LIVE REPORT

坂本龍一 ピアノ・ソロ・ツアー

4年ぶりに行われる坂本龍一(坂本)のピアノ・ソロ・ツアー『Ryuichi Sakamoto Playing The Piano 2009』が3月18日からはじまった。
今回は東京公演二日目、東京国際フォーラムホールCでのライヴレポートをお伝えする。

モダンな木目で統一された会場は、三階席までいっぱいのファンで埋め尽くされている。ステージにはYAMAHAのグランドピアノが鎮座し、スクリーンにはツアーで排出される全てのCO2をカーボンオフセットするなど環境に配慮した運営内容が映し出されている。

19時過ぎ、開演を知らせるアナウンスが流れると、満席の会場は静まり、照明が緩やかに長い時間をかけて落ちてゆく。と同時に、氷河の氷が解けて流れる音を中心とした幻想的なサウンドが立ち上がる。

会場が暗くなりサウンドのレベルがあがると、本日の主役坂本龍一の影がステージのセンターにおかれピアノに歩み寄る。立ち止まるとピアノの上部から手を入れ、おもむろに弦を直接演奏し始めた。弾いたり擦ったりする音は、ピアノとは思えないアコースティックベースやギターのような響きを奏で、サウンドと共に会場を幻想的な世界に変えた。



幻想的な音楽(「glacier」)が終わると鍵盤を緩やかに弾く、今日始めて耳にする"ピアノ"の音にファンの視線が坂本に釘付けになる。緩やかな時間が流れ演奏が終わると、坂本から即興曲だということを告げられ、会場に拍手が鳴り響く。

続けてニューアルバムから「to stanford」の演奏が始まる。コトリンゴのデモテープに魅せられアレンジしたというこの曲は、やわらかいが力強いメロディで、スクリーンに映し出される広い空の写真とマッチし、心のメッセージ性を漂わせる。

引き続き「hibari」の演奏が始まる。この曲は重なり合ったメロディが若干ズレいくのが特徴だが(CDでは多重録音と思われる)、プログラムされているもう一台のピアノを巧みに操り、コンサートならではのテクニックとアレンジを聴かせてくれた。

そして坂本から「次の曲は写メを撮っていい曲ですので、皆さん携帯を用意してください」と伝えられ、うれしい演出に会場がざわめいた。曲は「composition0919」。弾けたバッキングのサウンドに、約1,500人近くと思われるファンの様々なシャッター音が重なり、さらに暗くなった会場に携帯画面の明かりが無数に広がり、ワクワクする新しい芸術のひと時を過ごせた。

サプライズなひと時が終わると、「tango」「founatin」「aoneko no torso」「mizu no naka no bagatelle」と坂本らしいクラシカルな演奏が続く。
今回のツアーは全てiTunes Storeで24時間以内に公開される為、曲順は坂本の気分でその場で決める。

続いて「lost theme」「sweet revenge」「normandia」が演奏される。「sweet revenge」は"ティッシュ業界が儲かるぐらい世界で一番悲しい曲を"というベルトルッチ監督のオーダーで書いたが、"悲しすぎる"と言うことでお蔵入りになったという話。「normandia」は細野(晴臣)さんが"坂本龍一みたいな曲を書いてくれ"と依頼され作ったCM用の曲。「細野さんはたぶん嫌いな曲です(笑)」など笑い混じりのエピソードが語られた。

そして、ノスタルジックでドラマチックな「chanson」の演奏が終わると、一礼をし拍手の中ステージの袖に歩いていった。



数分ほど拍手が続いた後、再度坂本がピアノに向かいアンコールが始まる。
映画『シルク』の「silk endroll」から始まり「women without men」「poppoya」と映画セットが続き、三ツ矢サイダーのCM曲「aubade」や「tamago」「choral no.1」など作曲家として手がけた作品を、会場の雰囲気に合わせ次々にコンサートアレンジで演奏してゆく。
次にNEWS23のテーマで知られる「put your hands up」が始まったとき、静かな会場の中、抑えられないファンから拍手が送られる。そして演奏後大きな拍手の中ステージを後にした。

なおも興奮冷めやらぬファンからの熱い拍手は鳴り止むことはなく、再び坂本が登場。
無言のまま映画『バベル』のエンディングにも使われた「bibo no aozora」を演奏し始める。体を揺らしながら気持ちを込め、指先を力強く繊細に操る演奏に目は奪われ、聴き覚えのあるメロディに、幾何学的なアレンジが加わったサウンドに耳は釘付けになった。
演奏が終わり割れんばかりの拍手の中、軽く手を振った後、坂本はステージを後にし、閉演を迎えた。

約2時間のコンサートだったが、あっという間に感じるほど濃密な内容で、まさにライヴ故の一回性を体験できる素晴らしい時間となった。
ツアーは3日間の東京公演の後、約1ヵ月半をかけて全国21箇所を回り続けるので、是非皆さん足を運んでいただき、生で"世界のサカモト"の演奏を聴いていただきたい。
また、iTunes Storeでは全ての公演の模様がアップされて行くので、興味のある公演をチェック&ダウンロードしてみてはいかがだろうか。

(MUSICSHELF編集部)


【リリース情報】
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