Full Of Hermony(以下FOH)のリードボーカルとして日本のR&Bシーンを黎明期から牽引してきたHIROが、待望のソロ活動をスタート。心機一転、MIHIRO~マイロ~と名義を変え、1stソロアルバム『My Way』を完成させた(11/28リリース)。本作には、FOHで既にコラボ済みの大御所プロデューサー、テディ・ライリーをはじめ、Mummy-D、ZEEBRA、May J.、JESSE(RIZE)がゲスト参加。スウィートなナンバーからカッティングエッジなものまで、得意のR&Bは硬軟取り揃えつつ、もうひとつの彼のルーツであるロックサウンドにもアプローチ。イマドキのエレクトロ風情もあれば、宇多丸(ライムスター)プロデュースによるピチカートファイブのカバーまで飛び出す、聴きどころたっぷりの一枚となった。彼の故郷、長野の特産といえば、あっさりとした口当たりが万人受けしやすい信州味噌。マイロがR&B(大豆)とロック(塩)とポップス(米麹)を丁寧に練り合わせて作ったサウンドは、それと同じで、実にうまい。
--そもそも、どういうきっかけで今回のソロ活動は始まったんですか?
FOHが今年10周年を迎えたっていうところが大きいかな。で、その前からYUTAKAはDJをやってるし、ARATAはARATAで映像クルー(TERMINAL JAPAN)に参加して動いてて、「俺はどうしたらいいんですかね?」みたいな(笑)。だから、意外と、俺のソロは最近始動した感じなんですよ。グループが10周年迎えて、ひとつ区切りもついたし、何やろう? 何したい? っていう。そのときに僕には歌うことしかないから、じゃあ、ソロで歌うと。
--ソロデビューにあたり、名義を変えましたね。
変えました。これ、読めるのか?っていうところもあるんですけど(笑)。
--「MIHIRO」とググるとAV女優がまずヒットしますしね(笑)。
もうそれが好きでね。それがいいんです(笑)。
--ただ、呼び名は「みひろ」ではなく「マイロ」。
そうです。これはもう心機一転ですね、単純に。
--しかも、命名がテディ・ライリーっていうのがすごい。
はい。意味は、My Heroなんです。自分にとっても、リスナーにとっても、ヒーローで在り続けたい存在が僕であればすごく幸せなことだっていう。それをテディ的な造語で書いたモノなんです。
--今回のアルバムはどんなものにしたいと思っていました?
新しいモノを作ろうっていう意識はすごくあったし、あと、スタッフとよく言ってたのは、残るアルバムにしようと。これはマイロにしかできない、そういうアルバムを作ろうっていうところから始まりました。
--本作で聴けるサウンドは、ドが付くような直球R&Bばかりじゃないし、ポップなものもありますよね。自分のルーツ表現と新しい音への挑戦、その辺のバランスはどんな風に考えてました?
やっぱり自分に嘘はつけないし、その点では自分のルーツを出していこうっていうのはありました。ただ、FOHでやってるときはR&Bがすごく大事だし、そこからめざすポップだと思うんですけど、僕のソロだと考えると、小学校のときにR&Bと同時期に出会ったロック、ヘビーメタルっていうのがあって。たとえば「Take Me Higher」でJESSEを起用するとか、あの歌の僕のアドリブのフレーズはギターで弾けるんじゃないかとか、そういうロック的な匂いも感じて欲しい一枚になったかなと思います。
--加えて、少年隊の「君だけに」のカバーもあって。
そういう歌謡曲も当時聴いてたから。当時、どっぷりR&Bだったんですけど、「君だけに」は俺が感じた日本のR&Bだったんですよ。あとは「Missing」(久保田利伸)とか。そういう曲にR&Bの匂いを感じ取ってたんですよね。
--本作を作るときに、自分の中でルールにしていたこととかありますか?
スタート時はルールにしてたんだけど、最終的にヤッちゃったなっていうのはあります(笑)。
--(笑)その破っちゃったルールって?
