夜のストレンジャーズ

夜のストレンジャーズ   (Page 1 / 3)

あなたはもう聴かれただろうか?  夜のストレンジャーズが8月にリリースした2年半ぶりのニュー・アルバム『ホームタウンボーイ』を。昨年、およそ12年の苦楽を共にしたオリジナル・メンバーのヨーホーが脱退し、新ベーシストとしてモクメの南マキ子が加入。新生・夜ストとして始動した彼らの日々の想いが歌となり音となって凝縮された、これは滋味深き傑作だ。音の生々しさと粗さはそのままに、音楽の種類としてではなく本質的な意味でのソウル・ミュージックにシフト。3・11を境に大きく変わってしまったこの世界に立ちながら、動かし難い現実と痛みと涙と燃え盛る愛と祈りと希望を分断させることなくうたってみせている。だから聴けば考えさせられるし、ロマンチックな気分にもなるし、泣けてくるし、踊りだしたくもなる。時の流れに風化しない強度を備え、生きる活力にもなるこのアルバムがメディアで大きく取り上げられていないことに少しばかり腹を立て、musicshelfではフロントマン・三浦雅也へのロング・インタビューをほぼノーカットに近い形で掲載。全13曲についてのコメントまでガッツリ読んでこの作品を何度でも聴き返していただければ幸いだ。

-- 久々の新作『ホームタウンボーイ』。どうですか? 発売されて。

やっぱり嬉しいは嬉しいですよね。でも、もう新しい曲がけっこうできてきてて。今回はだいぶあいたんですけど、ホントは年1で出したいんすよ。なので、また頑張って……頑張ってでもないけど、作ってどんどんアルバム出したいっすね。ミニ・アルバムでもいいから、忘れられないうちにまた出そうかなと。出たばっかで言うのもあれですけど(笑)

-- 2年半あきましたからね。

そっすね。あきすぎですね。


-- 2年半。激動の……。

激動っすよ、もう。

-- 本当にいろんなことが起きて。


うん。3・11の日は、アルバム出そうってことで午前中からレッドクロスに機材持ち込んで録音してたんですよ。で、途中まで録って、2時前に出て、バンドの車で高円寺で降ろしてもらって。で、高円寺のホームであれがあったんですけど。まぁ、そこからいろいろ変わったっていう。

-- 3月にあれがあって、で、ヨーホーさんの脱退の話があったのが6月とかですか?

いや、4月くらいにはもう話をしてて。「そうかぁ」って。

-- そのあたりの経緯は伺ってもいいものですか?

あ、別にいいですよ。

-- いつ頃からそういう話に?

いやまあ、ずいぶん前から。やっぱりずっと一緒にいればなんとなくわかるから。ここ何年かは、ちょっとあれかなぁっていう。ツアーまわったり、バンドやってくのが、ちょっとあいつはしんどかったのかなって。


-- 改めて3人でガッツリ話し合ったりもしたんですか?


いやまぁ、とりあえず3人で飲んで。「なんでかはなんとなくわかるでしょ?」ってあいつが言うから、「まぁ、なんとなくね」っつう感じで。

-- 『On The Road Again』を出したあとから、だんだんとそうなっていった感じなんですかね?

う~ん。まぁ曲調もだんだんソウルのほうにいってたから。そういうのもあったかもしれないっすね。オレはもともとソウルが好きだったんだけど、バンド始めた頃はガレージとかロカビリーとか、そういうのも好きで……そういうのも好きっていうか、そっちでいってみようってことで始めて、で、それがやっぱりだんだんとソウルのほうに傾いていって。

-- ヨーホーさんはソウルよりも……。


パンクとかそっちのほうが好きで。まぁ、なんでも聴くんですけどね、あいつは。すごい詳しいんですけど、やる分にはパンクとかそっちのほうがよかったのかもしれないし。

--じゃあ、いわゆる音楽的方向性の違いというやつですかね。


う~ん。それとまあ、いろいろ真剣に突き詰めていくより、もうちょっとユルくいきたかったのかなぁってところもあって。まぁ想像で言うのもあれなんですけど。


-- そうですね。で、ヨーホーさんの脱退が決まって、さぁどうするかと。けっこう早くに動きだしてたんですか?

