泉まくら  / Page.1 -

掲載日:2013.10.24

泉まくら  / Page.1

毎日が楽しくって仕方ないっていうリア充にはわからないような、ごくごく平凡な女性のナイーヴな心模様を儚げなウィスパーヴォイスでラップする泉まくら。昨年11月に発表した処女EP『卒業と、それまでのうとうと』でセンセーションを巻き起こした彼女が、待望のファーストフルアルバム『マイルーム・マイステージ』をリリースした。ゆるふわ系の新旗手として脚光を浴びた彼女だが、本作はそのイメージをちょっと脱ぎ捨て、新しい顔を覗かせた一枚に。基本的な詩情は変わらないが、プロデューサー陣にはMACKA-CHINやEVISBEATSなどが新規参加して、ダブレゲエやフレンチボッサ、ソウルジャズ系シティポップなど多彩なサウンドを展開。ラップも感情が表出したエモなものや、まくしたてるような早口フロウが飛び出す。「ゆるふわって言われるのがちょっとイヤだった」と語る彼女の真の姿とは? 僕らが知らない泉まくらの正体に迫る。

——まずは前作『卒業と~』の話から訊かせてください。あの作品はどんな思いで作っていたんですか?

今思うと、あれはとにかく5曲作りあげることに必死だったかもしれないです。こういう風に音楽をちゃんと始めるまではわりとぼやーっとしていたんですよ、生きてること自体が。なんですけど、あのEPを作るとなったときに今から何かが始まるんだなっていうワクワクした感じもあったし、不安もあって。途中でなんとなくカタチが見えてきたときに、そんな自分を卒業するっていうことが頭に浮かんで、ああいうタイトルに繋がったんです。

——そんなにぼやーっとしてたんですか?


本当にぼやーっとしてて(笑)。何も楽しくないっていうわけじゃないけど、自分から熱を込めて何かをして楽しいっていうことがあまりなかったんです。

——毎日、普通に働いてたんですよね? 別に引きこもってたわけじゃなくて。

はい、普通に働いてました。

——前作は各方面から好評を得ましたが、その評判をどんな風に受けとめていましたか?


自分のことのような気はしなかったですね。やっと最近なんとなく、わりと聴かれてるんだな、みたいな感じになって。

——ちょっと私、人気者? みたいな。

ウフフ(笑)。けど、ちょっと怖いですね、人気者になるのは。


——そうなんですか?

細々やりたい。やっていきたいんです。

——注目を浴びることが苦手だったりするの?

あまり好きじゃないですね。

——ちなみに学生時代はクラスの中でどんなポジションでした? いつも友達の輪の中心にいるタイプもいれば、一匹狼タイプの人もいるけど。

学生の頃は本当にどの友達とも仲良くできて。どのグループにいても「あ、今日はあっちにいるんだ」っていう感じで見られてるけど、修学旅行とかで「ハイ、班を作ってください」ってなったときにひとりになってる子みたいな感じでした。

——女子校だったんですか?

共学でした。男の子とも話せてましたし。属してるようで、属せなかったんですよね。それは今もだと思う。術ノ穴にしか属せない(苦笑)。

——自分から距離を置いちゃうタイプなんですか?

っていうか、そのときも流れに任せてたのかもしれないです。誰かが何かを言ってくれるだろう、みたいな。

——誰かが誘ってくれれば付いていくんだけど。

そう。自分から「入れて」とも言えないし、「入れてあげるからおいで」とも言えないような。本当にそういうことがあったんです。3人組作ってとか4人組作ってとか言われたときに、私どこだったっけ?みたいな。

——仲間はずれというわけでもないんですよね。

仲間はずれではないんですよ。

——そういう状態に居心地の悪さを感じてるわけでもない。

そう。自分も周りも嫌な感じではなかったし。でも、ふとしたときに「私って結局……」ってなるときはあります。

——そういう感覚はすごく歌詞に表れてますよね。


うん、それが歌詞になってるんだと思う。

——今回のアルバムはどんな思いで作っていたんですか?

かっこいいことがしたいと思いました。

——おぉ。ちょっと意外な回答です。

ゆるふわって言われるのがちょっとイヤになって。歌声に引っかかってくれる人がすごく多いんですけど、歌詞も自分なりにこういうシーンが見えて欲しいとか、こういう画が見えて欲しいっていうのがあるので。だけど、なんとなく“かわいい曲”みたいに思われるのがちょっと悔しい部分もあったんです。だから今回はかっこいいって言われたいなっていう気持ちがあって。

——今回の歌詞にはどんな自分が出てると思っていますか?


