quasimode -

掲載日:2012.03.27

ジャズバンド、クオシモードがベストアルバム『Four Pieces-The Best Selection』をリリースした。これはバンド結成10周年を記念したものだ。アルバムデビューとなった06年の『oneself - LIKENESS』から、昨年1月に発表した最新作『Magic Ensemble』まで、レーベルを超えた楽曲たちがコンパイルされている。しかし、単なるベスト盤としないところが彼ららしいところ。セカンドアルバムのタイトルにもなったインスト曲「The Land of Freedom」を、ヴォーカリストakikoを迎え「Ascension」としてセルフリメイク。また、ファーストアルバム収録の「Catch The Fact」はフルヴァージョンを新録した。全曲にフレッシュなリマスタリングも施されている。 さて、そんなquasimodeが、このサイトに初めて登場してくれたのは07年の8月のこと(当時のインタビューはこちら)。それから、アルバムをリリースするたびにインタビューを試みている。それはもちろん、彼らの作り出す音楽に共鳴するからだ。さらには「ジャズをもっと多くの人々に聴いてほしい」という彼らの信念を少しでも多くの音楽ファンに届けたいからに他ならない。 今回はピアノの平戸祐介と、パーカッションの松岡"matzz"高廣の二人に話を訊いた。結成10年。バンドを結成したその日のことを覚えてます? なんて質問から切り出してみると…。

松岡:よく覚えていますよ。

-- ライヴに出演したことをもって、結成としたとか?

松岡いいえ。結成のいきさつは、彼(平戸)がニューヨークから戻って、九州で活動していたんですが、もっと広いフィールドを求めて上京して来たということがまずあります。また、僕も当時やっていたバンドを辞めて、新しいことにチャレンジしたいと思っていたところだったので、様々なジャンルのセッションに参加しまくっていました。そこで出会ったのが彼だったんです。そこで、新しい形のジャズバンドを組みたいね、という話になりました。それでメンバーを集めてスタジオに入ったのが10年前のことです。それが結成のタイミングかな。彼が書いてきた曲を全員で形にする作業がしばらく続いて、ライヴで演奏したのはそれから半年後くらいだったと思います。

-- 当時はもっと大所帯だったんですよね。

松岡そうですね。9人編成で。女性ヴォーカルやラッパーもいました。

-- 当時のクラブジャズシーンはもちろん今とは違ってましたよね。

平戸U.F.O.やKYOTO JAZZ MASSIVE、MONDO GROSSOといった人たちが活躍していましたね。でも、それも一段落した感じはありました。

松岡エレクトロやハウスが流行っていましたね。

-- そうですよね。クラブでしかも生音でプレイするバンドは少なかったですよね。

平戸当時は僕が九州から出てきたばかりで、東京の地理も知らないし、どんな場所で僕らの音楽を聴いてもらったらいいか全くわからなかったんです。

松岡彼は完全な現場主義で。そこがジャズミュージシャンらしいと思いました。だから、とにかくライヴをやりたいという気持ちが強かったんでしょうね。あるとき、ライヴを決めてきた、というので調べてみたら大森のスナックだったという(笑)。

-- そこで実際にライヴが行われていたら、今となっては相当貴重な経験になったはずですね。観客にとっても(笑)。それと面白いのは、パーカッショニストとピアニストが対等の立場で演奏するというスタイルを、結成当時からバンドのコンセプトとして掲げていたことです。

松岡そうですね。僕はクラブで良くかかるようなジャズはパーカッションの存在がとても重要だと思っていました。また、彼はブラジルやラテンといった音楽も求めていたので、その想いは最初から一致していたんだと思います。そこからバンドとしての方向性を定めていったという感じです。

-- それがquasimodeというバンドとしての芯になっているんですね。決してぶれない個性というか。

松岡でも、それを作るのに結構時間がかかりましたね。

-- 06年にリリースしたファーストアルバムは、バンドメンバーからの働きかけで制作を決意したんですか?

