TOKYO No.1 SOUL SET インタビュー

TOKYO No.1 SOUL SET インタビュー

ライヴでやりたい曲を作るっていう意識は、
たぶん3人の中にあったんじゃないかな。


渡辺俊美、川辺ヒロシ、BIKKE――TOKYO No.1 SOUL SETの活躍が、90年代の音楽シーンにおけるハイライトのひとつだったことは言うまでもなく。しかし、ここに来て彼らの描くサウンドスケープが、現在のシーンにおいて明らかな"異物感"を放ちながらも有効であることに、あらためて気づいている諸兄も多いのではないだろうか。ちょうど1年前にアルバム『No.1』を発表し、その後ツアー、夏フェスを経て、アルバム曲の「Innocent Love」を小泉今日子がカヴァーしたというトピックなどもあり......これまでになく"動いていた"SOUL SETが、ニュー・アルバム『Beyond The World』を届けてくれた。


--TOKYO No.1 SOUL SETが再始動したのは、2004年。当時は本格的始動感があまりなかったような気がするんですが。

BIKKE:ぶっちゃけそうですね。

渡辺:でも、あれがあったから良かったと思うんですよね。それまでは、極端に言えば、他人に言われて動いていたようなところもあったんですけど、あの時はメンバーからやりたいと思って作らなければダメだと思って。

BIKKE:そうなんですよ。おかしな話、普通はみんなやりたくてしょうがないと思うんですよ。デビューしたいと思ってる人が多いなか、僕らは意外とその気もなくってCDを出していたところもあったんで、気分的にそういった受け身な部分がありましたね。

渡辺:だからまあ、自分たちが自発的に作品を作って、レーベルに話をもちかけてみたっていう。それができたことで、ひとつクリアしたっていう。だから、次にリリースの話がきたときには、素直にハイと言えたんですよね。

--その、"次のリリース"になった昨年のアルバム『No.1』以降は、ツアーや夏フェスへの出演などもありましたし、SOUL SETが"動いてる"感をまざまざと見せつけてくれたと思います。振り返ってみておもしろかったエピソードなどあります?

BIKKE:とりたてておもしろいことは......なかったですかねえ(笑)。でもまあ、忙しくしていた、充実してた一年でしたね。ツアーやフェスに関しては、正直、場所によって良かったところもあればそうじゃないところもありましたけど、やるたびに楽しくなっていったし、もっとやりたい!っていう気持ちにはなってましたね。

--昨年のツアーは、観に行く機会を逃しちゃったんですけど、フェスでのパフォーマンスは、TVで観まして。いろんなバンドが出ているなかで、あいかわらずイイ意味での"異物感"を感じさせるなあって(笑)。

渡辺:異物感ですか(笑)。たしかに異物感はとれないですねえ。やっぱね、異物感がないとつまんない、それを楽しまないとって思うんですよね。

川辺:10何年間やってても、ぜんぜん溶け込めてないっていう(笑)。

渡辺:自分たちは楽しんでやってるだけだからなんとも言えませんけど、やっぱり、他と比べればおかしなことやってるから、混ざるのはなかなか難しいとは思いますけどね。でもまあ......はい(笑)。

--SOUL SET自体、異物感の強いメンバーの集まりですからね(笑)。まあ、それが結成当初から貫かれているところだと。見た目的には異物感ないんですけどね(笑)。

BIKKE:そうですね、街並みに普通にマッチすると思います(笑)。

--ところで、今回のアルバムを制作しはじめた時のモード、気分はどんな感じでした?

BIKKE:まあ、こういう世界でやってるから締切みたいなものがありまして(笑)、発売日を聞いた時は「おおっ!」て感じでしたね。勝手に僕の中で5月ぐらいに出すものだと思ってましたから(笑)。

--こういうものを作ってやろう!っていうテーマはありました?

