L-VOKAL  / Page.1 -

掲載日:2013.09.09

L-VOKAL  / Page.1

昨年9月8日に開催された「908 FESTIVAL」に出演した際、KREVA全面プロデュースでニューアルバムを制作することを宣言したL-VOKAL。それから1年、公約通りに届いた『別人Lボーカル』は、L-VOKALに潜在するアーバンポップなエッセンスをKREVAが見事に抽出し研磨した、非常にスムーズな聴き心地の一枚となった。とにかく全曲洗練された味わいで、全体的にミッドチューンが多め。胸をザワザワさせる力強いアップナンバーで幕を開けるも、ジャジーなメロウチューンや涼しげなボッサ/サンバが薫るトラックで気持ちよく酔わせ、ボカロをフィーチャーした軽快な曲で新境地も開く。KREVAのファーストアルバムを思い出さずにいられないアルバムタイトルは洒落ているし、リリックにもL-VOKALらしいユーモアとウィットがあふれる。L-VOKALの粋とKREVAの髄が合わさった驚異の快作。期待を上回る別格アルバムの登場だ。


——直球の質問からいきますが、今回、KREVAをプロデューサーに指名した理由から教えてください。

やっぱり新しいモノを掘り出したいっていうのがメインですね。KREVAくんってラッパーとしてのスキルはもちろん、プロデュース面がすごいなとずっと思っていて。で、俺が勝手にKREVAくんがプロデュースしてくれないかなって思ってたんです。それをぶっちゃけて本人に聞いたら、全然面白いじゃんって言ってくれて。

——それが昨年の「908 FESTIVAL」の直前くらいの話?

いや、結構前の話なんです。去年の始めくらいですね。『LIVIN’』(2011年10月発売)を出して、俺の中ではあのニコちゃんシリーズが完結したっていうのがあって。じゃあ、次は何かな?と思ったときに、KREVAくんがプロデューサーに徹したら絶対面白いんじゃないかなと思って。だから、意外と前から話は始まってたんだけど、なかなか転がっていかなかったというか。動き始めたのが去年の「908 FESTIVAL」辺りからっていう感じ。

——作業はどんな風に進めていったの?

初めから彼の中でイメージが膨らんでいたっぽくて、最初はワンループものをバンバン送ってくれて、結構それはジャジーな感じだったんですよ。けど、ずっとワンループものだから、俺も変なループに入っちゃって(笑)、なかなか(筆が)動かなくなっちゃって。じゃあ、これはこれで1回置いといて、もうちょっと違う方向も聴いてみたいですってお願いしたら別なモノが来始めて。そしたらちょっと乗ってきて結構書き始められたんですよ。そうすると以前もらっていたワンループものも書けるようになってきて、やっとエンジンがかかったっていう。

——そのジャジーな方向っていうのは「Same Ol’ Biz」とか?

まさに。それは最初にもらったトラックの内のひとつ。

——「Europe」とかもジャジーな時期にもらってたもの?

あれはまたちょっと違うフレイバーが入ってきて。彼は絶対ブラジルがくるって言ってて、「CHILLING」だったり「Europe」だったり、ちょっとブラジルっぽいトラックが何曲か入ってるんですよ。来年ブラジルはW杯もあるし、俺もそこは超フィールしてて。俺もブラジルはくると思ってたから、そこをピンポイントで当ててきたし、もう、いいっすねーって感じだった(笑)。

——あと、「Fever」にもラテンな雰囲気があるよね。実際、ラテンフレイバーはアルバムのひとつのポイントになってると思うし、そういうジャジーで洗練された雰囲気のミッドテンポ曲は、L-VOKALというラッパーのイメージを考えるとフレッシュなのでは?

それはあるかも。究極にお洒落な感じっていうか。けど、ジャジーなものは前から結構合うんですよ、ファーストアルバムもそういうノリだったし、KREVAくんが俺に合うだろうなっていうものを選んできてる感じがする。でも、最近はそういうのはなくて今風な感じになってたから。そういう意味じゃあ、このアルバムは今風をまったく無視してるところはありますね。

——作詞面でもKREVAと意見を交換しながら作っていったんですか?

