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猪又孝のvoice and beats

春ねむり 1st Mini Album『さよなら、ユースフォビア』Interview

春ねむり

1st Mini Album『さよなら、ユースフォビア』Interview

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daokoやGOMESS、不可思議/wonderboyを輩出したLOW HIGH WHO?からまたひとりユニークな個性を持つニューカマーが登場した。鍵盤演奏もできてトラックも自作する女子ラッパーの名は、春ねむり。高校時代はバンド少女だったが、今から約1年前に突如ラッパーに転向した変わり種だ。ラップはポエトリーリーディングと歌の中間のようなスタイルで、トラックはローファイな質感がイイ味。冷酷なふりをして衝動と情熱が潜在するリリックには死生観が剥き出しで、ほんのちょっぴりロマンティシズムも表れている。学生時代は自分の居場所を探し求め、「ずっと大人になれないと思っていた」と語る彼女。今夏出演した〈BAYCAMP 2016〉では、他意のない悪意で傷つけた人々の顔が浮かんで来たそうでライブ中に涙を流してもいる。繊細で感受性が強い春ねむりは、何を歌いたくてマイクを握ったのか。彼女の音楽観を探りつつ、デビューEP『さよなら、ユースフォビア』に込めた思いを訊いた。

——17歳でバンドを組んだそうですが、どんなバンドだったんですか?

ドラムとベースが打ち込みで、ギター&ボーカルの女の子が1人いて、私はキーボードでした。エレクトロポップ的なバンドで、ビートはしっかりしてるんですけど、ギターはビッグマフ(ジミ・ヘンドリクスが愛用したことで知られるファズペダル)を踏むみたいな(笑)。それが生まれて初めてのバンドでした。

——組んだキッカケは?

中学生のときからフジファブリックの志村正彦さんがすごく好きだったんですけど、お亡くなりになって「あぁ悲しいな」と思って過ごしてたんです。その頃、そのバンドをやった子と修学旅行の部屋が一緒になって、先生に内緒で夜中にこっそりテレビをつけたら、売れる前のクリープハイプが映ってて「かっこいい! バンドやりたい!」となって。「じゃあ、打ち込みってあるじゃん、よく知らないけど」みたいな(笑)。で、私がトラックを作ってその子に渡したらメロディーと歌詞を付けてくれて、「よしバンドやろう!」となったんです。

——もともと鍵盤楽器はやってたんですか?

クラシックピアノを習ってました。幼稚園の頃から始めて高三まで。

——トラックメイクの原点はそのバンド活動?

そうです。バンドをやりたいとなったときに、どう考えても同級生にドラムもベースもいないよねって。で、キーボードに付いてた簡易版SONARみたいなのをインストールして適当につくって「ハイ、できたよ」みたいな。

——あっけなく作れちゃった。

わりと。まだ若かったんで(笑)。

——先程、2つのバンド名が挙がりましたが、憧れの三大バンドとなると?

フジファブリックとクリープハイプとチャットモンチーが好きでした。どのバンドも歌詞が好きなのと、あと歌声が好きだったんだろうなと思います。ハイトーンで、エモい人と、サブカルっぽい人と、かわいい人みたいな。

——今夏、神聖かまってちゃんの「天文学的なその数から」をポエトリーカバーした動画をYouTubeに上げていましたが、彼らのことは?

すっごい聴いてました。

——さっき挙げた三大バンドの上を行くくらい?

そう言ってもいいくらい好きですね。さっきの3つも含めて四天王で(笑)。

——かまってちゃんの音楽との出会いは?

高一くらいだったと思うんですけど、さっき言った女の子がカラオケで「スピード」という曲を歌ったんです。で、画面に流れる歌詞を見てたら「何これ!? わかる!」って。かまってちゃんが登場するまで、彼らが歌ってるような気持ちを抱えながら生きてる人が「私はこういう気持ちです」って言える土壌があまりなかったような気がするんです。ぼんやりとしたいろんな感情をひとつの定義として音楽で表現することは、居場所の創造だなと思ったんですよね。

——彼らが胸のモヤモヤを代弁してくれた、ってこと?

代弁ではなくて、ものすごく曖昧だった感情を認識させてくれた感じですね。それが私にとって、すごく意外なことだったんです。

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ナビゲーター

猪又 孝 / TAKASHI INOMATA

1970年生まれ。音楽ライター/エディター。小4のときにビートルズ「HELP」にヤラれ、19歳のときにロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズに心奪われるも、22歳でいきなりサザン・ソウルに開眼した、我ながら雑食家。現在は邦楽のソウル/R&B/ヒップホップを中心に執筆。でも、カワイイ& カッコイイ女の子もダイスキ。オフィシャル取材などで馴染みがあるアーティストは、加藤ミリヤ、Zeebra、SKY-HI、東方神起、三浦大知、RIP SLYME(五十音順)等々。

 
 
 
 
 
 
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