「ダイエット」
なんとも恐るべき言葉でしょう!
このたった1つの言葉で、数多の人間のまなざしを奪うことが可能です。
現代日本において、これほど求心力のある言葉が他にあるでしょうか?
「愛」とか「恋」とか「夢」なんて敵ではありません。 たとえば、書店に並ぶ雑誌に「ダイエット」の文字が躍らない時はありません。
かくいう僕もダイエットに夢中。
というか、ダイエットに試行錯誤の日々。 ジム通い、水泳、といった王道ダイエットをはじめ、炭水化物抜きダイエット、バナナダイエット、などなど、あらゆる手法を試してきました。
神童の頃から太りやすい体質で、というか、食べる量がハンパじゃないので太るんですが、とにかく気を許すと、エヴァの初期映画版「まごころを、君に」の綾波レイ巨大化みたいな勢いで太ります。
ちなみにどれくらいの大食漢かというと、かつてカレーのCoCo壱番屋で「1300gのカレー、20分で食べればタダ!」というヤツに挑戦し、3分でかる~くぺろりと平らげたほどです。フードファイターになれたかもしれません。
それもこれも、僕の中に強い信念があったからです。男という生き物は「大盛り!」「おかわり!」「替え玉!」とメシ屋で景気よく叫べなくなったら終わりも近い、と信じて疑わなかったものですから。
そんな僕なので、ロックバンドのボーカリストとしては、個人的に痩せ型が理想と考えていることからも、結局の所、日々、ダイエットに悪戦苦闘です。
そして先日、禁断の薬物依存ダイエットに手を出してしまったのです!って、合法だよ、合法。
カロリー85%カット。
恐るべきキャッチコピーのダイエット薬があります。みなさん、ご存じですか?
ハゲ特効薬なみのノーベル賞もんの魔法の薬としか思えません。高田馬場の薬屋さん店頭で見つけた僕は無論、速攻で1ヶ月分購入。即実行です。なんせ、カロリー85%カット、ですから!こんな素晴らしいことがこの世にあるでしょうか!
で、1ヶ月後。。。
太りました。
逆に太ったのです!2キロも!
カロリー85%カット、ということであれば、もう治外法権みたいなもんでしょう。調子扱いてガンガン食べまくっていたのです。が、よくよく考えてみればオカシイです。たとえば1日に500kcal食べても5000kcal食べても、等しくカロリー85%カットなんてことあるでしょうか?どのような総量に対しても85%カットなんて可能なのでしょうか?核兵器廃絶に向けてはそんな感じだと嬉しいですが。仮に1000kcalカット、なら話は明快です。
が、85%カットはかなりアヤシイです。よくよく考えてみれば。
実際、僕、太っちゃったし。
しかし、そんな失敗を経たからこそ、僕は思い至りました。
ダイエットってやっぱ、ヘンだな、と。
基本的にダイエットは、吐くために食べ、食べるために吐く、に近しいものがあります。
お金をかけて食料を摂取して、お金をかけてジム通いしたり、ダイエット薬使用したりもするわけじゃないですか。僕みたいに。
時間がナイナイと言いながら、ダイエットに時間をかけたりするわけですし。僕みたいに。まるでパックスロマーナ時代のローマ市民です。
そう、この解決方法は簡単なのです。適量を食べればいいのです。
1日の活動カロリーに適した量を。太らなくて済むのに適した量を。単純には。
でも、それが出来ないんだよなあ~。みなさんもそうでしょ?