BIKKE:そういうものは、過去を振り返っても一度もないんですよね。でもまあ、今回はツアーをやったあとだったんで、すごくライヴ映えするというか、ライヴでやりたい曲を作るっていう意識は、たぶん3人の中にあったんじゃないかな。

川辺:それをまあ、真剣に考えたわけでもなくて、空いた時間にぼんやりと思っていた程度で。で、さあ始めましょうってスタジオに入って、前の『No.1』には入れなかった曲をいくつか聴いてみたんだけど、今回これはちょっとないなって。で、イチから作ろうと思って、3日間ぐらいで集中してトラックの断片みたいなものをダーッと作って。あとはまあ、二人が手の着けやすいところから始めてくれればいいと。途中でボツになった曲もありますけど、最終的にこうなったわけですよね。

渡辺:ライヴでは、どうしても昔の曲に頼っちゃうというか、だったら、しっかりかっこいい新曲を作ってやろうみたいな気負いはありましたね。長く、これからも歌えるものを作ろうって。

--そういう意味だと、「Rising Sun」なんて曲は名曲感ありますね。

渡辺:その曲は、アルバム作ってる真ん中ぐらいに出来た曲で、BIKKEの詞もすごく早く出来上がったんですね。一週間かからずスルッと出来たんですけど、まあ、そういうのに限ってイイ曲だったりするんですよ。

BIKKE:たしかに、あんまり時間がかかっちゃうのはダメなんだと思いますね。その時の自分には向いてないというか、ハマッてないものなんだと思います。

--今回、とくにキーとなっている曲はありますか?

渡辺:「四月の約束」と「スパークリングサイクリング≡」が最初のほうに出来たんですけど、僕的にはその2曲が出来たことによって、そのあとがすごくやりやすくなりましたね。いままでの僕らにはあまりなかった"昼間"の感じというか、明るい感じの曲でもあるし、そういう曲が先に出来ると、あとからマイナー調の曲を作っても"抜ける"感じがあるんですよね。なんか、いつもの僕たちを出せば大丈夫なんじゃないかなっていう雰囲気になってくるんですよ。

--その場その場の気分に左右されたアルバムと言っていいんでしょうか。

渡辺:うん、それでいいと思いますよ。

BIKKE:圧倒的に左右されちゃってると思いますよ。今回は夏の終わりぐらいからレコーディングに入ってましたけど、真冬から始めてたら、また違うものになったと思います。

--率直なところ、出来上がっての感想は?

BIKKE:まあ、イイとしか言い様がないですけど、楽しくできましたね。イヤな思いせずに(笑)。

渡辺:ストレスはまったくなかったですよ。

川辺:ないこともないだろ(笑)。

BIKKE:そりゃあね、歌詞だってワッハッハッハって笑いながら書いてたわけじゃないから(笑)。

川辺:でも、ストレスですらストレスと感じないこういう人間がいるっていうことは励みになりますよね(笑)。

BIKKE:(笑)。それはともかくさあ、アルバム出来たばっかなんだけど、もう"次"って感じするよね。そうでもない?

渡辺:たしかにあるね。それって『No.1』の時も思ったけど、今回もそう思えた。それまでは、終わったらちょっと休みたいとか、取材とかイヤだとか......今はぜんぜんそういうことを思わないですから。

--では、次のアルバムも1年程度のタームで出る可能性もあると?

渡辺:考えられますよね。そうじゃないといけないし、逆にもしズレるのであれば、意図的に作戦が練られると思います。

--なんか、ここにきてバンドがものすごくイキイキしてる感じですね。

渡辺:それは僕だけかも知れませんよ(笑)。

--でも、メンバーは3人だけですから、ひとりがムードを作れば他の2人も引っぱられると思います。

BIKKE:スカパラぐらい大人数になっちゃうとそうはいかないかも知れないですけどねえ。

--さて、今年のソウルセットはどうなる?

BIKKE:楽しい感じになっていったらいいですねえ。

渡辺:ねっ。

BIKKE:ねっ、じゃねえよ(笑)。

--(笑)。でもまあ、ひと昔前はあたりまえのように感じていたものが、ここ最近であらためてその必要性を実感するっていうことがあると思うんですね。SOUL SETもまさになんですけど、それがメジャー・デビュー当時を知らない世代にも伝わっているような気がします。だいたい、SOUL SETが築いたポジションにちゃっかり入り込んでくる人すらいなかったですよね。

渡辺:コピー・バンドすらいなかったですもんね。バンド・スコアも売り出されなかったから。

川辺:出るわけないでしょ(笑)。

--川辺さんのパートをどうやって譜面にしてるのか興味あります(笑)。

渡辺:たまに楽器屋で探してみたりするんですよね。自分がどうやって弾いてたか忘れちゃったから(笑)。


<取材、文/久保田泰平


Beyond The World
『Beyond The World』
NOW ON SALE!
tearbridge records
NFCD-27168/B / ¥3,360(tax in.)

