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BOMI 3rd Album『A_B』Interview

BOMI

3rd Album『A_B』Interview

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──『BORN IN THE U.S.A.』のあとに、その路線ともまた異なるシングルの「Y.O.U.」があったでしょ。僕はあの曲が大好きなんだけど、あれを聴いたときに、それまでなかったリアルな感覚がグッと前に出てきたように感じたんですよ。で、それが今作に繋がってるような気がしたんだけど。

うん、そうかもしれない。「Y.O.U.」は大きかったですね、自分のなかで。あのときの自分の気持ちを歌ったらああなったって感じだったけど、評判もすごくよかった。以前はガーリーとかポップって言われる音楽をやってたわけですけど、私、「かわいい」って言われるのが苦手なんですよ。そういう意味で逆の方向に舵取りしたいって気持ちがあって、「Y.O.U.」はそれがうまくいった曲で。難しいのは、じゃあこれからどっちへ向かうのかってことですね。それは自分でも全然わからない。今回の感じを深化させていくと、たぶん、万人に受け入れられるものからは遠ざかっていくと思うんですよ。

──うーん。それはわからないけどね。

これってすごくギリギリのところにあるアルバムで。どっちも兼ね備えていると思うんです。ディープだからいいって思ってもらえるところもあるだろうし、ポップさもなくしてはいないし。

──そのバランスが最もうまくいって売れたのが、それこそ小袋さんも参加した宇多田ヒカルさんの『Fantome』なわけで。パーソナルで、ディープなんだけど、ポップでもある。

そうですね。だって宇多田ヒカルさんはやっぱり声が唯一無二だから。

──でも、この『A_B』もそのバランスがすごくうまくいってるアルバムだと思うけど。

まあ、そうですね。

──リード曲の「A_B」がラジオで流れてくると、「おっ!」ってなる。ちゃんとポップだし。まさに現在進行形の音だし。声もすごく耳にひっかかって、クセになるんですよ。

ホントですか?  ありがとうございます。そういう意味で言うと、やっぱりこのメンツを揃えられたのは私にとっての財産だったなと思いますね。

──では、いくつか曲についての話を。まず1曲目「ハロー・ザ・ワールド」。始まり方がいいよね。歌とピアノだけで、静謐さがあって。実のお母さんのことを表現したいというのは、前から考えていたの?

だって出会っちゃったから。

──ニューヨークに会いにいったんでしょ?

いや、ニューヨークに探しに行ったときは会えなくて、再会したのはもっとあと。いまから約2年前なんですけど。でも、それが大きいですね。2歳半まで暮らしていた生みの親と20年以上経って会ったということ。「ここであなたとこんなことしたのよ」とか言われても、私はなんにも覚えてなかったですけどね。

──それでも、そのことを表現しないと前に進めないという気持ちだった。

そうですね。まあ、始まりの歌というか。何かを仕切り直すきっかけの曲になったらいいなって思ったんですよ。だから、「あなたの胸に響いた声をもう一度歌に」っていうところの、「もう一度」というのが自分でもグッときたポイントで。

──3曲目の「記憶」は、まさに2歳半まで実のお母さんと暮らしていた記憶のことですよね。あの声は……。

実のお母さんの声。「昔、私に話しかけてたみたいにしゃべって、それを送ってくれませんか?」って頼んだんです。

──6曲目の「ロンリーロンリー」では「気がつけばママが二人。パパもいない」と歌っています。それはBOMIちゃん自身のリアルな背景なわけだけど、そこで感情を剥き出しにするのではなく、ポップさも客観性もあって、そこがいい。

そうですね。

──「重い足取りで 歩く天王寺に 試されてみたけど」と歌ってるけど、大阪にいたのはいくつまで?

高校生まで。よくいじめられたので。そこはそのあたりの話です。

──そして「初恋」で「僕も明日街を出る」と歌い、次のインタールード「旅立ち」で東京に出てくる。それから東京での孤独を次の「They don’t know」で表現するという、このあたりの繋げ方が見事だなと。

そこは私も好きな繋がりですね。「旅立ち」でいろんなコが“東京”って言ってるのは、あれ、ツイッターで呼びかけて送ってもらったみんなの声なんですよ。東京ってひとりの集合体なんだなって思ったので、いただいた声をいろんなところに配置して作って。

──BOMIちゃんにとって、東京はどんな街?

