ARTISAN de la MUSIQUE

ARTISAN de la MUSIQUE 2011年2月号-悟空の大冒険-P.01

  2月16日に『悟空の大冒険』のオリジナル・サウンドトラックCDが発売された。2枚組全116曲収録のこのアルバム、今を遡ること16年前に筆者がこの仕事を始めたばかりの頃、作曲家の宇野誠一郎さんに初めてお目にかかったその場で、何の根拠もなく「僕が必ず〈悟空〉のサントラ盤を作ります!」と宣言したのが企画の発端である。

 

  その時点では音素材の在処はもちろんのこと、そもそも音素材が現存するのかどうかも把握しておらず、何より筆者はその時点でCD化を実現出来る立場にすらなかった。今にして思えば冷や汗ものの無謀な発言だが、「願えば叶う」の言葉の通り、ようやく形にすることが出来た次第。それだけに本CDへの想いは深い。

 

  実際、音源の所在は長らく不明で、すでにこの世に存在しないとまで云われて落胆するばかりだった。数年前に、昨年急逝された番組の音響ディレクターだった田代敦巳さんに伺った際も「もう残されていないんじゃないかな」という話で、半ば諦めかけていたのだ。

 

  ところが、ひょんなことから番組の音響効果を手掛けられた柏原満さんと知り合い、氏が個人的に保管していた第一回の録音素材を聴かせて頂く機会に恵まれた。それが一昨年のこと。わずか40分程度の素材ながら、それでも商品化したいと思い、メーカー数社に持ち掛けるも、業界不振の昨今、なかなか実現には至らず、時間だけが経過してゆくばかり。しかし、過去に同じく筆者の監修で宇野さんが手掛けられた『アンデルセン物語』や宇野さんのアンソロジーを発売したメーカー、ウルトラ・ヴァイヴのスタッフが賛同してくれ、ようやく企画が現実味を帯び始めた。しかも昨年の夏に虫プロダクションに相談に伺ったところ、寺田倉庫に預けたままこれまで一度も出庫していない素材があるという。すぐさま出庫手配し確認すると、何とそこには膨大なテープが保管されていたのである。残念ながら全話分は揃っていないが、トラック数にして900あまりの録音が残されていたのだ。それらをデジタル化し、DVDを見ながら1曲ごとに使用話数を洗い出して(なんと音を再生してみると、素材に添付された情報はまるでそれらと符合しなかった!)構成したのが本CDである。素材の経年劣化によるノイズは若干入るものの、収録曲の大半がこれが初音盤化。まさにファン待望のサントラ盤の完成だ。

 

  ヤング・フレッシュが歌うお馴染みの主題歌「悟空の大冒険マーチ」はもちろんのこと、某乳飲料製品に替え歌で使用されたエンディング曲「悟空が好き好き」、中山千夏がヤング・フレッシュと歌う「悟空音頭」、毎回予告編のバックにインストゥルメンタル・ヴァージョンが流れていた「竜子のうた」、前川陽子の溌剌とした歌唱が印象的な「レッツ!悟空ダンス」、さらには今回の発掘で見付かった明治製菓のコマーシャルソングやカラオケなども収録している。特にカラオケの収録については、宇野さん自身とても喜んでおられた。宇野さんの手になる細やかなアレンジ術には驚くばかりだ。また過去に筆者が行なったスタッフへの取材記事や作品リスト、セル画から採用したカットも満載。自信をもってお勧めしたいアルバムである。

 

  なお本CDで『悟空の大冒険』の音楽に惹かれた方は是非とも映像と音楽のシンクロ具合を楽しむためにDVD-BOXで全話をご覧頂きたい。現在コムビアより廉価版DVD-BOX『悟空の大冒険 Complete BOX』が発売中だ。

 

 

 

【音楽職人トピックス】



濱田高志による
<マンスリー公開講座>のお知らせ。


TV AGEシリーズ監修・濱田高志が、2010年1月より、池袋コミュニティ・カレッジに於いてマンスリー公開講座を開催しています。
詳しくは、こちら

<公開講座>
『ヒットメーカーが語る作品誕生秘話』

テレビ・映画音楽からアニソン、歌謡曲にCMソングまで、職業作家が様々な分野で発表した作品を、作家自身の証言と共に検証する特別講座。テーマに沿ったゲストを交え、名曲誕生の瞬間に迫ります。
【講師:濱田高志】

2012年1月28日(土)18:30~20:30
『孤高の作曲家・平岡精二』
作編曲家にしてヴィブラフォン奏者の平岡精二の活動を網羅的に辿る特別講座。未CD化曲を中心に自作自演、提供曲、映画音楽などをたっぷり紹介します。

2012年2月25日(土)18:30~20:30
『生誕80周年記念集中講座:
ミシェル・ルグランその活動の軌跡[1[』

2012年に生誕80周年を迎える作曲家ミシェル・ルグランの活動をジャズ、映画音楽、提供曲など全てのジャンルを網羅しながら時系列に沿って辿る集中講座(全5回)。第1回はデビューから60年代初頭までの活動を振り返ります。

2012年3月17日(土)18:30~20:30
『生誕80周年記念集中講座:
ミシェル・ルグランその活動の軌跡[2]』

第2回は「シェルブールの雨傘」を中心に貴重なデモや関連楽曲を映像と共に紹介。

池袋コミュニティ・カレッジ
(豊島区南池袋 1-28-1
西武池袋本店別館 8・9階)

●受講お申し込みに関する詳細は、 池袋コミュニティ・カレッジHPをご覧ください。
また、お電話でのお問い合わせは、03-5949-5486まで。
濱田高志(ハマダ タカユキ)
音楽ライター兼アンソロジスト。これまで国内外で企画・監修したCDは300タイトルを数える。現在は「イージーリスニング・ステーション」(USEN)の選曲や「エキスポ・ジェネレーション」、「濱田高志のトレジャー・ミュージック」(STAR digio)のパーソナリティを担当。ミシェル・ルグランからの信頼も厚く、世界初の公認本「ミシェル・ルグラン風のささやき」(音楽之友社)を執筆したほか、「コカ・コーラCMソング データブック」(ジェネオン)「Love Sounds Style読本」など編・著作多数。2007年、ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ『フル・サークル』をコーディネイト。

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濱田高志ロングインタビュー
(2007年2月掲載)

濱田高志 監修・選曲・解説
「TV AGE」シリーズ公式HP


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