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秦 基博 「ひまわりの約束」インタビュー

秦 基博

「ひまわりの約束」インタビュー

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ひまわりの約束 (映画「STAND BY ME ドラえもん」コラボレーションVer.) short

「真っ直ぐで、ほがらかで、あたたかい」。そんな君と僕の約束。

8月8日より公開されている3DCGアニメ映画「STAND BY ME ドラえもん」主題歌  として書き下ろされた秦 基博のニュー・シングル『ひまわりの約束』がリリースされた。公開前の予告映像や、YouTubeで期間限定フル公開していたコラボ・ミュージックビデオが大きな反響を呼んでいた同曲。ドラえもんとのび太のストーリーが秦 基博というフィルターを通し、水に落としたインクのように、様々な形で世の中にじんわりと浸透していくことを予感させる。
今回のインタビューでは、『ひまわりの約束』の制作過程から、カップリング曲までを含めたシングルのコンセプト、楽曲との向き合い方など、興味深い話をたっぷりと聞かせてくれている。

–今日(取材日は8月6日)はシングル『ひまわりの約束』の発売日ですが、リスナーからの反響はいかがですか。

6月に終わったツアー【GREEN MIND 2014】では、すでに歌っていたんですけど、ドラえもんの曲ということもあってイメージしやすいのか、初めて聴くにもかかわらず、曲の世界に浸ってくれているのが、こちらにも伝わってきましたね。

–先日、山中湖で行われた【Augusta Camp 2014】の時には、ドラえもんさんと共演されたそうですね。

そうです。ドラえもんさん(笑)が横にいて、そこで歌うっていうシチュエーションは、なかなかないですからね(笑)、すごく貴重な機会でしたけど。でもドラえもんが持ってるパワーっていうのは、すごいですね。だってドラえもんがステージに出てきた瞬間にお客さんの顔がパーッと明るくなりましたから。「あ、これはやっぱりキャラクターの魅力、そういうものが一気に人を幸せにするんだな」と思って。それは横で歌っていてもすごく感じましたし。当日の朝、ドラえもんとリハーサルをしたんですけど(笑)、スタッフみんなが笑顔でしたから。もはや国民的というか、知らない人がいないくらい浸透しているキャラクターですよね。

–そんなドラえもんのシリーズ初の3DCG映画『STAND BY ME ドラえもん』の主題歌となっているのが、『ひまわりの約束』ですね。

今回、映画主題歌のお話をいただいて、ドラえもんとのび太という二人の関係性をどうやって自分の言葉で紡ぐか、聴いてくれる人がどうやって“自分の歌”として置き換えて聴いてくれるか、そのことをいちばんに考えて作りましたね。

–資料には「のび太としずかちゃんとの恋の行方」がストーリーの軸になっていると書かれていましたが、楽曲は、今、秦さんが仰ったように「ドラえもんとのび太の関係性」がテーマになっていますよね。

そうですね。しずかちゃんとの恋の成就というか、しずかちゃんと結婚するために、っていうのび太の奮闘が映画の中では描かれているんですけど、「二人で乗り越えていく」っていう意味では、やっぱりドラえもんとのび太の関係性も同じだし。今回の映画はドラえもんが未来へ帰ってしまうというお話でもあるので、“STAND BY ME”という言葉タイトルから伝わるメッセージだったり、そばにいてくれる人の大切さとかを描きたかったというか。当たり前のようにいてくれるドラえもんはある日突然未来からやってた存在で、、、ということは裏を返せば、いつ帰ってもおかしくない存在ということですからね。

–はい。

「ドラえもんはいつもずっとそこにいてくれるようで、本当はそうじゃないんだ、ということを改めてこの映画で表現したい」というのが監督さんはじめ制作チームからのお話で。そのドラえもんの話ストーリーを自分に置き換えてみると、そばにいてくれる人の存在って、もう当たり前になりすぎていて、特別意識することもなくなってるわけですよ。そこで自分自身も改めてそこに目を向けるっていう。

