MUSICSHELFトップ>特集・連載>the pillows インタビュー
Feel the Music vol.54
Take Me Out To The Rock'n'Roll - the pillows the pillows
■インタビュー/文:久保田泰平 ■撮影:本多元 ■コーディング:Astrograph 掲載日:2008.6.27
 the pillows。来年には結成20周年を迎えるというこのバンドが、最近とにかく元気だ。ライヴでの評判はもとより、今年1月にリリースされたシングル「Tokyo Bambi」がバンド史上初のトップ10入りを果たすという快挙も含め、若手バンドに夢中になっているようなリスナーでも横目でチラッチラッと気にしてしまうぐらい、その元気っぷりはあちこちに伝わっているはず 。そんななか届けられたのが、通算15枚目となるオリジナル・アルバム『PIED PIPER』。キャリアで培われた絶妙のバランス感覚と熱いスピリット、そして高い演奏力とポップ・センスをもって仕立てられた全11曲、それはもう“最高!”と言いながら身を任せるしかない出来映えだ!
--最近のthe pillowsはものすごく元気だなあっていう印象があるんですけど、ご自身では気分的な変化があったりしますか?
山中:ん~、自分たちでは変わったなっていう印象はないかも知れないですね。ただ、状況は少しずつ少しずつ望んでいるものに近づいていて、周囲からやさしくされてるなって感じはありますね(笑)。
the pillows--具体的にはどういった感じで?
山中:そうですねえ、僕らが活動してきたなかでひとつポイントになっているのが、12年前に「ストレンジ カメレオン」って曲を作った時なんですけど、その時のリスナーと僕らっていうのは密度の濃い付き合いというか、音楽はthe pillowsしか好きじゃないというような印象のお客さんとマンツーマンでライヴをやっているような感じで、そういう時期がしばらくあったんですね。それはそれで充実感があったんですけど、その後だんだんと……新曲を発表したり、いろんなバンドと共演したり、新たな出会いもあり、それこそインディーズのバンドとも対バンするけど、Mr.Childrenともやるよっていうぐらい、まあ、いろいろな出会いがあって、ゆっくりゆっくり今に至ったわけなんですよね。なので、昔はあまり誘われなかったイヴェントやフェスも、最近は断るほうが多い状況だったり。そのおかげで、フェスとかに出ても、なんとなく僕らの代表曲は知ってるなっていう感じのリアクションが返ってくるようになったんですね。大ファンではない、僕らのCDは持ってないかもしれないけど、観れるなら観たいなっていう感じのリスナー、グレー・ゾーンが急激に増えたなって感じはします。
--たしかに、いまさらながら“気になるバンド”のひとつになってますよね、the pillowsは。
山中:こんな長くやってて、この年齢のバンドがここ最近“気になる”っていうのは、ちょっとおもしろい現象だなって感じますね。“気になるオッサン”というか(笑)。
--そういう状況だけに、曲を書いたり音を練っていくモチベーションもかなり上がってきてるんじゃないですか?
山中:それに関しては“ここ最近”っていうより、10年ぐらいずっと気分よく作ることができてる感じかな。曲が書けなくて困ってるっていうことがまったくないよね?
the pillows 真鍋吉明真鍋:そうだね。これはいつも言ってることなんですけど、ロック・バンドが前に進むには良い曲、良い新曲しかないので、そこが途絶えると、バンドっていうのは前に進まなくなりますし、過去にしがみつくようになる。そこにきて、the pillowsが健全だなって思うのは、常にバンドのメンバーが夢中になれる新曲がゴロゴロあると。アルバムにも漏れちゃうぐらいあるっていう状況が続いてるんですよね。人間誰しもスランプっていうものがありますから、いつかはこのペースが落ちるのかな?って思ってたんですけど、スランプなんてものはほとんどないですね。
佐藤:辛い気持ちを歌った曲でも気分よく書いてるんだろうね(笑)。
山中:たしかに、暗い曲でもレコーディングは明るいね(笑)。そう、今朝ね、THE PREDATORS(山中がGLAYのJIRO、ストレイテナーのナカヤマシンペイとともに組んでいるバンド)の曲で忘れてしまった部分があったんで、むかし録っておいたMDを聴き直そうと思って聴き始めてたらさあ、そこに90曲ぐらいthe pillowsの新曲があって。ここ4、5年で書き貯めてたやつ。だから、スランプがきても大丈夫だなって(笑)。
--6、7年ぐらいラクできる量がありますね(笑)。それって、実際になにかのタイミングでレコーディングする可能性もあるんですか?
