クオシモード -

掲載日:2012.10.10

結成10周年を迎えたクラブジャズバンド…、と記してふと気がついた。もはやクオシモードにとって、クラブ系であるのか、そうでないのかはどうでも良いことだ。ジャズの本来の姿のひとつであるダンスミュージックに根ざし、キャリアを積みながら、大きく枝葉を広げてきた彼だからこそクリエイトできる音楽。その新しい果実がここに実った。それが『Soul Cookin』だ。そこには、軽やかでフレッシュ、秋の乾いた風に似合う見通しの良いサウンドが詰まっている。

-- 『Soul Cookin』は、いつもより増して、爽やかで軽快なイメージですね。これまでは、スピリチュアル的なものや、どっしりとしたイメージを感じさせる楽曲が多かったと思います。それがニューアルバムでは、颯爽としたスピード感や、乾いた音色に溢れていますね。


平戸祐介:そうですね。メンバー4人のアンサンブルを重視したいと思ったからかも知れません。

松岡”matzz”高廣:前作や前々作あたりから、ジャズだけでなく、ロックのフェスにも出演させていただくようになりました。そうするうちに、ジャズだけじゃなくて色んな音楽を聴いているお客さんにも盛り上がってもらいたいという思いがこれまでよりも強くなったんです。もちろん、ジャズをベースにして、ですが。


-- なるほど。普段ジャズに接していない人に、ジャズの面白さやジャジーなフレーバーを届けたいというスタンスはクオシモードのベーシックな部分であり、それがさらに進化したわけですね。さて、クレイジーケンバンドの横山剣さんをフィーチャーした「Summer Madness feat. 横山剣」が先行でシングルを切られていますけど、これはどういう経緯で制作されたんですか。剣さんとは昔から面識があったんですか?

matzz:いやもう、単なるファンで(笑)。「長者町ブルース」など大好きなんですよ。また、DJをしていて良く感じるのは、ジャジーなテイストの、ディスコやソウルが流行っていること。だから、そんな曲調で、しかもフェスで盛り上がるような曲を作りたいと思っていたんです。アッパーソウルみたいな、またソウルファンクみたいなイメージだから、これは経験豊かで不良なおとなの男性が似合うなって(笑)。

-- だったら、もうあの人しかいないと。

イタリアだとマリオ・ビオンディみたいなノリで、日本だと誰かなと思った時にじゃあ!って思って、それで高宮さん(剣さんとは古い間柄)に相談したら剣さんからOKを頂いてという流れなんです。

-- じゃあ最初に剣さんを意識して作ったわけではなかったんですね。

matzz:そうですね。でも、曲が出来上がっていく過程で、そういうイメージはあったんですけどね。

-- どんな感じのレコーディングでしたか?

matzz:曲も気に入っていただけたようで、すんなりと進行したと思います。剣さんは集中して、歌の世界に入り込みたいということで、僕たちは歌入れの際はあえて立ち会わず剣さんお一人でレコーディングされたんです。その辺の意気込みは、さすがだと思いました。

-- MUSIC CLIPでは剣さんをバックにみなさん演奏されてますよね。


matzz:あれは楽しかったですね。

-- メロウな感じの楽曲なども、欲を言えば聴いてみたかったような。

平戸:たしかにそうですね。

-- 剣さんの歌い方も、張りがあってパワフル。それでいて大人な感じもするから面白いですね。ライヴで歌ってくれたりするといいですね。一方で土岐麻子さんをフィーチャーした「Slow Motion feat. 土岐麻子」はモータウンを意識したサウンドです。これは結構新しいチャレンジですよね。

matzz:実はこういう曲調も、ずっとやってみたかったんことなんですよ。やっぱり日本人にすごく馴染み深いものじゃないですか。それとジャズと、さらにクオシモードの色みたいなものを融合するにはどうしたらいいのかなって悩み続けてきたんです。でも今回はフェス対応にしたいので思い切ってやってみたわけです。参考にしたのは、たとえばトム・ジョーンズやマット・モンローなどで、わかりやすいポップなジャズを作りたかったんです。

-- 楽曲の振れ幅が、良い意味で大きくなったのもキャリアがあるからですね。


matzz:クオシモードの個性が定着してきたからこそ、できたのかもしれないですね。実はこの「Slow Motion」は、「Summer Madness」へのアンサーソング的な位置づけになっています。「Summer Madness」は男性側からの夏の恋についての曲なんですが、「Slow Motion」は年上の女性からみた、年下の男性との夏の思い出、なんです。

