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特集 back number 嘘はつけない。全力で人と向き合うために。

インパラ(インディーズパラダイス)~インディーズ発掘ラジオ番組

■インタビュー/文:篠原美江 ■製作:Astrograph 掲載日:2011.6.22

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back numberの2nd Single「花束」が6月22日にリリースされます。
この「花束」は、全国各地のラジオ局やテレビ番組でパワープレイに選ばれ、コンビニやレンタルビデオショップなどでも流れていて、毎日のように耳にしています。
1年前にはまだインディーズバンドとして音源をリリースしていたback number。
この短い時間の中でメジャーデビューを果たし、すごいスピードで音楽シーンに頭角を現してきました。
インディーズ時代からback numberをピックアップしてきたmusicshelf×インパラが、インディーズからメジャーへと移り変わった怒涛の1年と、待望の2ndSingle「花束」についてのインタビューを行いました。
今の最も活躍が期待される"back number"このインタビューは要チェックです!!

グラスルーツ的なリスナーの広がりからも伺えるように、インディーズ時代から着実な歩みを進めているback number。フロントマンであり、ソングライターでもある清水依与吏の生きた感情を、古今東西、不変の恋愛模様を主なモチーフに、叙情的なメロディと表情豊かなヴォーカル、歌心あるアンサンブルで聴かせる3人組が、メジャー2作目となるシングル「花束」をリリースする。
人を楽しませる精神に溢れながら、生真面目でありすぎるがゆえ、ひとつひとつに自問自答を繰り返しながら、楽曲制作からライヴにおける姿勢にまでも変化をもたらした、この1年の心の変遷を辿ってみた。
己を知り、原点に立ち返った上で得た揺るぎないものを身上に、バンドの理想像を大きく描いてみせるback numberは、今、とても眩しい。

--前回のインタビューは1年前、アルバム『あとのまつり』リリースの時でしたので、その間の1年を振り返っていただき、ニューシングル「花束」についてお聞きしたいと思っています。まずメジャーデビューという大きなニュースがありましたね。

清水:インディーズ/メジャー、そのどちらかにこだわるということではなかったんですけど、いいタイミングでメジャーデビューできたのはよかったと思いますね。

--『遂に』とか『ようやく』とかいう感慨は特になく?

清水:いや、もちろん嬉しかったのは嬉しかったんですけど、それよりも親戚とか(笑)仲間内がものすごく喜んでくれたので。まあ、そういうもので実感せざるを得ないですよね。『じゃあ、ここからはメジャーなのでガラッと変わります』っていうのもおかしいですし、今、自分たちがやっていることも以前からまったく変わらないので、僕ら自体は変わりようがないというか。

--小島さんはいかがですか。

小島:依与吏(清水)が言ったように、僕らよりも僕らに近い人たち、周りの人たちが喜んでくれたというのが大きかったですね。ひとつ、メジャーデビューして変わったことといえば、レコード会社の方たちを含めた僕らを支えてくれる仲間がガッと増えたってことですかね。そこは一気に広がったなという感じはあります。

--栗原さんはいかがですか。back numberファンだというお母様は喜んでくれましたか。

栗原:そうですね。やっぱり母がいちばん喜んでくれましたねえ(笑)。それから近所の人とか・・・。

一同:爆笑

栗原:今、有線で僕らの曲を流してもらってるんですけど、『流れてたよー!』っていう情報があちこちから(笑)。そういうのを考えると、1年前とは明らかに状況が変わってきているなと思いますね。

--そうですよね。わたしもラーメン屋さんで2回遭遇しました。

清水:そう、そういうメールをたくさんもらってます(笑)。いや、すごく嬉しいんですよ。もちろんUSENさんだけじゃなくて、もの凄い数のラジオのパワープレイやヘビーローテーションをいただいていて、日本中でラジオをつければback numberが流れてるっていう状況は、本当に嬉しいんですよね。だからこそ"裏切りたくない人"が増えてきたっていうのもあって。そこがインディーズ時代とは違いますね。インディーズの頃はあまり考えなかったような、言ってみれば何も失いたくない気持ちが芽生えたというか・・・『逃した魚』からずっと聴いてくれてるひとりひとりも失いたくないし、メジャーデビュー以降の「はなびら」「花束」を本気で応援してくれている仲間も失いたくないし、だから今、"何ひとつ失いたくない病"みたいになっていて・・・それは人との繋がりを恥ずかしげもなく求め始めてるんだなっていう、そういう内面的な変化は感じているんですよね。自分自身、少しずつですけど。

