--この夏はいくつかロックフェスに出演されたそうですね。いかがでしたか。
荒山:のあのわはフェス・バンドだなと思いました(笑)。単純に気持ちいいですね。お客さんもリラックスして聴いてくれているんで、僕らも開放的な気分で演奏できるし。僕らの音楽は、CDだけでは伝わらない部分があるんですよ。
Yukko:CDでは私たちの世界観をキレイに見せられたらいいなと思っているんですけど、のあのわは根がロックなので、ライブは素ののあのわが出るんです。でも私が弾いているチェロは野外だと、チューニングが狂いやすくて……。
--チェロをもって、どのようにパフォーマンスしているんですか。
Yukko:チェロスタンドがあるんで彼女(チェロ)自身、ひとりで立っていてくれるんです(笑)。途中、ハンドマイクで動き回ったりすることもありますから、結構自由にやらせてもらっています。フェスに出るようになったんで、もうひとりをチェロを入れました。彼か彼女か(笑)。
--そういうふうにフェスにも参加して、徐々にプロとしての実感がわいてきたのではないですか。
Yukko:意識は変ってきていますね。自分の気持ちを強くしないといけないと思います。お客さんに楽しんでもって、そこでいかに自分たちも楽しめるかっていう責任感みたいな気持ちが芽生えてきました。
--ファースト・アルバム『SPECTACLE』を聴いて、まず1曲目の「夜明け」に驚きました。
Yukko:この曲は元々最後の曲にしようと考えていたんです。だから「1曲目がいいんじゃない?」って一緒に作っていたエンジニアの方に言われた時は、すごく驚いたんです。でも、1曲目にして聴くと、アルバム全体が荘厳というか、締まった感じになって、「これもあり」って思ったんです。何かが収束して、そこから新しく始まるのは、素敵だなと。
ゴウ:結末を最初に見せている感じが映画的ですよね。
--歌詞の内容から慈愛が感じられますね。
Yukko:最初にこの曲を聴いたとき、人が集まってろうそくに火を灯すようなイメージが浮かんだんです。悲しみの中に暖かい気持ちがあったりして。大きなテーマをもちつつ、一対一の関係が表現できたらいいなと思いながら書いたんです。「それは欲張り」って言われましたが……(笑)。
--でもアルバム全体のテーマを大きいですよね。
Yukko:日常よりも、漠然としたものや壮大なものが好きなんです。大きなテーマのものって、別に口に出して言わなくても分かることが多いじゃないですか。でも私はそれをあえて大きな声で歌いたいって思っていたんです。私はミュージカルが好きでよく見にいくんですけど、必ず感動するのは、普遍的なシーンなんですよね。私はいつも「アニー」とかのミュージカルをやっている女の子になれたらいいなって思うんです。叶わない夢なんですけど(笑)。あとはジブリ作品からも影響を受けていると思いますね。
--クレジットを見ると曲はメンバーが万遍なく書いていますね。メロディにYukkoさんの歌詞が乗ったときに最初のイメージと違ったりすることはありますか。
ゴウ:「カエルのうた」はびっくりしました(笑)。その“びっくり”は、いい意味で、ですが……。でも、いつも「どう歌詞を書くんだろう」って、期待しちゃいますね。あるとき、回りから見ていてあまりにも作詞が大変そうなんで、「ちょっと手伝おうか?」って言ったら、「じゃあ、私歌わない!」って(笑)。自分の歌詞じゃないと、歌いたくないみたいなんです。
Yukko:自分の言葉じゃないと、私が歌っている存在意義がなくなっちゃう気がしちゃうんですよね。
--ボーカルもインパクト十分です。歌詞、ボーカル、そして曲の着想から、普通のJ-POPじゃないんですね。全体的にドラマティックですが、そこは作曲する時点で考えていたことなんですか。
Yukko:元々メンバー全員がドラマティックでドリーミーな音楽が好きなんです。
ゴウ:このアルバムは、もともと「SPECTACLE」というキーワードがあって、それを軸に作っていったんです。それが結果的にドラマ性を帯びたということなんです。
--こういう音楽を演奏で表現するには、それぞれのテクニックがなければ難しいですよね。
