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長澤知之 彩りの日々を描く13枚の絵画

長澤知之

彩りの日々を描く13枚の絵画

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「たくさん音楽がやりたい」。そんな長澤知之の思いが、1枚のアルバムになった。彼はそのアルバムに『黄金の在処』と名付けた。
多彩なミュージシャンを招いてのフル2作目。かつてない環境の中で、彼は溺れることなく、迷うことなく、己のミュージシャンシップをしなやかに貫いた。
ここで大きく開かれた窓から放たれた音楽は、日常の空気を伝って、聴く人それぞれの生活に溶け込み、時にあかりを灯し、ある時はノスタルジーを呼び覚まし、またある時はひとりぼっちのその腕を、静かに掴んでくれることだろう。

―― 今回のジャケットも長澤さんが描かれたものなんですか。

いや、この落書きは自分で描いたんですけれど、それをコラージュしていただいて。手帳にした落書きをそのまま使いました・・・すごくいいデザイン。

―― 素敵なタイトルもつきましたね。

うん。

―― 遂にフルアルバム。

です!

―― ですね。ミニアルバムを作っている時も、ずっとフルアルバムが頭の中にあると。

うん。そのまんまが出たかなっていう感じがします。

―― 割と自由に作れるミニアルバムに対して、フルアルバムにはそれなりの覚悟がいると、以前言われていましたよね。

まず制作に入る時にひとつ覚悟が要るのと、たとえ音楽であっても制作は毎回毎回、楽しいだけじゃないから・・それはきっと誰でもそうだと思うんですけど・・・そういう覚悟、ですね。

―― 1stフルアルバム『JUNKLIFE』を経た昨年のミニアルバム『SEVEN』では、より音楽を楽しめるようになったと。そしてそれが大いに反映された作品になりましたが、今回は『SEVEN』のコンセプトが大きく広がった印象をもちました。

うん、すごく素敵な方向に行ったと思います。なんでもそうですけれど、作り始めてから形になるまでに想像通りってことは何ひとつないと思うんですね。『JUNKLIFE』の時もそうだったんですけど、ある程度の枠があって、その枠の中に抽象画のようにバッバッバッバッと色を入れていくんですね。その時に自分でパッと俯瞰して見た時に出来上がっていたものというのは、たぶん自分が想像していたものと違うもので。ただもう枠があって、その中に色を入れていくというコンセプトであれば、もうそれでよかったんです。それが僕にとって音楽を楽しむことだったんで、それで『黄金の在処』っていう作品にしました。そう、だから“音楽を楽しむ”っていうのがテーマ。『SEVEN』が起点となっていますね。

―― これからも続く長澤さんのミュージシャン人生の中で、『黄金の在処』はターニング・ポイントになる作品だと思います。

本当に?僕は何も変わらないつもりでやってたんですけど。たぶん、聴かれる人には既存の概念っていうものがあると思うんですね。それが頭の中に入っていると、次に出すものが、特に何年も経ってしまうと、そりゃあ違うものに見えるかなあと思うことはありますけど。で、またひとつ作り終えたら次に作りたいものが明確にありますしね。「あ、これしたい」っていうことはね。それを具体的にはまだ誰にも話してないですけど、したいことはすごくいっぱいあります。

―― それは今回の作品を踏まえて、さらに高まったということですか。

そうです。

―― 今回はかつてないほど起伏に富んだアルバムだと思いますし、様々な音楽的なチャレンジもなされていると思います、ベタな言い方をするなら。

いえいえ。そういうつもりでもありましたから。

―― 長澤さんの感覚でいえば、「遊ぶ」っていうことですね。

そうです、「遊ぶ」っていうことがまず大事。それで自分が今どんなものなのかっていうのが大事。人に合わせる云々じゃなくて、自分がどうであるかが大事。たとえば制作している中で揉めることがあっても、自分がどう思っているかが大事なのでそれを貫いてきたら、こういう作品になったっていう。

―― 「貫く」って、人として生きていく上でも、音楽をやる上でも、相当ヘヴィなことですよね。

うん、大変ですよ。ひとりでやれたらいいなあと思うけど、ひとりでやるにはたくさん弊害があるし、周りに助けられて、サポートしてもらって作っていることはわかるので。だからその中で自分を貫く・・・というか、それが求められているとも思うし。なにせ自分のエゴですのでね、貫くのが当たり前だと思います。

―― なるほど。

人間関係では柔軟になったと思います、僕も歳をとったし。といってもまだそんなに経験を重ねられているわけではないけど、でも人間との対話の中で、ある程度はなんとなく、いろんなことがわかってきたような気もするので。そういう意味では柔らかになったと思いますけど、音楽は・・・そのまんま。変わらないだろうなあと思います。

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