山中:あるかも知れないですね。僕らは基本的に、ニュー・アルバムっていっても、ここ2、3年に作った曲がミックスされてるっていう、毎回そういう感じなんですよ。前回のアルバムよりも前に作った曲が新しいアルバムに入るっていうことも普通なんですね。曲ができたらとにかくすぐセッションして、メモがわりに録音して、で、歌詞が乗ったものを優先していくっていう、わりとそれが自然で。歌詞が乗っていない曲、乗せられなかった曲なんかでも、3年ぐらい経った時にすんなり乗ったりするんですよね。それを僕は待ちたいというか、がんばって乗せようとするとテクニックで乗せてしまうので、そうすると作家みたいな歌詞になってしまって、あんまりイイことないんですよ。そういうものって、結構うまくいったな、なんて思っても、実際にバンドで合わせてみると気分が乗らない曲になっていくんですよね。
--さて、ニュー・アルバムの『PIED PIPER』ですけど、これまた最近の元気っぷりを見事に映し出した、力強さと勢いに満ちた曲が並びましたね。『PIED PIPER』=「ハーメルンの笛吹き男」の言い伝えの内容には諸説ありますけど、まあ、いずれの説にも共通してるのは、人々を“引き連れていく”っていうところで。
the pillows 山中さわお山中:そうですね。僕らの場合「悪いほうに連れてっちゃうよ」ってことですかね(笑)。こうやって取材を受けていくなかで、自分はどういう気分でアルバムを作ってたんだろうって考え出すわけなんですけど――曲を作っている時は考える必要がないし、普通に楽しんで作るだけなので――それでわかったことは、“連れてっちゃうよ”っていう気分だったっていうよりは、とにかくそう言いたかった、自分たちにも言い聞かせたかったんだなっていう。ここ最近、the pillowsを取り巻く環境が急に膨らみだして、なんだか僕の把握できないようなことも起きていたり、そこに実は違和感もあったりするわけなんですけど、それをすべて呑み込んで自分たちの向かって行きたい場所に連れて行きたいっていうことなんですよね。昔から思っていたことではあるんですけど、今、声を大にして言ってみようかっていう感じです。だから、100%そういう気持ちっていうわけではないんですよね。言うだけ言うけど、相反する気持ちが同居している……白黒ハッキリできないタイプなんですよ、僕は。でも、言いたい。責任は取らないけど、決意表明はしたよ、みたいな(笑)。
--今回のレコーディングで、新鮮なエピソードはありました?
the pillows佐藤:この3年ぐらいはいっしょかなあ。スタジオもいっしょだし、スタッフもいっしょだし。気分も……いっしょかな。
山中:新曲をやってる、好きな曲をやれてるっていう感じだけで。絶えず新鮮な気持ちですよね。スタジオを替えたいとも思わないですし、エンジニアも気に入ってるし、スタジオでの食事のメニューがいっしょなのは飽きましたけど(笑)。でもまあ、今回、「Last Holiday」っていう曲で生のチェロを入れたのは新鮮だったね。
真鍋:とくに新鮮なエピソードはなくても、そのなかでいいアルバムが生み出せてるので、べつにエピソードの元になるような変化を求めていたりもしないんですよね。まあ、個人的には新鮮さを得たいがために、レコーディング前に新しいギターを買うっていうことはしますけど。初対面同然のギターでレコーディングに挑むので、そこは悪戦苦闘しながらも新鮮なんですよ。まあ、些細なレヴェルですけどね。
--ところでみなさんは、音楽以外のことでエンターテインされるものってあるんですか。もちろん、音楽にも反映されるようなことで。
the pillows 佐藤シンイチロウ佐藤:僕はパチンコですかね……これって、音楽には反映されないですよね(笑)。
真鍋:僕はとにかくコンピュータが好きなんですけど、それってすごく日進月歩の世界じゃないですか。1、2年前に不可能だったことが今はできる、みたいなことがあたりまえで。ものすごく自分の音楽環境だとか、制作にものすごくリンクしているので、常にコンピュータというものといっしょにいる時間は多いですね。使い始めたのも早かったと思うんですけど、これができたおかげでバンドに多少なりとも貢献できた部分っていうのもあるから、それはよかったなって思います。
山中:僕は、マンガが異常に好きで、コンビニに並んでいるような週刊マンガはほとんど読んでますね。たぶん、歌詞にもすごく影響していると思います。やはりその、マンガといえども、膨大な量を読んでいるとさまざまなジャンルがあって、情報源もわりとそこから入るというか、膨大な数の言葉を見ることになるので、ボキャブラリーの源ではありますね。やっぱり、このメロディーとこのリズムにこういう内容の言葉を乗せたいなって思った時に、他のメンバーが3個ぐらいしか思いつかないところを、僕は10個以上思いついたりするんですよね。それは、すごくマンガを読んでるからかなって思いますけど。
the pillows’s PLAYLIST:最近気になっている9枚+1枚
 
the pillows プレイリストの詳しいレビューとCDや楽曲購入
the pillows リリース情報
PIED PIPER / the pillows
最新アルバム発売!!