ゴウ:僕は全然テクニックや理論はないんですけど、荒山君は、音楽の専門学校で理論を学んでいるんですよ。だから、曲を作っているときは、理論なんて気にしないんですけど、最終的に彼に直してもらっているんですよ。
Yukko:すごい理論派で、助かっています。
荒山:そういう役回りが全部自分に回ってくるんです (笑)。みんなヤンチャなんで……。
--そもそも、バンドの編成にチェロを入れたのは、どういう理由からなんですか。
Yukko:元々私はギターボーカルだったんですけど、ギターを弾いて歌うことに、しっくりきていなかったんです。それで、昔から大きい楽器が好きだったので、映画でチェロ見たときに「これ!ジャストサイズ!!」ってビビッと来たんです。一回も弾いたことなかったんですけど「チェロ弾きながら歌いたいんで、ギター置きます」って(笑)。
ゴウ:びっくりしましたよ。「何考えてんのかな?」って(笑)。
--(笑)。すぐに習得できたんですか。
Yukko:全然……。私のチェロ転向と同時に、キーボードに荒山君が入ってきてくれたんですけど、全然弾けなくって、詐欺師みたいになっていました(笑)。
荒山:チェロ辞めちゃえばいいのになって……(笑)。でも、絵的には神秘的ですごく彼女に似合っていたんです。
--チェロ以前と以後で、音楽は違ってきましたか。
Yukko:チェロが入ることで、ポップな曲に少し深みがでたということはあると思います。でもそれとは別に、このバンドはメンバーと一緒に成長してきましたね。今はこの5人でやることで音楽性も変ってきていると思います。
--クラシックとポップスの融合を目指しているんですか。
ゴウ:それは目指すところではありますけど、それしばりではないですね。要は誰もやらないようなことをできないかなと思います。
--では今回のアルバムについて聞かせてください。
Yukko:『SPECTACLE』は、デビューまでの集大成的な作品で、今の“のあのわ”をみんなに見てもらいたくて作りました。『SPECTACLE』には壮大や奇想天外という意味があるんですね。前のデビューアルバムのときはショーケースに入っているような、のあのわのキレイな部分だけを見せていたんですけど、私たちにはかなりやんちゃな部分があるんで、今回はそのショーケースのガラスを割って、もっと人と近づいて、生身の人間として一緒に音楽を共有したいって気持ちが芽生えてきたんです。「友達になろう」って思いで作ったアルバムなんです。
荒山:ライブを重ねてきたことで、もっと自分たちがファンに与えたいもの、逆にファンからもらいたいものもあるんだってことに気づいたんですよ。単純にみんなで踊りたいとか笑いたいとか、そういう部分を求めているんだなって。
--バンドって普通、ボーカル+バックバンドみたいな形態が多いけど、のあのわは5人全員のアイデアを結集させている感じがしますね。最後に今後の目標を聞かせてください。
Yukko:私たちが最終的に見せたいものは、圧倒的な歓喜なんですよ。みんな心の中に持っているんだけど、普段の仕事なんかで忙しかったりで思い出したりしないものを、のあのわの音楽で一緒に体感しましょうと。そのためにはさらに精力的に活動していって、いつかは何万人ものお客さんの前でライブをやりたいですね。そして最後はハトを……。
ゴウ:ハト飛ばすんだ(笑)。
Yukko:一周させて、肩に戻ってくるんです。それが夢です(きっぱり)。
荒山:物事の見方を意識していますね。例えばこのアルバムのジャケットを見てもらうと、ちょっとした違和感を覚えると思います。シャンデリアが海岸に生えているみたいな。でも、それを反対から見たら壮大に見えたりするんですよ。そういう部分が音楽にも眠っていて、角度を変えることで、別の世界が見えてくるんです。そういうきっかけになったらいいなと思います。
ゴウ:妄想好きなんです。それがどんどん広がっていて。「お前ら、そんな妄想してんの? おれも入れてよ」みたいな感じで、どんどん人が集まってくれれば、さらにのあのわの世界は広がっていけると思います。
<インタビュー/文:竹部吉晃>




