ARTISAN de la MUSIQUE

ARTISAN de la MUSIQUE 2010年10月号・CM音楽の開祖・三木鶏郎作品あれこれ - P.01

  お茶の間のテレビから流れてきたCMや歌謡曲、劇音楽を発掘・音盤化していく筆者監修による再発シリーズ「TV AGE」のなかにあって、異色なのが「三木鶏郎リリカル・ソングス」だ。収録された楽曲の大半が初音盤化曲で、初出のほとんどがラジオ番組。つまり「TV AGE」ではなく「RADIO AGE」の楽曲である。当然、筆者が生まれる前の作品が主なもので、発掘時に初めて耳にした楽曲も多い。しかし、聴くうちにそこはかとない郷愁とそれに劣らぬ斬新さを感じて驚かされた。まさに「懐かしいのに新しい」奇妙な印象だったのだ。

  CM音楽の開祖として知られる三木鶏郎は、「コマーシャルメッセージソング」だけでなく、「歌曲」として聴き手の心に感動を与える「うたごころ」を持った作曲家であった。

  そんな彼の作品を先の「リリカル・ソング」を交えて紹介したのが、彼の十七回忌イベント「三木鶏郎追悼コンサート:鶏郎音楽天上天下」である。これは三木鶏郎の意志を継ぎ、楽曲を管理する三木鶏郎企画研究所が主催したもので、出演者は三木鶏郎ゆかりのアーティストの面々。出演順に列記すると以下の通り。

 

  東京大学OB合唱団有志(合唱)/一龍斎貞花(講談)/芦野宏/唯文/高田康子/遊佐未森/鈴木慶一/ダークダックス/ボニージャックス/スリーグレイセス/上柴はじめ&his Friends(演奏)

 

  新旧交えたアーティストで、公演では貴重な画像を使用した講談や「日曜娯楽版」の再現も行なわれた。客席には永六輔や桜井順、伊藤アキラ、大森昭男らゆかりの人物が大勢駆けつけ、さながら「冗談工房」同窓会の様相。

  コンサートは去る10月9日、東京FMホールにて行なわれたが、会場は満席で、客層は三木鶏郎作品をリアルタイムで聴いてきた層を中心に若年層もちらほら。ステージの構成は基本的にMCなしで、歌い手が入れ代わり立ち代わり次々と、ある意味で淡々と歌い継ぐスタイルだった。

 

  東京大学OB合唱団有志による合唱で幕を開け、講談「三木鶏郎物語」に続き、各アーティストの歌唱による「リリカル・ソング」で第一部が閉幕。15分の休憩を挟み、第二部では「三木鶏郎音楽SHOW」と題して「日曜娯楽版 冗談音楽」を紹介した。三木鶏郎本人の音声を交えたオリジナルコントを間に配して、各アーティストが一気に歌い上げる。「南の風が消えちゃった」「ピンポンパン」「毒消しゃいらんかね」「田舎のバス」といった代表曲から「鉄人28号」「トムとジェリー」「新ジャングル大帝 進めレオ」「ママちょっと来て」といったアニメ、ドラマの主題歌まで、まるで飽きさせることのない名曲・名演の釣瓶打ち。そして「僕は特急の機関士で」を第二部出演者が合唱して閉幕。時間にして(休憩を含め)およそ2時間半、充実のステージだった。

 

  これまで音盤でしか聴くことが出来なかった三木鶏郎作品が生演奏で楽しめたファンにとってはたまらない企画ではあったが、コンサートで紹介しきれぬ名曲はごまんと残されている。後続する企画が実現することを願うばかりだ。

 

 

『三木鶏郎音楽作品集
~トリローソングス~』

コロムビア ミュージックエンタテインメント
COCP-33435 / ¥2,500(tax in.)
『三木鶏郎リリカル・ソングス
~涙はどんな色でしょうか』

SOLID RECORDS
CDSOL-1350 / ¥2,625(tax in.)
『タララ・プンカ・ポンカ・ピ
~Sing with TORIRO!~』

ユニバーサル ミュージック
UICZ-4160 / ¥1,200(tax in.)
『“元祖コマソンの女王”
楠トシエ大全』

キングレコード
KICS-1349 / ¥3,000(tax in.)
『ビンちゃんの四季』
楠トシエ
日本ウェストミンスター
JXCP-1028 / ¥1,260(tax in.)
『エノケン MEETS トリロー』
EMIミュージック・ジャパン
TOCT-25179~80 / ¥3,600(tax in.)

 

 

 

【音楽職人トピックス】



濱田高志による
<マンスリー公開講座>のお知らせ。


TV AGEシリーズ監修・濱田高志が、2010年1月より、池袋コミュニティ・カレッジに於いてマンスリー公開講座を開催しています。
詳しくは、こちら

<公開講座>
『ヒットメーカーが語る作品誕生秘話』

テレビ・映画音楽からアニソン、歌謡曲にCMソングまで、職業作家が様々な分野で発表した作品を、作家自身の証言と共に検証する特別講座。テーマに沿ったゲストを交え、名曲誕生の瞬間に迫ります。
【講師:濱田高志】

2012年1月28日(土)18:30~20:30
『孤高の作曲家・平岡精二』
作編曲家にしてヴィブラフォン奏者の平岡精二の活動を網羅的に辿る特別講座。未CD化曲を中心に自作自演、提供曲、映画音楽などをたっぷり紹介します。

2012年2月25日(土)18:30~20:30
『生誕80周年記念集中講座:
ミシェル・ルグランその活動の軌跡[1[』

2012年に生誕80周年を迎える作曲家ミシェル・ルグランの活動をジャズ、映画音楽、提供曲など全てのジャンルを網羅しながら時系列に沿って辿る集中講座(全5回)。第1回はデビューから60年代初頭までの活動を振り返ります。

2012年3月17日(土)18:30~20:30
『生誕80周年記念集中講座:
ミシェル・ルグランその活動の軌跡[2]』

第2回は「シェルブールの雨傘」を中心に貴重なデモや関連楽曲を映像と共に紹介。

池袋コミュニティ・カレッジ
(豊島区南池袋 1-28-1
西武池袋本店別館 8・9階)

●受講お申し込みに関する詳細は、 池袋コミュニティ・カレッジHPをご覧ください。
また、お電話でのお問い合わせは、03-5949-5486まで。
濱田高志(ハマダ タカユキ)
音楽ライター兼アンソロジスト。これまで国内外で企画・監修したCDは300タイトルを数える。現在は「イージーリスニング・ステーション」(USEN)の選曲や「エキスポ・ジェネレーション」、「濱田高志のトレジャー・ミュージック」(STAR digio)のパーソナリティを担当。ミシェル・ルグランからの信頼も厚く、世界初の公認本「ミシェル・ルグラン風のささやき」(音楽之友社)を執筆したほか、「コカ・コーラCMソング データブック」(ジェネオン)「Love Sounds Style読本」など編・著作多数。2007年、ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ『フル・サークル』をコーディネイト。

詳しいプロフィールはコチラ


濱田高志ロングインタビュー
(2007年2月掲載)

濱田高志 監修・選曲・解説
「TV AGE」シリーズ公式HP


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