齊藤ジョニー Special Interview

齊藤ジョニー Special Interview Part. 2

-- くるりから戦前のブルースまで遡っちゃったんだ?!

なんでも聴いてましたね。とりあえずルーツ系はすっごい聴き漁って。ブルーグラスを理解するにはブルースもジャズも聴かなきゃって思ってたので。わりとなんでも掘り下げたくなるタイプなんですよ。いろんなところに枝を張ってないとダメだっていうのは、本能に近いものとしてあって。だからパンク~ハードコアも聴いたし、ポストロックとかエレクトロ系も。なんでも。

-- ルーツ系の音楽に関しては、なかなか同世代で話せる人はいないんじゃない?

いなかったですね。大人でも一握りですね。コレクターの人はたくさんいるんですけど、本当に深いところまで話ができたり聞けたりする人は限られてて。だからもう本場に観に行ったほうが早いって思って、で、ナッシュビルに行っちゃったりしました。

-- おお!  どのくらい?

大学4年のときにちょうどブルーグラスの大きいイベントがあって、それを観に行こうと思って、10日間くらいひとりで遊びに行ったんですよ。バーでコーラ1杯頼んで、ずっとステージ観てたりして。やっぱりカントリーのメッカだけあって、すごいんですよね、向こうの人たちは。音に血が通ってる感じがして。なんでこういう音になるのかっていうのが直感的にわかっちゃう感じなんですよ。だからといって自分ができるわけじゃないんですけど。あれはすごい体験でしたね。

-- 思わず飛び入りで演奏しちゃったりとか。

ありましたね。その場でジャムが始まると、スルっと入り込んで(笑) 向こうの人はカラダもでかいし、音もでかいんで、とにかくでかい音を出すのが精一杯でしたけど。

-- ではアルバムの話をしましょう。ボーナス・トラックのカヴァー(「ラジオスターの悲劇」)を除いて8曲のオリジナルが入ってますが、これは最近書いた曲ばかり?

半分は最近書いたもので、もう半分が過去の曲ですけど、年代的にはバラバラですね。一番古いのが2~3年前に作った曲かな。

-- デビュー・アルバムに選んだ基準は?

なるべく個人的な世界にはしないようにしようと思って、けっこういろんな人の意見を聞いて。人に言われて初めてメロディのよさに気付いた曲もあるので。まぁ自分としては、とりあえず自分が聴いてダサくないものっていう基準だけですね(笑)。別にベタなそれっぽいメロディも作ろうと思えば作れるんですけど、安易にそっちに走らないようにしたいし。といってマニアックになりすぎてもよくないし。自分なりの葛藤を経たものを出していこうと。

-- 今のJ-ポップ・リスナーにも聴いてもらえるようにしなきゃ、みたいなことは考えたりします?

初めはそこまで考えてなかったですけど、最近はそういうことも少し考えるようになりました。そういうこと考えるのも単純に面白くて(笑)。パズル感覚ですね。

-- 齊藤ジョニーとサポート・ミュージシャンというより、ひとつのバンド形態でレコーディングされてますよね。このバンドでアルバムを作ろうというところからスタートしてるわけですか?

そっすね、はい。自分の意識としてはひとつのバンドって感じです。このバンドでやれるところまでやりたいと思ってます。

-- なかなか曲者揃いのバンドのようですが。

そうですねぇ。歴戦の兵が集まってるので、だいぶ面白いです。ただレコーディングやってるときはムカついたりもしましたけど。

-- なんで?

やっぱり違う価値観がぶつかると、「なんでこれじゃダメなんですか?!」みたいなことはどうしても生じるものなので。例えばサウンド面だと、やっぱりブルーグラス的な価値観が自分のなかで強くあって、そこでほかのメンバーの価値観と衝突したりとか。特に「線路際のワイルド」なんかはそれを一番感じました。

-- ブルーグラスとポップとのバランスがいい曲だと思うけど。

(プロデューサーの河合)マイケルさんとか高野(勲)さんに言わせると、こっちのほうが踊れると。トータルでの聴き方をされていて。でも僕はブルーグラス的な捉え方をしちゃってたから、「この展開はありえない!」みたいな。ブルーグラスのルールからすると、ちょっとなぁ……っていうのが始めはあって。

-- 今は?

今ですか? まぁ大体は納得してますね。

-- ははは。大体って。

ははははは。

-- アルバム全体を見ると、こういう踊れる楽しい曲と内省的な曲とのバランスがすごくいいですよね。8曲のなかで個人的に特に大事な曲はどれですか?

1曲目の「ハックルベリー・フィン」ですね。これ、僕にしては珍しく歌詞からできた曲で。

-- わかる気がします。

けっこう自分のなかのひとつの指標となってる考え方が詰め込まれてる曲で。

-- 作ったのはいつ頃?

