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特集 押尾コータロー New Album『KTR×GTR』Interview

特集 押尾コータロー

New Album『KTR×GTR』Interview

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~ Sounds like fun! ~
音楽に恋をして数十年。今もなお、音楽にずっと恋をしたままだ。
以来、音楽への好奇心は止むことはない。だから雑食。だから幅広い。
本コーナーではジャンルを問わず、タイトルの「楽しそう」「面白そう」という意味そのままに、好奇心いっぱいに食指が動いたアーティストや音楽を皆さんにお届けしたいと思っています。
それがあなたにとって永遠のトキメキを感じる音楽との出逢いになる、そんなきっかけになれば…。 (大畑幸子)



オープンチューニングやタッピング奏法などの独特なプレイスタイルで、アコースティック・ギターの奥深い魅力を伝えてくれている押尾コータロー。彼のプレイを見るたびにギターがホントに喜んでいるなと思う。あそこまでギターを愛でながら、心地よくも超絶なプレイを聴かせてくれるのだから、彼に弾かれている当のギターも本望に違いない。そんな押尾がメジャー通算14枚目となるオリジナル・アルバム『KTR×GTR』を発表した。本作はもちろん、そこから派生したさまざまな話から、音楽とギターをこよなく愛する彼の思いが感じ取れるはずだ。来年15周年を迎える押尾コータローに迫る超ロング・インタビューをお楽しみください。 (取材日2016年10月20日)

──押尾さんは現在、甲斐よしひろさんとのツアー中(MY NAME IS KAI Ⅳ 2016 “MEETS RETURNS”)ですけど、甲斐さんとの共演ツアーは今回で……。

3回目ですね。

──最初が2012年の“MEETS”で、前回が“MEETS AGAIN”、そして今回が“MEETS RETURNS”。まるでシリーズ化された映画のタイトル的な感じでいいなあと。

そうそう(笑)。次は“RELOADED”とか“ZERO”とかね(笑)。

──(笑)。押尾さんは甲斐バンドがお好きだったんですよね?

ええ。甲斐バンドのファンでしたからね。こうやって甲斐さんとご一緒できて本当に光栄に思っているんですよ。甲斐さんが僕のギターを好きでいてくれて、それを楽しんでくれている。しかも甲斐バンドの名曲の中で僕自身も楽しくやらせてもらっているわけですから。(甲斐さんが)僕を信頼してくれていますし。だから、ライブ1本1本を噛みしめてやってます。甲斐さんとキーボードの上綱克彦さん(レイニー・ウッド)と3人でやっているんですけど、本当に充実したツアーですね。

──そもそも甲斐さんとの出会いは?

おそらく僕が大阪でやっているラジオ番組が発端だと思うんですけど。そのラジオ番組に来たリクエストに応えて、僕がギターで「安奈」を演奏したんですね。それを聴いたリスナーの方の中に甲斐バンドのファンの方がいて、甲斐さんに「押尾コータローっていうギタリストが甲斐バンドの曲を弾いていましたよ」って伝えたみたいなんです。で、甲斐さんは甲斐さんで僕がスイスのモントルー・ジャズ・フェスティバルに出ていた映像を見ていて知っていてくれたみたいで、「あの押尾が?」って。それから甲斐さんが僕のラジオ番組にゲストで来てくれたりして。そこから縁が始まったというか。で、その後、何かのイベントで甲斐さんからオファーをいただいて、それが甲斐さんとのコラボの始まりでした。

──以前、お二人が共演している映像を見たことがあったんですけど、押尾さんの演奏に乗って甲斐さんがすごく気持ち良さそうに歌っていて、その時、素敵なコラボレーションだなと思ったんですよね。

そうなんですよ、ものすごくいいコラボなんですよ!

──そういうふうに甲斐さんをはじめ、これまでにも多くのアーティストの方々とコラボなさってますけど……。

ええ。一番ありがたいのはギター一本でやらせてもらえるということが一番大きいですね。僕はバンドの中でのギターというよりは、できれば僕のギター一本で歌ってほしいなという気持ちが強いんです。だから、「それで構わないのなら一緒にやらせてほしい」という僕のわがままというか、そういうスタンスを貫きながら常にコラボをしてきたんですよね。それから徐々に「押尾のギター一本だけで歌いたい」って声が出てくるようになり、その中でも甲斐さんと一番ガッツリやっているわけですけど。ともかく「押尾コータローだったら、ギター一本で歌いたい」というふうなことが着実に定着してきたから、いろいろな方々とコラボできているのだと思いますね。

──「押尾コータローのギター一本で!」というのは、すごくうれしいオファーですよね。

うん、本当に。でもね、中には敷居の高い曲もあったりするんです(笑)。「この曲をギター一本でやるんですか?」っていう。そう言うと「押尾くんなら何でも出来るでしょ?」「いやいやいや……」みたいなね。ま、それはそれですごくありがたい話なんですけど。

──客観的に見て、ご自身で押尾コータローのどういう部分を求められていると思いますか?

