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エミ・マイヤー Special Interview

エミ・マイヤー

Special Interview

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エミ・マイヤーがニューアルバム『モノクローム』で披露するのは「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」や「スマイル」「この素晴らしき世界」などのジャズスタンダード。デビュー以来の作品とはテイストの異なるチャレンジングな作品となった。だが、彼女が音楽の世界で活躍するきっかけとなったのが、神戸のジャズボーカルコンクールで優勝したこと。つまり、もともとジャズ的素養は折り紙付きなのだ。だから、彼女曰く「里帰りアルバム」なのである。さらに、2曲のオリジナル作品も、そうしたスタンダードたちと、しっかりと結びついている。チャーミングでありながら、アーティストとしての確固たる実力をここに感じずにはいられない。

–新しいアルバム『モノクローム』はジャズスタンダードのカバーを中心とした作品ですが、これはエミさんからの発案なんですか?

そうですね。昨年のJ-POPアルバム『エミ・マイヤーと永井聖一』の後、久しぶりにジャズを再び聴きはじめました。その頃からスタンダードのカバーをやってみたいというスイッチが入りました。

–小さい頃からジャズピアノに取り組んでいたんですよね。当時と今ではジャズに対するアプローチや考え方は変わりましたか?

全然、違いますね。高校時代からジャズにのめり込んでいたんですが、あくまでもピアニストとしてのスタンスで、歌も歌っていませんでした。今は、やはりボーカルをどうしても聴いちゃいますね。「このピアニストは歌の伴奏が上手いな」とか、ボーカリストのスタンスで接してるのだと思います。

–さて、今回共同プロデューサーとして迎えたのは、ジャズピアニストのエリック・レニーニさんですね。

私がヤエル・ナイムと日本で共演したことがきっかけでした。その後ヤエルさんがパリに戻って、エリックさんに私のことを紹介してくださったようなんです。それから約2年後にエリックさんが誘ってくださってパリで2人でコンサートを行いました。それ以来、仲良くさせていただいています。彼のピアノのタッチが本当に独特で、今回ジャズアルバムを作るにあたって、真っ先にエリックさんのことが頭に浮かびました。

–確かにオリジナリティーのあるピアニストですよね。

とても繊細なプレイをする方だと思います。

–ジャズスタンダードアルバムは、選曲が最も重要な要素のひとつだと思います。どのように進めていったんですか?

私がジャズアルバムを作ると知った親からも100曲ぐらいのリストが送られて来て(笑)。他の方からもそうでした。だからすごく悩みましたね。そこからメロディの良さや歌詞の内容、私が歌った際の曲との相性などを考えて決めました。5カ月ぐらいかかりましたよ。レコーディングの直前で変更した曲もあります。

–新譜では超定番ともいえる楽曲に取り組んでいますね。数えきれないボーカリストがさまざまなアレンジで歌っている曲です。それらにチャレンジすることに対して、恐怖感がわきませんでしたか?

いままでのキャリアはある意味「恐れ知らず」で挑戦して来ました。とてもラッキーなことだと思っています。もちろん、フランク・シナトラのバージョンや若いアーティストによるカバーも知っています。それは良い曲は良い曲だから、いろんな人たちに歌われると思うんです。そうした曲は歌っていて楽しいし、メロディの歌い心地も気持ちいいんですよね。

–そんなスタンダードのカバーでは、楽曲本来の魅力をストレートに伝えるアレンジが印象的でした。崩したり、ひねったりあまりすることなく。

そうですね。ライブでは崩してゆくかも知れません。ただ、やはりスタンダードなので歌うときは緊張しました。だから、元々の歌詞やメロディを尊重しながらレコーディングしました。楽曲を選ぶにあたっても、メロディや歌詞を崩したいという気持ちは全くありませんでした。元の曲が良いからスタンダードになっているわけですからね。

–「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」は少しノスタルジックな雰囲気に仕上がっていますね。

ビヨンセが映画『キャデラックレコード』でカバーしているのを見て、ずっと前から歌いたかったんですが、これまでタイミングがなくて。そして今回、デモバージョンを録音したんですが、実はなかなか私にはしっくりこなかったんです。でも、それを友達に聴かせたら「絶対収録した方がいいよ」と言ってくれて。そこで思い直して再度チャレンジしました。

–その友達の意見、大正解ですよ。この楽曲があるかないかでは、アルバムの印象が少し変わっていたかもしれませんね。より深みが出ているように感じました。

ありがとうございます。嬉しいです。歌っていて歌詞の世界に溶け込める曲だと思っています。

–オリジナル新曲の「イフ・アイ・シンク・オブ・ユー」は、他のスタンダードナンバーともすんなりと馴染んでいますね。

この曲は3年ほど前から歌っています。それをエリックさんが弾いてくださることによって、他のスタンダード曲とも違和感がないように仕上がりました。もうひとつのオリジナル曲「モノクローム」は、録音の最中に彼と一緒に作った曲です。

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