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サンドクロック Mini Album『EPOCH』Interview

サンドクロック

Mini Album『EPOCH』Interview

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滝田周と永田佳之、似ているようでタイプの違うシンガー・ソングライターによるユニット、サンドクロックが、ミニ・アルバム『EPOCH』で遂にメジャーデビューする。前回のインタビューでは自分たちの活動スタイルについてデュオではなく、まるでシェアハウスで暮らしているようなソロアーティスト二人組と語ってもらったが、今作はまさにそんな二人の個性の違いを1曲ずつ、じっくりと味わっていく楽しさが詰まった全6曲が届けられた。

–いよいよメジャーデビューですね。今作はこれまでずっとライブで歌われてきた3曲と新曲の3曲が収録されています。制作はいつごろからスタートしましたか?

滝田:昨年12月に『LOG』を出してすぐ、年明けくらいからですね。

–今回は作品テーマみたいなものはありましたか?

永田:僕たちはそういうテーマみたいなものはいつも考えていなくて、出したいものを出して、出たものでまとめるという感じで作っているんです。(笑)

–そうでしたね。前回もそんなお話をお聞きしてましたね。じゃあ今回も同じように制作が進んでいったという感じですね。それでは早速収録曲をチェックしていきましょう。1曲目は「EPOCH ~始まりの詩~」。作曲は滝田さん、そして作詞が共作になっていますが、作詞の共作って初めてですよね。どんなやりとりで作っていったのでしょう。

滝田:前作『LOG』の「ピリオド」という曲を書いたとき、個人的には自分の中でひとつ完結した感じがあって、「よし、また新しい一歩を踏み出していこう」ってなったときに、次はこんな感じの曲が書きたいなって思ったのが「EPOCH ~始まりの詩~」だったんです。今までとは違って、聴いてくれる人に向けて一歩前に踏み込んだところで曲を作りたいと思って。それで実際に作り始めたんですが、言葉選びとか今まで通りすんなりはいかなくて、それで永田にアイデアをもらったんです。

永田:滝田の歌詞は抽象的に広く書くのが特徴なので、それを「もっとこういう言い回しにした方がより映像が見えるよね?」とか焦点を絞って、わかりやすくしてみたという感じです。

–これまでにない壮大な曲ですよね。アレンジはどのように進めていったのですか?

滝田:今回新しいアレンジャー兼プロデューサーさんと組みまして、まずはワンコーラスだけ出来上がった曲を、一度聴いてもらって、そこで戻ってきたアレンジに更にイメージをふくらませてという感じでキャッチボールをして出来上がりました。

–滝田さんの中では最終的にどんなサウンドをイメージしていましたか?

滝田:僕は結構曲を映像として捉えていて「EPOCH ~始まりの詩~」は《時代は19世紀の大航海時代で~》とか、そういうイメージを伝えてから始まりましたね。

–へえ。そういったやりとりは今回初めてですか?

滝田:前回も同じですね。

–そうだったんですね。前作は歌とギター、歌とピアノというそれぞれの音がダイレクトに伝わってくる印象でしたが、今作は様々な音が詰め込まれていて、前作とはアレンジの印象が違いますよね。

永田:そうですね。滝田と2人だけでやると互いの引き出しは全部把握しているので、今までにない発見とかがなかなか起こりにくいので、そういうものを求めてアレンジャーさんと一緒に作業を進めていきました。実際やってみて、こんなものが出てくるんだ!みたいな感動がありましたね。

滝田:最初はまだお互いにわからなくて、手探りで接点を見つけていくみたいな作業でしたね。でも進めていくうちにこれまでにない引き出しをたくさん開けてもらいました。

–具体的にどんなやりとりで進めていったのですか?

滝田:僕が作った曲は僕が、永田が作った曲は永田が、それぞれ作った人間がやりたいようにやるという感じで進めていきました。僕の場合は、今まではメロディを聴いてそこから直感で沸き上がってくる言葉をつなげていたんですけど、今回は予めこういう事を伝えたいというの事を持って、それを曲に込めるという挑戦をしました。アレンジは、一度アレンジャーさんに聴いてもらって、そこから生まれたアレンジで一気に自分のイメージを膨らませてもらった部分があって、僕の中ではまだイメージ出来ていなかった新しい部分も発見することができて、とてもエキサイティングでしたね。