『PIED PIPER』
エイベックストラックス
AVCD-23604/B1 / ¥3,300(tax in.)
6.25 ON SALE!
amazonで試聴・購入 HMVで試聴・購入
収録曲
01. PIED PIPER
02. New Animal
03. No Surrender
04. Last Holiday
05. Tokyo Zombie
(The knock came at dead of night)
06. Across the metropolis
07. Purple Apple
08. Tokyo Bambi
09. Ladybird girl
10. That's a wonderful world
(song for Hermit)
11. POISON ROCK’N’ROLL
山中さわおが主催するレーベル
“DELICIOUS LABEL”の
オムニバス企画第3弾!
ELECTRIC RAYS
『ELECTRIC RAYS』
DELICIOUS LABEL
NFCD-27901 / ¥2,500(tax in.)
NOW ON SALE!
amazonで試聴・購入 HMVで試聴・購入
the pillows ライブ情報
『the pillows PIED PIPER TOUR』
7/11(金) 水戸 LIGHT HOUS
7/13(日) 宇都宮 HEAVEN’S ROCK VJ-2
7/15(火) 東京 Shibuya O-EAST
7/18(金) 高崎 club FLEEZ
7/22(火) 浜松 FORCE
7/24(木) 大阪 Namba Hatch
7/29(火) 長崎 DRUM Be-7
7/31(木) 米子 BELIER
8/01(金) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
8/19(火) 東京 SHIBUYA-AX
8/29(金) 長野 CLUB JUNK BOX
8/31(日) 新潟 LOTS
9/06(土) 大阪 Zepp Osaka
9/08(月) 高知 X-pt.
9/10(水) 松山 SALON KITTY
9/12(金) 広島 CLUB QUATTRO
9/14(日) 福岡 DRUM LOGOS
9/16(火) 神戸 WYNTER LAND
9/21(日) 東京 Zepp Tokyo
9/26(金) 青森 Quarter
9/28(日) 仙台 Zepp Sendai
9/30(火) 札幌 PENNY LANE 24
10/1(水) 札幌 PENNY LANE 24
10/5(日) 東京 Zepp Tokyo
『HIGHER GROUND 2008』
7/27(日)
福岡:海の中道海浜公園野外劇場
『SUMMER SONIC 08』
8/9(土)
東京:千葉マリンスタジアム&幕張メッセ
『ap bank fes'08』
7/20(日) つま恋
『RISING SUN ROCK FESTIVAL
2008 in EZO』
8/15(金)、16(土)北海道
石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
※16日は山中さわおソロ出演
the pillows プロフィール
the pillows
the pillows
(写真左から)
真鍋吉明 :G
山中さわお :Vo&G
佐藤シンイチロウ :Dr
1989年9月16日結成。
孤独でありながら強い希望に裏打ちされた心にダイレクトに響くリリックと、とにかく聴いていて楽しい唯一無比のポップセンスで、結成19年目を迎えるが年々スケールアップを見せ、日本のロックシーンではまさに “奇跡”と呼ぶに相応しいバンドである。アーティストシンパの多さが彼らの音楽性の醍醐味、魅力を物語っている。またGAINAX制作アニメ「フリクリ」の全面曲提供以来、アメリカ他海外でも人気が高まり、2回のアメリカツアーを大成功させている。特に2回目のツアーでは、5箇所全てをアメリカでは異例のワンマンで全箇所ソールドアウトという偉業を成し遂げている。ヨーロッパ、アジアなどイベントオファーは後を絶たずますますの飛躍が期待される。結成19年目を迎え、唯一無比のポップセンスを身に着けた “ポップモンスター、ザ・ピロウズ”がロックシーンに旋風を巻き起こす。
オフィシャルサイト:
http://www.pillows.jp/