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世界の楽屋から vol.5

カーネーションの楽屋から - カーネーション

■インタビュー/文:加藤賢崇 ■コーディング:Astrograph 掲載日:2010.2.12

 

今回は前々回ご紹介した、イギリス、ドミノレコーズの奇才マックス・ツンドラのジャパンツアーを取材に渋谷O-WESTに参りましたが、その対バンでご出演なさるのがカーネーション!と聞いては、これはリーダーの直枝政広さんにお話聞くしかない! と、外人はほっといて、こちらの楽屋に潜入しました! ライブレポと合わせてお楽しみください!

カーネーション 直枝政広直枝:「やあ! ひさしぶり!」

賢崇:「いやあ、もう10年以上ごぶさたしちゃってすいません! あれ? 直枝さん髪の毛が少し短くなりましたね? 毛先もややパーマがかかってるみたいな。。」

直枝:「ああ、そうだね。前はもっと胸より下まで真直ぐ伸びてた時期もあったけど、今は肩くらいか」

賢崇:「それに直枝さんというと、帽子、ていうイメージで、ステージでもプライベートでも必ず帽子かぶってましたけど? 最近はあまりかぶってないですね。何か転換期が?」

直枝:「うーん。いや、特に何もないよ~(笑)」

賢崇:「もしかして、そのへん日常生活の変化を意識してるのが、厚みを増したサウンドや曲のタイトルからジャケのビジュアルまで、全体的にカーネーションがゴージャスなイメージになってる気がするんだよね。セレブっぽい!」

直枝:「何言ってんだよ! おれたち城南だぜ。思いきりやさぐれてるよ! 鮫州とか大井とか。危ないよ。邪気がうずまいてる街(笑)」

賢崇:「うひ~。ま、確かに初回盤の特典についてたレコーディングドキュメントのDVDを見たら、やっぱ庶民的な感じもしたので安心しましたが。。」

カーネーション 直枝政広直枝:「そうでしょ? だけど曲の作り方はむしろ内省的になってるかもね。言葉に対する意識とか。内面を見つめて閉じた方が聞いてる人に気持ち良くなってもらえるの。経験から(笑)。そういう作家性みたいのは出していかないと仕事として残っていかないかな、て思う。」

賢崇:「しかし、かつてはもっと素朴な味もあったのがカーネーションでしたよね」

直枝:「牧歌的な感じもあったよね」

賢崇:「それが年を重ねるごとにロックぽい激しさも出てきてますよね。こんなにシャウトしてたっけ?って」

直枝:「いや、昔は声出なかったから。やってるうちに太くなったの(笑)」

賢崇:「何言ってんですか! しかし90年代はジャジーなムードの曲もあったし、今のスタイルとうまくつながるんですか?」

直枝:「いや、それが自分の中では違和感なく、いつでも引き出しを空けられる感じ? 昔の曲もその日の気分で自然にできますよ。何やっても裸でしょ、結局!」

賢崇:「ドラムの矢部さんも抜けられたし、今は正式メンバー2人になったてことで、カーネーションがソロと変わらない感覚になったりしませんか? 直枝がすなわちカーネーションだ、みたいな」

カーネーション 直枝政広直枝:「それはないね~。メンバーが減って、5人だった頃よりスムーズになった部分もあるけど、大田(譲)くんがいなくなることは今は考えたくないし。ほら、長年バンドを続けてると名前に対する感謝とかあるじゃない? 時代ごとにそのメンバーで生み出してきた感覚とかも引き継いでるわけだし。カーネーションという名前を消すことはありえない」

賢崇:「なるほど~。そいで、ぼくは今のカーネーションの演奏を聴いてみて、ギターのリフとか、フランツ・フェルディナンドみたいな新しい世代のUKロックにも近い感触をおぼえたわけですが。。」

直枝:「いや、実はそのへんブリティッシュものは最近聴いてないの」

賢崇:「それも意外ですね! 勉強熱心な直枝さんが」

直枝:「やっぱ昔のUSのほうかな。常にボブ・ディラン聴いてるとかね」

賢崇:「はは、あの変なクリスマスアルバムも?」

直枝:「あの人は企画物をやると生きるよね! ま、ディランじゃなきゃ失格だけどな。あの声は。でも1位取っちゃうんだもんなあ。。やっぱ、ぼくのルーツはザ・バンドとかニール・ヤングとかそのへんですよ。ツェッペリンとかには行かないで」