松岡それもさっきの話につながるんですけど、やはりプロデューサーである小松さんの存在が大きいですね。自分たちだけだと方向性を決めることができなかったから。そこで、小松さんのDJ的な発想でどんなものにするべきかが決まっていったんです。彼(平戸)はずっとジャズをやってきたから、新しいバンドでジャズの4ビートを演奏することを避けていたんです。ところが、小松さんに、せっかくだから、やってみてはどうですか、と言われ、それでできたのが、「oneself - LIKENESS」という曲なんです。

-- こうやってベスト盤で振り返ると、ファーストアルバムの時点で、既にquasimodeサウンドが完成されていたようですね。

松岡ただ、当時はとにかくかっこいいトラックと作りたいという気持ちだけでしたね。でも、デビュー前の1、2年は苦しかったね。

平戸もう辞めようかと思った時もありました。にっちもさっちもいかなくなって、ストリートで演奏してみたり…。足を止めて聴いてくれるんですが、そこからライヴやリリースには直結しなかったですね。普通のジャズの仕事に戻ろうかとも思っていました。

-- しかし、今ではブルーノートを満席にするほどですからね。では、10年経ってみてバンドとして変化した部分はどこでしょうか?

平戸変わってきたというか、突き詰めているイメージですね。ジャズと若い人たちに聴いてもらいたいということ、それと僕らの考えるジャズをもっと広めてみたいという気持ちが年々強くなってきています。

-- それと新録された「Ascension」は、もともとインストの「The Land of Freedom」に、akikoさんのヴォーカルをフィーチャーしたものですね。楽曲に新たな表情が生まれていますね。

平戸そうですね。曲のイメージがぐっと広がりました。

-- 最初から歌ものとして作られたんじゃないかと思えるほどのはまり具合でした。

松岡いやあ、実は「The Land of Freedom」はとても苦労した曲なんです。この曲は珍しくメンバー全員で作ったものなんですが、途中でみんな煮詰まってしまって。で、外にタバコを吸いに行ったら、そこでひらめいた(笑)。こんなふうに、このベスト盤に収録している曲は、作るのに苦労したもの、もしくは一気に書き上げたもののどちらかなんです。

-- 僕がこのサイトでquasimodeにインタビューしたのは、セカンドアルバム『The Land of Freedom』(07年)のリリース時でした。そんなこともあってか、僕にとってもこのアルバムは印象深いですね。

松岡このセカンドアルバムをリリースする頃が、大きな変わり目だったと思います。というのも、これまでジャズを聴いていなかったリスナーが、僕たちの音楽に耳を傾けてくれていることがわかったからです。ちょっとずつですけど。それと王道のジャズファンにも聴いてもらえるようなものを作りたいね、という意識も持ち出したんです。ファーストは完全にフロア対応でしたから。

-- ではライヴという側面で、これまで印象深かったステージを教えてください。

平戸オランダで行われたNorth Sea Jazz Festivalでのライヴですね。こんなにたくさんの人たちが僕らの音楽を知ってくれているんだと驚きました。海外でレコードを発売したからといっても、やっぱり現地に行ってみないとわかないじゃないですか。また、反応がシビアな海外のお客さんたちに受けたことで、バンドをやっていく上で、大きな自信になりました。

松岡
ブルーノート東京で演奏できたことも嬉しかったですし、リキッドルームでやった、セカンドアルバムのリリースパーティーも印象に残っています。それはライヴ盤『Straight to the Land of Freedom』として発売されています。

 

-- その場に僕もいました!

松岡でもやっぱりベストだと考えると、ファーストアルバムをリリースした後、渋谷のJz Bratで行ったパーティーですね。お客さんがパンパンに入って。それまではライヴのたびに集客に苦労していたのに、あ、こんなに来てくれるんだ、って。それと、昨年の震災の後に行った東北ツアーもとても勉強になりました。自分たちが何のために音楽をやっているのか、マイナスな空気を少しでもプラスにするにはどうしたらよいかなど、常に考えることができました。それは、今後のステージングなどに反映されていくと思います。

平戸

そんな状況の中で音楽をやっていてよいのかな、と悩んだこともありました。だけど、不思議なもので、こうした震災や大きな出来事があると、思いやりの精神が起こるんですね。演奏する側にも、聴いてくれる側にも。だから、普段よりも熱いものにしようぜ! という空気に、東北に限らず溢れていましたね。

-- では、今度は結成20周年に向けてさらなるご活躍を期待してます。

松岡もっとジャズを多くの人たちに聴いてほしいと思います。それに、これもジャズなんだよ、という、僕らが考えるジャズをこれまで以上に発信していきたいですね。

 

平戸自分から発信するというのは大切ですね。先日リリースした僕のソロアルバム『Speak Own Words』、自分の言葉で喋る、ではないですが、もっと立ち位置をはっきりさせたいと思っています。


