| ■インタビュー・文:篠原美江 ■撮影:本多元 ■ヘア&メイク:Ryuuji SuMiDA ■制作:Astrograph |
ロッカトレンチ・インタビュー・リレーのラストを飾るのは、ドラマーでありソングライターでもあるオータケハヤト。ドラムのみならず、ベース、ピアノ、ヴォーカルまでをもこなすマルチ・プレイヤーならではのこだわりとそのプロデューサー的視線が、現在のロッカ・スタイルの確立に大きな役割を果たしてしていることは、1stフルアルバム『ACTION!』で間もなく明らかになるだろう。器用で不器用、繊細な自由人、オータケのこれまでの音楽人生とアイデンティティーに迫る。
--戦隊ヒーローの“赤”みたいな、勇敢なお名前ですよね。
(笑)。表記をコロコロ変えるのが好きで、バンドによって変えてきたんですよ。ロッカトレンチに入ってからは「オータケハヤト」にしています。僕、占いが好きなので、インターネットで姓名判断して決めたり。実にくだらない感じで(笑)。
--意外と心配性だったり?
ものすごい心配性(笑)。何らかのポイントが見えれば何に対しても「なんとかなる」って思えるんですけど、まったく何もないと割と真面目に「どうする?どうしよう?」って考えるほうですね。そういうときは誰かに「なんとかなるよ」と言われても全然無理。気になって仕方がない。そこが心配性なところですよね。
--だからポジティヴなように見せてしまうとか?
あー、(心配性とは)全然別かも知れないですね。ポジティヴな性格は子供の頃からなんですよ。何にも考えず素でこの状態。それは変わらないですね。でも、ワーッと騒ぐ明るいタイプではなくて単純にマイ・ペースなんですよね。ちょっと醒めたところもあるし。でも自分の考えは明確に伝えたいっていう思いも一方ではあるし、みんなが食いつかないところに俺だけ食いついていったりすることもある(笑)。
--では、盛り上がりつつある今のバンドの状況はどう捉えていますか。
いや、テンションは相当アガってますよね。僕、昔からブレない人間で、決めたことを何かひとつずつクリアしていくことにすごく達成感を覚えるんですね。だから表立ってその感情を出すことはないですけど、自分の中ではかなり盛り上がってますよ。
--ロッカトレンチ加入以前からミュージシャン街道まっしぐらなオータケさんですが、愛媛から上京したのはミュージシャンになるために?
そうですね。それは中1の頃から決めてました。楽器を手にしてから、かれこれ16~17年くらいですかね。最初はピアノから始めて小5でやめて、少し音楽から離れてまた家にあったギターを触りだしてそこから面白くなって、ギター、ベース、ドラム、ピアノ・・・ずっとその繰り返しを現在までやってるっていう(笑)。
--「この楽器は自分に合わない」とか、「つまらない」とか思ったことはないんですか。
その時々のキャラがあるんですよ。中2のときは完全に「俺はギター・ヒーローだ」って思ってたし(笑)、ベースを始めたら始めたで「バンドのグルーヴを支えるのはベースだろう」と思って、ある程度、指弾きもピック弾きもマスターして大学生のバンドに混じってやったりもして。でも「なんか頭カタイんだよなあ」とか、変なところに反逆しつつ(笑)、レッド・ホット・チリ・ペッパーズを聴いてドラムをやってみようと。それで割とハマったというか、向いていたというか、いちばん成長率が早かったんですよ(笑)。僕はオモチャで遊ぶような感覚で楽器に接してきたし、武道をやるような考え方ではまったくなかったからどれも独学で、しかもすごく楽しんでやれたし、やってこれたんだと思うんですけどね。
--リスナーとしての音楽遍歴はどのような?
