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Feel the Music vol.65

MADE IN LOVE - TRICERATOPS

TRICERATOPS

■インタビュー/文:久保田泰平 ■コーディング:Astrograph 掲載日:2008.10.7

 TRICERATOPS――和田唱、林幸治、吉田佳史による鉄壁のスリー・ピースがおよそ2年ぶりにニュー・アルバムを届けてくれた。キャッチーでダンサブルでアグレッシヴなロック・ビート、そのあいかわらずなタフネスぶりは、先行したシングル「FUTURE FOLDER」「LOONY'S ANTHEM」でも十分に窺い知ることができたが、それはほんの予告編。ニュー・アルバム『MADE IN LOVE』には、彼らの中で煌々と輝き続けるロックへの“憧れ”“愛”“ときめき”が存分に封じ込められている!

 無類のマイケル・ジャクソン好きで知られる和田唱と、目下制作中とウワサされるマイケルのニュー・アルバムについての話でしこたま盛り上がり……「いちばん新しい『Invincible』が2001年ですよ。もう7年も出してないんですよね」(和田)……本題へ

--マイケルほどじゃないけど、TRICERATOPSにしてはアルバム・リリースの間隔が空いたよね。

和田「そうですねえ。大物感をアピールしようと思って2年空けました(笑)」

--制作にとりかかったのはいつ頃?

和田「アイディアそのものは、つねにレコーダーとかに録ってたんですよ。だから、結構前からあったアイディアを膨らましていったっていう曲もありますけど、でも、ほとんどの曲、“新たに”作りましたね。そのほうがいいなと思ったんですよ。気分を新たに、今から作るんだ!今からまったく新しいものを作るんだ!って。基本的に、オレらはストック的なものはないんですよね。あったとしても、やっぱ自分のなかで古くなっちゃうから、“そういえばこんなのあったなあ、これを使おう”とか、あんまりないですね。だいたい一度ボツっちゃったものはそのままボツ、ってものが多いですね。でもまあ、とにかく、ストックとかじゃなくて、今から新しいものを作るんだ!っていう意欲がめちゃめちゃあって、とくに今年の1月ぐらいはすごく燃えてましたね」

--たしかに、いままでのアルバムを振り返ってみると、おもいっきり偏ったテーマを打ち出したっていうものはないけど、それぞれにちゃんとカラーがあるよね。

和田「そうですね。作った曲を無駄なく使わないんで、エコじゃないんですよね(笑)」

--“続編”っていうものがない。

和田「そうですね。しいて言うならばファーストとセカンドかな。あれはわりと同じノリでいっちゃった感じはありますね。うん、そういえばそうだ。ファーストの時はまるで出し切った感がしてなくて……いまでもよく憶えているんですけど、ファーストを出してもまだ力を十分に発揮してない、力が有り余ってる、ここに全部注ぎ込んでませんよ!って感じだった。とりあえず10曲出したけど、10曲っていうのはまだ少ないなって思ってたし、オレたちまだこんなものじゃないぜ!もっとあるんだよ!っていう気持ちがすごく強かったから、セカンドを出すまでがすごく早かったですもんね。今考えるとすごい創作意欲だなって思うんですよね。で、あの時の感じがね、なんか今あるんですよ。次のアルバムが(ファースト~セカンド同様)8か月後に出るかって言ったらそれはわかんないですけど、なんか気分的に」

TRICERATOPS--では、今まさに“燃えている”と。

和田「そう。今回、めちゃめちゃがんばって、すっごく集中して作ったんですよね。なんとかこの時期にアルバムを出したかったから。だから、終わった時に、これは当分音楽から離れたくなるのかな?曲を作りたくなくなってどっか遊びにでも行きたくなるのかな?って思ったんですよ。で、いざ、最後のミックスが終わって、“よ~し終わった~”ってなった時に、たしかに“終わった~”って気分にはなったけど、気分的には“さあ遊ぼう”って気にはならなかったですね。なんかもう、次をやんなきゃって。気持ちの中では完成したけど完成していないような、ヘンな気分ですね。でもまあ、この気分はいいことだと思ってるんで、このまま次いっちゃおうかなっていう気もしてます。そんなこと言って、次のアルバムが5年後になっちゃうかも知れないですけど(笑)。まあわかんないですけど、言えるのは、今すごくクリエイティヴィティーが高まっているってことですね。だから、これを絶やさないでいたいなって思いますね」

