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特集 カーネーション ニュー・アルバム『Multimodal Sentiment』 インタビュー&プレイリスト

特集 カーネーション

ニュー・アルバム『Multimodal Sentiment』
インタビュー&プレイリスト

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バンド結成30周年の節目を通過して、勢いを落とすことなく孤高の道をひた走るカーネーション。4年振り通算16枚目のオリジナル・アルバム『Multimodal Sentiment』は、大森靖子、川本真琴、大谷能生、佐藤優介(カメラ=万年筆)、sugarbeans、西川弘剛(GRAPEVINE)、松江潤、徳澤青弦、張替智広(HALIFANIE、キンモクセイ)など、カーネーション・チルドレンともいえる仲間たちがゲスト参加。現在のオリジナル・メンバーは直枝政広(ヴォーカル/ギター)、大田譲(ベース)の二人だが、曲毎にゲストを迎えることで、骨太でありながらバラエティー豊かな作品に仕上がった。カーネーションの今を鮮烈に浮かび上がらせるこの新たな傑作について、メンバーの二人に話を訊いた。

──今回のアルバムはシンセや打ち込みの音が印象的ですが、いろんな音が詰まってますね。最初からそういうサウンドを意識していたんですか?

直枝 1年半ぐらい前に「アダムスキー」という曲を作ってライヴでやってたんですけど、その頃からですかね、シンセが結構ピヨピヨしてたのは。昨年に「アダムスキー」をシングルで出した頃は、アルバムはこういう感じで行くのかなあって何となく思うようになった。それまでは、次のカーネーションのヴィジョンがなかなか見えてこなかったんですよね。

──「アダムスキー」の存在が大きかった?

直枝 大きいですね。「アダムスキー」はわりと無理矢理に身体の奥から引っぱり出して来た感じです、〈うおおお〜っ〉と(笑)。力技のロックンロールというか。(B面の)「メテオ定食」は、その後にとてつもない無常感とともにユルさが滲み出てきた。その落差が僕らしいかもしれないと思った。

──“ユルさ”っていうのは?

直枝 歌詞で武装しないというか。思いついたまんま、日記のように歌詞を書いて行くという感じで。それでみんな、びっくりしたみたいなんですけど。

──大田さんは直枝さんの歌詞を読まれてどう思われました?

大田 「まともになりたい」とか言われて、“ええっ!? まともじゃなかったのか?”みたいな(笑)、ちょっとビックリするような歌詞がいっぱいあるんですよ。「メテオ定食」も最初は“何のことなんだろう。宇宙のことなのか? でも宇宙なのに定食だし”みたいな。

直枝 新しい視点ですよね(笑)、定食屋で宇宙を見上げるというか。

──歌詞で武装しなくなったというのは、ソギー・チェリオスで鈴木惣一朗さんと歌詞を共作したことの影響もあります?

直枝 ああ、あんまり照れなくなったっていうのはありますね、人に歌詞を見せることに対して。

大田 惣ちゃんの影響なんだ。

直枝 うん。二人はメールで相当恥ずかしい歌詞のやりとりしてるから(笑)。カーネーションに関してはメモをいっぱい作っていて、ある意味、詞先みたいなところがあるんですけど、最近は変にカッコつけることないって思ってるんです。「跳べ! アオガエル」は子供時代の自分も登場するし。

──“チビと呼ばれた犬とぼく”“珍しい切手を集めているんだね”なんてフレーズが出てくる「Pendulum Lab」も少年時代を彷彿させますね。

直枝 この辺はもう、ソギー・チェリオスで一回子供に帰ってたから(笑)。

──これからは自分の根っこもさらけ出していこうと。

直枝 そうですね。「Pendulum Lab」って僕らのルーツでもあるXTCみたいな曲だし。やっぱり、五十代後半に差しかかって“何を歌うの?”ってことですから。僕らなりの日常観みたいなものを見つめて歌って、それで“面白いな”って思ってもらわなきゃなんの意味もないので。若い人たちに媚びて、喜ばれることをやろうとか考えられないタイプなんで。

──確かにそういうバンドじゃないですもんね。話を少し戻して、「アダムスキー」をシンセとかを使った重層的なサウンドにしようと思ったきっかけって何かあるんですか?

直枝 ここ最近、大森靖子さんのスタジオ作に関わることが多かったんですけど、その時にわりとそういうシンセを効かせた音作りで遊んでたんですね。たまたま、そういう時期が重なってたっていうのもあるんですけど、奇天烈なループ音源をいじりながら(曲を)発想していくっていうか。しつこくギターを弾きながら歌って探るだけではなく、プロトゥールズで編集していくなかでベーシックのアイデアを得る。それがわりと自由になる道でもあったというかね。

──“自由になる”というのは?

直枝 トリオ時代が長いんで、結構アンサンブルも“トリオの美学”みたいなものに呪縛されていて。それがキツかったんですよ。でも、最近ようやく図々しくなってきた(笑)。

──確かに今回はさまざまなゲストが参加していますね。まず、佐藤優介さんとsugarbeansさんがシンセを担当しています。

大田 結構、(プレイの)特徴が違うから、曲によってその違いが出て面白いよね。

直枝 sugarbeansは王道のテクニシャンだけど、優介君はニュー・ウェイヴ少年だよね。優介君にはストリングス・アレンジもやってもらったんです。彼はスカートの新作でストリングス・アレンジをやってて、それがすごい良かったんで、“スカートみたいな感じでスコア書いてよ”ってお願いして。

──ギターでは、松江潤さんと西川弘剛さんが参加しています。

直枝 GRAPEVINEの西川君は、前にジョイントをやった時に“今度レコーディングに遊びに行きますよ”なんて言ってて、ほんとに来てくれた。昼から夕方までずっといてくれたんですけど、そしたら“ちょっと弾いてみていいですか?”って。松江君はデビューの時にプロデュースしたんだよね。

──松江さんが参加した「Black and Margin」はシューゲイザーっぽいギター・サウンドが印象的ですね。

直枝 これは松江君が弾くことが前提で、彼の記憶のなかのシューゲイザーっていうか、そういう音を構築したかったところはあります。彼もニュー・ウェイヴ少年なんで。僕のデモにはシューゲイザー的な要素はなかったんじゃないかな。レコーディングに入ってから、そういう方向性になった気がしますね。

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