中学のときはジミヘン、ディープ・パープル辺りのハード・ロック、シンディ・ローパーやビートルズも好きで。あと日本のフォークが大好きです。岡林信康さん、吉田拓郎さん、長渕剛さんとか。ジャンル関係なく、とにかくメロディがいいですからね。
--オータケさんが音楽を選ぶ基準の中で、メロディはかなり重要なものですか。
相当、重要ですね。僕は「口ずさめるもの」じゃないと聴かないですから。ビートルズももちろんそうだし、高校のときに好きだったグランジ、ニルヴァーナにしろ、スマッシング・パンプキンズにしろ、ああ見えてただワーッと演ってるだけじゃない、ものすごいポップさがあるじゃないですか。だからそういう音楽しか聴いてない。マニアックなものがカッコイイなんて思ったことないですね。
--なるほど。「My SunShine」がオータケさんの曲だってことに合点がいきました。
曲を書くときに大切にしてるのはまずメロディ、そしてドラムのリズムですね。バンドでいうところのヴォーカルとドラムの関係を僕はいちばん大事に考えてるんですけど、「My SunShine」はいろんなバランスの上で成立させてる曲なんですよ。ただの歌モノにならないように、ちょっとルーツを入れてみたり、「こっち側を上げたらこっち側も上げる」という感じで少しずつ上げてって、ラインからはみ出したところを削る、みたいな。ひとつを求めて少しずつ上がっていくのじゃダメなんです。とりあえず全部はみ出しておいて、削っていって、ギリギリのいちばんワクワクするところで止める。だから予定調和じゃないし、ドキドキする。僕が好きな音楽はみんなそうですね。
--その豊富なアイデアをバラバラな個性のメンバーに伝えて、最終的にはあのポップな曲としてひとつにまとめたわけですね。
そうですね。個性を生かしつつ、ぶつかりつつ、研究してもらいつつ。昔からそんな感じですけどね。それが楽しい。
--オータケさんはドラマーでありソングライターでありアレンジャーであり、プロデューサー的な役割でもあると。
それはありますね。それで自分が見失ってはみ出た部分を直してくれるのが畠山。A型だからそういうところが気になるみたいで(笑)、そこをチョンと切ってくれる。で、僕はちょっと考えて「あ、そうだ。そうしよう」って思う。そういう意味では今、ロッカトレンチはすごくいいバランスで成り立ってますね。客観的に見てもすごくオリジナリティのあるバンドになってきていると思います。最初はどうなることかと思ったけど・・・。
--このバンドに加入した決め手ってなんだったんですか。
僕とヴォーカルの山森くんの気持ちが一緒だったんです。そのとき周りにバンド一本でやっていきたいっていうヤツがいなくて、みんなバンドよりもバイトのほうに比重を置いてたりして。でも僕は1日100円でもいいから自分の思うように音楽をやりたいって思ってた。その思いが山森くんと一緒だったんですよね。それでロッカトレンチに入ろうと。もうジャンル関係なく。
--それまでもオータケさんはプロ・ミュージシャンとしてある程度成功してたわけですよね。
そうですね、サポート・ミュージシャンとしては。それプラス自分のバンドもやってたんですけど、どっちつかずで、どちらかというと裏方に回る方向に行きかけてたんです。でもフラストレーションがものすごく溜まってきて。僕は「ドラマーである」ということだけで満足できる人間じゃないなあと思った。もちろんサポートながらバンドもできる。でもそのアーティストさんのメロディには参加できない。それでもうフラストレーションが・・・それで「違う」と思って全部やめて。
--ロッカトレンチに加入したばかりの頃はどうなるかと思ったと先ほど仰ってましたけど。
初めてリハーサルに入ったときに「音楽的にすごく真面目なバンドだなあ」と思ったんです。真面目すぎてドキドキしないんですよ。それで一度、全部壊してやろうと思った。それを山森くんが気に入ってくれたんですよね。僕がドラム1本に絞ったのは「ロッカトレンチにドラムで入ったから」っていうタイミングでしかないんですけど、「俺のスタイルは昔からこうだから」っていうのを理解してくれたんだと思います。僕の芸風は昔からマルチだったし、山森くんがもっと頭の硬いヤツで「ドラムだけやってりゃいい」っていう人間、ドラマードラマーした人間を求めていたなら、僕に声はかからなかったと思うんですね。
--今、ロッカトレンチは音楽的にもいい意味でターニング・ポイントを迎えている気がするんですけど、オータケさん自身はどうお考えですか。
今、すごくいい状態だと思いますよ。バンドが変化してきたというより、融合ができてきたなと思う。メンバー内はもちろん、曲を書く俺と山森くんがね。俺のルーツと彼のルーツって、繋がっているところが“ロック”っていう3文字しかないんですけど、それがこの2年くらいでどんどん重なり合ってきて、今はもうその重なり合った部分が溶けてきている。そんな感じなんですよ。異なった部分が綺麗に融合して、自分たちが気づかないオリジナリティを生んでいるなと客観的に見てもそう思います。
--そのこだわりの程をリスナーに理解してほしいと思います?
そこはあまりないですね。そこを全面的に押し出したところで、出来たものは出来たものでしかないわけだから。「何だかわからないけどいいなと思った」って言われるのがいちばん嬉しい。それでその“?感”を探してくれてもいいし、「この曲を聴いてあの頃を思い出しました」って思ってくれるだけでもいい。それでいいんだと思います。
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オータケハヤト [Drums]
1978.11.17生まれ B型 愛媛県出身
ギターボーカルからバンドをはじめるが、あらゆる楽器を使いこなす。
上京後は、ソロアーティストのサポートに多数参加。またいろいろな楽器をこなし、マルチプレイ、ミュージシャン、コンポーザー等としても活動。
B級オルタナロックのにおいがする彼の脱力したキャラは、バンドには欠かせない要素の一つ。
独自の世界観をもったその感覚とキャラは天下一品。
趣味は、ラジコン、ミニ四駆、バスフィッシング。

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