José James -

掲載日:2013.01.16

シンガー、ホセ・ジェイムズ。彼が本格的にデビューする前から本サイトでは注目し、ライヴやプロモーションで来日するたびにインタビューしてきた。これで何度目になるだろうか。こんなふうに彼の動向に注目しているのは、その才能に心底惚れ込んでいるからに他ならならない。これまでのジャズの歴史やアーティストに深い敬意を払いながら、ジャズを進化させようとするそのスタンス。我々は彼が押し進めるジャズのこれからの姿を見届ける目撃者、あるいは共犯者となりえるのだ。そして、我々はいよいよ名門ブルーノートレーヴェルへの移籍を見届けることになったのである。

-- 僕は昨年2月のビルボードライブ東京で客席からステージを楽しみましたが、こうして話すのは久しぶりですね。

そうだね。最近はマッコイ・タイナーとも世界中をツアーしていたけど、この2年間はこのアルバムの制作に力を注いでいたんだよ。

-- そうだったんですね。アルバムを作る合間にショーを行っていたイメージですか?

僕はパフォーマーだから、どんな時にでも常にステージには立っていたいと思っている。ただ、ショーが終わったあとにアルバムのプランニングや曲づくりなどを行っていたから、やはり主眼はこの新譜の制作にあったね。

-- この『ノー・ビギニング・ノー・エンド』は、全曲がホセ自身、もしくはホセと他のミュージシャンとのコラボレーションによって書かれた曲ばかりですね。これまではジャズのカヴァーなども収録されていましたが。過去には、インパルスレーヴェルで、ジャズスタンダードだけを歌ったアルバム『フォー・オール・ウィ・ノウ』をリリースされたこともあります。ですが今回はオリジナル楽曲だけで行こうと。さらにこれまでの作品より、ソウルフルでレイドバックしたように感じます。サザンソウル的なものもありますね。

これはプロデューサーにピノ・パラディーノを迎えたことが大きいね。それで曲に対するアプローチやサウンドが変化したんだと思うよ。

-- 僕もピノ・パラディーノの存在が大きいんだろうと思っていました。彼は元々ジャズ畑のミュージシャンではありませんよね。でも、敢えてそうすることはなかなかチャレンジングなことでしたね。

でも、彼とは難なくさまざまなことができたんだ。だから、彼との作業はとても楽だったよ。彼自身も多彩なフィールドで活躍しているミュージシャンでもあり、このアルバムを制作している最中も、ハービー・ハンコックのツアーに参加していたよ。

-- ホセ・ジェイムズという才能をプロデューサーとして俯瞰できたからこそ生まれたアルバムなんですね。

そう、僕の中のこれまでとは違ったクオリティを見極めてくれたんだと思う。


-- ピノ・パラディーノと並んでもう一人のキーパーソンがロバート・グラスパーだと思うのですが、彼とのコラボレーションはどのように進めていったんですか?

ロバート・グラスパーはこのアルバムの制作にあたって、真っ先にコラボレーションしたいと思った相手だったんだ。というのも、彼は今のジャズシーンで最も重要な人物の一人だから。あるときヴィレッジヴァンガードにロバートのライヴを見に行ったんだ。そこで彼の繰り出すコードがとてもクールで。それで一緒に曲づくりをしたいという想いをさらに強くしたんだよ。ピアニストとしてはもちろん、作曲者としてね。そして最初のセッションを、ロバートとピノ、クリス・デイヴ(ドラムス)で行って、アルバムの形を作っていったんだ。

-- ロバート・グラスパーは正統派のジャズはもちろん、ヒップホップとの融合を図るなど新しいジャズをクリエイトしようとしています。一方でホセもアプローチは違えどそのスタンスは共通項が多いですね。いわば、現在進行形のジャズを牽引する二人がここで、一緒に音楽を作るということは意義深いことだと思っています。

ありがとう。僕自身もそう感じているよ。

-- さて、以前のアルバム『ブラックマジック』ではエレクトロニクスやエフェクトを駆使したり、DJによるミックスがあったりと、サウンド面では加工を施した楽曲もありましたね。しかし、今回はアコースティックなサウンドが中心ですね。

