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特集 スキマスイッチ Special Interview

特集 スキマスイッチ

Special Interview

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デビュー10周年イヤーとなった2013年は全都道府県ツアーから始まり、2枚のシングルとベストアルバムのリリース、ホストとして臨んだオーガスタキャンプ、約6年振りのアリーナ・ツアー、そして最後は初の武道館をフルオーケストラとの競演で締め括るという、まさに「スキマスイッチの年」であった。そして11年目の夏、約1年ぶりとなる待望のシングル「Ah Yeah!!」(アウイェー)が完成した。高校の男子バレーボール部を舞台にしたテレビアニメ「ハイキュー!!」(MBS/TBS系で放送中)のオープニングテーマだ。カップリング曲「夏のコスモナウト」はこの夏のインターハイの応援歌に決定。灼熱の日本列島で夢をつかむために汗を流す全てのアスリートたちにポップなシャワーが降り注ぐ。(編集部)

– ニュー・シングル「Ah Yeah!!」は、高校のバレーボール部を舞台に描いたテレビアニメ「ハイキュー!!」のオープニングテーマとして書き下ろした楽曲ですね。そういえば確か大橋さんは学生時代、バレーボール部に在籍していたんですよね?

大橋卓弥(以下・大橋):そうです。学生時代はバレーボールに熱中してました。だから、アニメで描かれているバレーボール部員たちの心境と重なる部分はたくさんありましたよ。でも今回、このお話をいただいたのはそれがきっかけではなかったんですけど。オファーをいただいてから僕らが考えていたのはバレーボール部ド直球な曲じゃないもの…例えば、いろいろなスポーツの試合だとか、それこそスポーツだけじゃなくて何かを始める前の心境だとか、いろいろなシチュエーションに合うような、そういうものと重ね合わせられる新曲だといいかなということでした。そこから曲作りを始めたんですね。

– バレーボールだけに特化するのではなく、何かを挑む人たちの心情と重なるような思いで書かれたと。

大橋:ええ。僕らはいつもタイアップをいただいた時って“寄り添い過ぎず離れ過ぎず”を第一に考えて、そこにスキマスイッチらしさを出すことを心掛けているんですね。僕ららしさを出せることができたら、とてもいいコラボレーションになれるんじゃないかと思っているので。だから今回もバレーボール部のことをそのまま書くと直球すぎて、言ってしまえばそれは僕らじゃなくてもできると思うんですよ。それよりも僕らなりのコラボレーションの仕方があった方が面白いって思っているし。あとはスキマスイッチの活動のテーマとしてもいい意味で裏切りたいというか、何かしらのひねりを入れたいっていうのがあるので、そこら辺についてはいつもお話をいただいた時に考えていることなんですよね。

– 「Ah Yeah!!」はライブ感あるロック・チューンに仕上がっていますけど、曲作りに関しては今回もメロディーから取りかかったんですか?

大橋:そうじゃなかったんですよ。だいたい僕らはメロディーから作っていくんですけど、今回はサウンドから作っていったんですね。というのは、バンド感があってちょっと骨太な感じのサウンドがいいなと思ったので、そういうトラックはどうだろうか?って、シンタ君(常田真太郎)にお願いして。で、そのサウンドから導かれるようなメロディーを作ってみるというやり方をしてみました。

– なんだか楽しそうですね。実際にその新しい試みをしてみていかがでした?

大橋:面白かったですよ。ね?

常田真太郎(以下・常田):うん!これまでも結果的にそうなったという部分もたまにありましたけど、今回は最初のトラックからのトライだったので面白いなと思いましたね。実は昔…インディーズの頃はけっこうそんな感じでやっていたこともあったんですけど。だけど今とは違ってだいたいのアレンジがあってそこから無理やり楽曲に繋げていくって感じだったんですけどね。だけど、さすがに今はそういうふうには作りませんけど。

– 今回は骨太なバンド感あるサウンドというビジョンを描いてトライしたんですね。

常田:そうですね。そのビジョンを目指して2人であーだこーだと話をしてちょっとやってみようかって感じで。それを形にしつつ、また2人で作り直していくっていう。そこから新しいメロディーが生まれる。そういう意味でいうと、ちょこちょこっと新しい部分があるかもしれませんね。

– イントロのエレキギターの鳴りから湧き立ってくるような高揚感を感じました。ちょっと背筋をピンとさせるようなパキッとした感覚もあって。

常田:その辺のバンド・サウンドはひとつのテーマだったんですよね。そこで全部計算して埋めていくような感じの音というよりかは、なるべく一発録りをしたいって話をしつつ、今回お願いしたミュージシャンの方たちと一緒にサウンドを作っていったわけです。それがすごく楽しかったですね。それこそみんなであーだこーだ言い合いながら。いい意味での緊張感ももたせたいなと思ったし。イントロのバキッと感というのもテーマで、エンジニアさんもそういう音を出せる大御所の方にお願いして今回新しくやってみたんですよね。そういう部分の効果も出ているのかなと思いますね。