収録曲
[Disk1]
1.世田通Blooming
2.Rising Sun
3.Who Really Loves You?
4.Endless Crow's Cry
5.Nell
6.四月の約束
7.Good Night Baby
8.Blossom Of New Town
9.スパークリングサイクリング≡
10.Alone Tonight
11.Beyond The World
12.Almost Like Being In Love

[Disk2]
1.Rising Sun (PV)
2.Beyond The World
  (Live@LIQUIDROOM)
3.Endless Crow's Cry
  (Live@LIQUIDROOM)
4.TOUR'08 "Just Another Days
  ~さぁ、どうなんだい~"DIGEST
  -初回限定盤のみ収録-
5.Innocent Love(Digest ver.)
  @DOARAT 10th ANNIVERSARY
  Starring 小泉今日子
6.Blossom Of New Town (PV)


TOKYO No.1 SOUL SET TOUR 2009
"Beyond The World"


6月26日(金)
名古屋CLUB QUATTRO

OPEN:18:00 / START:19:00
出演:TOKYO No.1 SOUL SET
    × リリー・フランキー
料金:All Standing ¥4,500(ドリンク別)


6月28日(日)
大阪BIGCAT

OPEN:16:00 / START:17:00
出演:TOKYO No.1 SOUL SET
料金:All Standing ¥4,000(ドリンク別)


7月2日(木)
東京 赤坂BLITZ

OPEN:18:00 / START:19:00
出演:TOKYO No.1 SOUL SET
料金:1F Standing ¥4,000(ドリンク別)
    / 2F SEAT ¥4,500(ドリンク別)

詳しくはオフィシャルHPで


TOKYO No.1 SOUL SET
(トウキョウ ナンバーワン ソウルセット)
80年代の終わり、東京では90年代のサウンドスケープへと進行する萌芽があった。TOKYO No.1 SOUL SETも、その景から産まれた一つだ。ダンスホールレゲエのクルーであったBIKKEのライヴでバックトラックを刻むDJを担当したのが川辺ヒロシで、そこにバンド経験者であった渡辺俊美が様々な楽器を持ち込んだのがそもそもこのグループの奇妙な形態になっている。たまたまBIKKEはレゲエのパトワでは伝えきれないほどの言葉をリリックに変え、たまたまストレートにレゲエをプレイするセレクターには成り得なかった川辺がいて、たまたま楽器を演奏しコーラスが出来る渡辺が出逢ってしまった。偶然の産物がこの絶妙なるトライアングルを完成させた。
95年、1stアルバム『TRIPLE BARREL』をリリースし、96年に2ndアルバム『Jr.』、99年に3rdアルバム『9 9/9』、ライヴアルバム『9 9/9 ’99野音』をリリース後、活動休止を宣言することもなく、メンバーはそれぞれの活動を開始する。そして2004年、シングル「Change My Mind」、翌2005年には初のベスト・アルバム『Dusk & Dawn』、そして通算4枚目のアルバム『OUTSET』をリリースし本格的な活動再開を果たした。2007年、レーベルを移籍し、12月に第1弾デジタルシングル「Innocent Love / Please tell me」の配信がスタート。この楽曲は、後に小泉今日子のオリジナルアルバムにカバー収録された。2008年1月に第2弾デジタルシングル「just another day」を、3月にアルバム『No.1』をリリース。同年5月から全国8箇所でツアーを行い、2009年、配信シングル「Endless Crow's Cry / Rising Sun」を経て、3月4日、待望のアルバム『Beyond The World』がリリースされた。

オフィシャルHP
http://www.t1ss.net/index.html

TOKYO No.1 SOUL SET インタビュー