今年6月、adidasのブランドキャンペーン「Celebrate Originality」の全世界コマーnシャルに、デイビッド・ベッカムやミッシー・エリオットなどと共に出演。その続編映像では、ランDMCのクラシック「My Adidas」を御本家のDMCと共演し、世界のヘッズの度肝を抜いたヒューマンビートボクサー、AFRA。05年以降は、啓とK-MOONとで組んだAFRA&INCREDIBLE BEATBOX BANDで活動していた彼が、約5年ぶりとなる3rdソロ・アルバム『Heat Beat』を完成させた。しかも今回は、楽器を一切使わない、世界初の完全肉声作品。ドラム、パーカッション、スクラッチ等々……彼の口から発せられるあらゆる音を幾重にも重ねた音像は人間味があってプリミティブな躍動感に満ち、なおかつ見事に「音楽」として鳴っている。AI、Mummy-D、BOSE(スチャダラパー)、ハナレグミといった個性派ゲストも参加していて、アルバムの質感をポップに昇華。彼にしか作れないし、世界でも類を見ない、超舌技口さく裂のアルバムだ。

--アルバムが完成した今の率直な気持ちから教えてください!
AFRA:頑張りました!(笑)
--あはは。「やっとできた」っていう感じですか?
AFRA:5年ぶりのソロだったんで、久しぶりに全集中したというか。前は3人やったんで(啓、K-MOONと組んだAFRA&INCREDIBLE BEAT BOX BAND)、曲も分担作業だったんですけど、今回はひとりでフル回転で(笑)。そういう意味で頑張りましたって感じですね。
--媒体向け資料に書いてありましたが、今作は「世界初」のオール肉声アルバムだとか。
AFRA:「声だけで作るアルバムを作ってみたいな」っていう気持ちがずっとあったんですよ。作りたいというか、作れるやろう、みたいな気持ちが漠然とあって、それが今回やっとできた。ヒューマンビートボックスをやる人のミッションというか、アルバムを声だけでやってしまいたいっていうのは強かったんですよね。
--たとえば、ビートボクサーとして世界的に知られるラゼール(元ザ・ルーツ)のアルバムも楽器が入っていたりしますもんね。
AFRA:そうなんですよ。声だけでヒップホップアルバムっていうのは僕は知らなくて。ラゼールとかスクラッチとか、フランスのヒューマンビートボクサーのアルバムとかを聴いても、何かをサンプリングしてたり、楽器が入ってたりするんで。じゃあ、そうじゃないものを作ろうっていうところはありましたね。
--アルバムを作っていく上で、大切にしていたポイントは?
AFRA:アルバムを作る前から「Heart Beat」っていうのをテーマにしてたんですね。ヒップホップもひとつの音楽と捉えて、人のハートに届くものを作りたくて。今まで僕が作ったアルバムって、フィジカルというかダンスミュージックが多かったので、曲の持つメッセージとかテーマとかをちゃんと人に届けるようにしようっていうのが、一番気を遣ったところですね。
--じゃあ、アルバムタイトルも前々から決めていた?
AFRA:最初からこれに決めてました。「Heart Beat」っていうダンスクラシックで、ディスコビートの曲があるんですが、もともとその曲が好きだし、そのタイトルが大好きで。音楽=人間から発したものっていう部分では、ハートは人間にとってメインな部分だし、譲れないと思うんですよ。ハートが震えるから、何かに感動したりとか、何かに影響受けたりとか、何かを歌いたくなると思うんです。そういうところから発するビート、そういうアルバムにしたいなっていうのが最初からあって。
--ビートの根源は心臓の鼓動音だ、みたいなところもあったり?
AFRA:そうですね。人間が音楽を奏でてるのは、もともとは人間が何かしら音を奏でたい気持ちになったからやと思うんですね。それはハートから来てるものやし、ビートって鼓動音以上のものはないんじゃないかと思って。で、作った音楽も人のハートに届けたいっていうのがあったので、その両方の意味でタイトルをつけたんです。
--本作にはさまざまなゲストを迎えていますが、ラインナップはどのように決めていったんですか?
AFRA:アメリカに4年住んでて、日本に帰ってきたのが2003年なんですけど、そこから東京に住みだして音楽活動をしてきた中で出会った人。ライブを一緒にやったことがあるとか、音源を一緒に出したことがあるって言う人ですね。スチャダラパーやライムスターは小学校のときから聴いてたんで、そういう憧れの人たちもいるし、サイプレス上野とかCOMA-CHIは年も近いし、まあ、同じ空気を吸ってる人たちです。
--初めてという人もいるんですか?
