音楽と時事問題

勝山康晴の音楽と時事問題  第糾弾テーマ「過労死」


先日、大手出版社に勤める俺の友達が倒れ、緊急入院した。

本当にデンジャラスな状況だった。
友達はひとり暮らしだったのだ。

編集者というのは過酷な労働を強いられる。
入稿前何日かは残業に次ぐ残業でロクに寝ることが出来ない。
月刊誌ならそんな日々が毎月訪れるし、週刊誌なら毎週だ。

締め切り直前のある日、その友達は朝起きて立ち上がることが出来ず、それでもなんとか出社しようと身支度を始めたところ、意識が朦朧としてきたとのこと。これはただ事じゃないと思うも、急激に悪化し始め、なんとか意識がなくなる前にギリギリ救急に電話をかけることができたから、最悪の事態は免れることが出来たらしいんだ。

これが、電話より意識不明になるのが早かったら、と思うとぞっとするよ。
発病後、早期治療が出来なければ、死に至るケースだって、多々あるのだから。

友達もなにも好んでひとり暮らしをしていたわけでもない。
非常に真面目な奴で、編集の仕事に誇りを持っているし
周囲にも迷惑をかけたくないから、最後の最後まできっちりと仕事をする。
接待などもちゃんとこなすし、ライターさんや作家付き合いもちゃんとやる。
よって、仕事に時間を取られまくり。
だから、なかなか恋人も出来ず、ひとり暮らしだったんだ。


みなさん、どうだろう?

そんな誠実に仕事するが故に、それが仇となるというのは
どう考えてもオカシイと俺は思うのだが。

これは、どう考えても「過労死未遂」だ。
じゃあ、犯人は誰だ?

ご存じのように「過労死」は、そのまま「KAROUSHI」として
世界で通用する言葉になってしまっている。

「OTAKU」や「HENTAI」も結構通用するらしいけど。
「KAROUSHI」は英語の辞書とかにも載っている。

先進国、世界でもトップランクの経済力を誇る日本に特異な事例で
他の先進国にはあまりない事例だ。

なんで日本に特異かといえば、日本の仕事環境がやはり特異だからだ。

それは日本企業に未だ根強く残る封建的価値観が元凶だ!
と言っても過言ではない。

「滅私奉公で会社を支える奴が偉い」とか
「家庭を顧みず仕事に打ち込む奴が偉い」とか
そういった価値観が強すぎるよね、この国は。

「プロジェクトX」みたいな番組は嫌いじゃなかったけど
やたら賛美されるのはどうかって思うよ。

無論、21世紀も10年も過ぎ、封建的価値観に重きを置いていない奴もあまたいるのだが、結局重きを置いている奴が社内では、えてして評価され、出世して権力と影響力を持つから、会社勤めである以上、その価値観に従わざるをえなくなる傾向が生まれる。

「有休が取れない」と嘆く友人は山ほどいる。
俺みたいな生活からは考えられないことだが
「そんなの取っちゃえばいいじゃん!」とか助言しても無力だ。

同僚や上司とかの暗黙の了解、悪い意味での以心伝心
「俺が働いてるのに有休取るわけビーム」で殺られてしまうのだ。

それでも無理矢理有休を取れば、有休明けの出社時に襲いかかる「俺が働いてたのに有休取ったんだねミサイル」の雨を浴びなくてはならないよね。

有休も無論だが、残業や休日出勤もそう。
休日出勤して代休が取れないって、もう俺には意味不明だ。

さらには「接待」。
あれって仕事だよね。残業だよね。時間外労働だよね。
取引相手と終電逃すくらいまで飲みに行かされたり、日曜日にゴルフ場に連れ出されたり。酒飲んだり、ゴルフ楽しんでるんだから、仕事扱いされないのかもしれないけど、その時間は賃金換算されるべきじゃない?