--なるほど。

清水:そうするとステージに上がる時の気持ちも変わってくるんですよ。もうホントに嘘つけないんですよね、音楽に対しては。ライヴに関しても、今回の「花束」という曲に関しても、そういうのが如実に出てるんだろうなと思いますね。『人と繋がるってことは素晴らしいことなんだ』っていうのを言葉にしてしまっている、それを良しとする。それをこの3人が同じように思えているっていう、そこは大きな変化なんじゃないかと思いますね。

--思ってはいたけれども、これまで言葉にすることができなかった。

清水:表現するのがカッコ悪いと思っていたところはありますね、『好き』であるとか『愛してる』だとか『抱きしめる』とか。そういう直接的な表現で繋がりを求めるというのは・・・正直、センスあるのか?みたいな(笑)。それを自分がやるのか?っていうところですよね。他の人だったらわからないですけど、自分が言うのはちょっとカッコ悪いなと思ってたんです。でもそれは自分なりの解釈で、他人にも自分にもback numberというものを押しつけてしまっていたのかなって。『back numberといえば暗い曲だよな』とか『back numberはこうあるべきなんだ』とか、そう思いこんでいたところがあったと思うんですよ。だけど今は大事な人たちを得て、ある意味、解放された気がしてるんです。何かを捨てないと解放できないのではなくて、何か大事なものを得ることで、自分がより自由になれるっていうこともあるんだなって。

--規模が大きくなったにも関わらず、より自由になれたというのは幸福なことですね。

清水:そうですよね。『自分の好きな女の子に<好き>というまでに時間かかっちゃったんです』なんていう、そのままの歌をね、何十局というラジオ局がパワープレイしてくれてるわけですからね。考えられないですよねえ?正直(笑)。だって完全に自分事ですから。僕とその女の子のお話でしかないわけですよ、本来。そんなのトイレで、ひとりで歌えよ!って話じゃないですか。

--いやいや、なにもトイレじゃなくても(笑)。

清水:ねえ?風呂で気持ちよく歌いたい歌でもないわけですし。そんな曲をメンバーが演奏してくれて、それを応援してくれるチームがいるっていうのは、幸せなことですよねえ。

--ただインディーズ時代にはできなかったことが、ようやくできるようになったという意味では、本質は変えずとも自然な形で変化していることが実感できますね。今回の「花束」を聴くとよくわかる。

清水:そうですね、全部繋がってるんだと思います。これまでのことを全部、無視できないですからね。すべての経験があって出会いがあって別れがあって、いろんなことがあって、今のback numberができているんだと思います。

--先日終わったツアーに【ちゃんと言うよ】というタイトルが付いていたのは、今までお話に出たような気持ちをすべて集約したものだったんですか。

清水:そうですね。とにかくもう、メジャーデビューシングルの「はなびら」で『君を離さない』とちゃんと言うことができたと。それで今回の「花束」という楽曲で『僕は君が好きだよ』とちゃんと言えたというところを見ると、意識よりも先に体が『ちゃんと言いたくてしょうがない』ってことなんだろうなと思って。であれば【ちゃんと言うよツアー】にしようと。じゃあ何をちゃんと言うのか?そこから考えて、ワンマンツアーに臨んだんです。それでツアーの最後には『俺たちはまだまだこんなだし、こんなバンドだけど、ここに今いる人たちに後悔させないようなバンドになるから、信じてついてきてほしい』というのをちゃんと言えたんですよね。『あ、俺はこれが言いたかったんだ』っていうのに、僕はそこで初めて気付いたんです・・・ものすごく有意義なツアーだったと思いますね。

--小島さんにとってはどんなツアーでしたか。

小島:今までがあったから今回のツアーがあった、そういう繋がりを感じましたね。メジャー1発目のツアーだったということもあるし、楽曲が変化してきている、その流れの中で自分のスタンスは変えずに、大きくなるにはどうしたらいいのかっていうのを考えるツアーでもあったので、これまで以上に1本1本を大事にやっていったという実感があります。

--栗原さんにとっては?

栗原:1本1本がすごく濃かったなと思いますね、いいところ悪いところも含め。でも何よりお客さんの反応を肌で感じることができたツアーでした。back numberのライヴを初めて観るお客さんも、もちろん前から応援してくれてるお客さんもいて、それがすごく嬉しかったですね。

--東京公演を見させてもらいましたが、3人の表情がとても豊かになったなというのが印象的でした。小島さんが、クアトロのあの独特の柱と壁の間にいるお客さんを煽っていたのを見て、ちょっと感動したんですが。

