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特集 ロックを口ずさむコヨーテ、海へ - 佐野元春
■インタビュー/文:桑原シロー ■デザイン:SQIP Inc. 掲載日:2007.6.13
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 長きにわたり、日本のミュージック・シーンをリードしてきた佐野元春。そんな彼が今、『COYOTE』というニューアルバムと共に新たなる旅への出発準備をしている。そんな風に表現したくなるほど、この作品は新鮮な空気に満ち溢れている。今回、バックをつとめたのは、佐野をリスペクトしてやまない世代が異なるミュージシャンたち。さて、彼らが今回の佐野に与えたものとは何だったのか?
--『COYOTE』を聴いた率直な印象としては、佐野さん、非常に若いなぁ、と。
 うん、多くの方からそう言われる。
--どの曲のメロディラインからも若さを感じるんです。特に前作『THE SUN』の曲と比べてみると、そこがはっきりわかる。
 これはねぇ、自分でははっきりいってよくわかんないですよね。まぁ『THE SUN』との比較で語るなら、一番の違いは<バンド>ですよね。この10年、共に活動してきたザ・ホーボー・キング・バンド。もちろんこのバンドは僕にとってのホームであり、またそれぞれのミュージシャンと同志であり、これからも彼らと関係は続いていきますが、今回のセッションでは彼らにはちょっと一休みして頂き、僕の音楽を多感な頃に聴いていたミュージシャンとのコラボレーションを行いました。ドラムスが小松シゲルくん (NonaReeves)、ベースが高桑圭くん (Great3)、そしてギターが深沼元昭くん (MellowHead)。この10年、レコードやライブで、彼らのミュージシャンとしての力量を僕なりに見てきて、4人が集まって音を重ねれば必ずいい結果になる、という見込みがあってのレコーディングでしたけど、結果は期待以上のものが生まれました。
--このアルバムには、久々に佐野元春の<彷徨う視線>といったものが感じられました。そしてそこには<荒地>というキーワードが出てきて…。
 そうですね。プレス・リリースにも書いてあるけど、今回のアルバム制作にあたっては、映画を創るようなアプローチをとったんです。まず最初に、我々が生きているこの現代を荒地として捉え、その荒地の上にコヨーテと呼ばれる男を走らせる。そして彼が色んな出来事を起こしていく様を曲にしていく、という作り方をしたんです。まぁ、現代を荒地として捉えて、何かを創作を捻り出そうという方法はT.S.エリオットを始めとし、50年代のビート作家たちも行ったことだし、そして日本においては<荒地派>と呼ばれる詩人たちもいました。僕はそれにならったわけではないですけど、いま自分の目に映る明らかに荒涼とした景色をソングライターとしてどうにか凌駕したいという気持ちが強くあった。上手くいく、いかないかは別としてね。そうしたクソったれな現実をクリエイティビティでもって、どうにか凌駕してやれないものだろうかっていう欲みたいなものが沸いてきて…そこから<コヨーテ>という人物像が立ち上がってきたわけです。
--今回レコーディングの参加者は、佐野さんよりもひとまわり以上年下ですね。そんな彼らに触発されて、こういった視点が生まれたのかなぁ、とも思ったんですが。
佐野元春 その通りだと思う。僕は聴き手のみんなに喜んでもらう曲を作っているのだけれど、その前にまず身近にいるバンドの連中に喜んでもらう曲を書きたいわけです。まず彼らが「この曲いいねぇ」ってならないと、いい演奏が出てこないですから。ザ・ホーボー・キング・バンドだと、僕と近しい世代ですから、自立した大人の喜怒哀楽を曲にしたようなものを喜んでくれます。俺たちの世代はそうなんだよなぁ、なんて言ってたりする。そんな雰囲気から、いいフレーズが生まれてくる。それが『THE SUN』の成り立ちだったと思う。で、今回は彼らよりもヤンガーなミュージシャンたち、僕の音楽を多感な頃に聴いていたミュージシャンとの組みあわせであるわけですからね。いってみれば可愛い弟みたいな存在です。その弟たちが今、このクソったれな現実の中で、何に悪戦苦闘しているのかということに思いを馳せながら、また何に愛おしさを感じているのかってことに思いを馳せながら、彼らが喜んでくれる曲を捻り出そうと考えた。そこで彼らに本気の演奏をしてもらおう、っていうのが僕のアプローチだった。で、結果、『THE SUN』よりも『COYOTE』のソングライティングの視点はずっとヤンガーな視点になった。これは意図してそうやろうと思っても出来ることではないですね。今までに何回か試したことがありました。<自立した大人のポップソングなんか書いたって、どうせこの日本じゃ売れやしないんだし、もうちょっと若い連中達に媚びる曲をお前だったら書けるだろう?やってみろよ>って自分の中のもう一人の僕がせっつく。で、やってみるんだけど、そういうくぐもりのある創作をすると、自分で見え透いちゃったりしてね、<別にいいや>なんて言って、どけちゃう。ただ、今回はすごく素直に(若い視点の曲作りが)出来たよ。だって、彼らに喜んでもらう曲を書く目的があったし。だから、やましい気持ちになったりもしない(笑)。
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佐野元春 リリース情報
COYOTE / 佐野元春
COYOTE
佐野元春

二十一世紀の荒地を往く者たちに。
珠玉のロックチューン満載の話題作。
メロディーメーカー、ビート詩人としての魅力をいかんなく発揮した佐野元春 最高傑作!感動曲「コヨーテ、海へ」を含む全12曲。

POCE-9381 ¥3,500 (tax in.)
DaisyMusic
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【初回限定盤DVD付】
封入特典
・紙ジャケット仕様
・初回限定盤DVD
 ?Coyote Video Show
 「君が気高い孤独なら」ミュージック・クリップ
 「COYOTE」レコーディングドキュメント
・24Pブックレット(通常盤共通)
※初回盤が無くなり次第、通常盤に切り替わります。

このアルバムは、コヨーテと呼ばれる、あるひとりの男の視点で切り取った12篇からなるロードムービーであり、その映画の「架空のサウンドトラック盤」という想定で作ってみた。??佐野元春

<収録曲>
part 1
01. 星の下 路の上
02. 荒地の何処かで
03. 君が気高い孤独なら
04. 折れた翼
05. 呼吸
06. ラジオ・デイズ
part 2
07. Us
08. 夜空の果てまで
09. 壊れた振り子
10. 世界は誰の為に
11. コヨーテ、海へ
12. 黄金色の天使
佐野元春 インターネット情報
オフィシャルサイト
Moto's Web Server
http://www.moto.co.jp/

『COYOTE』特集サイト
http://www.moto.co.jp/coyote/