ARTISAN de la MUSIQUE

ARTISAN de la MUSIQUE 2010年12月号-2010年ベスト10-P.01

筆者が2010年に入手したCD、DVD、書籍のなかから選んだ10タイトルだが、特に順位があるわけでなく、あくまでも原稿執筆時におけるランダムな選出。ほかにも気になるタイトルはあるが、ここでは、普段あまり紹介される機会のないタイトルを中心に選んでいる。

 

 

『Q10 オリジナル・サウンドトラック』
金子隆博/小山絵里奈
2010年11月26日発売

木皿泉の脚本、そして前田敦子と佐藤健のダブル主演によるドラマ「Q10」のオリジナルサウンドトラック・アルバム。
米米クラブの“フラッシュ金子”こと金子隆博と、独自のエレクトロニカ・サウンドを創造するシンガーソングライター小山絵里奈の二人が手掛けた本作は、数フレーズ耳にしただけで劇中のシーンを想起させる魅力的な楽曲が満載。付帯音楽としてだけでなく、映像から独立した楽曲としても存分に楽しめる心地良い旋律が揃う。
なお、本作同様に木皿の脚本、金子の音楽で制作された『すいか』(03年)にも参加していたアコーディオン奏者・田ノ岡三郎が味わい深い音色を響かせている。

 

 

『ラフィング・アット・ライフ
~ウィズ・ルイス・ヴァン・ダイク』

アン・バートン
2010年11月10日発売

オランダのシンガー、アン・バートンが生前に残した未発表のパフォーマンスの数々を、世界に先駆けてCD化したのが本作。オランダ・サウンド・アンド・ヴィジョン協会(Netherlands Institute for Sound and Vision)の膨大な資料保存庫から発掘ののち編まれたもので、彼女ゆかりのピアニスト、ルイス・ヴァン・ダイクとのセッションをまとめたアルバムである。ロジャー・ニコルスとポール・ウィリアムスが書いた「雨の日と月曜日は」をはじめ名曲が目白押しだ。

 

 

『Music of Dc Comics:
75th Anniversary Collection』

V.A
輸入盤

「スーパーマン」や「バットマン」、「ワンダーウーマン」らDCコミックスのスーパーヒーローが映像化された際に作られた主題曲を集めた企画盤で、ジョン・ウィリアムス、ダニー・エルフマン、ハンス・ジマーらが手掛けた映画主題曲はもちろんのこと、テレビ・シリーズやアニメ主題歌も収録したお得盤。これまで様々な編集盤に振り分けて収録されていたが、こうやってまとまると、ただただ圧巻。

 

 

『Promises Promises』
輸入盤

ビリー・ワイルダー監督、ジャック・レモン主演の映画「アパートの鍵貸します」(60年)舞台版の、およそ30年振りとなる再演版オリジナル・キャスト・アルバム。音楽はハル・デイヴィッドとバート・バカラックの名コンビによるもので、名曲の釣瓶打ち。2010年は旧版も英米盤それぞれリマスター再発盤が発売された。

 

 

『十九色』
清浦夏実
2010年2月24日発売

筆者が2010年にもっとも多く聴いたのが本作。複数の作家陣と表現者である清浦夏実の才能が見事に融合し、昇華した傑作で、その仕上がりは非の打ち所がない。果たして裏でそれを支えたのは誰かとクレジットに目をやると、前々から気になっていたフライングドッグのディレクター「福田正夫」の名前が。迷わず取材させて頂いたのがコチラの記事である。先頃発売されたばかりのROUND TABLEを起用したアニメ『それでも町は廻っている』のサントラや中島愛の最新シングル『メロディ』、年明け早々(1/12)に発売される坂本真綾『You can't catch me』も同氏によるディレクションとのことで、2011年も氏の仕事からは目が離せない。

 

 

 

『ACC 50周年企画DVDシリーズ
CMにチャンネルをあわせた日
/杉山登志TVCM作品集』

2010年11月24日発売

夭折の天才CFディレクター、杉山登志が手掛けたコマーシャルを集めた作品集。敢えて多くは語るまい。今年一番のお勧めDVDが本作である。

 

 

『メトロポリス 完全復元版』
フリッツ・ラング
2010年11月27日発売

2008年アルゼンチンで発見された発見映像を加えた、フリッツ・ラング監督による映画「メトロポリス」(27年)の現存する最長版。フィルム発見~修復の経緯を追った興味深い特典映像と膨大なテキストが掲載された同梱ブックレットなどパッケージとしても実に魅力的。まさに決定版の名に相応しいタイトルだ。

