MUSICSHELFトップ > インタビュー・プレイリスト > COILSpecial Interview

COIL
Special Interview

COIL
Special Interview

(ページ:1/2)

15周年を記念した最高のポップアルバム『15』

親しみやすいメロディと実験的なサウンドで、唯一無二の世界観を作り出してきたCOILが、待望のオリジナルアルバムをリリースする。その名も『15』”fifteen”。COILの代名詞ともいうべきギターポップはもちろん、壮大なバラード、弾き語り楽曲、ダンサブルなファンクナンバーまで、幅広い音楽性をぎっしり詰め込んだ充実の内容は、まさに15周年を記念するにふさわしいアルバムとなっている。その完成度の高さは2013年の最高傑作といってもいいほどだが、当の二人は普段どおりの涼しい顔。リラックスして、肩ひじ張らずに作り上げた自信作という。

――デビュー15周年記念盤、15曲収録、タイトル『15』。このタイトルはどの時点でついたのですか。

岡本 あまり深い意味はないんです。アルバムが固まりつつあった段階での収録曲は14曲だったんですが、マネージャーから「あと1曲あれば15周年に相応しく15曲になります」と言われて、「あっ!」って(笑)。「そうなったらアルバムタイトルは『15』しかない」って、洋介が言ったから、もう1曲作った。

――その自然な感じがアルバムの中身にも現われていますね。

岡本 今回のアルバムは、余裕というか余白というか、遊びを持たせながら作ったんです。音的にもコンセプト的にも。

――でも、『シネマ』以来8年ぶりのフルアルバムということで、気持ちの入り方も違ったのかなとも思うのですが。

岡本 2011年にリハビリ感覚で作った「ソナチネ」「ボサノバ」「カフェラテ」という5曲入りの3部作があって、それを出したときに「これはいけそうだな」って思ったから、「そろそろアルバムを作りますか?」くらいの意気込みでした。

佐藤 僕も同じく、フルアルバムだからとか、ミニアルバムだからとかで気持ちは変わらなくて、そのときに出てきたアイデアをそのときのモードで作り上げるだけなんです。

岡本 ただ今回は、「いいものができるな」っていうイメージは漠然とあった。「大丈夫」って思いを持ちつづけながら作業をしていた気はします。たとえば、昔は歌詞を書くときなんかは、ペンと紙を持って、「ダメだ。もう朝になった」っていうくらい、悩んで苦しんで作っていたんですけど、ちょっと前から、やり方を変えたんです。

――どういうことですか。

岡本 この日までに歌詞を書くと決めたら、最初の段階では曲を聴いてイメージ膨らませて種を植えるだけなんです。その次に「いい歌詞ができた!」とか、みんなから「いいね!」って言われているところを想像する。そして、そのまま締切日間際まではボンヤリした感じで、2/3くらいの状態にしておく。そろそろ仕上げないとヤバイかなということなって、ようやく筆を持つと、思考なのか感覚なのか分からないけど、それまで暖められた気分がスルスルっと言葉が出てくるんです。普通に考えているときと違う力が働いているのが分かってきたんです。この方法を今回のアルバムでも使ってみたら、最終的には自分のイメージどおりになりました。

――最近の岡本さんの作品の傾向として、落ち着いた曲調のものが増えているように見えます。このアルバムでも「CASANOVA」「嘆きの人魚」「移動遊園地」とか。以前のインタビューで、岡本さんは「ライブで声を張り上げずとも、あるいは小音量であっても、音は届く」と仰っていて、それが反映されているのかと。

岡本 そうですね。ボサノヴァのジョアン・ジルベルトなんて、あんな小さい声で歌っても、みんなが耳を傾けてくれるわけだし。最近とくに、その音楽の情報量はホントに凄いなって思うんです。なので、今回のアルバムはテンポやキー、音数とか、すべての面において大人なところに行ったかなと。音作りも、昔みたいに音圧を上げて、必要以上にコンプをかけることはなく、余裕を持たせているし。

――個人的に思ったのは、進化した『ROPELAND MUSIC』。

岡本 『ROPELAND MUSIC』は『ホワイト・アルバム』を意識した構成だったけど、今回は曲順におけるコンセプトは特にない。『ラバーソウル』の感じかな。15曲分で50分以上あるんだけど、聞いていて飽きさせない。そういうバランスで作りたかったんです。

――ドラムもホーンも生音で、しかもすごくいい音ですよね。贅沢なバンドサウンド・アルバムという気がします。

岡本 バンドサウンドと言ってもらって嬉しいんですけど、僕らは通常のバンドサウンドとは違うんです。たとえば、ポール・マッカートニー&ウイングスでいえば、『バンド・オン・ザ・ラン』のアルバムは、名義はバンドだけど、実際にはポールがひとりでギターとベースとドラムを演奏しているわけですよね。多重録音だけど、バンドっぽい音になっている。COILは基本的にああいうのが好きなんです。バンドサウンドは好きだけど、バンドは面倒くさい(笑)。

――「君とオンザラン」については後でじっくり聞きます(笑)。

岡本:バンドって、いつも同じメンバーでやらなきゃいけないけど、僕らは2人組だから、曲によってメンバーのチョイスができる。その結果、アレンジに広がりを出せる、というユニットならではのメリットなんです。今回のアルバムは、曲によって、阿部(耕作)さんと(あらき)ゆうこちゃんの二人に叩いてもらっています。特にアルバム前半は、阿部さんとゆうこちゃんのドラムがほぼ交互になるように並んでいて、それによってグルーヴ感を引き出し、結果的に音の幅を広げることができた。

――ドラムが曲を引き立てていますよね。佐藤さんが音の録り方に相当こだわっているように感じました。

佐藤 もちろん、曲の顔はボーカルだけど、意外にドラムも曲を支配するんです。響くし、リズムも作り出すし。その響きが空間を作り上げるから、世界観がいちばん出やすい楽器なんです。だから、このドラムはどこで演奏しているのか、ということがすごく気になる。ホールなのか、ライブハウスなのか、それとも寝室なのか。

岡本 ドラムは楽しそうとか、悲しそうとかの感情も出てきますね。

前のページ (ページ:1/2) 次のページ