–  一発録りのテンションだと、よりエモーショナルさが出ますよね。

常田:譜面の音符を追って入れてもらったフレーズじゃない、その場のノリで描いたフレーズとかもいっぱい入っていますしね。それに何より歌が変わるよね、やっぱり。

大橋:うん、そうだね。もちろん歌も後で録り直したりはしたんですけど。でも今、シンタ君が言ったみたいにその場でバンドがせーの!で演奏した時に起こる化学反応に対して歌を乗せていくので、その気持ち良さに引っ張られていく部分がありますからね。その場で起こった突発的に出てきた音に対して反応して歌っていくっていうのはライブ感が出やすい気がしますし。だから歌っていて自分の中で構築していくというよりも開放していくような作業に近いですね。

– ひとつひとつの音から躍動感や遊び心が伝わってくるんですけど、例えば、ラストの“打ち鳴らせ心臓の音”というところでバスドラの音なんか聴いたりすると、歌詞とのリンクにリスナーとしてテンションがあがったりしました(笑)。で、全体的にその場でみんなでワイワイ言いながら楽しそうにしているレコーディング風景が目に浮かんでくるんですよね。だからこそ、グルーブが気持ちよく響いてくるというか。

常田:そういう意味では部活っぽかったよね?

大橋:うんうん、そうだったね。

常田:間奏で8/7拍子っていう普通にいかないところを作ってみたりしたら、参加ミュージシャンの皆さんが“ちょっと待って練習するから”ってそれぞれが練習して。で、よし、もう一回行ってみよう!みたいな感じで。

– なんかそういう部活感みたいなものって、アニメの世界観とリンクしますね(笑)。

常田:そうなんですけど、もともと僕らはみんなで作るってこと自体が好きなんですよね。そういう意味ではミュージシャンの皆さんも楽しんでいただきながらレコーディングしてもらえたと思うんです。で、僕らもそういう雰囲気にも随分と助けられたしね。

– 冒頭でもお話してもらったようにアニメの世界だけを言及した歌詞ではなく、何かに挑む前の緊張とかワクワクした感情とかがうまく描かれていますね。

常田:ええ。今の僕らで言えば、ライブ前だったりするんでしょうけど。何か大きなものを前にした時にどうやったら自分を高められるかってことを実際にアスリートに逢って話しを聞いてみたりしたんですよ。それを参考にしつつ、どう表現していこうかなと考えたんですね。

– お2人とも学生時代に部活でスポーツをやっていたこともあるし、今言ったようにアスリートの方の話ということもあるからこそ、歌詞にものすごい説得力とリアルさが息づいているんですね。

常田:そうですね。そういう話はかなりしましたからね。自分たちの試合の前の気持ちだとかね。それってアスリートだけじゃなく、僕らの中でも、“部活で試合に出る前の気持ちはどうだった?”“緊張しなかった”“ウソー!!”みたいな話とか(笑)。その辺のことはリアルに落とし込みたいですし、緊張しないタイプの人とすごく緊張するタイプの人がいて、そこに共通点を見いだして歌詞を書いていくのは面白いなと。何かに向かう前夜みたいな、もしくは何かに向かう日の朝みたいな感じで描けたらなと思いましたけど…そうだな、やっぱり緊張感というのがひとつのテーマかもしれませんね。そこが同じテーマでもカップリングの「夏のコスモナウト」とは全然違うかもしれません。

– スポーツ特有の爽快感みたいなものがサウンドから感じられますね。

常田:シリアスになりすぎてもどうかなっていうのもあって。2番のサビなんかもそうですけど、どこまで崩すかとか考えましたね。そういうところも楽曲がきっと呼んでいるので。“ミスター・ウィナー”っていうのもそうですけどね。その辺がうまくできたらなと思って書きました。

– そういえば、常田さんはアニメの登場人物の日向と飛雄のコンビが自分たちに似ている部分があるとコメントしていましたけど、それって?

常田:あのアニメも原作の漫画も相反するものをキーに描いていると思うんですよね。僕らもタイプが全然違う2人が組んでスキマスイッチというチームを形成している。得手不得手が違っていて、そういうヤツらが集まってチームになるとすごい武器になるっていう。スポーツに限らず仕事でもそうだし、組み合わせの妙っていうんですかね。卓弥からもバレーボールの話をよく聞くんですけど、僕が好きなサッカーよりもそれが強いスポーツだと思うんですよ。スペシャリストが集まっているというか。リベロもそうですし、スパイクが得意な人とレシーブが得意な人と…そういうオールラウンダーが6人いたら勝てないなって思うんです。そういう気がしているのでそこを含めて描ければなと。そういう意味ではスキマスイッチもお互いに特化している部分があるから。“すみません、僕はそこはできないのでやってください”みたいなところがあるので(笑)。そういう部分が似ているのかなと思いましたね。

– 相反するからこそ、火花も飛び交うだろうし、強く結びつくものもあるだろうし。だからこそ結託した時に想像を超えた何かが生まれてくるという面白さもあると思うし。

常田:そうですね。負けたくないって気持ちはきっとあの2人にもあるだろうし、僕らにもありますからね。

– タイトルの「Ah Yeah!!」は“アー・イェー”とは読まずに“アウイェー”と読むわけですが、実際そういうふうに歌っていますけど、何か意図するところがあるんでしょうか?

