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Rei 2nd Mini Album『UNO』 Special Interview

Rei

2nd Mini Album『UNO』 Special Interview

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幼少期をニューヨークで過ごし、4歳でクラシックギターを始めて、小学3年生の頃にバンドを組んでブルーズに傾倒したという現在22歳のシンガー・ソングライター、Rei。彼女が完成させた2ndミニアルバム『UNO』は、デビュー作『BLU』以上に“Reiのポップ”としか言いようのない圧倒的なオリジナリティを強く感じさせる傑作だ。
ミニマルな楽器編成ながらもアイディアは実に豊富で、とりわけ今回はUSインディー音楽に通じる発想と手法を用いながら弾む感覚をのびのびと表現。卓越したギタープレイはもちろんのこと、言葉を音として捉えるやり方にも磨きがかかり、よって歌とメッセージもガツンと響いてくる。
「たったひとつしかない自分だけの新しい音楽を追求したい」。そんな思いがタイトルにも込められたこのアルバム『UNO』を、全曲紹介もしてもらいながら深く掘り下げてみた。彼女がいかに音楽を愛し、新旧のさまざまな洋楽を聴いているかも伝わるはずだ。

――『BLU』を出したあともライブをたくさんやられてますね。

そうですね。今年の夏はフェスもいくつか出させていただきました。

――特に印象に残ったフェスは?

中津川 THE SOLAR BUDOKAN。音がすごくキレイでした。

――あ、やっぱり太陽光発電だと音が違うなって感じました?

違いましたね。クリアに感じました。天候に恵まれて、場所もすごく気持ちのいいところだったので、そういう環境も手伝ってよく聴こえてたっていうのもあると思いますけど、でも自分の音もキレイに感じましたし、ほかの方の音もすごいキレイに鳴ってるように感じました。

――THE SOLAR BUDOKANでは誰とセッションしたんでしたっけ?

堂珍(嘉邦)さんと高野(寛)さん。(佐藤)タイジさんとは最後に「もう一度世界を変えるのさ」をみんなで歌ったときにご一緒させていただきました。

――そういった大先輩たちと一緒にステージに立つのは、どうです?

とても楽しいですね。みなさん分け隔てなく同じミュージックラヴァーとして接してくださるので。

――ほかにも印象に残ったフェスはありました?

フジロックも楽しかったですね。

――あ、そうだ、AVALONに出てましたもんね。

気持ちよかったです。おもいっきりやれました。

――以前と比べて、そういう場所でもおもいきってやれるようになった感じはありますか?

そうですね。集中モードに入るときのピントの合わせ方がつかめてきたというか。自分のツマミをぐーってあげる感じ。そのコツをちょっとずつ、つかめてきたかなぁって。

――どういうふうにしたらツマミがあがるんですかね?

感覚的なことなので言葉にするのは難しいんですが、例えば1枚目の『BLU』を作りたてのときとかは、曲と自分の心にまだ距離があったんです。でもライブを重ねていくうちに感情移入することが自然にできるようになって、そうすると自分のエモーションに忠実になれる。そのライブ会場の空気感を敏感に感じ取りながら、へんに曲のことを考えすぎたりせず、届けることに集中する感じですね。

――野外フェスとライブハウスでは当然届け方も変わってくるでしょうし。

そうですね。そうやっていろんなシチュエーションでやらせていただいたからこそ、またライブハウスに戻ってきたときに伝え方・届け方がより明確になる感じがあります。

――フェスとかに出ると交友関係も広がるでしょ?

はい。先日も富山のビートラム(・ミュージック・フェスティバル)に出演させていただいたときに、LUCKY TAPESさんとお話して……。

――この前の下北沢インディーファンクラブで初めて彼らのライブを観たけど、いいですよね。

そうですね。CD屋さんで聴いたらベースがすっごくかっこよくて、ベース買いして。で、実際にライブを袖から観たら、すごい楽しかったです。

――ベース買いっていうのがあるんだ(笑)

そう、ベース買い(笑)

――確かにLUCKY TAPESのベースのひと、めちゃめちゃうまいよね。

すごいかっこいい。

――ほかにも仲良くなったひととかいますか? 「Reiny Friday」という自主企画イベントもやられてますけど、あれって自分の呼びたいひとを呼んでるんですよね?

