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特集 冨田ラボ 冨田ラボ 5th Album『SUPERFINE』Special Talk Session AKIO+Avec Avec(Suger's Campaign)

特集 冨田ラボ

冨田ラボ 5th Album『SUPERFINE』Special Talk Session
AKIO+Avec Avec(Suger's Campaign)

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エレガントかつラグジュアリーなサウンドを持ち味とするソングライター/プロデューサー、冨田恵一によるセルフ・プロジェクト=冨田ラボが、ニュー・アルバム『SUPERFINE』を届けた。毎回、数々のヴォーカリストたちをゲストに招いてその世界観を築き上げてきた彼だが、今作で招かれたヴォーカリスト/作詞家陣は、今まさにホットな、“新世代”とも呼ばれる若手ミュージシャンたちが多く名を連ねている。なにゆえその人選に至ったのか? 今作のテーマは?といったアルバム制作の背景をご本人に伺いつつ、今回の取材では、Sugar’s CampaignのAvec Avecと、同ユニットの楽曲にゲスト・ヴォーカルとして多数参加しているAKIO──アルバムに参加したお二方を交えた形で、ニュー・アルバム『SUPERFINE』を紹介しようという次第。レコーディングがおこなわれた東京・青山のRed Bull Studio TOKYOにふたたび集ったお三方、では、さっそく。

──今回のアルバム『SUPERFINE』は若い世代のミュージシャンとのコラボレーションが目立ちますよね。これまでのアルバムにあった〈ベテラン枠〉みたいなものもなく。

冨田 そうですね。いわゆる〈先輩枠〉っていうのがあったんだけど、前作の『Joyous』で、全体を4人だけで作ろうってなった時から思ってたのは、ゲストのフォームで縛りを作ることをやめようって。今回、若手、次世代、新世代って言われてるようなミュージシャンとたくさんやろうかっていうことを最初のほうで決めたんだけど、今こういう曲をやりたいからこの人にっていうのが順番としては先で、そこで人選の縛りはなくした感じなんですよね。

※2003年『shipbuilding』……松任谷由実
2006年『Shiplaunching』……高橋幸宏、大貫妙子
2010年『Shipahead』……佐野元春、吉田美奈子
2013年『Joyous』……原由子、横山剣

──若い世代のミュージシャンをコマメにウォッチしてたところもあるんですか?

冨田 実はそういうことでもなくて、『Joyous』からここに至るまで……というかもっと前からなんだけど、現代ジャズ周辺にすごく興味があって。ドラマーが好きで、ドラミングに関しては若い頃からリアルタイムで最先端のドラミングとは?っていうのをずっと追ってたんですよ。前作までの僕の基本的なアプローチが、いわゆる70年代とか80年代のシミュレーショニズムみたいなことだとすると、そういうことをしながらも、ドラミングでは奇数連符が入ったりとか、そういうのをおもしろがってYouTubeとか見てるわけ。でも、シミュレーショニズムみたいな作業にそれを入れるのはチグハグだからなかなかやらなかったんだけど、2014年に出した『Nightfly』の本(ドナルド・フェイゲンの名盤を説いた「ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法」)が自分にとってすごく影響があってね。シミュレーショニズムとかいうことに関して、あれを書いたことで自分の手法にケリがついたところがあったんですよ。その頃からプロデュースするものに関してはシミュレーショニズムから離れたものが徐々に出だしたんですけど、それがまとまったのがbirdの『Lush』(2015年)で。

──たしかに、いままでにはなかった冨田ワールドを聴かせたアルバムでしたね。

冨田 あれに関しては、シミュレーショニズムではなくて、最近の興味に寄っていったものだったんですけど、それに関して自分でも手応えがあったから、次の冨田ラボはそのアプローチになるだろうなっていうことは思ってたし、実際に最近の僕の指向性っていうのが出てるんじゃないでしょうかね。藤原さくらさんに歌っていただいた「Bite My Nails」みたいに全部生でやったものと、そうじゃないものが共有してる温度感が、僕の思う現代ジャズの魅力的なところで、僕のなかではどっちも同じ文脈で説明ができる範囲なんですよね。

──そこで今回のゲスト・ヴォーカルの方々ですが。

冨田 サウンドの指向性に変化があるので、まあ、そういうのって自分でワクワクするじゃないですか。そのワクワクをリスナーに対してより強調して伝えるにはどうしようかってことを思ってたんだけど、スタッフと話をしてる時に、“若手の人たちとやるのはどうか?”ってなって、あっ、それがいちばんイイんじゃないかと。いままで僕と仕事をしたりとか、近いところにいた人たちじゃなくて、僕とは直接的な関係とか仕事はしたことないんだけども、音楽性とかアプローチにシンパシーを感じる、だけど接点がなかった人たちが入れば、僕自身がフレッシュだと感じてるサウンドをより共有することができるアプローチだなって思ったんですね。とはいえ、若手の人たちを全部網羅してるっていうわけではなかったので、それから50組ぐらい聴いたかな。スタッフにも「イイと思ったものをとにかく聴かせて」って。

──はい。

冨田 基本的にコラボするのはヴォーカリストの方なので、歌を中心に聴くんだけども、“この声でああいうことやってもらったらおもしろいな”とか、声の表現と僕のやりたいこと、アイデアとが合致する人を入れたっていう、そんな感じですね。例えば、藤原さんと他の方とで活躍してるシーンが結構違うと思われたりもするでしょうけど、でも、わりと似たシーンの人たちが集まったっていうことも言えると思いますね。選ぶ時点でそのへんは考えてなかったですけど。藤原さんも、オファーしたときは月9のドラマに出るなんてことになってなかったですからね。去年の夏終わりから秋ぐらいに打ち合わせして、録ったのが1月ですから。彼女に関しては、フォーキーな歌モノで英語でも歌ってて、この声はすごいなあっていうだけでお願いしましたから、そのあと月9って、びっくりしました。

──そこでご指名された一組が、Sugar’s Campaignということなんですが。

AKIO びっくりしました。話をもらったのは去年の夏ぐらいでしたかね。冬にレコーディングがあるからよろしく、みたいな感じで。いやあ、こちらこそ全力でやらせていただきます!っていう感じでしたけど。で、歌詞のことについては、その時点でAvec Avecが書くっていうのはぜんぜん知らなかったんですよね。

Avec Avec そうだよね。僕は普段、Sugar’s Campaignで作曲/編曲をやってるんですけど、作詞だけやるっていう作業は、今回が初めてで。

冨田 そう? 初めてだったんだ!

Avec Avec 自分の作った曲の詞を作るっていうのはよくあるんですけど。

冨田 ネバヤン(never young beach)の安部(勇磨)さんも他人のメロディーに詞をつけるのが初めてだって言ってたけど、Avec Avecさんもそうだったんだ。

Avec Avec そうなんですよ。

冨田 ディレクターから「Avec Avecはイイ詞を書くんですよ」って見せてもらったらすごくイイなあって思って、“じゃあお願いしよう”ってことになったんだけど……そうなんだ、他の人のメロディーにはつけたことがなかったんだね。

Avec Avec はい。

冨田 でも、素晴らしい歌詞で良かったですよ。

──冨田ラボでは、参加したミュージシャンの普段とは違う面が見えたりっていうのがひとつの醍醐味になってますよね。

冨田 そういうことをやってほしいっていうのはあるからね。

Avec Avec Sugar’s Campaignも、シンガーはフィーチャリングっていう形で作ってますけど、僕らもそれはすごくありますね。普段やらないこと、お互いにとって新しいなにかを一緒に作るっていう。

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