LIVE REPORT

大佑 一周忌追悼公演「漆黒の光」 ライブレポート

カリスマヴォーカリスト大佑の逝去というあまりに衝撃的な出来事に言葉を失い、とてつもない虚無感に襲われたあの日から1年の月日が流れた。
2011年7月15日。ギルガメッシュ、12012、boogieman、ムック、MERRY。そして、大佑と黒の隠者達、the studs、蜉蝣。新木場STUDIO COASTに大佑を愛する仲間たちが集結した。

 

トップバッターはギルガメッシュ。1曲目「I think I can fly」に続き、左迅の「蜉蝣しなさーい!」の声で始まったのは蜉蝣の「夕暮れの謝罪」。一気にオーディエンスに火を付けた。「Break Down」、「evolution」、「Never ending story」と畳み掛け会場を盛り上げると、愁が口を開き、蜉蝣のローディーをしていた10代の頃の話を始めた。ギルガメッシュを組んで初めて合わせた楽曲が「夕暮れの謝罪」であったこと、そして大佑直々にベースフレーズを教えてもらったと貴重な告白。今日この日に大佑、そして彼を愛する仲間たちに再会できたこと、そしてまたいつか再会できることを願って、という強い想いを込めて披露されたラストナンバー、「再会」は、愁のベースソロも左迅のアカペラも涙なしには聴けない秀逸なセレクトだった。

 

12012もギルガメッシュと同様に蜉蝣のナンバー「迷走本能」を1曲目に披露。4人になりバンドとしてのビジョンも新たにした彼らは非常にバンド感が増し、「サイクロン」でここぞとばかりに動き回りフロアを盛り上げる姿は頼もしく、とてもナチュラルに、でも力強くライブを進めていった。そしてギターを手にした.宮脇が、「同じ事務所になって、まだ友達がいなかった僕に色んな人を紹介してくれたのが大佑さんでした。人間の価値はどれだけのものを手に入れたかじゃなく、どれだけのものを人に与えられたかだと思います。大佑さんは僕にたくさんのものを与えてくれました。今ここに立っているのも大佑さんのおかげです」と感謝を伝えると、大佑に届くようにと「LOVERS」を披露した。

 

続くboogieman。ピンクの照明でステージが染まり始まったのは「シュレディンガーの猫」。柊の憂いを帯びた、哀愁ある声が優しく包み込む。「d.CHILD」ではユアナがクルクル回りながら前に飛び出すと、それに続き晃、万作も勢いよく突っ込んでいき、フロアのテンションを上げていく。5曲という短い時間ではあったが、汗を振り乱しながら全力で演奏する姿はグッとオーディエンスの気持ちを引き寄せ、boogiemanの世界へと誘っていた。安定感のある演奏に説得力のある声。自信たっぷりに今の自分たちを大佑に見せつけていたように思う。

 

そして登場したのはムック。オーディエンスの手拍子の中、幕が開くと同時に鳴りだしたベース音にフロアがどよめく。「大嫌い」だ。のっけから飛ばし、「絶望」、「娼婦」と加速していくムックには感服せざるを得ない。「思いっきり泣いて笑って楽しんで!そんなんじゃ聞こえねーよ!屋根突き破れ!」そんな逹瑯の声で始まったのは「咆哮」、そして「蘭鋳」。オーディエンスを思いっきりジャンプさせ、より一体感を増したフロアに響いたのはラスト、「リブラ」。「リブラ」の歌詞は逹瑯の今の叫びだろう。音の厚み、一体感、ライブの醍醐味すべてが凝縮されたような熱い空間。あまりのテンションの高さに、もしかしたら大佑は嫉妬していたかもしれない。

 

ムックに続いたのはMERRY。幕が開いたときガラは学習机に仁王立ちになりマイクスタンドを天高く掲げていた。「新木場踊れ!」と始まったのは「不均衡キネマ」。2曲目「sweet powder」が終わるとガラが口を開いた。「彼が好きだった曲をやります」そう言って始まった「さよなら雨(レイン)」。机に正座をして歌うガラ。ガラの中にある色々な想いが伝わってくるようで涙腺が緩んだ。「ジャパニーズモダニスト」ではクールなテツもドラム台に飛び乗り、結生も健一もグルグルと動き回る。そしてラスト「消毒」ではガラがCO2を振りまきながら大暴れ。しかし曲が終わるとガラはゆっくりと深く一礼しステージを去っていった。同様にネロも天を指差し、深く一礼。それぞれの想いをステージに残し、MERRYのライブは終了した。

 