AFRA:実は、音源では、COMA-CHIもサイプレス上野もRUDEBWOY FACEくんも初めてなんですよ。あとはMummy-Dさんも初めて。でも、こうやって並べるとすごくいろんな人たちって感じですよね。
--そう。世代も適度に振り幅があるし、男女両方取り揃えてるし、ヒップホップ勢が中心だけど、ハナレグミ(永積タカシ)も参加してたりして。各界のオイシイところを取り揃えました、みたいな客演陣ですよね。
AFRA:うん、オイシイの好きですから(笑)。やっぱり、やって面白くなりそうなモノを作りたかったんですよね。
--客演曲の中でも特に印象に残ってるセッションは?
AFRA:どれも濃厚で、選べないですねー。難しい。
--じゃあ、曲を作っててエキサイティングだったのは?
AFRA:それも、どれもなんですけどね(笑)。でも、AIちゃんとの曲(マイケル・ジャクソン「Beat It」のカバー)は、AIちゃんの声でマイケルの歌詞が聞こえてきたときは興奮しましたね。たやすく歌えない曲だし、ホントに歌がすごいなって思った。僕もノドを使う仕事してますけど、全然違うところで「やっぱすごいわ」って。あと、「木漏れ日の中の21世紀 feat. BOSE&ハナレグミ」は一発録りなんですけど、アルバムバージョンの方は、やり終わったあとに「ピピッ」って、今してるこの腕時計が鳴って、「もうばっちり決まったのにぃ」って(笑)。でも「ピピッ」って可愛く鳴った音に触発された永積さんが「ほら、イケー!」みたいに煽って、僕の「ピピ、ブン、ピピ、ブ、ブン」ってビートボックスで終わっていってるんですね。すごいタイミングで鳴ったなっていうのと、曲の雰囲気はしっとりしてるけど、そのピピで変わっていくテンション、みたいな。そういうのが面白かったですね。ミョーにライブ感が出た(笑)。
--Mummy-Dとの「The Voice, The Noise」はどんなイメージで作ったんですか?
AFRA:Dさんは一流のラッパーで声が武器。で、僕も声が武器っていうところが出発点になっていて。ストレートなヒップホップをやりたいっていうのと、声を活かしたいっていうことで、イントロもハットだけを刻んで、そこにDさんの声が乗ってきて始まるっていう構成にしてるんです。だから声がメイン。声を使って、人をアゲていくっていうところを歌おうって。
--オールドスクール感の高い曲ですが、彼とやるならそういう曲っていう気持ちもあった?
AFRA:そうですね。Dさんとやるなら、そこが一番しっくりくるイメージだったんで。逆にCOMA-CHIは全然違う感じの曲になってるんですよね。その相手のキャラクターで、こういうビートっていう感じに作ってるので。
--COMA-CHIとの「グッデイバッデイ」はエレクトロ風味で、かわいらしい曲ですよね。
AFRA:かわいらしいですね。テーマが女子からの意見というか、COMA-CHIで歌えるものを歌って欲しかったんです。僕には歌えない、キラキラオシャレして、みたいな(笑)。そういうのが歌える子だし、今のエレクトロとかM.I.A.とか、そういうのにもアンテナ張ってる子やから、そういう方向のモノを作りたいなって。だからビートも変則的というか。後半になると倍速になるとか、そういうところも意識して作ってるんです。
--「Wild Bouce feat. サイプレス上野」は、盛り上がり必至のフロアチューンですね。
AFRA:これもまた面白くて。サ上いわく、最近のラッパーはシリアスなラッパーが多いと。だから、もう意味のないことラップしたいと言ったので、じゃあ、それで行こうよって(笑)。で、僕の好きなオールドスクールなラップをフィンガースナップ(指ぱっちん)だけでラップするような、そういう路上でやってる感じにしたいと思って。歌詞も基本的には、次は誰がラップするの?ってことしか言ってないんですよね(笑)。
--そう、お互いの名前を連呼してる曲(笑)。
AFRA:で、ワーッと盛り上がって終わるっていう。ホント、パーティラップです(笑)。
--ちなみに、アルバムで難易度の高かった曲はありますか? 自分ではやれると思ってたけど、いざやってみたら大変でした、みたいな。
AFRA:「Beat It」のギターソロですね。あの、エディ・ヴァン・ヘイレンはなかなかできない。っていうか、できないです、アレは。一応やってみたんですよ。けど、格好悪くて恥ずかしかっただけです、ウィ~~ンって口で言ってても(笑)。