うーん、あの頃の自分にとってはワクワクする場所。大阪じゃないところに行きたい気持ちが強かったんですよ。というか、いつも私は基本的に“ここじゃないどこか”に行きたいんです。で、東京はその気持ちを満たしてくれる街だった。でもしばらく経つとやっぱり慣れるじゃないですか。そうすると、キラキラしてたのが、確固たるキラキラじゃなくなるというか。真っ只中にいるからそれがキラキラして見えなくなるのかもしれないけど。っていうことを歌った曲ですね、「They don’t know」は。

──そして実のお母さんとの再会をドラマチックな「ふたつの街」で表現して、最後が“これから”を歌った「空を辿れば」。まさに締めに相応しい曲で。

最後の曲としてあてはめて書いてたから。エンドクレジットみたいなことだからね。「この曲がすごくよかった」って言われることが多いんだけど、「そりゃあな」っていう(笑)

──もう一度改めて訊くけど、自分の半生を振り返りながら作ったこのアルバムができて、いまどんな気持ちですか?

自分だけでは絶対作れなかったものだし、おぶちゃんと真っ向からぶつかったり話し合ったりしてできたものだからこその強さも出てるのかなって思います。それがひととものを作ることの醍醐味なんだろうなと。自分の頭の中にあることをその通りに作らないと納得できないひとも世の中にはいる。でも私はたぶん、ひととすごく向き合いたいんでしょうね。だから必要以上にやりすぎちゃうのかもしれない。

──表現者として、もともとそういう資質なんでしょうね。

そうかもしれない。なんか、自分は水みたいなものだと思ってるから。形状はいくらでも変えられるけど、でも水は水としてそこにあるというか。地面を固める土のようなものとは、私は違う。ずっと変容し続けるものでありたいんですよ。

──別名義で女優の活動をするのも、そういうことなのかな。BOMIというシンガーとしての表現だけに捉われたくないというような。

別の名義のほうが、BOMIとしての活動も自由にできると思って。女優活動によってBOMIの活動を制限したくないんですよ。ある意味、女優って、色がないほうがよかったりするけど、BOMIはすごく色が強いから。両方あるのがバランス的にいいみたいですね。音楽だけだと、インディーの場合は何かよっぽど強い動機がなければなかなかリリースまでもっていけないけど、お芝居をやることで精神的にはむしろ楽になれたりもするし。

──なるほど。では最後に今回のアルバム『A_B』がどんなふうに広まっていってほしいかを。

本を読むみたいに「ああ、こういう人生もあるのか」って思ってもらえれば。これは私の物語であり、私の人生だけど、みんなひとりひとりいろんな人生があるわけで、そのひとつの例として本棚にいれておいてもらえたらいいかなって思いますね。あと、レコ発のワンマンライブを2月3日に渋谷TSUTAYA O-nestでやるので、ぜひ観に来てください!


 

《リリース情報》


Album
『A_B』
Bad News / BACA-28 / ¥2,500(税込)
NOW ON SALE
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[収録曲]
01. ハロー・ザ・ワールド
02. A_B
03. 記憶
04. スーパーガール
05. Good night!!
06. ロンリーロンリー
07. 初恋
08. 旅立ち
09. They don’t know
10. ふたつの街
11. 空を辿れば

 

《プロフィール》

BOMI
2011年、新鋭プロデューサー、wtfと出会い、bomiを始動。2012年にミニ・アルバム『キーゼルバッファ』でデビューし、同年にファースト・アルバム『メニー・ア・マール』を発表。2015年に表記をBOMIに一新し、セカンド・アルバム『BORN IN THE U.S.A.』をリリース。音楽活動と並行してモデル、役者としての顔も持ち、幅広い活動を行っている。

オフィシャルサイト
http://www.bomibomi.com/

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