もし、あなたがロック・ファンなら、クローゼットに必ず一着や二着は常備してあるはずのロックTシャツ。胸や背中に描かれたミュージシャンの名前はライヴ会場での身分証明のようでもあり、見知らぬ誰かに向けた孤独のメッセージのようでもある。そういえば以前、鈴木慶一さんに取材をした時に、「NYでバーズのTシャツを見つけたんだけど高くてさー」と本当に悔しそうにしていたことや、カヒミカリイが子供の名前について語ってくれた時、「Tシャツに映えそうな名前でしょ?」と微笑んだことなんかを思い出す。ロック・ファンにとって、ロックTシャツは着る音楽であり、丸洗い可能なライフスタイルなのかもしれない。そんなロックTシャツのコレクターのひとり、シーザー・パディーヤが、これまで集めたヴィンテージのロックTシャツから200枚を紹介したのが『アンダーグラウンド・ロックTシャツ』だ。
この本に登場するTシャツは、どれもが街の小さな古着屋で掘り出されたり、友達から譲り受けたものばかり。脇の下には汗の染みがあるし、首まわりもビヨビヨに伸びている。しかもデザインときたら、洗練からはかけ離れた思いつきと勢いに満ちたもの。でも、そこからたまらなくアンダーグラウンドでロックな〈体臭〉が漂ってくるのがたまらない。
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というわけで、とりあえず個人的な趣味のみで、買い物気分で掲載アイテムから5着選んで紹介してみよう。
サイキックTVは80年代ノイズ・ファンのアイドルで、ドクロ・マークの額にはバンドのロゴがしっかり入ってます。最近、MGMTがインタビューで彼らの影響を受けてる、なんて言ってたけどホントかなあ。ちなみに本書にはサイキックTVの前身グループ、スロッビング・グリッスルのTシャツも載っていて、そっちもかなりそそられます。
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こうしたパンク/ニューウェイヴ~インディー系のミュージシャンのほかにも、本書には60~70年代ロックやソウル系のミュージシャンのTシャツも幅広く紹介。さらに画像に添えられたエッセイも面白くて、ジャック・ウォーターソン(グリーン・オン・レッド)によるランナウエイズのライヴの目撃談や「Tシャツを着てステージに上がろうなんて思ったことは一度もない」と激白するウェイン・クレイマー(元MC5)。あるいはジム・サーウェル(フィータス)のスワンズ讃歌や、デヴィッド・パホのスティーヴ・アルビニとの交友録などなど、どれもがロック・ファンには興味深いエピソードばかり。そして、序文はノー・ニューヨークの女帝、リディア・ランチがロックTシャツについて熱く語っている、という具合で、すみずみまでロックTシャツにまつわる青春のスメルに満ちた一冊になっている。それにしても、こうしたTシャツの多くが地方の古着屋で眠っているなんて。アメリカに根付いた普段着のロックの姿を見るようで、ほんと見てて飽きないです。
<文:村尾泰郎>
リリース情報

『アンダーグラウンド・ロックTシャツ RIPPED』
シーザー・パディーヤ (著)
野中モモ (監修)
桜井真砂美 (翻訳)
NOW ON SALE!