ラップは俺に任せてもらってるんで、それはなかったですね。ただ、フックはしっかりしたものができるまでOKがなかなか出なかったから、フックをしっかり作りたい人だとわかったし、俺も練れば練るほど出てきたから、それが新しい体験だった。ラップって結構フロウでやっていけるところがあるけど、フックはしっかり作らないとな、フックって大切だなって思ったし。今回、フックはしっかりしてる気がしてますね、全曲。

——最初のジャジーなものから指向を変えて上がってきたトラックというのは?

「SKILLZ」とか「YO! YOU!」とか。「YO! YOU!」は本当飛びついたっすね、こんな奇妙なトラックねぇなと思って。

——「YO! YOU!」は先行シングルにもなったけど、どんなコンセプトで作ったの?

最初に書き始めたのは、どっちかというとスワッグ効かせてる感じで、俺にかかっちゃ余裕っしょ、みたいな。ちょっとボースト系な、勝負に対して楽勝っすよ、みたいな感覚だったんですよ。だから、「余裕」っていうキーワードは最初からあったんだけど、途中から変わっていって、今、世の中に余裕がないなっていう方に照準を合わせた方が面白いなと思って。俺が余裕っていうことを聴いたって誰も面白くねぇなと思ったし、アルバム作りで手詰まってリリースがどんどん後ろにズレていくことで、俺の財布にも余裕がねぇわっていうことになってきてて(笑)。そんなときに余裕なリリックを書いてる俺もダセエなと思って。だからよりリアルになってきた感じ。余裕はないけど、せめて心には余裕が欲しいなっていう。そういう歌詞ですね。

——この曲のクレジットに「Special thanks:mikE maTida」とあるけど、彼の役割は?

ぶっちゃけ、彼はフックの元となるメロディーを作ってくれたんです。

——彼はラップだけじゃなく、そういうこともできるんだ?

そう、メロディーも書けるんですよ。これはまた別の機会に話したいけど、俺、mikE maTidaはこれから激的にプッシュして行こうと思ってますから。

——この曲で実際に歌ってるのはLくんだよね。

そう、俺です。でも、まあ、基本的に全部コンピュータの技術ですよ(笑)。

——いやいや、味のある歌ですよ。ここまで歌うのは新しい境地を開いたと思ったし。

まあ、「声」を売ってるんでね。ここまでやった方が気持ちいいなと思ったんですけど。でも、俺なんて存在してないようなもんだから。これこそ別人Lボーカルですよ(笑)。

——「CHILLING」はフックの作詞法がアイデア賞もんでした。歌詞カードを見ればよりわかると思うけど、フックの各小節の冒頭のワードがあいうえお作文みたいに「CHILLING」のスペルになってる。

ありがとうございます。これはなかなかフックがでなくて、結構追い込まれた曲で。最後にマルキーニョスさんという方が突然歌い出すんですけど(笑)、彼はラモス(瑠偉)さんのレストランでボサノヴァを生演奏してる人で。最初は彼にフックを頼んだんですよ。だけど、全部彼だとトゥーマッチだし、俺が出してたモノはKREVAくんから、もうちょい粘って絞り出して欲しいって言われて。それで絞り出したのがこれなんです。

——で、最初のアイデアにあったマルキーニョスさんが歌うフックは最後に入れてると。

そう。入れたら、それもぴったしハマったっていう。けど、この曲は来年の6月くらいに本当に良さが出ると思う(笑)。かなり気に入ってる曲です。

——この曲に【ライフはたぶん冗談かアート 意味とかより Be バカでSmart】っていう歌詞があって。これはLくんのポリシーが表れてるラインじゃないかと思ったんです。