-- 『Speak Own Words』は、quasimodeと方法論やアプローチは違いますが、やはりジャズをベースにしつつ、もっと多くの人にジャズを、という根っこは揺らいでないですね。

平戸バンドでの活動がなければ、このソロアルバムは生まれてないと思っています。quasimodeを主体にしながら、自分の音楽性を確固たるものにしたいですね。

 



<インタビュー・文 /  中林直樹

 

 

リリース情報

 


10th Best Album

『Four Pieces-
The Best Selection』

NOW ON SALE!
TOCT-28047 / ¥2,800(tax in)
全曲完全リマスター
初回限定盤スリーブケース仕様


<収録曲>
01.Catch The Fact
(2012 Full Length Version)
02.The Man From Nagpur
03.Ascension
(The Land Of Freedom Part2)
feat. akiko
04.Relight My Fire(Single Edit)
05.Havana Brown
06.Ant Soldier
07.Down In The Village
08.Music Can Change The World
feat. HanaH (Single Edit)
09.All Is One
10.Whisky's High
feat. AFRA (Single Edit)
11.Finger Tip
12.Last Nine Days
13.Object In The Mirror
feat. Carmen Lundy
14.oneself-LIKENESS

平戸祐介の初ソロ・アルバム

『Speak Own Words』

NOW ON SALE!
TOCT-28029 / ¥2,800(tax in)


<収録曲>
01. Taxi Driver Theme
02. 生まれたてのメロディ
feat. bird *
03. I'm In Love
04. Against The Invisible Wall
feat. Tomoki Seto(Cradle Orchestra) *
05. And Far Away *
06. A House Is Not A Home
feat. 元晴(Soil&"Pimp"Sessions)
07. Down To The South *
08. Love Will Bring Us Back Together
Feat. mabanua
09. Spectrum *
10. No More Sadness
(Solo Piano Version) *
11. Music feat. 畠山美由紀
12. Love Is A Losing Game

*がオリジナル曲

ライブ情報


 10周年記念ライブ!
“Four Pieces” Release Live!
10years of quasimode

名古屋公演
公演日:3月29日(木)
会場:ブルーノート名古屋

大阪公演
公演日:4月2日(月)
会場:ビルボードライヴ大阪

東京公演
公演日:4月26日(木)
会場:渋谷WWW
ゲスト:akiko、有坂美香

JZ Brat 11th Anniversary Special
平戸祐介トリオ feat. bird・元晴

公演日:5月22日(木)
会場:JZ Brat
今年1月に、自身初のソロ・アルバムをリリースしたquasimodeのリーダー平戸祐介が、アルバムのメンバーとともにJZ Bratのアニバーサリー・スペシャルとして出演決定!

詳しい情報はオフィシャルサイトへ


プロフィール

quasimode (クオシモード)
クラブ・ジャズ シーンにおいて日本を代表するバンドの一つとしてワールドワイドにその名を知らしめたクオシモード。2006年に1stアルバム『oneself - LIKENESS』をリリースしCDショップのクラブ・チャートで軒並み1位を獲得、2ndアルバム『The Land of Freedom』を2007年にリリース、 Gilles PetersonのBBC”WORLDWIDE”で2007 BEST JAZZ RECORDSの4位に選出、i-Tunes Music Storeでもジャズチャート1位獲得、そしてドイツの”SONAR KOLLEKTIV“よりワールド・ワイドでリリースと2007年クラブ・ジャズ・シーン最大の話題作となった。2009年、名門ジャズ・レーベルのBLUE NOTEと正式契約を交わし、同年12月、通算4枚目となるフル・アルバム『daybreak』をリリース。2010年7月にはフジロック・フェスティヴァル’10への出演、そして上海万博でのライヴも大好評を博した。同12月、CDフォーマットとしては彼ら初となるシングル『WHISKY’S HIGH』をリリース。ヒューマン・ビートボクサー、AFRAをフィーチャーし、ビデオクリップとともに大きな話題となる。2011年1月、彼らの通算5枚目となるアルバム 『Magic Ensemble』を発表。iTunes Storeでは、配信開始当日にアルバム総合第1位を獲得。また、アマゾンのジャズ・セールスも第1位を獲得。クオシモードの躍進は止まらない!。

【LINK】
公式サイト
EMI Music Japan quasimode

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松岡 matzz 高廣 Twitter

 

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