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特集 Chage 『Another Love Song』 Special Interview もうひとつのLOVE SONG、もうひとつのChage

特集 Chage

『Another Love Song』 Special Interview
もうひとつのLOVE SONG、もうひとつのChage

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さまざまなことを乗り越えて、ようやく扉を開けて歩き出した前作『hurray!』に続き、1年ぶりに届けられたChageの新作『Another Love Song』。本作は“もうひとつの自分”をテーマに作り上げた自信作であり、さらなる未来へと思いを託すそんなポジティヴな波動がアルバム全体から伝わってくる。この新作についてChageに超ロング・インタビューを敢行。彼の音楽に対する深い愛情と情熱を十二分に感じとってほしい。

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もうひとつのChageが聴いてきた音楽は何だろ?

──新作『Another Love Song』のお話を伺う前に、やはり昨年5年ぶりに発表した前作の『hurray!』のお話からまず伺いたいと思っているんですけど。

いいですね。

──というのは、前作は今作へと繋がっていくかなり重要な作品だと思うからです。前作までにはいろいろ大変なことがあって、それを乗り越えて生まれたアルバムでしたよね。扉を開けて前に向かって歩き出すというか、アルバム・タイトルが示す通り、背中を押してくれる作品というか。そこで前作を振り返りつつ、今作の話を伺いたいなと思いまして。

そうですね。やはりいろいろなことがありながら、結局僕には音楽しかないので、音楽というアイテムで応援してくださっている皆さんに元気になってもらったり、笑顔になってもらったりして、一緒になって歩いて行こうみたいな気持ちを前作に込めたんですね。もちろん、自分自身も前に進む力がほしかったし。そんな中でファンの皆さん、ユーザーの皆さんが(僕の)背中を押してくれることも感じたかった。そういうことも含めて『hurray!』というタイトルになりましたし、まさにその“フレー!”そのものに凝縮されていた、あの時の自分の気持ちは、ね。やっぱり、楽曲を出す時って自分のその時その時の精神状態というか、ああだったよな、こうだったよなっていうことを振り返った時に思い出せるようにしたいと僕は思っているんですね。そういう意味では前作はそれが如実に表れている作品だったと思います。ジャケットもド派手な原色だったでしょ。コンサートのMCで、よく“歌う錦鯉”と言ってるんですけど(笑)。

──あはははは……。

あはははは……。そのくらいのド派手な色彩に初めて挑戦したのも、見た目からでも「お互いに頑張ろうね!」っていうエールを贈る“フレー!”って気持ちだったんですよ。

──鼓舞する気持ちですね。

そう。あとはね、2曲ほどチャゲアス時代のセルフ・カヴァーの曲をやらせてもらったんですけど。いろいろ騒動が逢った時に当時の背景として僕自身、正直楽曲が埋もれていくのが怖かったんですよ、このまま。

──ええ。

いいものは残していくべきだし、自分から蓋を閉じることはしてはいけないと。それは何よりも楽曲に対して失礼だしね。そう思って、「ロマンシングヤード」(89年)と「光の羅針盤」(2004年)をカヴァーしたんです。自分の過去の曲と自分の今を表わす曲は何だろうと考えた時、この2曲がパッと頭の中に浮かんだんですよ。どちらも大好きな曲ですしね。「ロマンシングヤード」はシングルでしたけど、ライブで育っていった曲ですし、それをもう一回、自分で表現したいなと。

──はい。

実は今回のアルバムに収録した「NとLの野球帽」(以下略、NL)も浮かんだんですけど、自分の中でその時は整理がつかなくてね……(笑)。それは何故か自分でもよくわからないんだけど。で、今回のアルバムではセルフ・カヴァーしましたけどね。

──「NとLの野球帽」は「river」(96年)のカップリング曲でしたね。

そうです。この曲も自分にとって大事な1曲なんですけど、何故か前作のチョイスは「ロマンシングヤード」だったと。

──はい。

それでもう1曲セルフ・カヴァーを入れて、さらにオリジナルを書いて前作を作ったんですね。でね、アナログ盤があるじゃない? 1枚のLP。今回のアルバムと前作って、昔のLPで言えば、A面が『hurray!』で、B面が『Another Love Song』というのが僕の中でのイメージなんですよね。

