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世界の楽屋から vol.9

テイ・トウワの楽屋から

■インタビュー/文:加藤賢崇 ■コーディング:Astrograph 掲載日:2010.7.2

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今回は初めて京都へ行ってまいりました! 四条河原町のWORLDというクラブへ、テイ・トウワのレギュラーパーティ「MOTIVATION」の楽屋、つうかVIPルームに潜入! 夜遊びぽ~いね! 常にライブやコンサートという形ではなく、クラブDJとしてフロアに向かい続けるテイ・トウワのミュージシャンシップの秘密を探ってみたよ!

テイ・トウワがレギュラーパーティ「MOTIVATION」を開いている京都WORLDは、石野卓球や大沢伸一もレギュラーで回している関西屈指の大バコ。ゴージャスだけどケバさはなく適度な落ち着きがあって、小バコのような濃密感もある。夜遊びするぞ!
という気合いの入った若い女の子があふれている!

テイ:「やあ、ごぶさた!」

賢崇:「ども! 今日も軽井沢から? けっこう住みはじめて長いよね。というか意外と東京に住んでた期間短いんじゃない? 若い頃はずっとニューヨークだし」

テイ:「でも生まれは川崎で品川のへんで育ってるから、東京育ちだよ」

賢崇:「学生の頃は武蔵美のへん?」

テイ:「あの頃は国分寺で、卒業して池尻の友達のとこにいたけど、すぐニューヨーク行って、7年くらいかな? 向こうでは歩ける範囲でレコードがいくらでも手に入る環境だったから、日本帰ってきてもレコード屋がたくさんある渋谷に近くないとマズイな、と思って、いちおう最初は世田谷に住んでスタジオは三軒茶屋に借りてたんだけど、3年くらいで飽きちゃって、軽井沢に」

賢崇:「飽きちゃったんだ?(笑)」

テイ:「家賃もたいへんでしょ。税理士さんに「家買わないんすか?」とか言われて、30代なかばだったから、同世代の友達も企業とか勤めてたら家とか買う年代かな、て考えて」

賢崇:「ま、普通の社会人ならね~。」

テイ:「でも自分で東京に土地買うっていうイメージはなかったね。三茶にいたときは毎日周りで工事の音とかうるさくておかしくなりそうで、コンビニ入ると流行りのJ-POPがガンガン流れてて、またおかしくなる。これ自分がやってる音楽の仕事とは異業種としか思えないな? とか考えたり。で東京やマンハッタンみたいなとこでしか暮らしてないから、バケーションていうと温泉とか海のあるとこばかり行ってたんで、そういうとこで気持ち良くなって音楽作りたいなあ、とか思って。ある日カミナリに打たれたようにバリ島行きたくなったり。で、バリ行ったら海より緑のほうがよくなって、海派から山派に変わったんですよ。伊豆や熱海も考えたけど、地震が怖いでしょ?」

賢崇:「太平洋側は特に多いもんね~」

テイ:「ニューヨークでは7年で一度もなかったからさ。その頃長野オリンピックあって、新幹線開通して軽井沢まで1時間になった、ていうから、いいなと思って。あと東京いると夏が昔より熱くなってるじゃない?」

賢崇:「それは全然違うよね」

テイ:「機材の熱もすごいんだよ。日当たりいい部屋だったし。もう夏はクーラーも効かなくなって。フルチンで打ち込みやってたくらい。軽井沢ならクーラーもいらないからさ。そういう消去法で。ていうか結果的にすごいよかったけどね。近所に歩いていける距離に温泉もあるし。草津も車ですぐ行けるし。いろいろ行った中で草津が泉質では日本一強力ですよ。九州の指宿とかもよかったけどね」

賢崇:「なに、温泉通なの?」

テイ:「いや、通ってほどじゃないけど、奥さんとあちこち行ってて。うちの夫婦の営みは温泉とテニスですね(笑)」

賢崇:「御夫婦で軽井沢に住んで、温泉とテニス、て、皇室の方みたいじゃないすか! 宮様だ!」

テイ:「ケンソーくん、今日ついにイイこと言いましたね(笑)」

賢崇:「この業界ではサワサキヨシヒロくんが温泉通で知られてますが」

テイ:「あんまり会ったことないけど温泉のブログは見た事ある!」

賢崇:「さすが。今度温泉対談でもしてほしいな。じゃ軽井沢住んでもう10年以上だよね。これは飽きる事ないんだ?」

テイ:「けっこう人から「まだ軽井沢いるの?」とか聞かれるけど、別に飽きないし。もう家建てちゃってるしさ。こないだ焚き火炭焼きの炉も作ったし。石野卓球から「お金持ちなの?」て一晩で5回くらい聞かれたけど(笑)。音楽やって建てましたよって! こういう話でいいの?」