僕も出来ません。
けど、適量を食べてない、つまり過剰摂取の人がやたら多い国で、食料自給率が低いって凄いよな。そんな国でダイエットをしなくてはならないような食生活を送るというのは、かなりの攻めダルマ。強気な行為だよね。
あるいはジャック・バウワーも顔負けのスリリングな行為にも思えます。
ご存じのように、日本の食糧の約7割は世界から輸入したものらしいですね。
米の自給率は100%とかいうけど、それは米の消費量が大幅に減ったからでしょう。
でね、その輸入した食糧なんだけど、
その内の3分の1は捨てているそうです。
輸入するだけ輸入して、がんがん捨てている。
輸出入レベルでもイメージとしては、まるで吐くために食べ、食べるために吐く、みたいな状況だね。
食糧の廃棄率では世界一の消費大国アメリカを上回り、世界一の残飯大国。
年間約 5800万トンの食糧を輸入して、1940万トンを捨てているようです。
これは途上国の5000万人分の年間食料に匹敵しているとのこと。
さらに調べたとこによると、東京都だけで1日に6000トン、約500万人分もの食糧がゴミとして捨てられているそうです。
食糧自給率最低レベルの国が、なかなか大胆不敵な行為を毎日しているのですね。
正に飽食大国の名に相応しい日本国だよね。
もはや量を減らすのがダメ、できない、というならば
質を変えるという手もありますね。
食生活を変える、ということです。
ガツンと量を摂取しても、太らないためには、ダイエット不要の生活にするためには、野菜中心の食生活にするという手があるでしょう。無論、言うはやすし行うは難しです。
なんたって、僕なんて人間は無類の肉好き、ギラギラ肉食獣高田馬場地区筆頭ですから。
また、正直なところ、「2人きりで焼肉を食べた相手は落ちる!」というまことしやかな都市伝説をいまだに0.1%くらい信じてますし。「焼肉デートなくして恋愛成就なし!」って気分ですから。
でもさ、肉って、環境への負荷も高いんだよね。
おおよそだけど、牛肉1kg生産するのに11 kgの穀物
豚肉1kgでは7kgの穀物
鶏肉1kgでは4kgの穀物がエサとして必要らしいんだよね。
そう考えると肉って、かなりの贅沢食だよな。飽食の典型的な食事だよね。
だって、その穀物を人間用の穀物として食べれば、世界中の物凄く多くの人に食料が分けられるわけじゃんね。
ちなみに戦後50年で日本人の肉の消費量は30倍になったとのこと。
アメリカ文化に本当に支配されまくりだよなあ。
クラッシュの「I'm So Bored With the U.S.A.」聴きながら
肉食中心生活してる場合じゃないよなあ。
などと、考えると、アニメソング生まれパンクロック育ちの僕としては野菜中心生活に突入するのもありかな、とふと思えてきます。
無論、畜産業で生計を立てている方もいらっしゃるので、僕みたいな肉食獣高田馬場地区筆頭が引退することは野球界におけるイチロー引退宣言に等しい衝撃を与えることになってしまうかと思われますが。
それに、恋愛成就の成功率が激減するかもしれないし。
ま、でも、事実、世界には何億人もの栄養不足の人々がいるんだよね。
計算上では食肉生産用に家畜が食べる穀物、約30%を人間の食用にすれば世界から飢餓はなくなるらしいんだよ。
僕個人の非常に個人的な食生活が
単に自分の健康や体型やルックスだけじゃなくて
実のところ、間接的、いや、直接的でしょう、
直接的に世界の食糧問題とつながってるんだなあ。
そうイメージするとダイエットの意味も変わってくる気がします。
小学校とかだと強制的給食を残しそうになると先生が頭ごなしに、
「今も飢えた子どもが世界中にはいるんですよ、ありがたく食べなさい」
ってよく言われたりするよね。僕も言われた。
でも、そうじゃないよね。
なぜか、飢餓に苦しむ途上国から先進国に大量の穀物が輸出されている、という矛盾した実情ひとつとっても、今、飽食大国日本に生きる自分が、この食文化の中で、どういう食生活を創ってゆくべきか、を考えなきゃいけないんじゃないかなって思うよ。
と、フードファイターならぬ、フーファイターズを聴きながら、ここまで書き連ねてきたのですが、フーファイターズの音のようにタイトでそぎ落とされた生き様が必要なのかもしれません。 少なくとも今の僕には。
そんな僕が提案する最新型の究極ダイエット方法。それは、名付けて、
「飢餓撲滅ダイエット~俺が地球を救う~」
いかがでしょう?!
人類の命運は僕のこの肩に、いや、胃袋にかかっているかと思うと、身も胃袋も食欲も引き締まる思いです。
結局、必要なのは、「ダイエットして痩せる」んじゃなくて
「生活を変えることが、自ずとダイエットにつながる」という発想かもしれませんね。
FIN
【勝山康晴の今月のおすすめCD】
1. クラッシュ「White Riot」
ザ・クラッシュ 『白い暴動』
2. フー・ファイターズ「Echoes, Silence, Patience & Grace」
フー・ファイターズ 『Echoes, Silence, Patience And Grace』