そうですね。ヨーホーが辞めるのが8月の京都(磔磔のライブ)ってことで、そこまで決まってるライブはやろうと。でも募集は早くかけなきゃなってことで、知り合いには声をかけてたんですよ。


-- 三浦さんのなかでは、ヨーホーさんの脱退→当然すぐに新ベーシスト募集、っていう流れだったわけですね。休止とか解散という文字はまったく浮かばずに。

うん。それは全然なくて。「ホームタウンボーイ」とかとっくにライブでやってたから、それを録音しないでっていうのは考えられなかったし。バンドが面白いんで。


-- じゃあ、すぐに新しい人を探し始めて。


そっすね。で、何件かメールとか来てたんですけど、条件が合わなかったりして。


-- 条件。

いちおう募集要項的な希望を書いたんすよ。ソウルとかブルースとかロックンロールが好きで、歌ゴコロがあって、で、要・普通免許(笑)。性別は書かなかったんですけどね。女性ってことは考えてもみなかったんで。

-- そうしたら考えてもみなかった女性が入ることになり。マキ子さんはどういった経緯で?

(鳥取県)米子にピコさんという、踊ろうマチルダのマネージャー的なことをやってる人がいるんですけど、そのピコさんとマキ子ちゃんが電話で喋ってたらしくて。そんときにマキ子ちゃんが「ミウラさんの言ってる条件、私、全部満たしてるんだけどな」って言ってたみたいで、ピコさんがそれを面白がって、すぐオレに電話くれて。「マキ子ちゃん、こう言ってるけど、面白いんじゃないかなぁ」って。で、オレも面白いなって思って、すぐにマキ子ちゃんに連絡して。もともとオレ、マキ子ちゃんがやってたモクメってバンドを好きだったんですよ。

-- 対バンとかもやってたんですか?

けっこうやってたんですよ。飲んだりもしてたし。3~4年前くらいからかな、けっこういろんなとこで対バンしてたんで、やってる音楽もわかってたし。ただ、彼女も自分でうたう人だから、そのへんどうなのかなって思ってたんですけど。でもまあ、とりあえずスタジオ入ってみたら、これがいい感じで。ヨーホーとの最後のライブを京都で終えて、帰ってきてすぐにマキ子ちゃん呼んで、そっから練習始めて。だから早かったすよ。1~2ヵ月練習して、すぐにライブやって。

-- ライブの現場で固めていこうと。

そうですね。


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-- 最初にスタジオでマキ子さんと音を出してみたときの印象は、いかがでした?

彼女、ちょっと引っ込み思案なとこもあるんですけど、とりあえずやりたい曲をリストにあげたら、それ、全部ちゃんと覚えてきて。今までのブリブリくる音圧とは違って、安定してるなって思いましたね。それによってテッちゃんのドラムが一発で違う感じになって、それもよくて。煽られてない、わりと落ち着いた感じになったから、ああ、面白いなと。

-- さっき言ってたように、女性をメンバーにすることはまったく考えてなかったわけですよね?

うん。でも面白いかなと思って。

-- 変えるんなら、もうイメージから思いきって変えてしまおうと。


そうそう、それもありました。見た目の感じから変えたいというか。曲も、パンクとかそういうのよりもシンプルな言葉でソウルナンバーをうたうっていう感じがどんどん増えてきてたんで。いっそのことリーゼントもスーツもやめて、ラフなカッコになってもいいのかなとも思ったんですけど、さすがにそれはやめときました。気楽になって手ぇ抜いてると思われるのもあれなんで(笑)。

-- スーツ歴、長いですもんね。結成からでしょ?

そうっすよ(笑)


-- マキ子さんのベースになって、やっぱりバンド全体の音質も変わりましたよね。マキ子さんって、ベースをギターっぽく弾くじゃないですか?

うん。弾き方もありますよね。あと、やっぱ歌を聴いて弾いてくれるというか。歌のためのベースを弾いてくれる。だからうたいやすいです。

-- 歌ゴコロのあるベースなんでしょうね。

そう思いますね。実際、自分でもうたいながら弾いてたわけだから。いい感じです。

-- 女性がメンバーに加わったことでバンド自体が活性化されたところもあるんじゃないですか?

練習スタジオで会話がすごくあるのがいいですね。やっぱり男だけで何年もやってると口数も少なくなってくるんですよ。いまは普段の話とかもいろいろしてて、常にいい空気が流れてる感じで。

-- バンド運営の意識も変わってくるところがあるでしょうし。より、ちゃんとやっていこうっていう。ちゃんとやるって言い方も失礼ですけど、心機一転というか。

あ、でもそれはありますよ。うん。

-- 震災に始まり、いろいろ落ちることもあったけど、三浦さんのなかでも「よし!」と切り替わったんじゃないですか?


あー、そっすね。ホント、頑張ろうとは思いましたね。


-- で、今回のアルバムですが。ひとつひとつ曲単位で録ってるんでしょうけど、アルバム全体のイメージはあったんですか?