東京に出てきて、しばらく経った頃ですね。東京に出てきて1年半経ってるんで……あ、ちょうど1年前くらいです。この曲ができたときからけっこう明確にアルバムのなかで重要な意味を持つ曲になるだろうと思ってました。

-- だから1曲目に持ってきている。

はい。決意表明くらいのつもりで。

-- 2曲目の「Goin’ Home」もその感じが強いような。

そうですね。1曲目を受けてのこの曲という感じで。同じ志向の流れで。

-- 動いていく感覚が出ている。さっきの話じゃないけど、思い立ったらポンとアメリカ行っちゃうようなところが反映されているというか。

あんまり自分で壁とか作らないようにしたいと思ってるんですよ。壁って作りがちなんですけど。

-- 根っから人懐こいというか、あんまり壁を作らなさそうなタイプに見えるけど。

あははは。そうかもしれないです。でも最近は特にそれを明確に自覚したので。もう気にしないぞって思って。

-- その決意表明的な曲ですね。道なき道を行くんだ! っていう。

そうです。

-- ほかに大事な曲は?

「グランファ」ですね。

-- その曲、ツボです。

あ、ホントですか? これ、自分の人生の最初の記憶を歌っている曲で、それは自分のなかでかなり重いウェイトを占めていることで、そういう意味で大事な曲ですね。今に続く死生観の出発点、みたいな。

-- なるほど。この曲はヴォーカル表現力がとりわけ豊かで素晴らしいなと思いました。

ありがとうございます。これはヴォーカルを録る前にしばらく何もしないで、瞑想してから歌ったんです。マイクの前に立ってしばらくボ~っとしてて、口もあけてたみたいですけど(笑)。で、カラダが完全にフワフワになった状態で「お願いします」って言って歌い始めたもので。

-- “降りてきてる感”がありますね。

ありますね。「グランファ」と「ハックルベリー・フィン」はそうでしたね。河口湖のスタジオでヴォーカルを録ったんですけど、外に林が見えてて、それを見ながらこう、五感を全部ごちゃ混ぜにするような感じで歌うことができたというか。

-- では今後について最後に一言。

えっと、基本的にはやっぱりライブを観てもらって初めて自分たちのサウンドを伝えられると思うので、ライブに来てほしいです。音だけでなく、これからもっと五感で楽しめるものにしていけたらいいなと思ってるんで。もう演奏できるんだったらどこでも行きますんで。「いつでもどこでもセンセイション」って歌詞にもあるんですけど(「線路際のワイルド」)、ホント、いつでもどこでも楽しませますよ!っていう。はい。そんな感じです。

 

 

<インタビュー/文:内本順一

 

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I am Johnny
『I am Johnny』
2011.10.26 ON SALE!
UNIVERSAL
UICV-1017 / ¥2,000(tax in.)


収録曲
1.ハックルベリー・フィン
2.Goin’ Home
3.アルマジロ
4.Eureka
5.線路際のワイルド
6.さらば美しき女よ
7.グランファ
8.東京の女の子

bonus track
9.ラジオスターの悲劇

『JOHNNY'S ROOM Room No.004 "I am Johnny"Release Party!!!』
10/26(水)原宿eLmerscafé 2F

『JOHNNY'S ROOM -Room No.005- Birthday Party!!!』
10/27(木)原宿eLmerscafé 2F

SPARKS GO GO presents SHIBUYA JUNCTION 2011 “また倶知安じゃないジャン!”
10/28(金)SHIBUYA-AX

「I am Johnny」リリース記念!ライブ&サイン会
10/30(日)タワーレコード新宿店
11/5(土)タワーレコード仙台パルコ店

その他イベントにも多数出演!
詳しくはオフィシャルHPで

齊藤ジョニー(サイトウジョニー)

1987年、新潟県上越市生まれ。
2002年、父の影響でギターを弾き始める。高校時代はLed Zepplinなどのコピーに励み、 同じ学年の音楽仲間とたまにバンドを組んで遊んでいた。
2006年、仙台の大学に入学。入学式翌日にはなぜかマンドリンサウンドに心惹かれてブルーグラス同好会へ入る。また軽音楽部にも入部し、いくつかのバンドを経験。ギター、ベース、ドラムとマルチぶりを発揮する。
以後本格的に音楽に打ち込み始め、ブルーグラスで独特なリズム感を学び、バンジョーやマンドリンなど手にする事も。ブルーグラスバンド「雑貨屋フレイヴァー」メンバーとしてあちこちのイベント出演。仙台のライブハウス「BIRDLAND」など通い詰め、パンクの聖地にてハードコア?なDIY精神を学ぶ。
2009年、組んでいたバンドが解散したのをきっかけに、ソロでの活動をスタート。また「雑貨屋フレイヴァー」として箱根ブルーグラスフェスティバル出場。ブルーグラス人気バンド投票1位に選ばれる。
2010年、NHK仙台放送主催の東北地方のバンドコンテスト、「伊達物音楽闘技場」に出場。みごと優勝を果たす。大学を卒業し、音楽的野心のため、東京進出。
2011年1月には伊達物音楽闘技場優勝のご褒美として全国放送のNHK“MUSIC JAPAN”に出演し、弾き語りで堂々たるステージを披露する。2月、なんと「TAYLOR SWIFT SPEAK NOW TOUR」のオープニングアクトとして大阪城ホール、日本武道館2days、香港Asia World Arenaの4公演を務め、アコギ1本の弾き語りで会場を沸かせる。そして10月26日、アルバム『I am Johnny』でメジャーデビューを果たす。

オフィシャルHP
http://saitojohnny.com/