──まさしく! そこはお訊きしたいと思っていました。双方ともミニ・アルバムですし。実は個人的にそう感じておりました。

そう感じてもらっていたのなら良かった。ホントにそういう気持ちで作らせてもらったんですね。“フレー!”ってエールを送る、送られる気持ちも大切だし、一生忘れてはいけないものですし、僕自身支えられたしね。だからこそ、今回の『Another Love Song』を作ることが出来ましたから。でも、アナログ盤ってA面が終わった時、針を一遍上げて戻して、さらにそのレコードを裏返しにするでしょ。そこで一旦リセットして、また針を落とすという作業をした後、B面を聴くっていう。今はレコードじゃなくてCDで、デジタルな社会ですけど、僕の気持ち的にはそういう感覚があるんですよ。そこを物凄く描いていたから、それによって(今作の)楽曲を揃えていったつもりなんですよね。ニュアンスとして一番参考にしたのは、ザ・ビートルズの『Abbey Road』(69年)。

──ああっ!

そうなんですよ。『Abbey Road』のA面が「Come Together」で始まって……B面にいくと「Here Comes The Sun」から始まって、途中の「You Never Give Me Your Money」からメドレーになっていくという摩訶不思議な世界だったじゃないですか。僕が中学3年生の時に、あれを聴いた時にショックを受けて「B面って凄いんだな」って(笑)。要するにA面とB面でアーティストは表現を変えてくるんだな、変えてもいいんだなって漠然と思ったりしたんですよね。今は『Abbey Road』もCD1枚で一気に聴けちゃうけど。

──ですね。

あの当時は(A面が)一遍終わってB面に変えて、ひと息つけましたから。そういう面倒くささはあったけど、一遍リセットして深呼吸するっていうね、仕切り直しして次の曲を聴いていく作業が良かった。それがまさに今回の『Another Love Song』だったわけですよ。

──そういう流れが前作から今作にあったわけですね。前作で扉を開けて何歩か歩いてそこでまた立ち止まって自分の今の立ち位置を確かめるというか。だからこそ、今作が生まれたっていう。

そうなんです。『hurray!』を出して、ライブを敢行したんですけど、あのライブでのお客さんとの楽しい空間の中で生まれたエネルギーをそのまま残さないといけないって、その情熱を入れなきゃいけないと思っていたしね。僕はやっぱり、歌ってナンボ、作ってナンボの人間ですから。それをずっとやってきた成果を、今現在のChageを、十分に表わす。それが前作と今作の2枚だと思うんです。

──はい。

さっき仕切り直すって言ったけど、仕切り直して“もうひとつの”気持ちを生むっていう、今回のアルバムはそんな気持ちっていうか。だから“もうひとつの”って言葉が今の僕の中で凄く響いたんですね。全てが“もうひとつの”っていうもので括りつけてもいいぐらいの……。それは今回セルフ・カヴァーした、「NL」であったり、「夏の終わり」(87年)であったり。タイトルにしてしまったけど、「もうひとつのLOVE SONG」っていう新曲が生まれたりね。

──ええ、ええ。

それこそぶっちゃけ俺は37年間、ラヴソングばかり歌ってきた男ですから……「ラヴソングしか歌っていなかったんじゃない?」って言うくらいの……そんな男がもう一回、仕切り直しをして歌う時に、その“もうひとつの”ってワードをつけて曲を作ったら「これはいい曲が出来るかもしれない!」って確信したんですよね。だから、今回はタイトルありきでした。この「もうひとつのLOVE SONG」っていう曲に関してはね。

──その確信通り、名曲が誕生しましたね。

ありがとう。そんなことから逆算して「サウンドをどうする?」ってことになった時に、『Abby Road』でもビートルズでもいいんですけど、そういう色はこれまでにもMULTI MAXでかなり出してきているから、違う表現を考えたわけですよ。「もうひとつのChageが聴いてきた音楽は何だろ?」って。

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