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特集 原田知世 『恋愛小説2~若葉のころ』 インタビュー

特集 原田知世

『恋愛小説2~若葉のころ』 インタビュー

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昨年リリースした洋楽カヴァーアルバム『恋愛小説』は、<演じるように歌う>という、歌手と役者、原田知世がこれまではっきりと分けてきたボーダーラインを取り払い、表現者として新たなステージへと一歩踏み出した作品となった。そして1年を経て、続編となる『恋愛小説2~若葉のころ』が完成。前作同様、プロデューサー伊藤ゴローとの名コンビで今回は邦楽の名曲に爽やかな命を吹きこむ。

――洋楽のカヴァーアルバムだった前作『恋愛小説』に対して、今回の『恋愛小説2~若葉のころ』は邦楽のカヴァー作品ですね。前作を制作していた頃からすでに今作の構想はあったんですか?

 いえいえ…その頃は何も決まっていませんでした。前作の『恋愛小説』を作ったあとにツアーを廻って、その流れの中で次はどういうアルバムを作ろうかって話になったんです。ここ数年、私のアルバムのプロデュースやアレンジを手掛けてくださっている伊藤ゴローさんとユニバーサル ミュージックの斉藤(嘉久)さんと3人でいろいろ話していくうちに自然な流れの中でここ(邦楽カヴァーアルバム)に落ち着きました。私自身も邦楽カヴァーをやってみたいなって気持ちもありましたし。

――過去に邦楽のカヴァー曲は何曲か歌っていらしたけど、カヴァーアルバムとして発表するのは初めてですよね?

 はい。これまでゴローさんとはコンピレーション作品などで邦楽のカヴァーは1~2曲やっていましたけど、邦楽のカヴァーアルバムは作ったことがなかったので、そういう意味でも面白いアプローチが出来るんじゃないかって思ったんです。でも邦楽といっても楽曲はかなりたくさんありますから、どこかで区切りらなきゃいけないだろうってことになって…。

――そこで出てきた選曲のテーマが「原田知世の少女時代」。

 そうなんですよ。斉藤さんの方から‟私が子供の頃に聴いていた曲”とか‟少女時代に影響を受けた曲”とか‟デビューした頃の曲”とか、そういう時期で括ってみたらどうでしょうか?という提案をいただいたんですね。それはいいなってことになって、そこから焦点がグッと絞られて。その中で自分の想い出の曲をあげて、さらにゴローさんからのおすすめの曲をあげてもらって、最終的に3人で収録された10曲を選曲しました。

――この10曲に決めたセレクトの基準は?

 ラブソングというのはもちろんなんですけど、あとは楽曲のバランスですね。当初から決め込みで絶対に歌いたいと思っていたのは、「異邦人」(久保田早紀・79年)と「キャンディ」(原田真二・77年)の2曲でした。あと「木綿のハンカチーフ」(太田裕美・75年)はゴローさんのおすすめで、その他の曲に関しては、先程話したように自分の想い出の曲を何曲もあげて、全体のバランスを考えながら選んでいきました。

――「異邦人」と「キャンディ」は、原田さんにとって特別な思い入れがあった曲ということですか? 

 ええ。子供の頃、例えば、「夜のヒットスタジオ」とか「ザ・ベストテン」などの歌番組をよく見ていたんですよね。その中でこの2曲は特に好きになった曲でした。子供だったからそんなに歌の意味まではわからなかったんですけど、最もよく聴いた曲なんですよ。「キャンディ」もレコードを買って聴いてましたし、「異邦人」が収録された久保田早紀さんのアルバム(『夢がたり』(79年))も買って、大人になるまで聴いているほど影響を受けたアーティストなんですよね。どちらの曲も個性が強い曲なので、これまで自分でカヴァーしてアルバムに入れるのは難しいかなと思っていたんですけど、ゴローさんやここ数年、レコーディングやツアーで一緒にやっているメンバーであれば、きっと上手くまとめてもらえるだろうと思いましたし、その中にひとつの彩りとして組み込んでもらえるだろうなっていう確信があって、今回はぜひやりたいと思いました。

――レコードを買うほどお好きだったということですね。そういえば男性アーティストの曲は、原田真二さんの「キャンディ」だけですけど。

当時、原田真二さんの曲が「ザ・ベストテン」に次々にランクインしてきて。例えば「てぃーんず ぶるーす」(77年)とか「タイム・トラベル」(78年)…どれもメロディーもよくていい曲ばかりだったんですが、中でも「キャンディ」が一番好きでした。ハスキーでちょっと甘さのある原田さんの歌声がとても魅力的で、歌詞の世界にぴったりでした。この曲は女性の声でも違和感なく歌えるのではないかと思っていました。

――そういえば、久保田早紀さんも原田真二さんもピアノの弾き語りというスタイルですね?