 

 

 

『Killing Me Softly: My Life in Music』
Charles Fox
輸入書籍

「バーバレラ」(68年)、「さよならコロンバス」 (69年)、「Love, American Style」(69年)などを手掛けたことでソフトロック・ファンにも知られる才人チャールズ・フォックスの自伝。ロバータ・フラックが序文を、クインシー・ジョーンズ、バリー・マニロウ、マーヴィン・ハムリッシュらが推薦文を寄せており、本文には貴重な写真が豊富に掲載されている。

 

 

『作曲家・渡辺岳夫の肖像
ハイジ、ガンダムの音楽を作った男』

加藤義彦・鈴木啓之・濱田高志 共著
2010年6月18日発売

“ナベタケ”の愛称で知られる劇音楽の巨匠・渡辺岳夫の軌跡を辿った評伝で、筆者自身も執筆に関わった単行本。これまで資料に乏しかったが、スタッフ総出により数年がかりで作成した巻末の作品リストや関係者の証言などは今後のナベタケ研究の貴重な資料になると自負している。

 

 

『松本零士 初期SF作品集 限定版BOX』
松本零士
2010年12月10日発売

結果的に“ヤマト・ブーム”に乗る形となったが、それ以前から企画されていたという松本零士の初期作品集。宇宙戦艦ヤマトが最初に登場した著者のマンガ作品「電光オズマ」、「ヤマト」アニメ化にあたって著者がその構想をまとめた、門外不出の「創作ノート」、「松本あきら」名義で発表した初期未収録SF短編から「学年誌版ヤマト」まで収録した別冊作品集、さらにはプロジェクトスタート当初を知る関係者の証言集などを掲載した特別冊子など盛り沢山の内容が収められた一級の資料集。初期作品に見られる丸みを帯びた描線がマニア心をくすぐる。

 

 

 

【音楽職人トピックス】



濱田高志による
<マンスリー公開講座>のお知らせ。


TV AGEシリーズ監修・濱田高志が、2010年1月より、池袋コミュニティ・カレッジに於いてマンスリー公開講座を開催しています。
詳しくは、こちら

<公開講座>
『ヒットメーカーが語る作品誕生秘話』

テレビ・映画音楽からアニソン、歌謡曲にCMソングまで、職業作家が様々な分野で発表した作品を、作家自身の証言と共に検証する特別講座。テーマに沿ったゲストを交え、名曲誕生の瞬間に迫ります。
【講師:濱田高志】

2012年1月28日(土)18:30~20:30
『孤高の作曲家・平岡精二』
作編曲家にしてヴィブラフォン奏者の平岡精二の活動を網羅的に辿る特別講座。未CD化曲を中心に自作自演、提供曲、映画音楽などをたっぷり紹介します。

2012年2月25日(土)18:30~20:30
『生誕80周年記念集中講座:
ミシェル・ルグランその活動の軌跡[1[』

2012年に生誕80周年を迎える作曲家ミシェル・ルグランの活動をジャズ、映画音楽、提供曲など全てのジャンルを網羅しながら時系列に沿って辿る集中講座(全5回)。第1回はデビューから60年代初頭までの活動を振り返ります。

2012年3月17日(土)18:30~20:30
『生誕80周年記念集中講座:
ミシェル・ルグランその活動の軌跡[2]』

第2回は「シェルブールの雨傘」を中心に貴重なデモや関連楽曲を映像と共に紹介。

池袋コミュニティ・カレッジ
(豊島区南池袋 1-28-1
西武池袋本店別館 8・9階)

●受講お申し込みに関する詳細は、 池袋コミュニティ・カレッジHPをご覧ください。
また、お電話でのお問い合わせは、03-5949-5486まで。
濱田高志(ハマダ タカユキ)
音楽ライター兼アンソロジスト。これまで国内外で企画・監修したCDは300タイトルを数える。現在は「イージーリスニング・ステーション」(USEN)の選曲や「エキスポ・ジェネレーション」、「濱田高志のトレジャー・ミュージック」(STAR digio)のパーソナリティを担当。ミシェル・ルグランからの信頼も厚く、世界初の公認本「ミシェル・ルグラン風のささやき」(音楽之友社)を執筆したほか、「コカ・コーラCMソング データブック」(ジェネオン)「Love Sounds Style読本」など編・著作多数。2007年、ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ『フル・サークル』をコーディネイト。

詳しいプロフィールはコチラ


濱田高志ロングインタビュー
(2007年2月掲載)

濱田高志 監修・選曲・解説
「TV AGE」シリーズ公式HP


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