ARTISAN de la MUSIQUE

ARTISAN de la MUSIQUE 2009年7月 - P.01

『フランシス・ルマルク作品集』
音楽/フランシス・ルマルク

〈パリの吟遊詩人〉の異名をとるフランシス・ルマルクが手掛けた映画音楽を集めた初の作品集。本作にはルマルクがミシェル・ルグランやポール・デュランらと共作した映画音楽8作品から23曲、それにルマルク自身が歌う映画『ぐうたらバンザイ!』(69年)の挿入歌を収録。口笛の名手でもある彼自身の口笛も楽しめる。
 

『ジェッターマルス オリジナル・サウンドトラック』
音楽/越部信義

昨秋から今年にかけて手塚治虫生誕80年を記念した様々なアイテムが発売されているが、本作もその流れに乗った一枚。音楽は越部信義。主題歌、キャラクターソングの作詞は伊藤アキラ。(三木鶏郎の冗談工房出身の名コンビ)。『ジェッターマルス』については、過去にオリジナルソングを交えた「歌とお話」といった構成のLPが発売されたことがあるが、劇音楽を収録した盤はこれが初めて。まさに待望の音盤化だ。なお三沢郷が音楽を手掛けた『ミクロイドS』のサントラ盤も同時発売された。いずれのブックレットにもクレジットはないが、各タイトルのジャケット・イラストは手塚プロのアニメーター、瀬谷新二氏によるもの。
 

『ハノーバー・ストリート/哀愁の街かど』
音楽/ジョン・バリー
この数年、体調不良が伝えられる機会の多かったバリーだが、昨秋にはフランスのオセールで開催された映画祭に招かれて、代表作を地元オーケストラの演奏で再演し喝采を浴びた。また、今春は愛妻と共に再びフランスを訪れ、心ゆくまで休暇を満喫したという。そんななか、昨年から今年にかけて、彼の作品が怒濤の勢いでCD化されている。本作もそのうちの一つで、3,000枚限定発売のタイトル。現在もアルバム『The Americans』(75年発表)のCD化が水面下で進んでいるようで、年内にまだ数作のCD発売が控えている。
 

『三銃士』
音楽/ミシェル・ルグラン

今年上半期にユニバーサル・フランスの再発シリーズ〈Écoutez Le Cinéma〉のラインナップに加わった数タイトルのうちの一枚が本作。ミシェル・ルグランが音楽を手掛けたリチャード・レスター監督による2作品『三銃士』(73年)と『ロビンとマリアン』(76年)のサウンドトラックを収録したもので、前者は91年にCD化済みだが、長らく廃盤になっていた。近年、ルグランが自身のコンサートで組曲に再編成してレパートリーとしているメインテーマを始め、オリジナル盤に収録された14曲が全て収録されている。
一方、本作品集の目玉となるのが後者で、こちらは録音されながらも公開時にリジェクトされた音源の数々だ。近年、作品集に一部が収録されたが、今回は現存する10曲全てが網羅されている。最終的にはジョン・バリーが音楽を担当した本作、先頃そちらもCD化が実現したので、聴き比べるのも一興だ。
なお〈Écoutez Le Cinéma〉シリーズは7月に日本版として10タイトル、さらに日本独自企画のコンピレーション「ル・ジャズ・マニフィック」が発売された。
 

『Magic Time』
中川翔子

元旦に発売された、中川翔子のセカンド・アルバム。松本隆×筒美京平コンビによる「綺麗ア・ラ ・モード」(不二家「LOOK ロイヤルモード」CMソング)をはじめ「through the looking glass」(不二家「LOOKア・ラ・モード」CMソング)やアニメ『劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇』主題歌「続く世界」など聴き所が満載。とりわけ大半の楽曲に作詞、コーラスで参加したmeg rockの仕事振りが充実しており、筒美京平との初コラボ「マカロン☆ホリディ」は聴き逃せない。同じくmeg rock作詞曲としては、先頃発売された松本隆×細野晴臣コンビによる9枚目のシングル「心のアンテナ」のカップリング曲「せーので恋しちゃえ♥」が素晴らしい。こちらは『涼宮ハルヒの憂鬱』エンディング「ハレ晴レユカイ」の作曲者、田代智一とのコラボレーション。
 

『岡本忠成全作品集』
生涯を通じ多彩な短編作品を遺したアニメーション監督・岡本忠成の全作品を網羅した作品集。素材に和紙、杉板、毛糸、皮、粘度などを用いた独特の質感が魅力で、映像はもちろんのこと音楽的にも三味線やフォークソング、バッハのジャズアレンジなど多種多様だ。
作曲家に目を向けると真鍋理一郎、広瀬量平、小森昭宏、クニ河内、樋口康雄ら凄腕がズラリ。星新一のショートショートを人形劇で映像化した諸作は、フランソワ・ド・ルーベが音楽を手掛けたTVシリーズ『シャピ・シャポ』にも通じる未来感溢れるカラフルな映像が秀逸。そのほか『みんなのうた』からは大貫妙子が歌う「メトロポリタン美術館」をはじめとする6作品が収録されている。
 