–「EPOCH ~始まりの詩~」はイントロ~歌~間奏どこを聴いてもドラマチックですよね。まさに《19世紀の大航海時代》。

滝田:歌詞にストーリー性が生まれたというか、1曲を通して1つの映画を観ている感覚で作れましたね。

–次に2曲目「1+1」についてですが、サンドクロックの定番中の定番ですよね。僕もライブで何度も聴かせてもらっていますが、今作ではライブでいつも聴く弾き語りのイメージではなく、細かい部分でアレンジが施されていて原曲の持つ”グッとくる感”が更に増していて。

永田:歌詞もメロディも大きくは変えてないですけど、4年前の曲なので、その4年前の自分と、今の自分との考え方や、性格の変化、成長みたいなものをサウンドで伝えたかったんです。同じ言葉でも出した人が成長したんだよっていうそういうサウンドを作ってみました。

–歌っている人間の成長をサウンドで表すってなかなかこれも大変な作業だったんですね。3曲目「グリーディーランド」こちらも滝田さんの定番ですが、ライブではシンプルなバンドサウンドで軽快に歌っている印象がありますが、ホーンアレンジも華やかでより跳ねている感じでとても楽しいサウンドに仕上がっていますよね。

滝田:「オトナの遊園地」、「テーマパーク」っていうイメージでアレンジ作業をしていったんですけど、ジェットコースターに乗っているような疾走感も作れたし、色んな音を入れて遊びながら作れた曲ですね。

–そして4曲目「サロペット」。男性が知らない女性の言葉を引っ掛けた歌詞、キーボードを弾いているようなギターのカッティング、どれもユニークで、凝ってますよね。

永田:凝りましたね。曲作りをしている時に、「サロペット」という言葉に出会ったんですけど、僕はそれが何か知らなくて。そこから「サロペット」という言葉の響きが持っている雰囲気と、僕が持っている雰囲気を埋め合いながら作りました。

–男性目線からすると共感する所はありそうですけど。

永田:でも女性からするとこの歌詞に関しては考えさせられるって人もいるみたいです(笑)。

–なるほど(笑)。これは完全に男性目線だから受け手が女性になるとまた伝わる印象も変わってくるんですね。アレンジはどうでした?

永田:この曲は割とシンプルに考えましたね。

–サビのメロディやコード進行がいままでにない洋楽的なアプローチが印象的で

永田:ちょっとジャズっぽいというか洋楽っぽいメロディを目指しました。

–5曲目「IN THOSE DAYS」。以前永田さんにMUSICSHELFの企画でお気に入りのプレイリストを出して頂いた際に、ラウル・ミドンやエド・シーランの曲を選んでもらいましたが、そんな海外のフォーキーなR&BやHIPHOPといった、今までのサンドクロックにはなかった新鮮な音ですね。

永田:アコースティックギターの弾き語りという部分で比較的新しいものをやろうっていうのを考えた時に出てきた曲です。今、海外で発信されているものにちゃんとアンテナを張っていたいっていうのがあって。それで、ループマシンを使ったり、アコースティックなHIPHOPといった流行りのスタイルにもトライしてみたいって思ったんです。僕らは普遍的なものを発信していくと同時に新しいものも取り入れてサンドクロックのラインナップにしていきたいと思っています。

–歌詞も今までの永田さんならではの部分と英歌詞という新たな試みで

永田:本当はヴォイスパーカッションをしたかったんですけど、そうではなく、ドラムパターンやバスドラとかスネアから出る音に似た言葉を探していて、「IN THOSE DAYS」っていう言葉が出てきて。繰り返す度にグルーヴがあるので《これだ!》ってなりました。それが起点ですね。それが曲名になってどんどんアレンジが生まれていったという感じです。

–最後6曲目「モノクローム」この曲もこれまでライブではずっと演奏されてきた曲ですね。

滝田:この曲は音楽を始めて半年くらいの頃に作った曲なんですけど、僕自身、5年前に音楽を始めるまでは自分自身を表現するなんてした事がなくて、割と人に合わせて生きてきて。でもその間に自分自身《こうしたい》っていうものが溜まってきて、そういうのが音楽を始めてようやく外に出せたというか、それでこの曲が出来たんですけど、実は当時の事をあんまり覚えてなくて(笑)でもやっぱり自分の中に仕舞いこんでいた孤独だったり、不安だったり、人恋しさだったり、そういうものが凝縮されている曲で、5年経った今でも歌詞を見返してもすごく等身大の言葉になっているし、今でも自分に当てはまることだったりしますね。