 そういえばそうですね(笑)。それは全然、意識してませんでした…ホントに偶然ですね。共通していたのは、お二人ともシンガーソングライターでしたので、ご自身の世界を持たれたアーティストだったということでしょうか。久保田早紀さんはその佇まいも好きでした。久保田さんがデビューされた頃ってアイドル全盛期の時代だったでしょ。笑顔いっぱいのアイドルに対して、久保田さんのアンニュイな雰囲気が印象的でした。

――クール・ビューティな感じでした。

 凄くお若いんだけど、大人の雰囲気を持っていらして。なんか別空間に連れて行ってもらえるような歌手の方でしたよね。そういうところにも魅力を感じていました。

――大人なクールさといえば、山口百恵さんもそういうイメージでしたね。

 そうですね。百恵さんも大好きでした。歌番組はもちろん、主演ドラマの赤いシリーズもよく見てましたし。

――で、百恵さんの曲で選ばれたのが「夢先案内人」(77年)。

 百恵さんの曲もたくさんいい曲があるんですけど、その中で私が歌える曲になってくると、「夢先案内人」がいいんじゃないかなってことで。凄くいい曲ですし。この曲はオリジナルとはアレンジが随分変わっていて、Aメロ部分を歌うのがとても難しかったのですが、子供の頃に聴いていた曲ですし、自分の体の中にメロディーが染み込んでいるからぶれずに歌うことができました。これが覚えて間もない曲でしたら、絶対に歌えなかっただろうなって。出来上がってみたら不思議な浮遊感のある曲に仕上がりました。

――アイドルの曲というと、原田さん同様に80年代を彩った松田聖子さんの楽曲から、『秘密の花園』(83年)と『SWEET MEMORIES』(83年)の2曲がセレクトされています。

 松田聖子さんの曲は幾つもあげた中でこの2曲を選びました。『SWEET MEMORIES』は以前、歌番組でカヴァーをやる時に斉藤さんから1回あげていただいたことがあった曲でもあるんです。私は聖子さんよりも少し下の世代ですけど、当時恋に憧れる女の子たちが<こういう恋もあるのかしら?>って思いながら聴いていたと思います。松本隆さんが書かれた詞の世界と聖子さんの持っている女の子らしさというのかな…それらがあいまってキュンとする女心を見事に表現されていました。そんな聖子さんの曲の中で『SWEET MEMORIES』は、大人の恋愛を描いた曲です。当時聖子さんは21歳ぐらいでこういった歌の世界を違和感なく表現して歌われていたのですから、やっぱり凄いですね。この曲もこのアルバムのコンセプトにぴったりの曲だと思います。

――80年代というと、原田さんもデビューしてらして多忙だったと思うんですけど、そんな中、他のアーティストの曲を聴くとか、歌番組をじっくり見るとか、そういう時間はあったのかなと?

 あの時代って今と違ってヒットしている曲って特別に聴かなくても自然と耳に入ってきた時代でしたよね。世代を超えてみんなが知っている曲がいっぱいあった。今は分散化されて、一部の人は知っているけど、それ以外の人は知らない場合もあるじゃないですか。私もヒット曲なのに知らなかったりする曲があったりしますから(笑)。そんなわけで、当時は忙しかったりもしたけど、学校の友達からの情報も入ってきたし、歌番組が人気でしたから、みんなと同じように何かしらの番組を見ていましたね。

――「秘密の花園」はユーミン(呉田軽穂)作曲の曲ですけど、今作ではもう1曲、荒井由実時代の「やさしさに包まれたなら」(74年)をカヴァーされてますね。そして大貫妙子さんの「夏に恋する女たち・83年」も歌われています。お2人には原田さん自身、オリジナル曲を提供されていたりしますけど、選曲した2曲はまるで原田さん自身の曲のようにフィットしてましたよ。

 ありがとうございます。たぶんそれはよく聴き込んでいるからというのもあるんじゃないでしょうか。ユーミンさんも大貫さんも本当に好きな曲がいっぱいありますけど、特にこの2曲は好きな曲ですし、そういう好きだって気持ちが歌に出ているのかもしれませんね。自分でも歌いやすいというか無理せずに歌える曲なので

――「夏に恋する女たち」は水彩画みたいなイメージでした。

 ああ…そういうイメージはあるかもしれませんね。大貫さんのオリジナルの世界観が好きなので、どういうふうなアレンジになるのかなと思っていたら、ゴローさんがシンプルで素敵なアレンジにしてくださったので、オリジナルを一度忘れて、そのあとスーッと歌に入り込めたんですよね。

――リード曲になった竹内まりやさんの「September」(79年)はいかがですか? 

 竹内まりやさんの曲の中で「不思議なピーチパイ」(80年)と今回カヴァーさせていただいた「Semtember」の2曲は思い入れがありますね。「Semtember」ってサウンドがポップな感じだったから、ここまで切ない曲だとは当時思っていなかったんですよ。もっと楽しい曲とばかり思っていたんですけど…。

――ハートブレイクな歌ですからね。

 そうなんですよ。改めて歌詞を読んで歌ってみて切なくなっちゃいました。

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