ARTISAN de la MUSIQUE

ARTISAN de la MUSIQUE 2009年4月号 - P.01


 〈手塚治虫〉と〈音楽〉といった際、まず押さえておきたいのが愛娘である手塚るみ子がプロデュースした企画盤『手塚治虫、その愛した音楽』だ。
これは手塚が創作時に仕事場で聴いていた楽曲を集めた異色の編集盤で、曲目を見るとクラシックの名曲・名演からミュージカル、映画音楽など様々なジャンルの音楽が収録されている。
 同梱ブックレットには家族を始め冨田勲や藤子不二雄Ⓐらゆかりの人物の証言が紹介されており、巻末に仕事場に残されたアナログ盤リストが掲載されているのも嬉しい。

 今秋、遂にそのベールを脱ぐ、フルCG制作によるハリウッド版「鉄腕アトム」『ATOM』(2009年10月公開予定)。音楽担当は『スーパーマン リターンズ』(06年)や『ワルキューレ』(08年)などを手掛けたジョン・オットマンということだが、やはりこのオリジナル版主題歌のインパクトには敵わない。手塚作品では『ある街角の物語』(62年)に続く起用となった高井達雄の楽曲を始め、その主題歌を三枝成彰が編曲したカラー版『鉄腕アトム』(80年)、さらには実写版(59年)主題歌まで網羅した
『鉄腕アトム・ソング・コレクション』は、『鉄腕アトム MUSIC WORLD』と共に手塚ファンであれば是非とも手元に置いておきたい一枚だ。

 一方、〈手塚アニメ〉と〈音楽〉の関係をさらに印象付けたのが、国産カラーテレビアニメ第一号となった『ジャングル大帝』(65年)。鮮やかに彩られたオープニング映像に、ブラウン管の前で驚愕した視聴者は数知れず。冨田勲が作曲した雄大な主題曲はもちろんのこと、劇中歌にも一度聴いたら忘れられない名曲が数多い。それらを収録したのが『ジャングル大帝ヒット・パレード』
こちらは当初、10吋盤で発売されたのち、LPで再発されたもので、現在は廉価盤CDが入手可能だ。

 続いて紹介しておきたいのが、手塚の代表作「火の鳥」の劇場用オリジナル長編アニメ『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』(80年)のサントラ盤『火の鳥2772 オリジナル・サウンドトラック』。当初、ゴダイゴが担当する予定だった本作の音楽は、最終的にアルバム『オリエンテーション』(79年)収録の楽曲「KOMA」をいたく気に入った手塚がその作者・樋口康雄を抜擢。結果、劇中では件の「KOMA」を冒頭に配して、それに合わせた作画を指示している。ちなみに従来のアニメ音楽とは異なる斬新かつ荘厳な旋律は、のちに本作が国連本部で上映された際にも絶賛されたという。なお、前述の『手塚治虫、その愛した音楽』同梱ブックレット掲載の、仕事場に残されたアナログ盤リストにも樋口の『オリエンテーション』がしっかり記載されている。
鉄腕アトム

ジャングル大帝

火の鳥

©手塚プロダクション


 さて、先頃発売された『マグマ大使』(66年)のDVD『マグマ大使 DVD-BOX』には、特典として山本直純が手掛けたサウンドトラックのCDが同梱されている。
これまで音盤化されていたのは主題歌・挿入歌のみで、劇音楽はこれが初の音盤化。
素材の経年劣化により音質に難ありだが、貴重な記録としてまとめられた意義はある。
また近くコロムビアミュージックエンタテインメントから越部信義が音楽を手掛けた『ジェッターマルス』、そして三沢郷が音楽を手掛けた『ミクロイドS』のサウンドトラックが発売予定だ。






手塚治虫 作業風景
生誕80周年記念特別展
「手塚治虫展~未来へのメッセージ~」

開催期間:2009年4月18日(土)~6月21日(日)
開催場所:東京都江戸東京博物館 1階企画展示室
開館時間:午前9時30分~午後5時30分
(土曜日は午後7時30分まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜日
(ただし5月4日、11日、18日は開館)5月7日(木)
お問い合わせ:TEL 03-3626-9974
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/
手塚治虫 火星人來る!!(小学5年生頃描いた紙芝居)
医師免許証 昆虫手帳
 
【音楽職人トピックス】



濱田高志による
<マンスリー公開講座>のお知らせ。


TV AGEシリーズ監修・濱田高志が、2010年1月より、池袋コミュニティ・カレッジに於いてマンスリー公開講座を開催しています。
詳しくは、こちら

<公開講座>
『ヒットメーカーが語る作品誕生秘話』

テレビ・映画音楽からアニソン、歌謡曲にCMソングまで、職業作家が様々な分野で発表した作品を、作家自身の証言と共に検証する特別講座。テーマに沿ったゲストを交え、名曲誕生の瞬間に迫ります。
【講師:濱田高志】

2012年1月28日(土)18:30~20:30
『孤高の作曲家・平岡精二』
作編曲家にしてヴィブラフォン奏者の平岡精二の活動を網羅的に辿る特別講座。未CD化曲を中心に自作自演、提供曲、映画音楽などをたっぷり紹介します。

2012年2月25日(土)18:30~20:30
『生誕80周年記念集中講座:
ミシェル・ルグランその活動の軌跡[1[』

2012年に生誕80周年を迎える作曲家ミシェル・ルグランの活動をジャズ、映画音楽、提供曲など全てのジャンルを網羅しながら時系列に沿って辿る集中講座(全5回)。第1回はデビューから60年代初頭までの活動を振り返ります。

2012年3月17日(土)18:30~20:30
『生誕80周年記念集中講座:
ミシェル・ルグランその活動の軌跡[2]』

第2回は「シェルブールの雨傘」を中心に貴重なデモや関連楽曲を映像と共に紹介。

池袋コミュニティ・カレッジ
(豊島区南池袋 1-28-1
西武池袋本店別館 8・9階)

●受講お申し込みに関する詳細は、 池袋コミュニティ・カレッジHPをご覧ください。
また、お電話でのお問い合わせは、03-5949-5486まで。
濱田高志(ハマダ タカユキ)
音楽ライター兼アンソロジスト。これまで国内外で企画・監修したCDは300タイトルを数える。現在は「イージーリスニング・ステーション」(USEN)の選曲や「エキスポ・ジェネレーション」、「濱田高志のトレジャー・ミュージック」(STAR digio)のパーソナリティを担当。ミシェル・ルグランからの信頼も厚く、世界初の公認本「ミシェル・ルグラン風のささやき」(音楽之友社)を執筆したほか、「コカ・コーラCMソング データブック」(ジェネオン)「Love Sounds Style読本」など編・著作多数。2007年、ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ『フル・サークル』をコーディネイト。

詳しいプロフィールはコチラ


濱田高志ロングインタビュー
(2007年2月掲載)

濱田高志 監修・選曲・解説
「TV AGE」シリーズ公式HP


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