まさに。本当、冗談かアートだと思っていて。まあ、その両方が欲しいんだけど。

——しかも、Lくんの冗談のセンスはちょっとスパイスが効いた独特なものですよね。「次の時代」の【もしかして癌は治る? それともGUNが流行る?】とか、ちょっとブラックなユーモアが多い。ちくっと刺したい場合はなおさらユーモアにくるんで言う、みたいな。

ユーモアはスーパー重要。ユーモアは難しいけど、俺は頑張って入れていこうと思ってるんです。俺は笑えなかったらラップとして成立しないと思ってるんですよ。ラップはルーツを知れば知るほど、笑わせたもん勝ちなんですよ、バトルでもなんでも。笑わせないラップはあんまり俺フィールしないから。マジメな中にもちょっとユーモアがあった方がいい。それはずっとテーマですね。

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リリース情報

KREVA完全プロデュース!
L-VOKAL 最高にして最新アルバム堂々完成!

New Album
『別人Lボーカル』
KLCT-0004 / ¥2,800 (tax in)
2013.09.11 ON SALE!


CD
01.SKILLZ
02.いいね!
03.YO! YOU!
04.次の時代
05.Same Ol’Biz
06.CHILLING
07.Fever
08.Goodbye
09.Europe
10.TOKYO MARATHON

Produced by KREVA
Song by L-VOKAL
Track by KREVA

 

 

プロフィール

L-VOKAL (エル・ボーカル)
イギリス人の父と日本人の母との間に生まれる。1997年 アメリカフィラデルフィアの大学に留学。本場のヒップホップカルチャーを生で目の当たりにして、衝撃を受ける。2001 年、21 歳で帰国。外資系証券会社に就職。DJ Tonk から声をかけられ、アルバム 「Aquarian Soul」に参加。人生初のレコーディングを体験し、もっといい作品を作りたいと強い欲求から、本格的な活動をスタート。2004 年、初の自主制作アルバム 「The Underground」 をリリースし完売。2006年3月、1st アルバム「LAUGHIN'」をリリース。その後、 インディーズレーベル 「MATENRO RECORDS」をDOC-DEE と立ち上げる。アルバム 「摩天楼」 をリリース、その後ミックスCD 摩天楼シリーズを発売。ブログ 「吾輩はエルである」 をスタート、見かけによらず、優しい丁寧な言葉と真面目なブログが人気を集める。2008年、メジャー・1st シングル「万歳」 、2nd シングル「Step Up feat. KREVA」 、 2nd アルバム「FREE」を発売。この頃にKREVA と出会い、日本語でラップをするなら英語にはない、日本語にしかない日本語ならではの良さを出さなきゃ意味がないと、アメリカ感覚からリリックの方向性が転換される。2010年3月、自身のレーベルからアルバム 「LOVIN'」 にて、念願だったVERBALとKREVAとの共演を果たす。2011年5月、KREVAのシングル「C’mon, Let’s GO」のカップリング曲にBETTER HALVESとしてAKLOと「マカーGB-mix feat. AKLO, L-VOKAL」に参加。10月アルバム「LIVIN'」をリリース。Amebreakが選ぶ年間ベストアルバムの3位を獲得。同年高級靴下付き音源もリリース、毎年恒例の「おもちゃ付き音源シリーズ」は継続中。2012年、DJ ISSO 氏のミックスによるBEST OF L-VOKALをリリース。2012年9月08日「 908 FESTIVAL」に出演。「今、アルバム作ってます。次のアルバムはKREVA君にフルプロデュースやって貰います!楽しみにしてて」 と公言。KREVAプロデュースでのオリジナルフルアルバムの制作に入る。その約束通り、2013年8月21日、 先行配信シングル 「YO! YOU!」 をリリース。そして待望のオリジナルアルバムが9月11日にKREVA 主宰のレーベル “くレーベル” からリリースされる。リリース後は、全国クラブツアーも予定。

L-VOKAL Official Web
http://www.1979.jp/

 

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