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猪又孝のvoice and beats

AKLO 3rd Album『Outside the Frame』 Interview

AKLO

3rd Album『Outside the Frame』 Interview

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AKLOがメジャーレーベルに籍を移し、約2年振りとなるニューアルバム『Outside the Frame』を完成させた。本作は日本語ラップの限界点を引き上げた前作『The Arrival』を遥かに凌ぐ激ヤバな内容。持ち味のウィットに富んだボースティングは超絶にスマートで、口に出したくなるパンチラインも続出。母性本能をくすぐるようなユーモアでチャーミングな面も見せる。さらに注目すべきは、新種のリズムに対する貪欲な追求精神と、戦慄すら覚えるようなその体現能力。トリッキーでありながら実になめらかなラップを繰り出し、日本語ラップの新領域を開拓、驚きのグルーヴ体験をもたらしてくれる。「背中をドロップキックするアルバム」と語る本作に隠されたメッセージとは? そして、本人が語る本作の本当の狙いとは一体?

——新作は、いつ頃から作り始めたんですか?

今年1月くらいですね。それまで作っていたものをだんだん古く感じちゃって、ちゃんとしたカタチになるまで時間がかかっちゃって。

——なんか納得いくものができなかった?

そうなんです。曲がり角にぶつかっちゃって、そこを超えるべきなのか、超えないべきなのかっていう。

——何に関して?

リズムの取り方ですね。USヒップホップを聴いてると、最近、ノリが変わってきてるのを感じていて。「でもな、それをやるとどうなんだろうなぁ」って迷いつつ、トライしてたんですけど上手くできなくて……みたいな時期が長かったんです。でも最終的に新しいノリでやるしかないと。

——アルバムを作る上で、全体的なコンセプトやテーマは考えたんですか?

まずタイトル曲(「Outside The Frame」)ができたんです。そのときに間違ってることを言ってるなって思ったんですよ。

——間違ってること!?

“一生敵でもいい”とか“分かち合えないなら仕方ない”とか“お前との関係が改善する権利を放棄する”とか言ってて。それってワールドピースから掛け離れてるでしょ(笑)。

——一匹狼的なスタンスというか、排他的なスタンスというか。

そういう考えって人間としてちょっとイタイのかなって思ったんです。と同時に、素晴らしいなとも思って。今の時代って、なんでもすぐに正確な情報を調べることができるじゃないですか。正解がいつも目の前にある、みたいな。だから正しいことを言うことは簡単な気がして、だったら間違ってることを言う方が面白いじゃんって。人間として未熟なことはわかってるけど、「今の俺のフィーリングはこれなんだよ!」って、どこかスッキリしたんですよね。

——その曲ができたのが1月くらいだったの?

この曲だけはもうちょっと前。去年の秋くらいですね。で、そういうテンションで怒りをパワーにして何曲か作っていったんですけど、時間が経つと気持ちが大人になっちゃうんですよね。バカバカしくなってきちゃうというか。だから、あまり時間をかけてやりたくないなと思って、BL(BACHLOGIC)くんとJIGGくんに「合宿しよう」って提案したんです。

——そうして曲に勢いや初期衝動を閉じ込めようと。

そう。フラストレーションもありながら、でも前に進もうとしてるし、なんかすごい不思議なパワーだから。そのテンションとかフィーリング、魂や情熱みたいなものをどうしても曲に吹き込みたかったんです。

——“Outside the Frame”という言葉は、日本語に訳すと“ハミ出し者”みたいな意味合いなの? それとも“規格外”みたいな意味合い?

両方ですね。自分の脳みそも1個のフレームだから、自分の思想や観念からハミ出すこととか。あと社会も1個のフレームでそこからハミ出すとか。たとえば、朝、電車に乗って仕事に行って、飲みに行って帰ってきて、また朝、電車に乗って……そのルーティンに飽きてるけど、なかなかハミ出せないっていう。そういう枠って誰しもあると思うんです。俺も遅咲きラッパーで、ずっと会社勤めしてて、ハミ出るまでに時間がかかったぶん、その怖さとかすごくわかるんですよ。年を取れば取るほど怖いし。

——AKLOは思慮深い人だからね。意外とマジメっていう(笑)。

あはは(笑)。でも、それをやった男ではあるから。ハミ出した経験をしてるから俺には言えることがある、それだけはリアルだと思って。そういうところもあって、“Outside the Frame”は自分の中で最もしっくりくるテーマだったんですよね。

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ナビゲーター

猪又 孝 / TAKASHI INOMATA

1970年生まれ。音楽ライター/エディター。小4のときにビートルズ「HELP」にヤラれ、19歳のときにロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズに心奪われるも、22歳でいきなりサザン・ソウルに開眼した、我ながら雑食家。現在は邦楽のソウル/R&B/ヒップホップを中心に執筆。でも、カワイイ& カッコイイ女の子もダイスキ。オフィシャル取材などで馴染みがあるアーティストは、加藤ミリヤ、Zeebra、SKY-HI、東方神起、三浦大知、RIP SLYME(五十音順)等々。

 
 
 
 
 
 
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