んー、やっぱり、今まで自分がやってきた奇想天外な……というか、そういった僕のギタースタイルを面白がってくれているからじゃないかなと。フォークギターをポロ〜ンと弾くというよりは、チューニングを変えたりとか、タッピングしたりとか、そういった奏法で伴奏するから、シンガーの人たちも「これはすごいな」と思ってくれていると思うんですよね。そこが押尾コータローのギターの魅力だと感じ取ってくれているというか。

──コラボレートの話の流れで伺いますが、今回のニューアルバム『KTR×GTR』でもコラボ曲が収録されてますね。ご自身のオリジナル曲でのコラボと、他の人が作った既成曲のコラボでは、アプローチも違ってくると思うんですけど?

それは全然違いますね。

──例えば、収録曲の「同級生」(アニメ映画「同級生」主題歌)ではGalileo Galileiの尾崎雄貴さんとのコラボ曲ですけど、尾崎さんとのやり取りの中で何か発見があったりしましたか?

尾崎さんとは曲に関してそんなに細かいやりとりはしませんでした。Galileo Galileiのスタジオで独自に作ってくれたバンド・サウンドに僕のギターを重ねて入れていったんです。その中でも何が違うかっていうと、実際にギター一本で作った曲に対してのバンド・アレンジなので、これは凄いなと思いましたね。それにインスト曲ではなく、歌モノですから、歌詞があって歌が入る。そしてこんなふうにポップな仕上がりになるんだって。僕のアプローチはそれに対してのギターなので。ギター一本で描き出す世界にはない一緒に違うものを作り上げる楽しさがそこにはあるんですよね。そこが大きな違いですね。

──DEPAPEPEとヴァイオリニストのNAOTOさんとの「Magical Beautiful Seasons」ではどうですか? プレイヤーたちとの共演はスリリングな感じはあるのでしょうか?

この曲に関して言うと、けっこうガッチリ作った感じなんですよね。自由に演奏してっていうよりは、こういうふうにやってほしいって要望を言ったりしていたので。

──曲に対するビジョンが明確だったわけですね。

そうです。自分の中でのビジョンがはっきりとあったので、だからそれとは違うものを入れるという感じではなかったんです。なるべく横道に逸れないようにがっちりと構成を決めて、ここはイントロ、これだけ転調して、ここはNAOTOさんにピチカートで弾いてとか……全部、僕が指定して弾いてもらったんですよね。と言いながらも、そこはミュージシャンですから、NAOTOさんもDEPAPEPEも2組ともすごいんですよ。アイディアを持っているから、僕のカチカチの頭を柔らかくしてくれた。それはさすがだなと思いました。DEPAPEPEの徳ちゃん(徳岡慶也)は、独自の伴奏を入れてくるから、そこが面白かったりもしてね。

14th Album『KTR×GTR』について

──で、その新作『KTR×GTR』なんですが、聴かせていただいてギターが歌っているのはもちろんなんですけど、どの曲からもどの音からも“風”を感じました。心地よさと共に。

それは光栄ですね。

──今回のアルバムはどういう作品にしたいと思われたんですか? 来年15周年を迎えることも視野に入れて制作なさったんですか?

いや、15周年だから何かしないとみたいな追い込み方ではなくて、単に僕はギターがすごく好きで、そのギターが好きだという気持ちは15年経っても変わらないってことをアルバムに表現できたらなと思っていたんですね。だから、アルバムのタイトルの『KTR×GTR』も、それになぞらえてつけたんですよ。僕の名前のコータローの“KTR”とギターの“GTR”。アルファベットを略すとこんなにも似ていたんだなって。僕とギターはずっと一緒で、気付けばデビューして15年経っていたわけで。だから、僕とギターは一心同体っていうそんな意味合いなんですよね。ギターへの感謝の気持ちもそこには含まれている。このタイトルは自分でもすごく気に入っているんですよ。

──はい。

それと先程も話したようにいろいろなコラボレーションもしたりして、いろいろな押尾コータローを楽しめるというか、押尾コータローここにありき!というアルバムを作りたいと思ったんですね。ギターテクニックを聴いてもらうっていうのもあるけれど、それだけじゃなくて、さっき言ってくれたみたいに風を感じてくれたり、そういう心地良い音を常に考えて作ったんですよね。これが気持ちいいなっていう、もう一度聴きたいなって思ってもらえるようなアルバムしたいと思って作りました。

──それはまさに! 何度も聴きたいと思う作品だと思いました。

ありがとうございます。実は前作がカヴァー・アルバム(2015年作『Tussie mussieⅡ〜love cinema〜』)だったんですけど、それがね、自分で弾いていてもものすごく心地よくて。それはなぜかっていうと、曲がいいからだったんです。

──洋邦の名画の音楽からチョイスした作品でしたね。

ええ。メロディーがすごくいいなあと思い知らされて、その曲たちに僕は嫉妬したんですよ。自分もこんなに心地よくて素晴らしい曲を作りたいなと。ギターの持っている音を生かした、それこそ歌っているような、そんな曲を作りたいなと思うようになって、それが今回のアルバムに繋がっていったと思います。

──前作がいい刺激になったという。

そうですね。

──そういう刺激を得て今作の曲を作っていかれたんですね。

だから、スタジオに籠りっきりじゃなくて、今回はちょっと環境を変えようと思ったんですよ。ちょっと空気のいいところに自分の身を移して集中して作ろうと思って、いつもと違う場所で曲作りをしました。で、また自分のスタジオに戻ってっていうような、そういうことを繰り返しながら、結構のんびりと作っていった感じですね。

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