–なるほど。

あと、のび太に関して言えば、最初は自分のことばっかり考えてるんですよ。「宿題ができない」とか「ジャイアンに仕返ししたい」とか。自分ひとりの世界に終始して、ドラえもんに助けてもらうっていう。でも、あるポイントで、「ドラえもんに安心して帰ってもらうために自分は強くならなきゃいけない」って思う瞬間があって。自分だけの世界から一歩外に出て、誰かのために何かをしたいと願う瞬間って、大人になるひとつの過程だなと思ったんですよね。「自分にたくさんのものを与えてくれる人に、自分は何ができるのかな」って考えること。そこからこの曲は始まっているんです。

–冒頭のフレーズから心を掴まれますね。友情とか大切な人を歌った歌詞って、ありきたりなものになりがちですが、秦さんの言葉にはハッとさせられます。そしてわかりやすい。

ありがとうございます。僕自身、友情をテーマにした曲って、これまであまり書いてこなかったんですけど、友情に限らず、「二人でひとつ」というか、同じ感情を共有できる距離感でいられるふたり、そういう存在ってなかなかいないと思うんですよね。友達、家族、恋人、いろんな関係性の中で、たとえばもし相手が悲しんでいたら、同情とか感情移入ではなくて「同じように感じたい」っていう。「同じように悲しみを分かち合いたい」「同じように喜びたい」って、なかなかない関係性だと思うし、なかなかそうはならない。でもドラえもんとのび太はそういう二人ですよね。「お互いの幸せがお互いにとっても幸せである」っていう。それが「自分のことで自分より先に泣いてくれる人がいる」っていうイメージに繋がって、ああいう歌い出しになりました。今回は、そこがすべてというか、そこでまず二人の関係性を提示することから書き始めていったんです。

–なるほど。映画サイドから秦さんに対して、楽曲制作に対してのリクエストはあったんですか。

「切ないだけじゃなくて、じんわりやさしい気持ちになれるような、沁みるような曲にしてほしい」っていうオファーはありました。だからミディアム・バラードで、静かな立ち上がりの曲で、っていうのは最初からありましたけど、でも、それくらいでした。

–そこで“ひまわり”をモチーフにしたのは、どういう発想だったんでしょうか。

ひまわりは映画にも出てこないんですけど・・・でもドラえもんはのび太に対して無償の愛というか、見返りを決して求めていないんですよね。最初は自分が未来に帰るために「のび太くんを幸せにしなくては」ってところから始まるんですけど、結果、のび太のひたむきさに打たれて「この人のために何かしたい」っていう気持ちに変わっていくんですね。自分の愛情を、自分の持っているものすべてを捧げていく様は、すごく実直で、朗らかで、温かくて。そのドラえもんの姿と、真っ直ぐに咲くひまわりの花が重なったんだと思うんです。曲を作っていく過程で、浮かんできたのがひまわりだったというか。それが曲の顔になるようなモチーフにもなり、タイトルにもなったんですけど。

–特にストーリーありきで曲を作るとなると、どうしても物語だけに焦点を絞りがちになると思うんですけど、そこが秦さんらしいなと思いました。

まず映画を通してこの曲を聴いてもらう機会が多いと思うんですけど、やっぱりだけでも何かを伝えられるものじゃないと、と思いますから。自分の表現として何を曲に映し出せるか、という。だから映画を見てこの曲を聴くときと、この曲単体で聴くときとで、いろんな受け取り方をしてもらえるといいなあというのは、歌詞を書きながら考えていました。

–なるほど。ひまわりといえば、強い花、太陽の花、というイメージなんですが、秦さんの中では「やさしい花」なんですか。

そうですね。大きな存在、愛っていうとちょっと漠然としちゃうんですけど、大らかで広がりのあるイメージ、それがドラえもんの包容力みたいなものに繋がったのかなあとは思いますね。

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