仲間たちの演奏の後は、そう、大佑の出番だ。
まずは大佑と黒の隠者達。PVを用い、大佑の声が響いた「嫌」、そして「翻弄」。ゲストヴォーカルを迎えて披露されたのは4曲。「グリード」で宮脇渉(12012)がしっとりと声を響かせると、「地下道に流れる、ある独りの男の「悲痛な叫び」にも似たメロディー」ではガラ(MERRY)が登場。フードを被り、淡々と歌い上げる。出だしにマイクトラブルが起こり歌えなくなる事態が発生したが、なんだか大佑がガラに悪戯でもしているのではないか、そんな気がしてしまった。そして「独裁者の涙」で登場した逹瑯(ムック)は「しんみりしてんじゃないぞ!」とオーディエンスに喝を入れて堂々と暴れ回る。そしてラスト「葬送」で登場した京(DIR EN GREY)の様々な想いが込められた歌に会場は飲み込まれた。

 

続くthe studs。ステージに現れたaie、yukino、響。そしてセンターには1本のマイクが置かれていた。1曲目「raindrop」ではギタリストのaieがヴォーカルを披露。ギターをかき鳴らしながら力強いヴォーカル。線の細い身体からは想像できないほどの声量に驚かされた。yukinoも響も強い想いが伝わってくるような熱の籠った演奏を披露。「after this introduction」をドラムセットに集まり力強く奏でた後に始まったのは「スパイダーネスト」。aieがヴォーカルを取るのかと思いきや、今度はライブ映像を用いて4人のthe studsを再現。本当に短い、あっという間の時間だったが、確かに大佑の姿がそこに見えた。

 

そしてラストは蜉蝣。2007年の解散以降、初めて4人が顔を揃えた。披露された「絶望にサヨナラ」。センターマイクの後ろにはアクリルスクリーンに投影された大佑がいた。たまらずすすり泣く声が音に混ざって聞こえた。できることならこんな形でのステージは見たくなかった、それが正直な気持ちなのかもしれない。それでも蜉蝣がステージに立った。嬉しそうに笑う大佑の顔が浮かんだ。
曲が終わり、kazuが口を開く。
「たくさんの人に集まってもらって嬉しいです。大佑の代わりにお礼を言います。ありがとう。僕らも出会ったり別れたり、色んなタイミングってあると思うんだけど、君らも僕らも大佑もまたみんなが出会うタイミングがきっとあると思うんで、そのときにまた今日の続きをやりましょう。蜉蝣は解散してるけど、そのときはまた蜉蝣でやるから。今日は映像を使ったり、ゲストで参加してもらったりしたけど、この曲だけは俺らとみんなの声だけでやらせてください」
そう言って演奏された「縄」。オーディエンスの合唱の中に大佑の歌声が聞こえたような気がした。

用意されていたプログラムがすべて終わり、流れてきたBGMは「妄想地下室」のライブ音源。曲に合わせて合唱しながら号泣しているファンの顔を見ていると、突きつけられたこの現実があまりに過酷であることを思い知らされた。ただ、それでも生きている人間は前を向かなければいけない。大佑が悔しがるくらいにパワフルに生きていかなければいけないのだ。
蜉蝣、ムック、MERRY、同じ時代を共に生きたバンドがこうして再集結した奇跡。そして、大佑を慕う後輩、大佑が敬愛してやまない先輩が揃った、愛情に溢れた素敵な空間。
大佑は彼を想う人々の中で生き続けていく。きっと、永遠に。

 

<取材・文 / なるまゆか 写真 / 河井彩美>

 

 


大佑 一周忌追悼公演「漆黒の光」
2011年7月15日(金) 新木場STUDIO COAST
セットリスト

ギルガメッシュ
1.I think I can fly
2.夕暮れの謝罪
3.Break Down
4.evolution
5.Never ending story
6.再会

12012
1.迷走本能
2.「6」party
3.my room agony
4.浸色
5.サイクロン
6.LOVERS

boogieman
1.シュレーディンガーの猫
2.d.CHILD
3.PicaSSo
4.奈落に咲く
5.Howling

ムック
1.大嫌い
2.絶望
3.娼婦
4.パノラマ
5.咆哮
6.蘭鋳
7.リブラ

MERRY
1.不均衡キネマ
2.sweet powder
3.さよなら雨(レイン)
4.ハーメルン
5.ジャパニーズモダニスト
6.消毒

大佑と黒の隠者達
1.嫌
2.グリード
3.地下道に流れる、ある独りの男の「悲痛な叫び」にも似たメロディー
4.独裁者の涙
5.翻弄
6.葬送

the studs
1.raindrop
2.after this introduction
3.スパイダーネスト

蜉蝣
1.絶望にサヨナラ
2.縄

 

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