だって、「大事な仕事相手だから、盛り上げてくように頼むよ、古賀君」
とか言われて参加させられるんでしょ?それ、仕事じゃんね。
少なくとも割り勘とかはなしだろう。

ゴルフクラブとかも経費で買ってやれよ。
なんで、自腹切ってまで会社に奉公しなきゃなの?俺には全く意味不明だ。
「ウチはアットホームな会社だから」とか「チームワークがいいから」とか言って
平然とプライベートな時間をズカズカと侵食する、その厚顔無恥さが下品だ。

総じて見るとさ、有休が取れないのも、残業や休日出勤も接待も
同じように見えるんだよ。

封建的価値観に洗脳されて仕事依存症になって
他に何も楽しいことが見いだせなかった淋しい人間の相手を
無理矢理させられてるように見えるんだよね。

そういう奴はそういう奴同士だけでつるんで欲しいと思うんだよな。

「家庭が一番!」って言う奴や、「趣味が一番!」って奴や
「ダラダラするのが一番!」って奴だって、この世には山ほどいるじゃんね。
それらの価値観が「仕事が一番!」っていうのよりも劣っているとは俺は思わないんだよね。仕事で異例の大出世を果たすのも、家族を大事にして晩飯は必ず一緒に食べるのも同じように素晴らしいことなんだよな。

あとさ、「過労死」って、働いている最中にぶっ倒れるよりも
帰宅後とか、激務だった仕事を辞めて数ヶ月後とかに死んじゃうコトも多いから
仕事との直接的因果関係がないように
企業側は主張するケースがやたらと多いじゃん。

さらには仕事を苦にしての自殺という場合も、過労死のはずが
これに関しても企業側は因果関係がないと主張するケースばかりだよね。
仕事命人間の「仕事は聖域」的な価値観を無理矢理押しつけられてるようで

メチャクチャ腹が立つんだ。あるいは経済効率至上主義か。
かつて、「過労死問題は自己管理の問題」と言い放ったようなヤツが
労働政策審議会の委員とかやってる国だしね。

もちろん、仕事を頑張ってるヤツは立派だ。
ただ、それが最も素晴らしいことのように強要されるのはゴメンだ。

自慢ではなく事実として、俺も1人しかいない会社の社長として
世界的にもトップレベルに入るくらい、バリバリに働いている方だとは思う。
どちらかと言えば仕事命人間だ。
でも、正直、日曜日とかに出社して
その道中、子供連れの家族が楽しそうに散歩してるのなんかを見ると
微かに惨めな気持ちになるもんな。

少なくとも俺は、その惨めさに誠実かつ謙虚に向き合っていたいんだよね。


FIN

 

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問い合わせ:ROCKSTAR
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http://www.condors.jp


勝山康晴(かつやま やすはる)
コンドルズプロデューサー兼出演者兼ROCKSTAR(有)社長。作家として「コンドルズ血風録」(ポプラ社)などが ある。SPUR、週刊SPA、EYESCREAM、DDD、芸術新潮などでも執筆。バンドプロジェクト・THE CONDORSのボーカル 。作詞作曲担当。作詞家としてNHK教育「こんどうさんちのたいそう」なども作詞。マンガ・アニメ通。

コンドルズ/THE CONDORS
コンドルズとは男性のみ学ラン姿でダンス・映像・コントなどを展開する舞台で人気のダンスカンパニー。20ヶ 国以上で公演。ニューヨークタイムズ紙絶賛。NHK総合「サラリーマンNEO」内「テレビサラリーマン体操」、 NHK教育 「からだであそぼ」内「こんどうさんちのたいそう」、「かもしれないたいそう」の振付出演。TBS「 情熱大陸」出演。主宰の近藤は第四回朝日舞台芸術賞寺山修司賞受賞。「AERA」の表紙にもなる。THE CONDORS はコンドルズのバンドプロジェクト。これまでにエピックレコードからアルバム1枚、シングル2枚をリリースし ている。

オフィシャルHP
http://www.condors.jp/


これまでに掲載したインタビュー

コンドルズ × jealkb

 

特集 音楽と舞台