賢崇:「そのへんが中学生くらいですか。当時はめずらしかったでしょうね~」

直枝:「みんなパープルとかコピーしてた時代に、ちょっと古いアメリカの聴いてたからね」

カーネーション 直枝政広賢崇:「それが80年代になるとニュー・ウェーヴですか?」

直枝:「そう。XTCとかコステロが出てきてからかな? でも、そういう連中もみんなヴィンテージロックの影響からきてるから。やっぱ音楽好きだってわかるヤツがやってる音楽は好きだね」

賢崇:「まあ、今の若いUKの連中もそのへん掘り起こして影響受けてるから共通した感覚があるのかな?」

直枝:「無理に新しい音を追いかけなくても、縁があれば、待ってればいつか耳に入ってくるものだよ。今はね、逆に昔のオープンリールのテープを集めたりとか」

賢崇:「やっぱし! オープンリールのデッキをまだ使ってるんだ? このデジタル時代に!」

直枝:「工夫して聴くのが好きなんだよ。ほんとにアナログでいい時代にいい音で録られたものを。オープンとかカセットとか、テープのことを考えるとワクワクするよ(笑)昔はちゃんとレコード会社からオープンリールで発売されたんだよね、アルバムが。こないだもジュディ・ガーランドのカーネギーホールのライブのテープ取り寄せたりして。うわ、相当いいマイク使ってるなあ、とか想像で勝手にロマンふくらませたりして」

賢崇:「そりゃ、いいなあ。カーネーションも限定でオープンリールでアルバム出すとか!」

直枝:「おれさ、8トラの空きカセットも持ってるんだ! 8本も。秋葉原で買ったの。限定で8トラでアルバム出すのもいいなあ、て思って。すげえ音悪いんだけどさ」

カーネーション 直枝政広賢崇:「全国の大型トラック野郎に呼びかけて、まだ8トラを車に積んでる人もいるかもしれないから! カーネションの8トラ渡して、高速運転しながら流してもらうとか。ロマンあるなあ。。」

直枝:「今でもライブの翌日とか、うちでカセット編集したりするんだよ。おれだけのベストテープ」

賢崇:「このipod時代に! 何やってんの!」

直枝:「そういう遊びのほうが今は新鮮だね。自分の中に蓄積されたものを大事に育んで」

賢崇:「そんなんじゃ、最新のJ-POPチャートとか興味ないんでしょね~」

直枝:「でも安室さんは聴いてますよ。ずっと。最近ちょっと残念なニュースもあったけど(笑)」

賢崇:「あ、そういう点でもファンなの? やっぱDIVA系好きですよね。」

直枝:「マドンナとかも好き。」

賢崇:「いいですね! やっぱ気が若いですよ! カーネーションもベテランだけど、音はさらに若返ってロックぽくなってるし、若いロックファン、バンド連中にも見せたいですね! もっと今日みたいなイベントとか、夏はフェスとかにも出ましょうよ!」

カーネーション直枝:「いいねえ! あんま誘われないけど。なんか長くやってると先入観とか持たれるのかな? 怖くないのに(笑)。ぼくらはこだわりないんで。どこでも出ていきますよ!」

賢崇:「そこは強調したいですね! いろんなチャレンジしましょうよ。今回のアルバムでもメインになってる曲は「ジェ~イソン!」とか「ヴェ~ルヴェ~ット!」とかキメのフレーズを思いきり叫ぶ曲が多いでしょ? サビから始まってサビのまま終わるような。あれ、アニメのヒーローものとか歌っても似合うんじゃないかなあ、とか思ったり。「ジェイソン」のシングルもロボットのジャケだし。」

直枝:「え~(笑)。そういうのも来れば受けるよ! 逃げないよ!おれは」

と力強い言葉で締めていただきました! 今年のカーネーションは弾けるはずだ! これからまた、ツアーで回っていく地方のみなさんも楽しみにお待ちを! 対談中は話に出なかったけど、かつてカーネーションとコラボした森高千里さんも最近歌手活動を再開されたことだし、またいつか、あの顔合わせも見たいなあ~。