今回はトラックに引きだしてもらえたっていうのが本当に強くて。自分が思ってることを曲にはめるっていうより、トラックを聴いて出てくる言葉を乗せるのが一番自然だなと思ったんです。そうした結果、一曲一曲、自分がすごくいいと思えるカタチになったし、こんなことも自分はできるんだなっていう発見もあって。曲ができていくごとにすごい自信がつきました。

——『マイルーム・マイステージ』というアルバムタイトルはどんな思いからつけたんですか?

曲を書いてたときは本当に家から出なくって。部屋にいると、自分が曲を作ってる様を誰も良いとも悪いとも言わないし、誉めも貶しもしないし、全部許されてる感じがすごく気持ちよくて、それで「マイルーム」っていう言葉がまず浮かんだんです。ただ、一語だと響きがしっくりこなかったので、いろいろ考えて、「マイルーム・マイステージ」って出てきたときにいいなって。

——ライムスターに「Welcome 2 My Room」という曲があるのをご存じですか?

わかんないです。

——その曲って「パーソナルな事柄を異常なまでに押し出しで」というテーマで書かれた曲で、ミクロな視点から広汎性のあるものを生み出すとか生み出したいということを歌ってるんですね。そういうニュアンスも含んでいるんですか?

っていうよりは、自分が部屋にいてすごく居心地がいいと思ってるんだけど、それってたぶん、ここにいちゃダメだよっていうことなんだろうなっていう感じです。そういうことが全部許されるのであればなおさら、自分はここから出ないといけないんだろうなっていう感じ。

——それをまずアルバムのイントロの歌詞で表現した?

そう。

——そのイントロの歌詞だと、ベランダに出るのにも力が必要なんだって思いました。しかも、精一杯の力が要るんだって(笑)。

あはは(笑)。そこは、やっと出たけどベランダです、みたいな感じを出したくて。あと、自分も精神的にキツイときがあって。ずっと前なんですけど、本当に一日中ベッドにいる日とかあって、これはまずいなと思って外に出ようと思ったんですけど、出れなくて。とりあえずベランダでいいから出ようと思って出たんですよ。その体験から書いた部分もあります。

——プラス、このイントロは前作からの流れも考えてたり?

ちょっとありますね。それほど意識してないけど、なんとなく自分の心の奥のところにあったような気がします。


——前作は、ぼんやりした生活から一歩出ようとしている状態を描いていて、今回はそんな世界から一歩出てみましたっていう状況を描いてますよね。

そうですね。自分が社会に出て働いてる時間も別にキライじゃないんです。働いて上司に怒られて、帰りのコンビニでおやつ買って帰って、みたいな。それも好きだし、家に帰ってひとりで「あの人に今日はこうやって言われたなぁ」とか「悔しいなぁ」とか、そういうことを延々と考えてるのが好きなんですよ。だから、部屋の中にずっといて悶々と考えてるっていうわけじゃなくて。外からいろんなことを持って帰ってきてそのことを反芻してる時間っていうか、そういうのがすごく好きなんですよね。

 

 

1 2 3 次のページ→

←前のページ ←前のページ 次のページ→ 次のページ→

リリース情報

2012年11月に発売された1st EP「卒業と、それまでのうとうと」がジャンルの垣根を越え大きな話題となった「泉まくら」の1stアルバムが遂に登場!

 

 

 

Album
『マイルーム・マイステージ』
ファイルレコード
sube-032 / ¥2,500(税込)
NOW ON SALE!
iTunesで購入・試聴する

CD
01. マイルーム・マイステージ
02. candle pro.by nagaco
03. 棄てるなどしてpro.by EVISBEATS
04. ワンルーム pro.by YAV(MadSoma)
05. あたらしい世界
pro.by ハシダカズマ (箱庭の室内楽)
06. 真っ赤に pro.by MACKA- CHIN
07. Dance? pro.by kyoka
08. ドレスを着る前に pro.by Fragment
09. 東京近郊路線図
pro.by Sugar’s Campaign
(Seiho × Avec Avec)
10. 君のこと pro.by nagaco

 

 

プロフィール

泉まくら
福岡県在住。 2012年 術ノ穴へ所属し同年発表されたデビュー音源「卒業と、それまでのうとうと」が各メディアで話題となり、くるり主催「WHOLE LOVE KYOTO」出演やパスピエとのコラボ音源『最終電車』リリースなど大きな注目を集めてている。2013年6月配信限定E.P.『candle』リリース。2013年10月11日に待望の1stアルバムをリリース予定。
OFFICIAL WEB
http://subenoana.net/archives/3878

Twitter
https://twitter.com/macra_iz

 

voice and beats バックナンバー

voice and beats インタビュー バックナンバー

voice and beats ディスクガイド バックナンバー

voice and beats インデックスへ戻る

PAGE TOP