コーラスに頼っちゃうっていうこと。最初はコーラスを入れないと思ってたんです。FOHでハモりはとことんやってるんで、「Happy Birthday To You」みたいに頭から一本のボーカルで歌っていくっていうものを作ろうと思ってたんですよ。けど、やっぱりしたくなっちゃうんですよね(苦笑)。ハモりたくなる。(声を)重ねたくなる。グッと来ないんですよね、曲が。今までそれに慣れて来ちゃったから、不安になってるだけなのかもしれないんですけど、そこら辺は、今回、葛藤でしたね。脱ハーモニーって思ってたんだけど、「あー、またやってるよ、思い切り!」みたいな(笑)。
--でも、そのハーモニーも自分の声で作るわけだから、自ずと今までとは違う仕上がりになってますよ。
確かに自分でやってると違いますね。なるべく僕は張る声で重ねていったりするし、あとはちょっとブレッシーに歌ったり、クールに歌ったり、そういうハモり方もしたんで。あと、FOHでやってるときは、鍵盤でちゃんとハモりのメロディを作っていくんですよ。けど、今回はそれを一切やらず、その場で僕の頭に鳴ったものを重ねていくやり方にしたんです。
--自分のフィーリングでメロディを作って、自分の体内にあるコード感でハモりをつけていったと。
そう。だから、ちょっと音がハズれてようが関係なし。「俺の気持ちいいのはここなんだから」っていう。今回はかなり声を足してるし、ハーモニーも超難しいことやってるんで、そこはヘッドフォンとかでじっくり聴いて楽しんでもらえれば。ホント、今回のアルバムは、たっぷり120%マイロですね。
--そんなアルバムはインタールードを挟んで三部構成のような作りになっていますよね。それぞれのブロックを「〇〇な~マイロ~」という風に紹介するとどうなります?
最初の3曲は、「OOH GIRL feat. BLACKSTREET」はR&Bだし、「You’re da ONE feat. May J.」は今風だと思うんですよ。で、1曲目の「君色日和」は僕の一番やりたいミッドR&Bのカタチで。だから、まずは「マイロを紹介する3曲」っていうのが頭のブロックですね。
--じゃあ、次のブロックは?
「ライブなマイロ」ですね。「やっぱライブがメインだよ、マイロは」って言うために作った曲でもあるし、みんなの笑顔を見たいがために作った曲だから。
--ラスト3曲は?
これはラブ。インタールードで、君がいないと僕は歌えない、と言ってる通り。俺がラブソングを歌う理由は君がいるから、みたいな。でも、これこそ、俺の中ではR&Bですね。R&Bというかソウル。
--本名とか、素のマイロ、みたいなところもあるのでは?
うん、そうかもしれないです。「男、マイロ」みたいな。「やっぱり男だな、お前は」みたいな。それが出てると思います。
--では、自分的にアルバムの顔になったなと思う曲はどれでしょう?
「君色日和」「Take Me Higher!! feat. JESSE」「One Mic, One Life feat.
Mummy-D, ZEEBRA」。この3曲は顔ですね。
--「君色日和」は今風のライトなR&Bですよね。こういうの、なかなか日本のR&Bシーンで聴けないんでうれしかったです。
そうなんですよ。ハートフルな、あんまり重たくない、スムーズなR&Bっていう。なんか陽の当たってる感じのサウンドですよね。湿ってないし、ちょっとカラッとしてるギターサウンドをイメージしていて。
--歌詞はどんなイメージで作ったんですか?
もう直球のラブソングです。サビもほとんど「I love you」しか言ってない(笑)。でも、付き合い始めの「I love you」というよりは、3年、5年と付き合って、いろんな山あり谷ありを経て、改めて言える「I love you」を表現したかったんです。
--この主人公はまだ「一緒に住もうか」と言えてないから、結婚手前の「I love you」ですよね。でも、ちゃんと彼女を電車のホームまで送って行ってたりして、優しさや真摯さが滲み出てる歌になってる。
そうなんですよ。そこに俺の恋感が出てると思いますよ(笑)。ピースな歌だと思うし、いい意味でポップな曲になったと思います。僕にすごく合う曲になったなって。
--続く「You’re da ONE feat. May J.」は、今じゃなく、昔のエレクトロ〜オールドスクールヒップホップの匂いを感じるナンバーでした。
それは僕も思ってました。そこがこのトラックをセレクトした理由じゃないですかね。オールドスクールさって、やっぱりハートをくすぐるところがあって。
--マイロさんは雄々しくも歌えるけど、この歌ではやさしく歌っていますよね。そこは意図的なものですか?
女性と歌うのは久々だし、彼女の良さを伝えたくて、彼女をメインに作りたかったんです。で、逆に僕はバックボーカルみたいなことをしたくて。
--以前にDOUBLEや吉田美和とデュエットしてますが、そことの違いは?
美和さんの場合は、僕の方が年下なんで、若さで見せないといけないっていう感じだったんですよね。で、TAKAちゃん(DOUBLE)の場合は、タメで、イーブンでやり合うところがあったんです。でも、今回はすげえ年下だから、そこで俺がガーッと張ってても引いちゃうかなと思って。僕が息を合わせるようなカタチにしたし、女性をエスコートするような歌い方をやっと覚えました(笑)。