-- 今回そういう意味では夏を通り過ぎたあとの秋の発売という事で、今年の夏を思い出させるようなフレーバーに溢れていますよね。例えば「Leaving Town」は、AORっぽかったりアジムス(ブラジルのクロスオーヴァー系バンド)のようだったり…。涼しくなってきたときに聴くと気持ちいいと思います。夏を思い出しながら。音色も良い意味であまり重々しくなく、湿度が低いというかそんな感じがします。それでいて全体に統一感があるのは、クオシモードの新しいフェイズに突入した証拠かもしれませんね。


平戸:そうですね。

-- あとアン・ヴォーグのカヴァーが入っていますけど、その辺の目のつけどころもいつもながら面白いと思いました。選曲はどなたが?

matzz:プロデューサーの小松さんです。新しいアルバムは、デモをつくっている段階ではソウルというテーマを特に意識して作り出したわけではありませんでした。しかし、曲が集まっていくうちにソウルフィーリングの強い曲が多かったのでそれをキーワードとして入れたんです。そこで、90年代のソウルは、と考えたとき、この曲がぴったりだと思いました。

-- あの曲がジャジーにアレンジされるのはなかなか珍しいですよね。


平戸:そうですね。他にはいないと思いますね。

-- 『Soul Cookin』は、冒頭「Opening Time」があり、最後が「Closing Time」でフェードアウトしてゆきます。そこにアルバム全体の余韻を感じます。そして、もう一回頭に戻って聴きたいという気分にさせます。

平戸:そう言ってもらえると嬉しいですね。そういうメッセージを込めたところもあるので。

-- なるほど。では、先ほどからフェス対応という話が出ていますがが、今年はフジロックに出演されましたよね。いかがでしたか?

matzz:いやあ楽しかったですよ!

-- ジャズにあまり触れたことがないお客さんに聴いてもらうという場所としては最高ですよね。


平戸:そうですね。まさに。

-- どんなリアクションがありました?


平戸:ライヴ中のリアクションはもちろんいいものがあったんですけど、出番前に、実際に音を鳴らしてサウンドチェックするじゃないですか。するとそれだけで、「なに? なに?」ってステージにお客さんが集まってくれる。それがある意味醍醐味だと思うんですよ。始めて聴く人はバンドがちょっと音を出しただけで「あっ!これヤバいバンドかも」って思ってくれて、それでこちらも「俺たちを知らないんだな」って。それで気持ちが高ぶってくるし、モチベーションがあがる。格闘技じゃないけど、そういう気持ちにさせてくれるんですよね。

-- サウンドチェックだけで、ビビらせてやろうみたいな(笑)。

平戸:そうなんです(笑)

matzz:ジャカルタのジャズフェスに出演したときと、結構近い感じですよね。


-- ジャズを聴かない人たちにも目を向けてもらうことができているわけですね。それはまさにクオシモードがずっと目指してきたことじゃないですか。

matzz:そうですね。ほんとうれしいですよね。

-- matzzさんはDJをやったり、平戸さんはソロアルバムをリリースしたり、数々のセッションをこなしたりと、個々の活動も盛んです。では、二人にとって、クオシモードはやはりホームグランド的な位置づけですか? 外でやってきたものをクオシモードに持ち込むみたいな、そんな発想なんですか?

平戸:そうですね。だから最近、より演奏を楽しもうということでmatzzさんをセッションに引っ張り出しているんですよ。結構面白い展開で、逆にmatzzさんがルーツであるレゲエのセッションに参加させてもらったりもしています。

-- それ、すごくいい流れですね。


平戸:お互いがルーツとなっているものを、うわべだけじゃなくもっと深く理解するとこれからももっといいものが出来るんじゃないかなって。

matzz:僕の場合は、これまでとにかく新しいもばかりを追求してきたので、逆にジャズのスタンダードを演奏することで改めてその魅力がわかるんですよね。それを今度はクオシモードに持ってきたらどうかなとかそういう発想がいいんですよね。


-- いい意味でのケミストリーというか、それがまたクオシモードとして花開くというか。では、今回のアルバムタイトルのコンセプトは?


matzz:料理と音楽って似てるなって常々思っていて、いい素材があっても、いい調理をしないとおいしくならない。それに今回のキーワードである「ソウル」を掛け合わせて『Soul Cookin’』です。