【ライブレポート】2010年1月11日 渋谷O-WEST「マックス・ツンドラ/ジャパンツアー」

今回、全国7ケ所を回ったツアー。各地で大盛り上がりを見せましたが、金沢では大雪のため移動中の電車に10時間以上閉じ込められ公演中止というハプニングも。。それでもメゲずに大反響を巻き起こしてゴキゲンで帰っていったマックス・ツンドラ。次回の来日が待たれますね。この日ツア-中盤の1/11はマックス招聘の仕掛人でもある岸野雄一くんのバースディを記念して、毎年、彼のリーダーバンドであるWATTS TOWERSのライブが行われる日でもありました。

WATTS TOWERS

栗コーダーカルテットの栗原正己、近藤研二をはじめ、イトケン、宮崎貴士、岡村みどりといった確かな腕利きメンバーを従えて、岸野雄一がゆったりと語りはじめながらストーリーが展開し徐々に演奏がからんで、やがて一つの世界が出来上がっていくドラマチックなステージ。時事ネタでは今年はtwitterネタを連発して笑わせてましたが、本人はまだ未体験のよう。後半、動物たちとのからみでは、おなじみJON(犬)と、今回ヘルモソ(ウサギ)にはマユタン(アップルヘッド、exマサ子さん)が参加して、インディーズ界2大着ぐるみ女王の豪華競演となりました。

直枝:いや、もう最高です。おれ、ああいうシアトリカルなステージ好きなのよ。フィルモア71の(フランク・ザッパ&)マザーズみたいな匂いがするよね。実はおれも学生時代にああいうバンドもやってたんだけど。。

マックス・ツンドラ

マックス・ツンドラ

たったひとりのステージでものすごくせわしなく動き回るステージはあきれるほどの楽しさ! チープなシンセをいくつも並べてとっかえひっかえヘンな音を鳴らし、ギターを肩にかけたかと思えば1フレーズだけ弾いてすぐスタンドに戻す、曲もミニマルテクノかと思えばどんどん転調したりビートが変わったりして、めまぐるしく展開しながら唐突に終わったりして先が読めない深みもある!
マックス・ツンドラしかも歌がうまい! キレイな声のファルセット。これで顔がカッコ良ければ昔のハワード・ジョーンズやスクリッティポリッティか、今でいえばMICAみたいになれるんだけど。。ほんとにベン(本名)はズングリした小男でハゲてて老け顔で足も短いし、まるで山上たつひこのマンガから抜け出たようなキャラだった。見かけでも面白いばっかしで笑わせる! まあ音楽がカッコいいからカッコ悪くていいのだ! カワイイ彼女を同伴で来てたし。我々、日本男子にも勇気を与えてくれますね。出だしのMCで「コンバンワ、ワタシハスーザン・ボイルデス」と言って笑わせてましたが、案外そういう意味で当たってるのかも。。今回はコメント取れませんでしたが、次回はきちんとインタビューしたいなあ。。

カーネーション

シンプルなセットで堂々たるステージ。ギタリスト直枝さんが、ほんとに古いエフェクターをわずかにしか使わず、あれだけの音を出してるのは驚嘆です。歌声もますます伸びやかに届く届く。大田譲さんのルックスと白いワークパンツ姿にも年輪を重ねた風格が出てきた。サポートドラムの中原由貴さんも叩きながらコーラスもキチンとキメていて頼もしい感じ。サポートキーボードの渡辺シュンスケさんも元気よく跳ねていて、ずっとパーマネントなメンバーで活動してきたバンドのようにさえ見える一体化したグル-ヴ感。おとなしめなファンも多いと思うんだけど、曲はノレる、踊れる、って感じのナンバーも増えてきたのでラスト近くは会場も揺れてました! 直枝さんは「マックス・ツンドラのツアーなのに、ぼくらがトリでいいの?」ってMCでテレてましたが、このツアーは全会場でトリはDE DE MOUSE、相対性理論、レイハラカミとなどいったジャパンアーティストがトリを努め、マックスはトリ前に出演、という構成になっていたのでした。