そうです。前回はBOMIちゃんにも出演していただいて。彼女の音楽は昔から聴いてたんですけど、最近私なりに感じたのは、音楽の感じがちょっと変わったかなって。

――そうだね。『BORN IN THE U.S.A』はデビュー作とだいぶ印象が違うもんね。

はい。「月曜日のメランコリー」っていう曲がすごいかっこよくて、それまでも聴いてはいたんですけど、改めて好きになったんです。

――では、ニューアルバム『UNO』の話をしましょう。『BLU』の全国発売が今年2月だったから、そこから9ヶ月ぶり。わりと早いペースだと思うんですけど、どんどん曲ができるので、どんどん出していきたいといった感じなんですか?

みなさんに「早いね」と言われるんですけど、自分にとっては長く感じてました。『BLU』を制作したのは去年の夏とかで、できあがったのが去年の秋くらい。最初は手売りから始めたんです。あのアルバムを(ペトロールズの)長岡亮介さんと一緒に作って、自分が理想としていた楽器の編成とかミックスの感じとか、そういうものの価値観が作る前とあとでは全然変わって。それを経て早く次の作品を作りたいなという気持ちが強まっていたので、この『UNO』というアルバムのことをいっぱいイマジンしながら過ごしていた時間でした。

――作り終えて、どうです?

「やりきった!」って感じです(笑)

――『BLU』と比べて、明らかにここが違う!ってというところとか、ありますか?

いや、比較してどうという感じではないですね。パッションの量もどっちも同じくらいかけて作ったものなので。ただ、『BLU』を長岡亮介さんと作ったことでひとと一緒に音楽を作ることの喜びをすごく学んだので、それを経て今回は、自分がここまで音楽をやってきて、いまはどこにいるのかっていう、その現在地を確かめられるアルバムにしたいと思ったんです。できるだけ自分ひとりの力で作ってみたらどうなるのかっていう、それを見たい気持ちがあって。

――今作はセルフプロデュースになるわけですけど、『BLU』を作ったあとすぐに、次はひとりでやってみようと思ったんですか?

いや、そんなことはないですね。『BLU』を作って、ライブをして、ずっと作曲もしていくなかで見えてきた。亮介さんには、一緒にやりたいと思うような曲ができたらもちろんお願いしたいと思っていました。

――できたものが、ひとりで完成させたい世界観の曲だった。

そういうところはあると思いますね。自分の力量を試したい気持ちがありましたし、『UNO』ってタイトルを付けたのも、たったひとつの新しい私の名前がつくような音楽を作ってみたいという気持ちからなので。「たったひとつ」というキーワードに基づくためには、自分自身と向き合って、自分自身に話しかける必要があると思ったんです。そのためにはひとに意見を聞きながらも、苦しくなったときに逃げ道を作れないような状況にしたほうが向き合えるのかなと。

――『BLU』ができたことから、そういう気持ちが強まっていったわけですね。

はい。それ以前の私は、波形で言うとバーコードのように、音域の全てが均等に埋まってるようなミックスがいいと思っていたんです。でも『BLU』を作るなかで引き算の美学というか、少ない楽器で音のないところも歌っているかのような音楽を作ることのよさを亮介さんに教えていただいた気がして。実際、ミニマルな状態での音作りというのがすごくしっくりきたんですよ。私はクラシックギターから始めて、そのあとに出会ったブルーズも元を辿ればアコースティック・ギター1本と歌声ひとつで表現する音楽なわけだし、必然的か無意識かはわからないけど、ずっと自分はそういうものに惹かれてきたじゃないかと。なのになんで私は音を詰め込むことに捉われていたんだろうって思って。で、そういうミニマルな編成とかアレンジでやるのが自分のスタイルに合ってるんじゃないかと『BLU』のときに教えてもらったので、今回はもっとそれを突き詰めようと。

――なるほど。やってみて、それは大変なことでしたか? それともスムースにできることでした?