『Coffret Jacques Demy : Intégrale』(フランス盤)
アニエス・ヴァルダ監修によるジャック・ドゥミの全作品を収めた12枚組(1枚はCD)DVD-BOX。昨年11月の発売だが、敢えて取り上げた。特典映像満載の本作品集、ドゥミ・ファン、ミシェル・ルグラン・ファンならば必携だ。なお、あくまでもオマケとして付けられた特典盤CDには、ルグランがドゥミ作品のために用意したデモ音源を特別収録。本作品集のためにほかでは聴けないテイクをチョイスしている。
本DVD-BOX 、配給の関係から同じ構成による日本版の発売は叶わないが、ここに収録された作品のうち代表的な作品が『ジャック・ドゥミ初期作品集DVD-BOX』(紀伊國屋書店)『ドヌーヴ×ドゥミ×ルグラン コンプリートDVD-BOX』(ハピネット)として発売中だ。
 

『マグマ大使DVD-BOX』
66年7月から67年9月にかけて全52話が放送された『マグマ大使』が初のDVD化! 発売告知が出てから首を長くして待った甲斐あって、実に満足のいくパッケージに仕上がっていた。
初回限定版にはBGMを収録したCD『マグマ大使 BGMコレクション』が同梱。音質は必ずしも満足できるものではないが、40年以上封印されていたという16ミリ・シネテープから奇跡的に復元された楽曲の数々は、やはり感動もの(全47トラック)。映像、音源共に、本企画がなければ実現しなかったであろう労作である。上半期、一番のお勧め!
 

『Mina Gli anni Rai』(イタリア盤)
「月影のナポリ」「砂に消えた涙」のヒットで知られるイタリア人歌手、ミーナ(・マッツィーニ)が出演したショー番組の映像をまとめた10枚組のDVD-BOX。収録されているのは、古くは59年から最新のもので72年まで。一部モノクロを交えつつほぼ時系列に沿って編集されており、中心となるのは65年から68年の映像である。見事な歌唱とスターの貫禄に満ちた軽快なダンスが素晴らしい。生バンドとの掛け合いやダンサーとの競演が楽しく、再生ボタンを押すとついエンドレスで見入ってしまう。意外なところでは、アルマンド・トロヴァヨーリのピアノ演奏をバックに映画『黄金の七人』の主題曲を披露するシーン。若きトロヴァヨーリのスマートな演奏に加えてミーナの超絶スキャットに悶絶!!
 

『トムとジェリーDVD BOX』
 巷で話題の宝島社が販売しているパブリックドメインDVDシリーズの一作。ほかに『同VOL.2』『ポパイ』『ベティ・ブープ』『ウッディー・ウッドペッカー』『ドルーピー』『ルーニー・テューンズ』が発売中。画質の劣化は激しいが、お手頃価格で2枚組なのが嬉しい。とにかく手元に置いて損はないシリーズだ。
 

【音楽職人トピックス】



濱田高志による
<マンスリー公開講座>のお知らせ。


TV AGEシリーズ監修・濱田高志が、2010年1月より、池袋コミュニティ・カレッジに於いてマンスリー公開講座を開催しています。
詳しくは、こちら

<公開講座>
『ヒットメーカーが語る作品誕生秘話』

テレビ・映画音楽からアニソン、歌謡曲にCMソングまで、職業作家が様々な分野で発表した作品を、作家自身の証言と共に検証する特別講座。テーマに沿ったゲストを交え、名曲誕生の瞬間に迫ります。
【講師:濱田高志】

2012年1月28日(土)18:30~20:30
『孤高の作曲家・平岡精二』
作編曲家にしてヴィブラフォン奏者の平岡精二の活動を網羅的に辿る特別講座。未CD化曲を中心に自作自演、提供曲、映画音楽などをたっぷり紹介します。

2012年2月25日(土)18:30~20:30
『生誕80周年記念集中講座:
ミシェル・ルグランその活動の軌跡[1[』

2012年に生誕80周年を迎える作曲家ミシェル・ルグランの活動をジャズ、映画音楽、提供曲など全てのジャンルを網羅しながら時系列に沿って辿る集中講座(全5回)。第1回はデビューから60年代初頭までの活動を振り返ります。

2012年3月17日(土)18:30~20:30
『生誕80周年記念集中講座:
ミシェル・ルグランその活動の軌跡[2]』

第2回は「シェルブールの雨傘」を中心に貴重なデモや関連楽曲を映像と共に紹介。

池袋コミュニティ・カレッジ
(豊島区南池袋 1-28-1
西武池袋本店別館 8・9階)

●受講お申し込みに関する詳細は、 池袋コミュニティ・カレッジHPをご覧ください。
また、お電話でのお問い合わせは、03-5949-5486まで。
濱田高志(ハマダ タカユキ)
音楽ライター兼アンソロジスト。これまで国内外で企画・監修したCDは300タイトルを数える。現在は「イージーリスニング・ステーション」(USEN)の選曲や「エキスポ・ジェネレーション」、「濱田高志のトレジャー・ミュージック」(STAR digio)のパーソナリティを担当。ミシェル・ルグランからの信頼も厚く、世界初の公認本「ミシェル・ルグラン風のささやき」(音楽之友社)を執筆したほか、「コカ・コーラCMソング データブック」(ジェネオン)「Love Sounds Style読本」など編・著作多数。2007年、ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ『フル・サークル』をコーディネイト。

詳しいプロフィールはコチラ


濱田高志ロングインタビュー
(2007年2月掲載)

濱田高志 監修・選曲・解説
「TV AGE」シリーズ公式HP


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