STERUSS  Page.1 -

掲載日:2012.09.14

STERUSS  Page.1

名作と誉れ高い前作『円鋭』から実に4年半。リリカルな歌詞表現と洒脱なサウンドで人気を集めるステルスがニューアルバム『The Rap Messengers』を完成させた。2010年末にメンバーのDJ KAZZ-KがライブでのDJ活動を一時休止することを発表した彼らだが、その後、自らも名を連ねる横浜発のクルー、ZZ PRODUCTIONSのビート武士がライブDJを務め、正式メンバーに加入。さらに今回はハウスオーケストラからヒップホップバンドまでを自由に行き来するタケウチカズタケ(A HUNDRED BIRD/SUIKA/D.I.T.A.)を外部プロデューサーに迎え、持ち味である温もりのあるセンチメンタルソウルグルーヴをより多角的にパワーアップして届けてくれた。また、独自の“詩的なんだけどわかりやすい歌詞”もブラッシュアップ。前作はアブストラクトで内省的な歌詞が多かったが、今回はメッセージも表現も普遍的なものに変化。胸がチクっとしたり、胸がきゅんとしたり、胸を衝かれるようなエール——人生の歩き方のヒントが綴られている。今回はオリジナルメンバーであるCRIME6、BELAMA2、DJ KAZZ-Kにインタビュー。本作にこめた思いを語ってもらった。

-- 4年半ぶりのアルバムリリースになりましたが、それだけのインターバルが空いた理由から教えてください。


CRIME6:生活と音楽を両立していく中で、メンバーそれぞれの環境が変わっていって……。まあ、もともとあんまり制作期限を決めないグループだし、その間に「できそう、できそう」って言ってたのが、段々「あとで、あとで」ってなっちゃったんですよね。


KAZZ-K:でも、『円鋭』を出した2年後にZZ PRODUCTION(以下ZZ)としてクルーのアルバム『ZZ』は出してるので。その頃はZZの制作に力を入れていて、それで全国を回らせてもらっていて。ZZをやりながら、音楽以外の仕事をやりながら、ステルスの制作っていうのは時間的には難しかったんですよね。

-- その期間にビート武士さんが正式メンバーに加わったことが最も大きな変化だと思います。彼はステルスが2011年4月にATATAが行ったイベントに出演した際、初めてライブDJとして参加したんですよね。


BELAMA2:そう。ただ、僕とKAZZ-KとCRIME6は年が一緒なんですよ。さらに俺とKAZZ-Kは地元も一緒で、幼稚園からずっと一緒なんですね。なので、いくらビート武士がZZのメンバーだとしても、年も違う、地元も違うところにひょいと来てできるものなのか?っていう心配はあったんです。でも、それは一瞬でなくなりましたね。肝が座ってるというか、こいつは良かったなと。で、しばらくその形でライブを続けて、去年の年末くらいに武士に「ステルスに入ってくんない?」って誘ったんです。


-- 実際、4人体勢になって制作面はどう変わりました?

KAZZ-K:音的には、今までは全部僕がやってたんで、仕事量は減りました。けど、もともと僕があまりできない環境になってしまったわけだし、ビート武士だけじゃなく、初の外部プロデューサーも入れて今回作ったんです。でも、それで特にやりにくい部分はなかったかな。俺にはないテイストのモノも入ったし、結果、良かったなと思ってます。

-- 今回はタケウチカズタケさんを外部プロデューサーに迎えたのも大きなトピックですよね。


CRIME6:KAZZ-Kが2010年の12月で一旦DJ活動を休止するとなったとき、レコーディングできるところはどこか?っていうことになったんです。だから、カズタケさんには、最初、レコーディングを手伝ってもらいたいって声をかけたんです。SUIKAも自分の家で録ったって言ってたし。

BELAMA2:環境を悪くするのも良くするのも自分達次第じゃないですか。カズタケさんとは今までやったことないし、違うテイストが来るのを楽しんだ方が得だなと思ったんで、僕は全然OKな選択でしたね。


-- タケウチさんは打ち込みもバンドサウンドも作れる方だし、結果、ステルスのサウンドの幅は広がりましたよね。特に「180」は、ドラム+鍵盤+DJというユニークな編成になってる。

KAZZ-K:「180」のベースとなるトラックは僕が作ったんです。で、それを弾き直し+αみたいな感じで作ってる。だから、これが一番新たな試みですね。

CRIME6:そういうのはやってみたかったんですよ。「go city blues」もそうだけど、カズタケさんとやることで自分たちの可能性だったり、ステージングの幅が広がったと思ってます。


-- そもそも今回のアルバムはどんな方向をめざして作っていたんですか?

KAZZ-K:今まで僕は、「蝕」とかの日本語ラップのイベントでDJをしたり、「ULTIMATE MC BATTLE」でもDJをやっていて、日本語ラップのど真ん中で活動してきたんですね。だけど、ステルスの作品に関しては、日本語ラップという枠は全然考えてなくて、「音楽が好き」という方に聴いてもらいたいっていうのがあったんです。でも、『円鋭』までは、僕が作って2人がラップして、となると日本語ラップという括りで見られがちだった。ただ、今回はバンドの人に参加してもらったり、外部の新しいサウンドを取り入れることによって、もうちょっといろんな人に聴いてもらえるんじゃないかなという感覚がありますね。

-- 『The Rap Messengers』というタイトルはどんな思いから付けたんですか?