それはバンドとまた一緒にやりたかったからなんだ。もちろん『ブラックマジック』は楽曲ごとにコラボレーションできて楽しかったし、気に入っている作品だよ。でも、今回はミュージシャンたちと同じ部屋で演奏をすることを重視したんだ。セッションをしながらフレキシブルに曲を変えてゆけるし、なによりもそれぞれから放たれるエネルギーに溢れているからね。

-- 今回のアルバムで、次のステップへ向かうブレイクスルーを果たしたのではないかと僕は思っています。ホセももし、そう考えているとすれば、何がその要因だったと思いますか?

やはり2年という時間をかけたことだね。まるで彫刻を作っていくかのように、一カ所削っては、全体像を眺め、また削っては眺めるというイメージかな。たとえば、ロバートやピノとのセッションはバンドとしてのサウンドを重視したし、エミリー・キング(ヴォーカル)とのレコーディングでは、楽曲の構成などをしっかり練った上で進めていったんだ。そんなふうに、プロデューサーとして、各曲に何が必要なのかを時間をかけて見極めることができたのが、今回のポイントだと思っているよ。

-- 先ほども話しましたが、以前はインパルスレーヴェルからアルバムをリリースしたこともありました。そして今回はブルーノートですね。最後に、この老舗レーヴェルに対する想いを訊かせてください。


ブルーノートはいつも先進的なレーヴェルだと思っているよ。そこに移籍できたのはとても光栄なこと。そして、ブルーノートが持っているヴィジョンを僕自身も実現してゆきたいといつも考えているよ。


<インタビュー・文 /  中林直樹

リリース情報

 

ブルーノート第1弾

New Album

『ノー・ビギニング・ノー・エンド』

NOW ON SALE!
EMIミュージックジャパン
TOCP-71459 / ¥2,300(tax in)

 

<収録曲>
01. イッツ・オール・オーヴァー・ユア・ボディ
02. ソード+ガン feat.  インディ・ザーラ
03. トラブル
04. ヴァンガード
05. カム・トゥ・マイ・ドア
06. ヘヴン・オン・ザ・グラウンド
feat. エミリー・キング
07. ドゥ・ユー・フィール
08. メイク・イット・ライト
09. バード・オブ・スペース
10. ノー・ビギニング・ノー・エンド
11. トゥモロー
12. カム・トゥ・マイ・ドア(Acoustic Version)
【日本盤ボーナストラック】
13. コール・アワ・ネーム feat. ジェシカ・ケア・ムーア

 

 

プロフィール

José James
(ホセ・ジェイムズ)
ニューヨーク在住のシンガー。
ミネアポリス生まれで、14歳のときにラジオから流れてきたデューク・エリントンの「A列車で行こう」を聴き、ジャズにのめり込む。最も影響を受けたミュージシャンはジョン・コルトレーン。ニューヨークの音楽大学でジャズを専攻しながら、各国の様々なジャズ・コンテストに参加。ロンドンのジャズ・コンテストに訪れた際にジャイルス・ピーターソンとの運命の出会いを果たす。ホセの声と音楽性に魅了されたジャイルスは即座に彼に惚れ込み「15年にひとりの逸材」と断言し、この若き才能との契約を即決。2008年、ブラウンズウッド・レコーディングスの新たな才能としてデビューする。ダンスミュージックやHIP-HOPを聞いてきたバックボーンから、DJ/プロデューサー達とも精力的にコラボレーションをし、ダンスミュージック界から熱い注目を集め、フィーチャリングヴォーカリストとしてのオファーが殺到。ヴォーカル・ジャズの歴史を塗り替えたとまで言われる美声は世界中で大絶賛され、国内外のジャズ/クラブ・チャートを総なめにした。そして2012年、名門ジャズレーベルBLUE NOTEへ移籍が決定。満を持して通算4枚目のアルバムを発売。

【LINK】
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