ARTISAN de la MUSIQUE

ARTISAN de la MUSIQUE 2009年11月号 - P.01

では、ここで2009年に日本で紹介されたルグラン作品をざっとおさらいしてみよう。


 まずは今年2月に東京と大阪で日本人キャストによって上演された舞台『マルグリット』。これは『レ・ミゼラブル』、『ミス・サイゴン』で世界のミュージカル界を席捲したアラン・ブーブリル、クロード=ミッシェル・シェーンベルクとルグランが初めてタッグを組んだ最新の舞台音楽で、初演は昨年6月にロンドンで行なわれた。原案はデュマ・フィスの戯曲「椿姫」。日本版の主なキャストは、マルグリット役に元宝塚のトップスター、春野寿美礼(はるのすみれ)。そして、マルグリットの相手役アルマンには、男性ソリストグループESCOLTAで活躍し、今、女性から絶大なる支持を集めるテノール歌手・田代万里生(たしろまりお)。マルグリットとアルマンの仲を引き裂くオットー役には、この舞台が初の海外本格ミュージカル挑戦となる寺脇康文ら。本国版とは異なる日本キャストならではのステージが繰り広げられた。


 また、同作の日本公演とほぼ同時期にルグランの代表作である映画『シェルブールの雨傘』(64年)と『ロシュフォールの恋人たち』(67年)が世界に先駆けて日本各地でデジタルリマスター版として上映され、好評を博した。奇しくも彼が手掛けた新旧のミュージカル作品が揃った格好である。


 続いて6月には、パリ国立音楽院出身の新進トランぺッター、ニコラ・フォルメルとのコラボーレーション・アルバム『ニコラ・フォルメル・ミーツ・ミシェル・ルグラン』の国内盤が発売、秋には資生堂uno「FOG BAR」のCFに、64年発表のアルバム『Archi-Cordes』収録曲「Di-Gue-Ding-Ding」が使用され話題となった。


 そして12月5日からは東京・日比谷の日生劇場にて、79年にアメリカで舞台化された舞台ミュージカル版『シェルブールの雨傘』の上演が決定。来年1月には大阪での公演も予定されている。


 ことほどさように、2009年は“ルグラン・イヤー”と呼んで差し支えない盛り上がりを見せたわけだ。
 そして、それら一連の動きの掉尾を飾るべく12月16日には、最新作『シンフォニック・ミュージカル』(原題:「musicales comedies」)の国内盤が発売される。

 
 ミシェル・ルグラン久々の新作となる本作は、彼の良き伴侶でハープ奏者のカトリーヌ・ミシェルをフィーチャーしたシンフォニック・アルバム。本国では9月の発売と同時に好セールスを記録し、クラシック・チャートで初登場1位の栄冠に輝いた。「シェルブールの雨傘」、「おもいでの夏」といった自作はもとより、敬愛するジョージ・ガーシュウィンの「ポーギーとベス」やレナード・バーンスタインの「ウェスト・サイド・ストーリー」など、スタンダードソングに新たなアレンジを施した意欲作である。
 2枚組というボリュームの内訳は、CD1が1985年にフランスのTravelingレーベルから発表されたアルバム『Musique et Cinema』のリマスター盤。一方のCD2が新たにレコーディングされた新作だ。ただし、CD1に収録された「愛のイエントル」については、日本盤のみ、ハープのパートを再レコーディングしたニュー・ヴァージョンが収録されている。


 レコーディングはCD1が1985年の晩夏。CD2は2008年の初夏から初秋にかけて複数に渡って行なわれており、後者ではブリュッセルの教会が使われた。レコーディング終了から発売までにおよそ一年かかったが、これは年間を通して世界各地を演奏旅行して回るルグランの多忙なスケジュールに起因するものだ。70代後半の高齢にも関わらず、音楽に傾ける情熱は衰えることなく、むしろ年を経るごとに力が漲っているという彼は、常に複数のプロジェクトに関わっており、現在も新作オペラやレコーディング、コンサート活動で休む間もない。老いてなお精力的な活動を続ける彼からは、まだまだ目が離せそうにない。

 

 

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濱田高志(ハマダ タカユキ)
音楽ライター兼アンソロジスト。これまで国内外で企画・監修したCDは300タイトルを数える。現在は「イージーリスニング・ステーション」(USEN)の選曲や「エキスポ・ジェネレーション」、「濱田高志のトレジャー・ミュージック」(STAR digio)のパーソナリティを担当。ミシェル・ルグランからの信頼も厚く、世界初の公認本「ミシェル・ルグラン風のささやき」(音楽之友社)を執筆したほか、「コカ・コーラCMソング データブック」(ジェネオン)「Love Sounds Style読本」など編・著作多数。2007年、ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ『フル・サークル』をコーディネイト。

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濱田高志ロングインタビュー
(2007年2月掲載)

濱田高志 監修・選曲・解説
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