一言で言うとソウルですね。で、ラブソング。やっぱりね、こんなことになっちゃうと、どうしてもラブソングが個人的に必要になるというか。まあ、世界中の音楽を探せば自分にピッタリのラブソングもあるんでしょうけど、自分で書けばそれが一番しっくりくるから。自分に合ったラブソングを、と。

-- 世情がこんなだと、救いになるのはラブソングしかない。


ですねぇ。現実的に救うかどうかはわかんないけど、オレのことは救ってますね。ソウルのレコードとかにもずいぶん救ってもらってます。


-- ストレートに反原発を歌にするっていう方向には行かなかったんですか?


そっちもホントは作ったりしたんですけど、うたうと荒い気分になっちゃって。家で作ってて一瞬スカッとするなとは思ったんですけど、果たしてこれを3人で練習して、バンド・サウンドにまとめて、人前でやって、レコーディングも……っていうのはどうなのかと。タイマーズみたいになっちゃうんでね。いや、タイマーズは大好きなんですけど、ああいうのをこのバンド名で本腰入れてやることを考えると……。しかも新しいメンバーが入ったばかりでやることを考えるとね。別クチでやれたらそれも面白いかもしれないですけど、このバンドでラブソングのなかにそういうのを入れ込むのは、ちょっと違うなぁって思って。

-- 確かに。いまの夜ストの方向性とは違ってきますね。


うん。あと、いまはもっと直截的な行動のほうがね。オレたちのお客さんは、反原発の歌とかうたっても、“そんなことわかってるよ”って人たちだと思うんですよ。そういう人たちの前だけでそういう曲をうたってもしょうがないっていうか。もっとでかいバンドになって、フェスとかに出て、そこでそういう曲をうたうんだったら意味もあるんでしょうけどね。

 



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7th ALBUM

『ホームタウンボーイ』
NOW ON SALE!
redrec / sputniklab inc.
RCSP-0032 / ¥2,310(tax in)


<収録曲>

01. そばにいて
02. ソウルバーニンラブ
03. テレサ
04. お前をはなさない
05. オーレイン
06. 新しい町
07. あなたとシャララ
08. ブギウギカントリーボーイ
09. グッドラックと言おう
10. レッツツイストアゲイン
11. ホームタウンボーイ
12. 砂浜
13. 小さな恋人

 

 

夜のストレンジャーズワンマン
ホームタウンボーイツアー


10/21(日) 新宿・紅布
10/27(土)名古屋 サンセットストリップ
10/28(日) 京都 磔磔
11/23(金・祝) 難波メレ


"ホームタウンボーイ"ツアー
9/29(土)新宿 紅布
10/7(日)東高円寺 U.F.O. CLUB


~夏の魔物~

AOMORI ROCK FESTIVAL'12
9/22(土)青森 夜越山スキー場

ブラインドミウラストレンジャー
ワンマンショー
9/27(木)下北沢 メンフィス兄弟。

ブラインドミウラストレンジャー

独り旅@宮古島Pisara
10/12(金)宮古島 Pisara(ピサラ)

ブラインドミウラストレンジャー
くらげの宴

ハッピーな歌をうたって気楽にやろう編
10/13(土) 那覇 Okinawa Royed

ブラインドミウラストレンジャー
くらげの宴 二次会

10/14(日) 那覇 Rockバー くらげ

詳細はこちら
http://www.yorust.info/schedule/

 

 

夜のストレンジャーズ

三浦雅也(Vocal&Guitar)
南マキ子(Bass)
宮坂テツオ(Drums)

三浦(Vocal & Guitar)とテツオ(Drums)が、前身のバンド[泪橋]解散後、対バン仲間で呑み友達のヨーホー(Bass)を誘って2000年頃結成。アルバム「night life」発表後、全国各地でライブを行いながら7タイトルのアルバムをリリース。2011年ヨーホーが脱退し、新Bassにモクメのマキ子を迎え、新生・夜ストとして再始動。50、60年代ブルース、ソウルなどルーツ・ミュージックに深く影響を受けながらスィング、ブギ、ファンク、パブロック、パンク、R&Bなど曲調は様々なジャンルを横断する。最近はもっぱら日本語歌詞にこだわり、三浦いわく「いつも使ってる言葉で歌わないと魂が込められないから。」日々の生活から沸き出す愛と誠のスィートソウルミュージック。夜スト第2章のテーマは「愛」「バイト」「旅」& 「酒」少々。

オフィシャルHP
http://www.yorust.info