賢崇:「うん、東京を離れても都会を踊らせる音楽は作れる!ていう話しを聴きたかったのよ」

テイ:「なんか地元のCD屋に、自分のCDが並んでて「軽井沢発!」とか書いてあった。パワープッシュ(笑)。誰か知り合いから人づてに伝わったんだろうけど。でも実際、軽井沢で作ってるしさ。もうブランニュ-軽井沢サウンドってことでもいいのかな?」

賢崇:「軽井沢で気分よく作ってるからか、テイくんの曲は21世紀になってから、昔なら使うとカッコ悪いと思われたような音をあえて入れてもカッコ良く聴かせる技が成立してるような面白みがあるね」

テイ:「ぼくら、それなりに年取って、いろんな音楽を聴きすぎて1周以上しちゃってるじゃない? 何がカッコ良くて何がダサいかも曖昧になってるから、どこか「引っかかれば」いいんだよね。何かが「引っかかる」て感覚が、ぼくらが若い頃ガッツリ音楽にハマった原点じゃないですか。そういう意味で昨今のエレクトロブームてのが、もう「終わった」んですけど」

賢崇:「はい。(苦笑)そうですね」

テイ:「引っかかるとこのない、粗悪な、と言っていいアイデアのない物も多かったよね。表面的にトレースしてるだけみたいな」

賢崇:「ここでもっとこの音に凝ってくれないと、どうしてこういう曲作る意味があるのか? ていう」

テイ:「卓球君とかは随分前に、ソロ・アルバムで、そういう要素を今のテクノのダンストラックに昇華してたけど、そういう軽いブームが来たときに、引いちゃったよね。もう次へ行かないと」

賢崇:「年取ると誰でもこういうこと言うのかもしれないけど、テイくんや卓球がずっと第一線でいられるというのも、若いもんに根性がないからや!」

テイ:「ま、若い人がダメとは言わないけど、いろんな音楽わかってくると、昔聞いてスゴイなて思った曲も「この元ネタはこれだったのか」とか知っちゃうじゃない? 音楽を知れば知るほど、リスナーとしては成熟しても、作り手としては先に進みにくい時代。そんなときモチベーションあげるのが温泉(笑)」

TOWA TEI - テイ・トウワ

賢崇:「そんな中でも今は作ってるほうもあまり葛藤してない感じ?」

テイ:「そう。プリセット音源ではい、これ、みたいにコンビニエンスに作られてる音楽は多いかもね。まあ、ぼくらプロだから時間より結果がすべてなんだけど。ザッと大枠は作っても、後から「ここは尖らせよう、ここは丸くしよう」とか、けっこうかけてますよ」

賢崇:「音にこだわって何日スタジオこもっても平気、みたいな感性は今は秋葉系のオタクのほうに行ってるのかなあ。ああいう文化がクラブとリンクすれば」

テイ:「ぼくも若い頃クラブにはオクテだったんだけど、ニューヨーク行った頃、フランキー・ナックルズが出てきたり、ヒップホップ、ニュースクールの第一世代の人たちが出て、パブリックエネミーとか凶暴な人たちもいて、ダンスミュージックが一番マッシブだった時期で。もう「あれになりたい」と思ってDJになったんだよね。時期的にまだレイヴではなくて、大人の遊び場? アルマーニをビシっとキメたおっさんが田舎から出てきた若い女の子をダマして口説いてる(笑)DJもターゲットの女の子を見つけて「あの娘を踊らせ続けたい、それをずっと見ていたい」ていうビジュアルから入っていた。そこにハマちゃったんだよね。自分のかける曲の流れでカッコいい絵をコントロールしたい」

賢崇:「フロアの風景をデザインする感覚。それですね!」

テイ:「夜11時から朝まで一人で回してたね。5時になっても客は帰んないし。DJやりながらディーライトの曲作り始めて、まあディーライトは野外のロックイベントとかゲイのイベントも出たけど(笑)やっぱフロアで盛り上がる曲。今は誰でも自宅でマックで作ってCDに焼けば同じだけど、当時はまだレコードデビューまで一線があったじゃない? だから早くメジャーでヴァイナルになって、フロアにかければ絶対その一晩の中で一番のピークを作れるのに、と思いながら作ってた。あそこまで売れるとは思わなかったけど、ダンスチャートで1位をとる自信は最初からあったね」

賢崇:「その目に見えるフロアの絵、だけでなく、一晩の流れのバイオリズムというか、上げ下げがまた一つの絵みたいにイメージされるよね」

テイ:「そうそう。コーラのビンが女体の曲線をイメージさせるみたいな。ずっとピークでもつまらないわけで、ウエストのくびれが必要なんだよ。ぼくらの用語で「落とす」って言うんだけど」

賢崇:「昔でいうとチークタイム(笑)」

テイ:「さすがにそれは古いけど、最近は情緒とかエモーショナルとか言ってますが、それがないとさ、今はハイエナジーとか?流行ってるアゲアゲの曲だけかけてる、意外性もないDJとか多いじゃない」