小島:あ、そうですか(笑)。3人のスタンスとして、前の人たちだけじゃなく後ろの人にも伝えようというのは常にあるんですけど、クアトロでは自分がステージの前に出るまで、あの空間が存在していることがわからなかったんですよ。演奏中にパッと見たら『おっ、ここにこんなところがあるじゃん!人がいるじゃん!』って思って(笑)。

--(笑)。清水さんは以前、ライヴよりも楽曲や作品で音楽を聴くというタイプだったと言っていましたが、ステージ上の清水さんを見る限り、もはやそういう人ではなくなっているなと感じたんですよね。

清水:ああ・・・そうですね・・・モノづくりをする上での清水依与吏と、モノを表現するときの清水依与吏っていうのが、同じ場所にいられないんだなっていうのを、ちょっと理解し始めたっていうのがあるんですよね。ものすごく女々しくて何にでも傷ついて、ひとつの反応でハートが砕けて、すぐにその場から逃げ出したくなってしまう、そういう清水依与吏というのは、曲作りとしては必要だと思うんですよね。でもそれをライヴという場で出しちゃうと、もう何もできないんですよ。以前は、結局誰とも繋がれない、誰の手も握れないっていう状態で帰ってくるっていうライヴがずっと続いてて、それがすごく嫌だったんですよね。ふざけるなと。お客さんは何のためにライヴを見にきてくれてるのかと。自分と似ているところがあるかもしれない、それでback numberを見つけて来てくれているかもしれないのに・・・そういう人をひとりでも逃したくないっていう、そういう気持ちからですかね、ライヴに対する姿勢がすごく変わり始めたのは。それからは、お客さんひとりひとりと同じ熱量でライヴをやろう、お客さんが増えたらその分、体力も使う、でもそれでいいや!みたいな・・・やっぱり俺は千手観音(せんじゅかんのん)にならなきゃいけないんだな、っていう。足りないんですよ、2本の手じゃ。だけど千の手の1本1本に血が通ってて、全部に自分の意識が入っていれば、全員と手を繋げる!と思うんですよね・・・と言っても千手観音ですからね、とりあえず千人までですけど。

一同:爆笑

清水:だからね、"どこまで観音"なんだってことなんですよ、僕自身が。

小島:"どこまで観音"・・・まあ・・・うん・・・まあね(笑)。

清水:それを求めてるんですよね、僕は!今までの僕は千どころか"一手観音"だったんですよ!だけど、ことライヴという場では嫌になったんですよね、それが。目の前にいるひとりひとり、全員が幸せな気持ちになって帰ってもらいたいと。じゃあ自分は何ができるのかと。それを考えたときに、お客さんの手を握らないといけないんだと思ったんですよ。でも手は2本しかない。だけど全員の手を握るための、自分のベクトルを見つけたというか。それはライヴに向けての心構えから練習から全部含めてのことなんですけどね。そのタイミングで今回のツアーがあった。それが本当によかったと思ってるんです。

--わたしは客席にいたのでわかりますけど、お客さん、いい顔してましたよ。

清水:そう言っていただけると・・・でも、もしかしたら納得してくれなかった人もいるかもしれないし・・・俺はまだまだ八百手観音にはなれてないんだなって。

--あの場所にいた800人の手を握れたかどうか。

清水:そうですそうです。結局ね、全員と手を取りたいんですよ。目の前にいるのに分かり合えないのは辛いですからね。もちろん30分、1時間、2時間で何ができるのかって話ですよ。でも、そこでやれることを全部をやりたいんですよ。だって、目の前のひとりと恋をするのも、目の前のひとりと話をするのも同じですもん。全力で向き合わないと何も分かり合えない。それがわかってるのに、何で僕はライヴでそれができないんだろうって、ずっと悩んでました。だからライヴではそこを心がけてますね。『ちゃんと繋がるんだ、ちゃんと繋がるんだ』って。

小島:ライヴでの僕と寿(栗原)は言葉を発していない分、依与吏(清水)よりももっとその意識を高めないと、思いが前に飛んでいかないと思うんですよね。だったら俺らはどう動けばいいのか。それこそ端から端まで伝えようという気持ちでやらないと繋がることなんてできないですからね。でも3人がそこに向かわないと不可能だと思うんですよ。まず自分自身で考え、それから3人で考えて話し合う、そこはこれまで以上に真剣にやってますね。

--個人的な歌が誰かのものになっていくことを実感できたのも大きかったのではないですか。

清水:そうですね、もう放ったら相手のものなんですよ。CDを出すこともそうだし、音楽を世に出すってことは、そういうことだと思うんですね。『もう、あなたのものにしてください』っていう。もちろん曲を作るときはそんなこと考えなくていい。正直に自分の言いたいことをちゃんと言いたい人に対して言えばいいと思うんですよね。

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