Everywhere tour '02-'04」も同時リリース。CD、DVD、ライヴの3メディアで、独自のスタイルで表現しつづけるコーネリアス=小山田圭吾に、音楽と映像を巡る話を聞いた。
--「Five Point One」のときもインタビューさせてもらいましたが、考えてみたら、DVDのリリースで取材を受けるアーティストって、あまりいませんよね。
以前からオーディオ・ビジュアルのアルバムを作りたいなと考えていて、今回の「sensuous」のプロジェクトは、最初からCDとしてのアルバムとDVDとしてのオーディオ・ビジュアルの作品を作ろうと思っていたんです。「Five Point One」はライヴ時に流す映像が集まったのでDVDにしてみようという感じで、後付けでした。「sensurround」は映像クリエイターとのコラボレーション作品でもあるんですけど、やっとできた作品なので、プロモーションもやったほうがいいのかなと思って(笑)。ほかの人はやらないんですか。
--珍しいと思いますよ(笑)。でもそれは、小山田さんの中で、音楽と映像が表現として同列にあるということなんですか。
コーネリアスの映像作品はいわゆるプロモーション・ビデオとは考えていないんです。今回の映像は、GROOVISIONSと高木正勝君が作ってくれた2つ以外は全部、辻川幸一郎君と一緒に作っているんです。レコーディングのときから、密に連絡を取って、オーディオ・ビジュアル・アルバムを作りたいと話していました。1人のディレクターがほとんどの楽曲の映像を担当することで、全体の構成や、その曲がその中でどういった役割を果たすかといったことを考えられるんじゃないかと思ったんです。
--「sensuous」はCDとDVDが対になることで完成だと。
「sensurround」は音声が5.5サラウンドになっていて、CDとはミックスが違います。今後、今回のツアーのライヴ・パフォーマンスを記録したものも考えていますが、これはまだ何も手をつけていません。
--映像クリエイターには指名した段階でお任せなのか、それともかなり具体的なアイデアを伝えるのですか。 それぞれケースバイケースですね。高木君とは、雑誌「サウンド&レコーディング・マガジン」のためのコラボレーション企画がきっかけでした。映像に関しては一言も交わさず、会いもせずという感じでした。GROOVISIONSも、「サウンド バイ ビジョン」というイベント用だったのですが、細かいディレクションについての話はありませんでした。辻川君の場合は、10年くらい一緒にやってきているので最も距離感が近いというか、もともとただの友達だったので、すごく密な作りができるんです。僕の言ったアイデアは生かしてもらっていますが、共有している時間が長い分、考えることも似てくるので、話の前提を飛ばせるんです。今回の作品は音楽が先ですが、辻川君とほかの仕事で組むときには、映像が先のこともあります。昨年、辻川君が撮った映画「きまぐれロボット」には、映像に音楽をつけました。
--DVDの中の「Wataridori」は映像に音を合わせているような気さえしますね。
「Wataridori」で渡り鳥って、そのまんまなんですけどね(笑)。確かに、今回の作品全般に言えることは、単純に音と映像がシンクロしていることもあるし、世界観でシンクロしているということもあります。そのバランスの過不足のなさ、両者とも突出しないで、どっちを先に作ったのか分からないような密着の仕方が、ひとつのキーワードになっています。
--「FANTASMA」以降、コーネリアスの映像はどんどん進化しているような気がしますが、コンセプトや決め事が変わってきているのでしょうか。
微妙に変わってきていますね。「FANTASMA」の頃のプロジェクション映像は、ほとんどがテレビや映画のサンプリング・コラージュで作っているんです。それは音作りにも言えますが。でも「Point」からは、自分で録音した音をサンプリングすることを始めて、映像に関しても、自分で撮影したものを編集して、作りこんでいく方法に変わっていきました。今回の「sensuous」は音の質感にフォーカスしているんですけど、映像に関しても同じようにクオリティにフォーカスしています。音と一緒に映像も進化しているというか。「Point」ではDVを使っていますが、今回は同じDVでも、よりフィルムに近い使い方をしたり、8ミリをわざと使っています。また、「Point」の頃からもすでに5、6年経って、その間にクリエイターのスキルが上がり、テクニカルな部分での進化もかなりあるんですよね。
--テクニカルな部分での進化と言うと、今後のブルーレイ時代に向けた意識はありますか。
VHSにはVHSの良さがあるし、ブラウン管の良さもある。考え方はいろいろだと思うんです。ただ、今のDVDというスペックだと、今回ぼくが作った映像と音声をフルで入れるには少なすぎるんです。今はDVDが普及しているし手軽なので、この形で出したけど、この先どういうふうになっていくか分かりません。もしブルーレイが一般的になったら、今の音声、映像もフルスペックで入れられるんで、それはそれでいいかなと思います。
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