大橋:いえいえ、それはないですね。サビの頭で“Ah Yeahはデモを作っている時から“アウイェー”と歌っていたんですよ。歌詞がない時からね。普通は“アー・イェー”だけど、僕は“アウイェー”ってなんか言いたいんですよね、このサビの頭は(笑)。でね、最初そこに別の言葉を乗せるというアイディアもあったんだけど、やっぱりここはシャウとトしている感じがいいからということで、そのまま生かして歌ったんです。それで最後にタイトルをつける時に、そこはやはり一番肝のシャウトの部分をタイトルにしようってことになったんですよね。サビ頭で歌う“Ah Yeah~”って、自分を奮い立たせるシャウトだったり、歌詞にもあるけど、魔物を祓うためだったりとか、自分の中にある迷いだったり、緊張を追い払うための叫びだったりするので、それをそのままタイトルの読み方にしたんです。

– そういうこだわりもスキマらしさですよね。

大橋:そうですか(笑)。なんか響きは気にしますね、確かに。

– “Ah Yeah!!” の“Yeah”って喜びや興奮を表現する言葉でもあるけど、他にも色々な意味や使い方があると以前何かで読んだことがあるんですよね。通常の“Yes”という意味もあれば、考えている時とか相手の話を聞く時や確認する時に使ったりとか。だから、その時々のシチュエーションによって使い分けることができる様々な意味を持っているこの言葉を選んだのはさすがだなと思っていたんです。

大橋:あははははは…そこまで深くは考えてないですけどね。さっきも言ったようにサビ頭のシャウトでしかないんですけど(笑)。

– あ、深読みでしたね(笑)。

大橋:実はね、僕も“Yeah”で調べたんですよね。で、確かにそういう意味があって、歓喜の“Yeah”もあれば、日本語と一緒で言い方によって意味が変わってくるっていうか。気持ちを表現する時の言葉でもあるので、その時々で変わるっていうのは“なるほどなあ”と思いましたけど。

– C/W曲のM2「夏のコスモナウト」に話を移しますが、“コスモナウト”ってロシア語読みで“宇宙飛行士”という意味ですね。

常田:これも単なる音感でロシア寄りにしたんですね。やっぱり英語の“アストロノート”を使って「夏のアストロノート」だと響き的にピンとこなかったんですよね。それに個人的に“コスモ”っていう方が単語的にも好きだし、神秘的な感じもするし。

– で、“宇宙飛行士”っていうキーワードが生まれたのは、どういうところからなんですか?

常田:この曲はインターハイの応援歌として書き下ろした曲なんですけど、僕自身、高校時代にインターハイを目指したこともあって、試合前に“でっかい花火を打ち上げてやるぜ!”みたいな気持ちをもって挑んでいたところがあるんですよね。そういうことを考えていた時に、花火=打ち上がるもの=ロケットっていう発想が浮かんで、主人公が花火に入っている宇宙飛行士というイメージを描いたんですね。それだったら、自分が花火になってしまえばよりいいのではないかと。それが選手たちひとりひとりであり、そういう選手たちを見て応援する皆さんがいて、そういう応援する人たちの笑顔を彩ってもらえたらなという思いを込めたんですね。あと夏=花火でもあるし。そういうものがいろいろとリンクさせながら描きました。

大橋:今シンタ君が言ったようにインターハイの応援ソングなんですけど、「インハイ.tv」といって全国高体連公式インターハイ応援サイトの中に、写真を撮ってそこに言葉を投稿すると、フラッシュで“頑張れ”とか“お前が一番だ”とか、それこそ“大きな花火をあげてこい!”とかっていう応援メッセージが作れるアプリの「応援ムービーメーカー」があるんですね。そのバックに流れる曲だということを聞いたので、少し青春な感じも残しつつ、ちょっと温かいテイストもありつつ、それでいてみんなの気持ちを後押しできるような強さみたいなものとかもそこにパッケージングできればいいなと思っていたんです。それに「Ah Yeah!!」との差別化もしたかったというのもありますしね。歌詞で言うと「Ah Yeah!!」の方がいち個人の気持ちを描いているような感じで、「夏のコスモナウト」の方は仲間と一緒っていうイメージで書き分けました。

– 同時期に同じスポーツを題材にして描くというのは難しかったんじゃないですか?

大橋:ええ。言葉がかぶらないようにするというのが難しかったというか。例えば、スポーツって“汗”と“涙”とか使いたい言葉が似通ってくるじゃないですか。それをどう使い分けるかとかをすごく意識しながら作りましたけどね。

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