答えは自分のなかにしかないということの苦しさはとってもありました。

――誰かにジャッジしてもらうんじゃなくて、自分でジャッジするしかない。本当にこっちよりこっちのほうが正しいのか、と。

そうですね。途中からはもう正しいか正しくないかの判断基準ですらなくなっていて。ただ、直感的に自分がかっこいいと思えるものを作らなきゃいけないという、それだけが決まってることだったので。

――あくまでも自分にとってかっこいいかどうか。気持ちいいのかよくないのか。

そうです。制作にのめりこんでるときにはどうしても細かいところに目がいってしまって、客観的に見れなくなったりもしました。ライブをしばらくやらないとそのあたりの判断が鈍ってしまったりして、そういうことも初めての経験でしたね。

――正解のないことですもんね。突き詰めるとセンスの問題でしかないというか。

そうですね。だから、自分は何を届けたいのかというところに重きをおきました。今回は歌とか歌詞に込めたメッセージが強い曲ばかり揃ったので、一番優先したのはそれをどう届けるかということ。“これをあなたに届けたい。届けるために一番いい音にする”っていう。ギターも、歌を届けるためにちょうどいい位置にあるようにしなきゃいけないし。

――確かにサウンドと同時に歌とメッセージの強さがボーンと飛び込んでくるアルバムになっている。そこを引き立てる作り方をしたということですね。

はい。

――全曲の作詞作曲を自分でして、アレンジもして、プロデュースもして。楽器に関しては、Reiさん以外の方は……。

ドラムの方がひとり入ってます。私の録った音源をお送りしたらドラムを録音して送り返してくれるスタイルで、そのやり方がこのアルバムにはすごくフィットしてたんです。今回は楽器のフレーズを切り貼りして使ったりもしました。ここは打ち込みのほうが生きるのかナマのほうがいいのか、一緒に作ってくださったエンジニアさんと相談しながら作っていったんです。

――1曲目の「OCD」はナマドラムで、これなんかまさにいま話してくれた録り方なんですよね?

そうです。

――でも、せーので一緒にやってるようにも聴こえるよね。

そうですね。クセがないというか、スクエアな感じのドラムを叩く方という印象を私は受けて。いい意味で個性が立ちすぎてないから、それによって私の人間的な部分が映えるようなナマのドラムで、そういう意味でも今回のアルバムに適してたなって思って。

――なんていうひとですか?

HAZEさんです。楽器で一緒にやってくださったのはHAZEさんだけで、あとは私とエンジニアさんと。

――基本はReiさんひとりの宅録から作られてるわけですが、そういうやり方をする上で参考になったアーティストとかっています?

うーん。まぁ、レニー・クラヴィッツなんかは自分でドラムを叩いて録ってますし、ベックも全部自分でやっていて、そうやってDIYでやっているひとたちは参考になりますね。

――ベックの名前が出ましたけど、今作は前作以上にそういうDIY精神であったりとか、USのインディーに通じるユニークな音の録り方から個性が濃く表れたものになっているように感じました。ここ(レーベル作成の紙資料)にも「UNO_na_11discs」というのが載っていて、ベックやチューン・ヤーズ(実験的でローファイな音が特徴的なUSの女性アーティスト)のアルバムも選ばれてますけど、このへんは普段からよく聴いてるんですか?

ベックはずーっと聴いてますね。『The Information』と『Guero』が大好きで。チューン・ヤーズは最近聴き始めました。

――そのへんはネットで探して聴いてるんですか?

いえ、私はもっぱらCD屋さん派で。時間があればCD屋さんに行って試聴してます。フィジカルな音楽の聴き方が好きなので、CDを買って、封を開けて、インクの匂いを嗅いで、CDをセットして……。その工程がすごく好きなので。

――だから自分の作品もアートワークに拘りたい。

そうです。

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