-- 10月4日、5日のモーションブルー横浜でのライヴを皮切りにツアーがスタートしますね。当然、長崎(平戸さんの出身地)にも行きますよね。

matzz:長崎ってお客さんがおとなしいイメージが最初あったんですけど、凱旋ライヴですから、いつもものすごくあついんですよ。

平戸:その時だけなぜかメンバーみんな九州弁になるんですよ。「これ食べてよか?」「よかとや」って。

一同:(笑)

<インタビュー・文 /  中林直樹

リリース情報

 


New Album

『Soul Cookin’』

NOW ON SALE!
【初回限定盤(HQCD+DVD)】
TOCT-90041 / ¥3,500(tax in)


【通常盤】
TOCT-29063 / ¥2,800(tax in)

 

<収録曲>
01.Opening Time
02.Soul Cookin'
03.Let's Get Down Together
04.Febre Samba
05.Summer Madness
feat. 横山剣 (Album Version)
06.Another Sky
07.Leaving Town
08.Slow Motion feat. 土岐麻子
09.El Paso Twist
10.King Of Kings
11.Still In The Night
12.Give It Up Turn It Loose
feat. 奥山みなこ
13.Keep On Steppin'
14.Closing Time

ライブ情報


quasimode Soul Delivery Tour 2012

10/12 福島・#9
10/14 仙台・Darwin
10/15 盛岡・Players Cafe
10/16 青森・Quarter
10/20 石川・金沢 Double
10/21 富山 Mairo
10/22 新潟 CLUB RIVERST
10/26 岡山・MO:GLA
10/27 福岡・ROOMS
10/28 長崎・キッチン雨月
11/09 大阪・FANJTWICE
11/10 名古屋・ell.FITS ALL
11/11 静岡・Blue Note 1988
11/23(祝) 東京・渋谷 AX

詳しい情報はオフィシャルサイトへ


プロフィール


quasimode
(クオシモード)
2006年に1stアルバム「oneself - LIKENESS」をリリースしCDショップのクラブ・チャートで軒並み1位を獲得、衝撃のデビューを飾る。2007年、2ndアルバム「The Land of Freedom」をリリース。Gilles PetersonのBBC”WORLDWIDE”で2007 BEST JAZZ RECORDSの4位に選出、i-Tunes Music Storeでもジャズチャート1位獲得、そしてドイツの”SONAR KOLLEKTIV“よりワールド・ワイドでリリースと2007年クラブ・ジャズ・シーン最大の話題作となった。2008年、3redアルバム"SOUNDS OF PEACE"をリリース。iTunes Jazzチャート第1位、タワーレコード2008年度ジャズ・セールスチャート第2位を獲得。2009年、名門ジャズ・レーベルのBLUE NOTEと正式契約を交わし、通算4枚目となるフル・アルバム「daybreak」をリリース。全国のFM局でのパワープレイ獲得、そして日経新聞のTV-CMタイアップや、ヒット・チャートを賑わすなど、多くの話題を振りまいた。2010年7月に開催されるフジロック・フェスティヴァル’10への出演、そして上海万博でのライヴも大好評を博した。2011年1月、彼らの通算5枚目となる最新作アルバム “Magic Ensemble”を発表した。iTunes Storeでは、配信開始当日にアルバム総合第1位を獲得。また、アマゾンのジャズ・セールスも第1位を獲得する。2011年9月に開催された日本最大のジャズの祭典『東京JAZZ』では、グラミー賞を獲得した上原ひろみ、イギリスのインコグニートと肩を並べて出演し、『東京JAZZ』史上でも稀な、観客全員が総立ちになるなど、大きな話題を振りまいた。2012年3月、彼らのバンド結成10周年を記念した彼ら初のベスト・アルバム「Four Pieces - The Best Selection」をリリース。2012年7月18日、「東洋一のサウンドマシーン」こと、クレイジーケンバンドの横山剣をゲスト・ヴォーカルに迎え、新機軸となるシングル “Summer Madness feat. CRAZY KEN”をリリース。2012年7月29日、 “FUJI ROCK FESTIVAL 12”に2度目の出演を果たし、その圧倒的でダンサブルなサウンドで、多くの観客を魅了した。そしていよいよ2012年9月、通算6枚目となるアルバム “Soul Cookin’”をリリース。quasimodeの躍進は止まらない!!

【LINK】
公式サイト
EMI Music Japan quasimode

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