–滝田さんの内面が表れていて。

滝田:そうですね。衝動のみで作ったというか。そんな当時の粗削りなところは残しつつ、でも5年経ってそこに成長した部分を見せたいというのがあって、ピアノは当時と同じように弾いているんですが、歌の感情に任せていた部分を前向きな穏やかな感じで歌い直していて、昔と今を1つの曲で行き来しながら、今の自分と照らしあわせてブラッシュアップできたかなと思っています。

–「モノクローム」と「EPOCH ~始まりの詩~」は滝田さんの作品の中でも対照的な曲ですよね。そんな曲が1枚の中で最初と最後にくるという。

滝田:そうですね。僕の中でも音楽の表現の出口が2つあって、サンドクロックとして自分の部屋で作る自分の個性を全面に出した「モノクローム」みたいな曲と、それを経て一歩そこから出て周りをもっとみてみようと思ってサンドクロックというリビングで作った「EPOCH ~始まりの詩~」のような曲があって、この5年間で少し客観的に音楽を見れるようになってきました。

–なるほど。

滝田:今回メジャーデビューっていうタイミングもあって僕らとしてもひとつの区切りというか新しくもう1回1からスタートしていきたいなっていう気持ちがあって。それと、「1+1」とか「モノクローム」のこの2曲は昔から歌っている曲で昔の純粋さも失わないように頑張っていきたいって気持ちで作りました。

永田:「サロペット」とか今までやってきた手法なので特に前作と比べて大きな変化はないんですけど、今回はそのやり方を音楽的にどう仕上げていくかが挑戦だったんじゃないかなって思っているんです。リズムだったりチョイスするサウンドカラーだったり。

–今回初めてサンドクロックに出会った人って『EPOCH』が入り口になるじゃないですか。でも十分ここからスタートしてもらっていいアルバムが出来たんじゃないのかなって思うんです。曲の持つ新鮮さとか楽しさみたいなそんな統一感があって。

永田:うーん、・・・でも僕はアルバムっていう目で今まで見た事がなくて。トータル的なものじゃなくて6つのそれぞれの作品を詰めたという意識なんですね。

滝田:もちろん永田の言うように曲単位での良さはあるんですけど、前作よりも新しい要素を入れて、全曲色々な挑戦ができたと思っていて。それをうまい事1個にまとめってるのがサンドクロックらしさなのかなって。

–今作の何か全体に感じる統一感みたいなものを紐解いていこうと思ったんですが、改めて話を聞くと、基本的には曲の作り方、姿勢は何も変わらないですよって事でいいのかな?

滝田:そうですね。統一感を出して作っていくっていうよりは各々で、これを入れて、あとこれ入れてみたいに、結果的に全体がまとまるっていう。その時その時の旬なものを入れてそれで1個お弁当を作りましょうと。ただし栄養バランスを考えてね、みたいな。

–その中での成長過程が切り取られたものが今作『EPOCH』だと。お二人のお話を聴いてそう感じました。

永田:そうかもしれないですね。サンドクロックって、滝田周が発信するもの、永田佳之が発信するものっていうのを大事にしながらも、同じ景色を見てるものもあるっていうのがポイントかなって。

– 同じ景色か。ここが共通する部分なんですね!それぞれの個性が改めて見えてきた作品でした。最後に前回のインタビューでは目標に最短距離で最短時間で到達するっていうことを言ってましたけど、これでメジャーデビューとなりますが、ここまでどんな感じで進んできましたか?

永田:早過ぎず、遅過ぎずのタイミングやなと。もうちょっと早かったら早かったでそれはそれで危なかったなって思うし、遅かったら遅かったでどうなってたかなって思うし。

–丁度いいと。でも丁度いいっていうタイミングは絶妙ですよね。

滝田:すごくタイミングには恵まれているんですよ。僕は仕切り直しじゃないですけどそういう気持ちもあって身が引き締まるというか、そういうきっかけになってます。サンドクロックにたくさんの方が協力してもらっている、そういう責任というか覚悟も生まれましたし。

永田:僕は逆にあまり変わらないようにしようと思いました。いろんなライブとかも増えていくでしょうし、色んなことを言ってくれる人も増えてきて、それはそれで、なんかずっと継続して続けてきた事とかやってきたものが変わらずにそのままずっと継続していけたらなって思いますね。

–もう1つ、サンドクロックとしてのルームシェアスタイルの変化は?

滝田:(変化は)ないですね。むしろ段々その個々の部屋が大きくなってきて飾りもいっぱい増えてきて。でもリビングも充実していけたらいいなって、もっと大きいテレビや飾りを入れたいなって。CDジャケットみたいなそんなイメージですかね。