MUSICSHELFトップ > 特集・連載 > アン・ルイス インタビュー
「グッド・バイ・マイ・ラブ」「ラ・セゾン」「六本木心中」「WOMAN」――70~80年代において数多くのヒットを世に送り出していったロックンロール・ウーマン、アン・ルイス。90年代中頃から一時活動を休止していたが、2004年から活動を再開。ライヴ活動は控えているものの、復帰後はセルフ・カヴァー・アルバム2作をリリースしている。そしてこのたび、バラード・カヴァー集として80年に始まった〈CHEEK〉シリーズの第4弾(23年ぶり!)として、クリスマス・ソングを取り上げた『Pink Christmas~Pukkalicious CHEEK IV~』をリリース。同じくミュージシャンとして活動し、今作でデュエット共演を果たしている愛息、美勇士クンとともにインタビューに応えてくれた。
--ひさしぶりの〈CHEEK〉シリーズですけど、そもそもクリスマス・ソングを取り上げたきっかけは?
アン「きっかけは単純なんですよ。スタッフから〈CHEEK〉をまたやらないかって言われて、それだったらクリスマスをやりたいっていう。クリスマス・アルバムっていうのは昔からやりたかったんですけど、なかなかやるタイミングがなくて、だったらこの機会にって感じで。」
--カヴァーされてるのは、いわゆるスタンダードなクリスマス・ソングばかりですよね。
アン「歳取ったからね(笑)。若い頃だったら選ばなかったような曲も、この歳になれば良さもわかるしね。20年前に作っていたら、もうちょっとギターがロックしてたかもしれない(笑)。」
--ジョン・レノン「Happy Xmas(War Is Over)」のカヴァーでは美勇士クンとデュエット。
アン「まあ、私と美勇士の声質が似てるから、いちばん合うっていう意味で、すぐに声をかけたんですよ。」 美勇士「お手軽ですからね、僕は(笑)。呼ばれれば「今から行きまーす」みたいな(笑)。」
--アルバムを作っていたのはいつ頃だったんですか?
アン「8月のめっちゃ暑い頃(笑)。気分は出ないですけどね、そこはプロですから。でもね、ひとつだけクリスマスにバッチリ!みたいなシーンがあったんですよ。今回プロデュースをしてくれたフランクっていうのが私の幼なじみでもあるんですけど、彼のスタジオがシエラ・マドレっていう町の山の中にあって、そこでレコーディングしてる時、途中で一服しようかって庭に出てタバコを吸ってたら、鹿が歩いてたの! もう、クリスマス・アルバム作ってる時にバッチリじゃん!みたいな……まあ、クリスマスはトナカイなんだけど、角が付いていれば雰囲気的にはOKでしょ(笑)。」
--さぞ、レコーディングは楽しい雰囲気で。
アン「でもまあ、正直、楽しむっていうことは誰もなかったと思うんですよ。いいモノを作ろうと思って、歌い手は音程のことしか考えてないし、ミュージシャンはよく弾こうとか、そういうことばかり考えてやっているから。でも、幼なじみのフランクだっていう部分では、ときどきムダ話もしながらね。まあ、ぜんぜん力は入ってないですよ。逆にそれがいいのかも知れないけど。」
--クリスマス・アルバムなんで、妙に力むのも……ですよね。
アン「そう。こういうものって“聴く”ものじゃないと思うの。なんか、クリスマス・シーズンにショッピングモールとかどっかで勝手に流れてくるようなものだから。だから、何を基準に良いって言えばいいんだろう?って思っちゃいますけどね。英語で歌われてるクリスマス・アルバムだったら、洋楽の誰かを買えばいいのかなって思っちゃう部分もあるし、アン・ルイスがやる良さっていうのは何なんだろう?って。これを買ってくれる人は何を求めて買うのかな?っていうのは知りたいな。」
--そういえばジャケットもぜんぜんクリスマスっぽくないし(笑)。 アン「まったくクリスマスに関係ないでしょ(笑)。お店でいろんなクリスマス・アルバムといっしょに並べられてたら、すごく浮くよね(笑)。」
--ジャケットだけ見たら、ロック・アレンジのクリスマス・アルバムかと思いきや、アレンジはかなりオーソドックスに。
アン「そうね。そういう裏切りは大好きなの(笑)。でも思うんですけど、スタンダードなクリスマス・アルバムって、毎年聴けるじゃないですか。クリスマスが終わったら絶対聴かないけど、次の年のクリスマスが来たら、また聴くじゃないですか。もちろんその次の年もね。そうやって聴けるためにも、アレンジをヘンに今風にしないでオーソドックスにしたつもりなんですけどね。たとえば、ビング・クロスビーやフランク・シナトラのアルバムを普通の人が買うことってそうないと思うんだけど、クリスマスになると彼らのクリスマス・アルバムを買ったりするでしょ? そんな感じで、普段はアン・ルイスのCDとか買うことがなかった人たちが手にとってくれるとうれしいかも。」
--ところで、クリスマスって素敵な想い出あります?
美勇士「実は、いまだクリスマスに恋人といっしょに過ごしたことがないんですよ(苦笑)。本当にたまたまなんですけど、クリスマスの時にはいない(笑)。だから、ここ最近は彼女のいない男同士で「呑みにいくぞ!」みたいな感じで。ロマンチックなクリスマスは過ごしたことがないんですよねえ。」--本来、アメリカのクリスマスは、日本みたいにカップルのためのイヴェントじゃないですよね。
アン「うん、カップルのものじゃないね、家族のものだね。日本は間違ってるもの多いじゃない? バレンタインときたらホワイトデーって、なにそれ?って(笑)。」
--そんなアンさんのクリスマスの想い出は?
アン「美勇士との想い出と言えば、私もちっちゃい時にしてもらってたことなんですけど、クリスマス・プレゼントは25日の朝まで渡さないんですよ。サンタさんが来るのは24日の夜ですから。それで、25日の朝になったらプレゼントを渡して、空になったコーヒーカップと、ひとかじりしたクッキーをテーブルに置いておくの。で、「ほら、サンタ来てたよ」って。それをしばらくやってましたよ。」
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