賢崇:「最初からずっとアゲっぱなしで終わる人はちょっとね~」

テイ:「で、最近始めたHOTEL Hていうイベントでは「ノー・ピーク モア・ミュージック」てコピーで(笑)ピークを作らない、というか単に盛り上がればいい、てわけじゃない、いろんな曲をかけようと。次回は砂原(良徳)くんと小山田(圭吾=コーネリアス)くんと3人でやりますよ。小山田くんにも「DJじゃなくてセレクターだから」と説得して(笑)」

賢崇:「そういえば、このサイトで前に砂原くんにインタビューしたとき「テイくんとアーティストとして似た部分があるかもね」て話をしたら「いや、テイさんはセレブで、ぼくは庶民派ですから」って(笑)」

テイ:「あの野郎(笑)まあいいや。でも最近メールには砂原リーダーって書いてますよ(笑)」

賢崇:「それで、ようやく本題ですが、今度リリースになるコンピCDが、このMOTIVATIONというパーティと」

テイ:「今度のHOTEL Hのタイトルと合体させて。キカイダーみたいに(笑)「MOTIVATION H」というタイトルで。そしたらコンピも通算8枚目のアルバムがHてことでキリがよかったんだよね。たいした話じゃない?」

賢崇:「いやいや(笑)やはりイベントの内容を反映させた内容になる?」

テイ:「まあ、おすそわけというか。そもそもクラブイベントもおすそわけって思ってるんだけど、やっぱりDJやってると、こないだかけたあの曲なんですか? とかしょっちゅう聞かれるんで。よくかける曲をまとめて入れちゃおうかと。ジャアタリって知ってる?」

賢崇:「え? 知らない」

テイ:「ジャー、にアタリ。8ビットレゲエてのがあるんだけど。コンピにも収録する」

賢崇:「その名の通り。面白そうだ! そんなの自分で見つけてくんの?」

テイ:「人のおすすめもあるけど。渋谷とかレコード屋なくなってるからニューヨークやロンドンから軽井沢に送ってもらったり。そのほうが早いしね。必要なものは寄ってくる。目をつぶってても自分がかけそうなレコードは集まってくるよ(笑)」

賢崇:「さすが世界を相手にしてるね。相変わらず海外からDJのオファーもある?」

テイ:「たまに行くよ。でも外国も今、経済たいへんじゃない? う~んこのギャラじゃ行けない、てボツになることはあるね」

賢崇:「テレビに今田耕司が出てて「昔の今田のさんの映像見てみましょう」とか言って「ナウ ロマンティック」がかかってたんですよ。(テイ・トウワがプロデュース、KOJI 1200というアーティスト名で1995年にリリースされたロボティックなエレクトロポップ。名曲)「何これ~」とか周りにイジられながらも、今田耕司は「あんたたち、曲は世界のテイ・トウワですよ!」て言ってました。あの人、昔最初にリリースされたときも「曲は世界のテイ・トウワですから!」って言ってたよね。すげえ義理堅い」

テイ:「あの曲は15年早かったよね~(笑)。エレクトロクラッシュブームの先取り」

賢崇:「しかも今ツイッターなう、の時代なのにね」

テイ:「それ気がつかなかった(笑)。今日かけようかな?」

賢崇:「いいね!」

テイ:「って、いろいろ言っておいて、今日は流行ってるエレクトロずーっとかけたりして」

賢崇:「うす~いアゲアゲのばっかし?」

テイ:「可能性ありますよ(笑)」

「そしてインタビューのあとブースに立ったテイ・トウワは、1曲目からいきなり! 「ナウ ロマンティック」をプレイしてくれました! これでフロアはアガるアガる、一気にヒートアップした! テイくんにとって、あの曲が照れくさかった企画物などではなく、確信を持ってリリースしたアンセムだったことをファンも再確認できたのでは? ダンスクラシックとして定着しそうな予感さえする。その後もアゲたかと思えば、ゆったりとしたスタンダードジャズでブレイクさせながらのつなぎ、など貫禄のテクを見せてくれました。常にVJとして帯同しているエンライトメント(ヒロ杉山)のビジュアルも冴えてる! 他には、テイくんが先日リミックスを担当したスーパーカーのフルカワミキ、そしてアルバム「DJ FUMIYA IN THE MIX」をリリースしたばかりのリップスライムのDJ FUMIYAも出演していた。FUMIYAはテイくんへのリスペクトをこめてディーライトのおなじみ「グルーヴ・イズ・イン・ザ・ハート」のフレーズをMIXしてましたよ。
さて気になるプレイリストと、7月7日にリリースとなるコンピレーション「MOTIVATION H compiled by DJ TOWA TEI」の中味のほうは?」
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TOWA TEI's PLAYLIST『テイトウワが緑と温泉の中で~2010年上半期良く聞いたCD~』&『MOTIVATION H』compiled by DJ TOWA TEI スペシャルレビュー