--先行したシングル曲でもバンドの健在ぶりは窺い知ることができたんだけど、それがアルバムでより説得力のあるものになったよね。

和田「目的は達成できたなって思います。アルバムを作る以上、全部が良い曲じゃないといけないと思ってるので、間に合わせの曲というか、つなぎの曲みたいなのものを作るのがイヤなんですよ。やるからには全部クォリティーの高い曲。それでいてもうひとつの目標は、前作から“変化”してるってことですよね。この両方が叶えられていないと、出したくないんですよ。でも、今回はそれが叶えられたなと」

--“良い曲”“新鮮な曲”ということ以外、テーマみたいなものはあった?

和田「ひとつのアルバムに向かっていく時のイメージ……それはジャケットのイメージだったり、なんとなく“ここに向かっている”っていう、なんだかハッキリとはわかんないけど、そういうのはありましたね。ハッキリしているところだと、まずひとつは“踊れる”っていうこと。いつもよりビートを強調した踊れる曲、わかりやすく言えば、いつもよりブラックなテイストを強めたいなっていうのはあったかな。最近、いわゆる単純な8ビート、シンプルなロックンロール離れをしていて。もちろん好きですよ。そういうもの大好きで、やれば気持ちいいんですけど、作り手としてはそういうものから遠ざかってるなとは思ってます。もっとダンサブルだったりソウルフルなものに気持ちが寄っていってるんですよね。たぶん、このまま顔の色も黒くなっていくんような気がしてます、マイケルとは逆に(笑)」

--“踊れるロック”っていうテーマは、かねてから公言していることだけど、ライヴでのリアクションとかに変化は出てきてる?

和田「変わってきてますね。時間はかかりましたし、これからもどんどん広めていかないといけないなって思いますけど、ライヴでは、ミディアムの曲でも身体を揺らしてくれるようになったし、すごく理想的な形にはなりましたね。もともと“踊れるロック”っていうのは、海外のライヴ・シーンに対する憧れから始まってるんですよね。向こうのライヴって、バラードでもみんな踊ってたりするじゃないですか。それって日本ではあまり見ることがない光景だったから、そういうものをやりたいなってずっと思ってて」

--“踊れる”とは言っても、いわゆるクラブ・ミュージックに寄った手法――打ち込みのビートを人力で再現するようなものには、今回もなっていないよね。

和田「それはたぶん、オレらが根本的に持っているロック・バンドへの憧れであり、自信なんだと思うんですよね。だからもう、完全にそういう(クラブ・ミュージック的)方向に行く意味もわかんないし、オレらはどんな音楽もこのスタイルでプレイしたいっていうのがあって、まあ、それがあいかわらず続いているんですよね。だから、基本的にギターは入ってるし、そこはブレることがないんですよね。ただ、そういうなかで、ストレートなロックンロールっていうのには、ハッキリ言って飽きてますよね。そういうものを今は望んでないですね。なんか、ロック・バンドが演奏するのは小汚いライヴハウスが相応しいっていうイメージがずっと昔からありますけど、べつにロック・バンドでもクラブで演奏してもいいわけじゃないですか。そういうふうに常に考えてるんですよ。汗臭いライヴハウスで拳を振り上げている人たちばかりじゃなくて、みんな自由気ままにオシャレしてきて、それで自由気ままに踊ってるみたいな、そういうところでロック・バンドが演奏しててもいいんじゃないの?ってずっと思ってたけど、今あらためてそういう気持ちに強く寄っていってますね。オレらはロック・バンドかも知れないけど、楽しみ方は自由気ままでいいんだよっていう」