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猪又孝のvoice and beats

DOTAMA キャリア初のベスト・アルバム『DOTAMA BEST』インタビュー

DOTAMA

キャリア初のベスト・アルバム『DOTAMA BEST』インタビュー

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──中盤の「本音 feat. 般若」で、般若を迎えた理由は?

ベストアルバムを出させてもらえることになって、どなたかラッパーの方とマイクリレーをしたくなり。まず自分の作品にフィーチャリングで参加して頂いた方たちを遡ったんです。HAIIRO DE ROSSIくん、カクマクシャカ、NAIKA MCさん、ハハノシキュウ、掌幻くん、Dragon Oneくん。みんなほぼ“王道のヒップホップ”のかっこよさを表現できる人たちで。そのとき、僕がこういうキャラクターだから、本能的にバランスを取ろうとしてそういう方たちを客演に招いていたんだと改めて気付いたんです。そう考えると、この路線で高みにいるラッパー、それは誰だ?と考えたら般若さんでした。ストイックでストロングなヒップホップスタイルでありながら、僕と同じようなクセもあって、強烈な個性&パワーの持ち主。お願いしたら二つ返事で「やるよ」とおっしゃってくれたんです。

──この曲のテーマは?

世の中は本音であふれているということ。歌い出しの二小節がこの曲のテーマを表現しています。本音を言える人。腹を割れる人。勇気を持って、エゴをさらけ出せる人がかっこいい。確かにそれは素晴らしいことですが、みんながみんなそれをやり出すと、ちょっと疲れるよね、という矛盾した気持ちを曲にしています。SNSでも簡単に他人の本音が情報として入ってくる。本音を言うことはとても大事だけれど、本音が目につき過ぎて、疲れやすい時代だなとも思うんです。

──あと、この曲を聴いてて、ラップでいろんな声色を使うところが二人の共通点だなと思ったんです。

そうですね。せっかく般若さんとやるので、個人的に、この曲は妄走族の頃の般若さんを意識してラップしました。ヴァース中、声色の高低を極端に変えながら、最初から最後まで合いの手以外、ほぼ一発録りでレコーディングして。

──声色を変えることで、どこまで本音か冗談かがわからなくなるんですよね。

リスナーとして、般若さんほど声色で人格を複数人分けられるラッパーはそうそういないと昔から思っていました。あと実際、ご本人はすごく緻密にリリック、フローを構成していらっしゃると思うんですが、テキトーに時事単語を押韻していくスタイルが本当にかっこいい。フザケてるように見えれば見えるほど無敵というか、そんなスタイルの般若さんに「本音をぶちまけてください」っていうリリックオファーは我ながら完璧だったと思ってます。

──声色が違うから、なんだかはぐらかされてるような気になったり、“あっかんべー”と舌を出されてるような印象も受けるんですよね。

同じ本音をさらけ出すにしても、自分の意見を汲み取らせて相手に納得させることと、エゴを他人に押し付けことは紙一重だと思うんです。取り扱いに気をつけないといけない。だから《用法・用量は守って》と歌いました。MASAYOSHI IIMORIくんのビートが素晴らしく、よりラップのエッジを鋭くしてくれていると思います。


──「ベストソング」は、日清のどん兵衛が企画した「東西対決」や、「CYBORG009 CALL OF JUSTICE」企画でコラボしたDJ WATARAIのトラック。WATARAIさんとソロ名義でやるのは初めてですね。

WATARAIさんから頂いたトラックがすごくかっこよくて。最初は希望を歌った、シンプルなメッセージソングを作ろうと一度全部書き上げたんですが、少し違う気がして。やっぱり自分の話をしないと、と思ったんです。

──自分の話?

振り返ってみるとその時代その時代で、自分の“ベストソング”を作ろうと楽曲制作に取り組み、集まってできたのがこのベストアルバムになっている。だから、このアルバム自体にテーマソングがあるとしたら「ベストソング」だと思ったんです。誰かのベストになっていたい、ベストな曲を作りたいと、ラップをし出してから13年の自分の気持ちをストレートに書きました。

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ナビゲーター

猪又 孝 / TAKASHI INOMATA

1970年生まれ。音楽ライター/エディター。小4のときにビートルズ「HELP」にヤラれ、19歳のときにロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズに心奪われるも、22歳でいきなりサザン・ソウルに開眼した、我ながら雑食家。現在は邦楽のソウル/R&B/ヒップホップを中心に執筆。でも、カワイイ& カッコイイ女の子もダイスキ。オフィシャル取材などで馴染みがあるアーティストは、加藤ミリヤ、Zeebra、SKY-HI、東方神起、三浦大知、RIP SLYME(五十音順)等々。

 
 
 
 
 
 
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