BELAMA2:これは僕が付けたんですけど、「RAP」という単語をタイトルに入れたかったんです。さっきKAZZ-Kが話したように、ステルスは今、日本語ラップをやってる人と同じようなことをやってるか?と言われたら、自分たちのスタイルはそれとは違うっていう意識があって。でも、ラップはしてると思ってるんです。僕は自分のことをラッパーだと思ってる。ラップにこだわりたいっていう気持ちはあるんで、「RAP」という文字を自分たちなりに格好良く伝えたかったんですよ。ただ、だからといって、アルバムタイトルが『RAP』っていうのはあるか!?って話になって(笑)。


-- いくらなんでもシンプル過ぎますよね(笑)。


BELAMA2:そこで考えたのが今回のタイトルなんです。『円鋭』の「尖」で鈴木勲さんとやらせてもらったときにいろいろ話を聞いたんですね。勲さんは「俺も若い頃は向こうに行ってさ。ジャズメッセンジャーズだったんだよ」みたいなことを言っていて。その話を聞いたときに、日本人でもすごい黒い感じがして、でも日本人っぽいユーモアもあってっていう——。日本人だけどそういう風に言い切っちゃうセンスがかっこいいなと思ったんです。じゃあ、俺たちはラップメッセンジャーズでいこう、それが良いんじゃないかと思ったんです。

-- 本作の宣伝資料には、今回は不安、怒り、悲しみ、憤り、疑い、悩みなどの先にあるものを伝えたかったとあります。その思いをもう少し詳しく話してもらえますか。

CRIME6:表現として薄っぺらいものはやりたくないっていうのがあって。年齢もあると思うんですけど、この年になって責任感からストレスとかを抱えるようになってきた実感があるんです。そうすると怒りの感情が一番先に来たりとか、「嫌だ」とか「逃げたいな」とか、そういう気持ちが出てくるようになる。だけど、その感情を表現したいと思わないし、俺自身、それを表現してる曲をいいとは思わなくなってきたんですね。すげえ怒ってるときに怒りの曲を聴いても「まあ、そうだけどさ」っていう。それよりは、こういう風に俺と同じ事を考えてるヤツがいて、こいつもこんな風にやってんだって感じられるような曲というか。一時の感情に動かされずに、本当に大切なことを絞り出して書きたいなっていうのが今回あったんです。


BELAMA2:あと、テーマをひとつに絞れなくなってきたっていうことですね。みんなで作ってるし、みんなにいろんな感情があるし、みんなの環境も変化してきたので。じゃあ、自分たちはその状況でどういう曲を聴きたいのか、どういう曲を作りたいのか。そこをみんなで話して形にしたかったっていう。

-- なるほど。


BELAMA2:あと、時間が経っても聴ける曲っていうのもみんなと話してました。僕らが40、50、60歳になっても、今回作ってるアルバムをライブでやろうと。それができるのってかっこいいじゃんって。そういうのができる曲を今回作ろうっていう話もしてましたね。

←前のページ 次のページ→

リリース情報

gagleovall_j.jpg

『The Rap Messengers』
NOW ON SALE!
ZPCD-007 / ¥2,625

収録曲
01. go city blues
02. one birth
03. 180
04. Roots Musician
05. ainoneiro
06. bon
07. Ne-han
08. @STREET
09. ガイドライツ (night)
10. ゲルニカ feat. Deep Sawer(ZZ PRODUCTION)
11. 円人90
12. いつかわらいばなしのone day
13. @PARTY
14. LAST DAY
15. 狂った悪魔のラブソング

プロフィール


STERUSS(ステルス)
97年から横浜を拠点としてSTERUSS(ステルス)を結成。03年にCRIME6、BELAMA2、DJ KAZZ-Kの2MC & 1DJの構成になる。自主CD-R「One coin sampler」を発表し、同年BLAST監修のコンピレーションCD「HOMEBREWER'S 2」の参加をきっかけに活動の場所を全国区に広げた。その後05年にALBUM「白い三日月」をリリース。その中の1曲「真夏のJAM」が縁を呼び、横浜のJAZZの一大イベント横浜ジャズプロムナードにおいて鈴木勲率いるOMA SOUNDと共演するなどジャンルの壁を越えて活動場所を広げていった。06年にはDJ KAZZ-KがP-VINE監修のJAPANESE RAP MIX CD「overrap」のDJに大抜擢されDJ個人としても活動の場所を全国区に広げた。また、同年に12inch「風見鶏のうた/184045/マイク中毒pt2」を発表。07年に発表した12inch「ソラノウタ/尖/killing me softly」、08年に発表のALBUM「円鋭」では鈴木勲 (Bass)、スガダイロー (Piano)、toto (Poetry Reading)などと共演する事で音楽としての幅を広げた。2010年にはZZ PRODUCTION(サイプレス上野とロベルト吉野、DJ KENTA等所属)としてクルーのアルバム 「ZZ」を発表。その後、LIVE DJをビート武士(ZZ PRODUCTION)が譲り受けて正式にSTERUSSに加入。元バトルDJのスキルを十二分に発揮し、STERUSSのライブを更に高い次元へと導いている。現在はCRIME6、BELAMA2、DJ KAZZ-K、ビート武士の4人で活動中。そして待望のNEW ALBUM「The Rap Messengers」が2012年9月5日発売決定。溜め込んだVIBESを開放するときが来た。

OFFICIAL SITE
http://www.steruss.com/

voice and beats バックナンバー

voice and beats インタビュー バックナンバー

voice and beats ディスクガイド バックナンバー

voice and beats インデックスへ戻る

PAGE TOP